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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2015.06
16
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06:15
Category : 未分類
 JSFさんは超音速対艦ミサイルの弾頭重量と、戦艦の主砲弾の炸薬量を比較してどうするのだろうか?

 まず、JSFさんは区別を理解できているか怪しい。
徹甲弾
JSF‏@obiekt_JP 超音速対艦ミサイルの弾頭重量が小さいから問題だという論には、先ずは戦艦の徹甲弾の炸薬量を調べてみることをお勧めするん。
2015年6月15日 https://twitter.com/obiekt_JP/status/610453741561483265

「弾頭重量が小さいから問題だという論には、先ずは戦艦の徹甲弾の炸薬量を調べて」どうなるというのだろうか?

 比較対象は揃えなければならない。弾頭重量と比較するのは砲弾重量であり、炸薬量と比較するのは炸薬量でなければならない。

 JSFさんはここでも混同している。比較についてご存じないか、話をごまかそうとしているかである。おそらく両者だろう。

 超音速対艦ミサイルは、中型でも弾頭重量は200-300kg程度しかない。それに対して、比較すべき戦艦の徹甲弾は重量で700-1200kgである。さて、これで何が言えるか。

 そもそも、貫通力と破壊力は異なる。超音速ミサイルやその弾頭は装甲貫通力を期待したものではなく、爆風と破片による破壊力を期待したものである。対して戦艦の徹甲弾はまず貫通力に特化しており、破壊力はその次でしかない。この点で言えば炸薬量での比較も意味はない。

 さらに、亜音速対艦ミサイルの炸薬量に言及しない点はJSFさんが逃げている。サンバーンの炸薬量は150kgあり、16インチ級徹甲弾の炸薬量20kg程度(一般的に1.5%程度)よりも相当に大きく見える。だが、ハープーンの炸薬量100kgと比較してそれほど大きいものではない。

 実際に、破壊力を比較した場合には超音速ミサイルの威力は低い。本体500kgのハープーンが220kgの弾頭と100kgの炸薬を持っているが、本体4トンのサンバーンが320kgの弾頭に150kgの炸薬しか持たない。これは効率が悪いというのが雑誌記事の主張である

 それを戦艦の主砲塔1400t、徹甲弾1.2t(16in Mk6)よりもマシだとして「先ずは戦艦の徹甲弾の炸薬量を調べてみることをお勧めするん。」(JSF)と言い出すのならば、JSFさんには戦艦の徹甲弾と亜音速対艦ミサイルと比較することをお勧めするとしか言いようがない。

 まあJSFさんとその一派は技術に眼が眩んでロクにものが見えていない。高度技術に見える超音速対艦ミサイルに夢を見すぎているのだけどね。
JSF‏@obiekt_JP 敵大型艦を少ないチャンスで撃破するために、一撃で撃破できる弾頭を対艦ミサイルに用意しようとしている。通常のミサイルで無力化した後に通常爆弾で再攻撃して仕留めるというのは、余裕がある時にしか出来ない相談なので。
2015年6月15日 https://twitter.com/obiekt_JP/status/610446121320644609


 サイズの問題から数が揃わない超音速ミサイルと徹甲弾頭で「敵大型艦を[中略]一撃で撃破できる」(JSF)ならば、汎用性のある軽量小型安価で数が揃う亜音速ミサイルで集中攻撃しても敵大型艦を一撃で撃破できる。

 準備にしても、TOTにしても、亜音速使ったほうが実現容易で確実なのだが。JSFさんとその一派は「高度技術は偉い、国産新技術は偉い」で思考停止しているから理解できないのだろう。
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Comment

非公開コメント

No title

特に軍事研究の方はまだ見てないので憶測で物を言うことになってしまうのですが、察するに超音速ミサイルはその速度のために推進部の重量が嵩んじゃう割に迎撃回避も亜音速と比べて優れているとは言えないから無駄が大きいよねとかそんな事でしょうかね。

ご専門の戦車でもHE弾とAP弾あるんですが、何を考えていらっしゃるのやら

JSF 「私は国立大学の理系の大学院を出てますが? キリッ」

嘘つきはJSFの始まり

No title

要するにあれだな、思考の随所で「手数の差」と言う要素が徹底的に欠落してるんだな

超音速ミサイルと亜音速を比べるなら破壊力じゃないよって視点が彼らには抜けてんでしょ

No title

現状のF-2&ASM-2から手数を増やす方向となると、F-2追加でしょうか?F-15へのASM-2搭載改修?

No title

文谷様

忙しくて本屋に行けず、記事を拝見していないのですが。。。

超音速ASMの狙いは(それがシースキマーなら)、「水平線 (~30km) という遮蔽物から出てきてから30秒 (Mach3の時)で着弾するか、110秒(Mach 0.8)で着弾するかの違いが、防御側にとってどれだけ大変か」と、「Mach3のミサイルを撃墜するのに必要なSAMは、Mach0.8のを撃墜するよりも高性能を要求される」の2点ですよね?

対処速度で言えば、完全同時着弾の超音速ASM数発に対し、
1:「探知、脅威判定、射撃諸元導出に4-5秒」「艦長からの発砲許可に2-3秒」「防御側のSAM発射から加速終了まで2秒」(ここまででざっと10秒。距離20km。)
2:「初弾ASM撃墜まで(Mach3で相対するとして)10秒」(初弾の撃墜距離10km)
3:「SAMの最低有効射程が1km、そこまで2秒かかるとして、初段撃墜から最後の撃墜までが20-2=18秒」「この間にVLSx2setでも1秒に1発の射撃なので、空中に最大18発のSAMを上げられる」
4:「ただし、これがASM波に到達するのは0.5秒に一発。おそらくSARHではこの時間は無理。ARHならなんとかなる?」

「1-3」だけを考えても、ASM18発を同時着弾させれば、イージス艦でも沈められる(soft killを除く)。「4」があるので、おそらくこの半数以下。防御側が現代のテクノロジー(SM2もESSMもSARH)なら、ASM 7-8発で撃没できるのでは?(防御側はRAMでも対抗できますが、同一方向に多数を射撃できないので、それほど条件は緩和されません。)

#もちろんこれに対抗アメリカの案がNIFCAで、AEW機の情報を使って、水平線の向こにいるASM(どころか発射母機)もSM-6でバンバン落としてしまう訳ですが。

亜音速SSMでイージス艦を撃没するには、110秒のうち100秒が対処時間になるので、1秒に一発射撃/誘導できるとして、100発まで対応できることになります。ざっと5-6倍ですね。

「この簡単な計算が正しいなら」、ASM-3が本当に1tでできるのなら、ASM3のほうがASM2より良い「場合もある」のでは?(もちろんコスト次第)

#一方で、通常のフリゲートはSAMを16-32発くらいしか積んでいないので、20-36発ほどの亜音速SSMを打ち込んで射耗させても、確実に撃没できます(ただしCIWSが効くので、最後の瞬間に3-4発の同時着弾が必要)。あるいは、5-6発の超音速SSMを使っても良い。

ドナルドさん
ついでに言えば長射程対艦ミサイルの場合、全行程をシースキマーできるわけではないです
どうしたって距離を稼ぐために高空域を飛ぶ必要が有ります、その間にも撃墜される可能性が有るわけです

他に言えばKh-31A重量約600kg弾頭重量約100kgの超音速対艦ミサイルでも4500t程度の艦艇なら十分行動不能にできるそうなので

今更記事読みました。

付加価値の高くない商品は開発しても予算がとりづらく有用性も認められない点に気づかないのは疑問だけど、概ね妥当な内容ですね。

特に、低脅威の目標に高価なミサイルを撃たなければいけなくなる汎用性の低さ、超音速対艦ミサイルが航空戦力で不利な海軍の艦隊決戦用という特異性、
それを持ってしても相手の防御を打ち破れないのかもしれない点(イージスは超音速対艦ミサイルにも余裕で対応できる)
点において、帝国海軍の酸素魚雷と変わらないのではないかという考察は参考になりましたm(_ _)m