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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.08
18
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12:00
Category : ミリタリー
 海自も人間魚雷対策をやっているのだが、基本的に目視でやるには厳しいのではないか。

 人間魚雷は強力な攻撃法である。停泊している艦船に、水中から接近し、リムペット・マイン(吸着式水雷)ほかを設置する攻撃法である。大戦中に英伊が多用した攻撃法であり、シンガポールで日本軍艦の高雄も攻撃され、大被害を受けている。リムペット・マインは泳者が持てる重さであるため、極端な大破孔は作れない。だが、弱点を正確に狙い、密着させられるため、侮れない威力を持つ。

 海外派遣が増えた海自にとって、人間魚雷は警戒しなければならない脅威である。人間魚雷は比較的単純な攻撃法である。まず、潜水具は民生用で構わない。リムペット・マインも専用品でなくても問題はない。極端な話、旧軍の破甲地雷の類はそのまま転用できる。民生品の工事用爆薬でも構わない。

 この点、海自も対策を講じているものの、どうやって発見するのかは、相当に手つかずである。見つけた泳者に放水したり、発見したリムペット・マインをSWAG(という自作器材)でオシャカにしたり、引き剥がしたりするお稽古をしている。しかし、どうやって探すのかは概ね手つかずになっている。噂では、米軍は警戒のため○○を持った潜水員を入れたりしているらしいが、それも長時間の警戒は難しい。

 そろそろ水上艦には、人間魚雷に備えた専用ソーナーといった警備器材が必要なのではないか。上から目視で見て見えるものでもない。潜水員にやらせるにしても人数が足りない。警備犬のように、海棲哺乳類にやらせるのも手間がかかる上に、準備に時間が掛かり過ぎる。

 現物はある。DDS、潜水員探知用ソーナー、Diver Detect Sonerといった機材がある。また、それにEO/IR探知を組み合わせた探知システムもある。実際に、ドイツの125フリゲートにはCerberus社製の可搬型システムが搭載されるという。器材によって差はあるが、パッシブで水中スクーターを1000-500m、開式スクーバを700-350m、閉式スクーバを500-250m程度で探知できる。300khzあたりの高周波のアクティブ・モードがあるので、目標についても画像として識別できる。

 海外派遣される艦艇用に、その手のシステムを導入してもいいのではないか。いつ撃つかわからないアスロックよりも役には立つ。実際に、ドイツの125フリゲートにはCerberus社製の可搬型システムが搭載されるというし、英海軍のサンダウン級掃討艇にもSentinel DDSが搭載されているという。※



※ "Intruder Alart""Navy international"(IHS,2013.6)pp.30

2013.08
17
CM:5
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12:00
Category : ミリタリー
 10式戦車を含む、陸上防衛で使う新装備については価値を見いだせない。昨日、金曜晩に○○○○をしている同期と飲んだのだが、奴の職場でたまに呼ぶ、ルトワックだのコステクカだのヒュー・ホワイトだのといったあたりから、そういった話になった。

 中国には今ある海空自戦力をかいくぐって日本本土に上陸できる能力はない。そして、今中国が挑んできているゲームは、日本本土上陸を目指したものではなく、海軍力で張り合うゲームである。そこに陸自や米海兵隊に出る幕はない。

 中国が海軍力で挑戦してくるなら、日本も海軍力増強で応じなければならない。その状況で、基本は本土防衛にしか使えない10式戦車ほかの価値はない。合理的に考えればそうなのだが、3幕にある政治力のバランスとして、ムダな整備しているといった内容。

 あとも、従前からの己の主張と似たような話になった。再優先は艦載ヘリではないかという話とか、東南アジア・南アジアも色いろあるねとか、無理やり配備したオスプレイが墜ちた時には取り返しの付かない問題が起きるだろうといった話、中国に空母のポトラッチを強要する話とか、今となってはアスロックって使い難くない話…といったもの。

 奴さんは水上艦系統、艦艇用兵なのだが、結局はヘリ搭載/運用能力を持たない「あぶくま」には艦齢延長する価値はない。水上艦に搭載する艦載ヘリの数よりも、水上艦にあるヘリ搭載能力の数のほうが大きいところには改善の余地がある。曰く「HSS-2Bでもいいから載せろ」といっていた。己にすれば、アレは大きすぎるし、整備も大変に過ぎる。だから、今の練習ヘリの改修のほうがいいんでないかと言ったけどね。

 各国の話は、障りがないようにぼかして書くが、多分に同じソースを読んでいるので、だいたい東南アジア・南アジア認識は同じ。「あの国は中国と真面目に対立する気がない」とか「あの国は、海軍力でも中国と腰据えて対立する気だけど、政治体制がアレだから日本は深入りできない」とか「あの国はヤヌスの神で米中どちらにもいい顔をする」みたいな話をしたよ。

 渋谷で5-6時間ほど飲んでいたが、他には同期や知った人物の噂話。江田島で帆走、陸戦一緒で、練習航海では部屋が一緒だった。その関わりで他愛もない話。「あの風俗大魔王がマイホームパパになった、日和った」(2人)とか「あれは糖尿病患っている」(1人)とか「もともとヤバかったアレの頭髪はついに消え失せた」(3人)といった、たわいもいう話。だが「顔面(のみ)ヤクザの、候補生学校の幹事付Aが白血病で亡くなった」という話には驚いたものだ。幹事付とは歳も近く、2クラスしか離れておらず、「いせ」の船務長になって直ぐになくなったという話には、いろいろ考えさせられたよ。
2013.08
16
CM:2
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12:00
Category : ミリタリー
 南スーダンPKOなんだが、サーチナ記事によると各国とあんま溶け込んでいないらしい。今関忠馬さんの「南スーダン平和活動の中国軍『自衛隊以外はみんな『友軍』』=中国」によると、各国と距離ととった上に、あんまし作業もしないとされている。

 日本PKO部隊は、外から写真撮影を禁止している様子である。普通は外から撮る分は自由で、見られたくないなら隠せばよい。だが、記事によると禁止しているという。日本国内でバレれば問題になるが、海外であれば分からないという頭なのだろう。

 また、作戦室、武器庫、情報センターへの立ち入りを禁止している様子も窺える。スーダンくんだりしてまで、例の立ち入り制限区域を作っているわけだ。地元民はともかく、一緒にPKOに行ってる軍隊に見せるくらいはいいと思うのだが、自衛隊はそこら辺で頭が固い。規則があるからと、役人根性で杓子運用した結果だ。

 自衛隊で、留学して来ているタイ王国海軍士官に、色々見せないようにしていたことを思い出したよ。候補生から練習艦隊まで、二人の少尉が来ていたが、規定を杓子定規に運用して、色々と制約を掛けていた。

 まず、連合国通信規定書を見せなかった。タイ海軍も持っている通信規定であるにもかかわらずだ。日本人は隠れて下宿に持ちだしたり、コピーしていたが、無くさない限りは見て見ぬ振りだった。いまでは米国大学のROTC課程ではネット公開している。しかし、タイ人には見せないことにしていた。

 イージス艦やミサイル艇も見せなかった。CICほかに入るための「適格性」という資格がないことを理由にしていたが、中に乗せてやるくらいはわけない話である。タイ人に見せられないなら、その時に一緒にいた日本人もそこを外したコースにすればいい。だが、海自はそれをしなかった。気の毒であり、タイ海軍の機嫌を損ねることを案じた艦長付Aが引率して、別の新鋭艦をハシゴ見学していたよ。

 PKO等での各国協同は、なかば親善の要素もある。悪い評判を貰う前に、その辺りは柔軟に見せるべきだったのではないのかな。PKOで見られて困るものもない。仮に微妙な通信関係機材があっても、その時に隠すなりすればよい。※※

 今からでもレセプションという名の宴会でもやって、中国、ケニア、インド、モンゴルに鱈腹食わせて、都合の悪いものを隠した中見せてやったほうがいいのではないかね。


※ 今関忠馬「南スーダン平和活動の中国軍『自衛隊以外はみんな『友軍』』=中国」『サーチナ』http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0815&f=politics_0815_004.shtml

※※ ノウハウもあるんだけどね。どっかにある空幕OPや統幕OPなんかは、己等が行く時には、見られてもいい、それっぽい別物を見せていたよ。まあ、己が立ち会ったシステムなんで、ダミーかと思ったけど、もちろん気づかないフリ。クソ忙しい海幕OP作業室は、机の上を新聞紙で覆って隠していた。その新聞にスポーツ紙が混じっていて、風俗紹介の助平な写真があったのはご愛嬌だった。陸幕作戦室(だったか、あの狭いとこ)は、完全にクリーンになっていたよ。スーダンでもそうすればいいのにね。
2013.08
12
CM:2
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Category : ミリタリー
 先島諸島に自衛隊を置くのは悪いことではない。使い道も思いつかない陸兵を北海道に置いておくよりは、よほど役には立つ。だが。先島に沿岸監視部隊を作った分、北海道の部隊をキチンと減らすのだろうか。

 NHK NEWSWEBでは「防衛省は、南西諸島の防衛を強化するため、沖縄県与那国町に、およそ100人の陸上自衛隊員による「沿岸監視部隊」を平成27年度末までに配備する計画」であり「[防衛省によると]町長選挙で、計画を推進する現職が当選したことは計画の実現に向けた前向きな動き」としている。(「防衛省 自衛隊配備に理解得る努力を」http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130812/k10013707561000.html)

 それ自体は悪い話ではない。日本が中国としているゲームで、東シナ海にコマを貼ることは、日本にとって有利となる。

 だが、北海道にある同種部隊を廃止するという話を聞かない。同種の沿岸監視隊は、北海道に稚内と釧路に2つある。普通なら、どうでもいい北海道の監視隊を南西諸島に移動させるか、南西諸島で新編して、北海道を一つ廃止するのが、行政組織のスクラップ・アンド・ビルドの原則である。

 自衛隊はスクラップ・アンド・ビルトを嫌い、不要な部隊でも存置させようとする。指揮官ポストを増やしたいので、新設につながらない北海道にある監視隊を移動させる話はしない。ポストが減るのはもっと嫌がるので、廃止の話は口にもしない。

 しかし、稚内や釧路にこの手の部隊を置いても、すでに意味はない。冷戦終結以降、ロシア極東部は死に体である。経済的にも軍事的にもそうであって、千金を費やしてまで綿密に監視する対象でもない。

 南西諸島に監視隊を置くなら、役割を終えている稚内や釧路のどちらか、あるいは両方廃止すべきである。しかし、防衛省は絶対口にしないし、それを問題にする論者もいない。こうして、無駄な部隊が増えていくというわけだ。

 区々たる部隊の話はともかく、そのあたりを一気に絞るのが防衛大綱であり、装備の上限を示す別表になる。

 しかし今の政権だと、対外強硬策と、何も考えずに支持者へのリップ・サービスから、自衛隊の中にあるムダすら減らすことはできない。年末に新しい防衛大綱ができるというが、まずは甘々である。北海道の沿岸監視隊のような、無駄な部隊も残置されることになるわけだ。
2013.08
07
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Category : ミリタリー

 「海上自衛隊:新型護衛艦は『いずも』横浜で進水式」http://mainichi.jp/select/news/20130807k0000m040089000c.htmlだけどね。「広島原爆の日に[進水]式を開いたことに海自は『大潮で大安の日を選んだ結果』と説明」というのも取ってつけた理由だろうよ。

 進水は、まず工程表に従う。前倒しが難しいのと同様に、後送りもできない。ドックを長く占有するのは損失に繋がるためだ。

 ただし、フネがフネなので騒がれたくない。お祝いしてもらうならまだしも「これ空母なんじゃない」※とか「建造費が幾らで」みたいな話はなるべくお断りしたい。そのためには目立たない日にするのが一番である。

 そうなると、8月6日じゃないのかね。8月には、6、9、15日間がある。間違いなくその日には、進水式はトップニュースにならない。

 ただ、15日は避けたほうが安牌である。一連の終戦関係ニュースに関連付けられる可能性がある。

 残り6日、9日であれば、前者になるだろう。6日にやる広島原爆の記念式典は、その夏最初であるため、長崎よりも脚光を浴びる傾向にある。その分、進水式のニュースが無難に扱われる可能性が高いからだ。

 海幕もそれくらいは考えるだろう。逆に、その日にする理由なんて後付である。進水も、ドックに注水するだけの話である。昔みたいに船台で滑りおろすわけでもない。大潮はあまり関係ない。大安も、6日の広島忌を見てみたら大安だっただけの話だ。

 まあ、工程表と進捗を見て、総務あたりと詰めて、面倒起きないように原爆忌にやってしまおうと決めた話だろう。行事の計画線表に載せて決済もらうときにも、その辺りは、口頭でしか言わない。メールはともかく記録なんかとらない。だから、回顧録かなんかで書いてくれないとわからない話だけどさ。



※ 空母が欲しくて空母みたいに作っているから空母でいいんじゃないのかね。「おおすみ」から「いせ」に至るまで昔「国民の目を慣らさないとね」という話があったともいうし。まあ、対抗心もった中国が空母建造に金を費消してくれればそれでいいんじゃないのかね。
2013.08
05
CM:3
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12:00
Category : ミリタリー
 商船は護衛されると攻撃目標になるのだがね。そのあたりで国際法をご存じないのが、だよもんさんなのだろう。

 だよもんさんは、独航商船や民間航空機は護衛されないので危険であると述べている。
だよもん3等兵 ‏@V2ypPq9SqY
実際、自衛隊か在日米軍が組織的な護衛した組織的な避難船団なり航空機でも無い限りおとなしく家にいるか避難所なりに避難してる方が安全だと思うが。
2013年8月3日 - 5:42
https://twitter.com/V2ypPq9SqY/status/363640949055815680
戦時に日本から海外に向かう船舶、航空機を指していることは、その前のツイートから明らかである。

 しかし、むしろ護衛された商船や民間航空機にあるリスクを承知していない。この点、国際法に対する無知を示すものである。

 戦時国際法では、商船や民間航空機は保護されている。商船や民間航空機で攻撃目標となるのは、軍用あるいは戦争遂行努力に含まる商船、軍用として用いらていることが明らかな航空機に限定される。

 そもそも、独航商船が攻撃される蓋然性は相当に低い。特に話題となっている、客船のような民間人員輸送に使う船舶は、明確に保護されている。この点は、既存の成文・慣習の国際法を整理したサンレモマニュアル47条でも、客用商船への保護は明確にされている。それを攻撃する無制限潜水艦戦は相当にやりにくい。また、保護があっても、商船側も無闇に戦闘区域を突っ走ったりはしない。特に戦闘区域から民間人を脱出させるときには、普通の商船を無闇に突っ込ませず、安導券や人道用船舶を使う。

 航空機も同じで、攻撃されることはまずない。民間航空機は、攻撃対象にならない。(同53) 戦闘区域以外では、保護を期待してよい。戦闘区域ギリギリに飛行したり、間近で戦闘区域に向かう針路を採らない限りは、まず危険性もない。仮に民間人脱出のため、戦闘区域に入るときには医療航空機に準じた扱い(合意した安全コースや安全高度からの進入)を受けられるように調整する。そうでなければ、民間人輸送で戦闘区域に入るような真似はしない。

 ただし、商船や民間航空機は、軍隊と帯同しているときは、保護は受けられず、攻撃目標となる。艦隊と陣形を組んでいる商船や、軍隊による護衛を受けている商船・航空機は、攻撃目標となる。サンレモの48条は、艦隊陣形に含まれる船舶は保護の権利を失うとする、それまでの一般的な国際法解釈を条文化したものである。理由としては、商船・民間航空機が陣形内にある、あるいは護衛を受けている場合には、攻撃対象と保護対象を容易に峻別できず、保護される行動に従事していることも確認できないためだ。

 つまりは、だよもんさんは全く国際法を理解していないということだ。独航商船や民間航空機は護衛されないと危険であるとする主張は、むしろそちらのほうが危険であることをまったく気づいていない。

 結局は、無防備宣言や、戦車無用論や、徴兵制狩りに忙しいので不勉強だということだ。だよもんさんや、そのお仲間は、左派的な匂いに嫌悪感を感じているため、その手の発言を「非現実的である」と、身内の中で論破しようとする。しかし、あまり勉強していないため、その理屈がオカしいことに気づかない。まともな兵隊なら、陸海空での攻撃目標と攻撃してはならない対象くらいは知っているものだ。

 だよもんさんが、仕事で使う国際法に無知であるのは、頂けない。商船や民間航空機への保護は、部内通信教育での国際法や、『陸戦研究』の国際法部会の記事、CGSの受験対策で幾らでも出てくる。しかし、だよもんさんは商売で必須の勉強しないで、無防備宣言や、戦車無用論や、徴兵制に論難して勝つためための言いがかりだけを勉強している。まずは、職業人としての自覚は疑われてしかるべきだろう。だよもんさん自信が示唆しているA幹1課程、陸式でいうBとしての役割は果たせないのではないかな。
2013.08
03
CM:1
TB:0
12:00
Category : ミリタリー
 「勝手に海外旅行をしたらダメな国家公務員…夏休みシーズンなので要注意」読んで気づいたことだがね。
 自衛隊だと海外渡航制限の上に、最初から行先に制限が付いている。中国と北朝鮮とロシアはダメというそれ。

 自衛隊の海外渡航申請は、昔と違って簡単にできる。前は面倒この上ないので、黙って行ってしまえという話になりやすかった。海外旅行が高価で少なかった時代の名残で、海幕長決済かなにかになっていたわけだ。申請から許可までどれくらい時間が掛かるかわかったものではない。だから、3泊4日程度なら、内々だけに話して行ってしまうようになっていた。しかし、イージスお漏らし事件で無断海外渡航が問題になり、簡素化された経緯がある。

 その、簡素化の説明会に出席したのだが。「中国、北朝鮮、ロシアはダメだと予め説明しとけ」と言われたよ。もちろん、原則であって、奥さんが中国の人なら中国に行く許可は下りるだろう。そういう人は結構いる、なんせ海幕にもいた。他にも、中国とかロシアも、トランジットなら大丈夫だろうと思う。でも、メンドイから聞かなかった。当時、己はそれどころではなく忙しかった。部下あたりがそういうことを聞いてきても、オマエが確認しろ尋ねればいい話だからだ。

 ただ、目的はなんでもいいらしいというのが意外だった。行き先だけをしっかり書いとけば、目的は漠然と観光でも構わないとのこと。その後、実際にフィリピンとか、タイ、インドに行った連中を見たけど、メンツ見て何しに行くのやら思ったよ。アッチの件では、今は抜き打ち検査もあるから冒険しないだろうけど、夜の方向で大暴れみたいなのが目的じゃないかねと。

 まあ、ソッチの大暴れは、自衛隊的には無問題だからねえ。ホモソーシャルな社会なので、健全でない遊びで放蕩しても、偉い人も何も言わない。体育会系大学校あたりの人だと、男らしい大物を気取りたいので、行け行けとかよく遊べとかいう。

 でも、組織が敵視する中国は、どんな健全な旅行でも目を三角にしてダメだというのだろう。世間体的には、パックの上海3泊4日とか北京3泊4日の方が、いいだろうけどねえ。

 そんなに危険性は無いと思うよ。オトモダチになってしまうのは、日本国内でも十分可能。女郎買で脅される可能性も、フィリピンやタイでもありえるんだよね。そのあたり、過剰な仮想敵国視と、組織の方針に忠実な事大主義だなあと思ったよ。
2013.08
02
CM:11
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12:00
Category : ミリタリー
 米空軍が民間燃料を使うというニュースがある。これこれなのだがね。高い軍用統合燃料JP-8から、民生用のJet-Aに切り替えてみましたという話。

 JP-8もJet-Aも、基本的には、同じ燃料なので何も起きない。普通にエンジンは回るし、普通に飛ぶ。凍結防止剤ともう一つを添加したとあるが、これも特に必要なものではない。民間機はJet-Aのままで高空で飛んでいるし、ICAOも問題にしていない。

 別にJet-Bでも、JP-4でもJP-5でも、何も起きない。陸空自衛隊機、海自機、海保機、米軍機は、他所の基地や艦艇で燃料を貰うことがあるが、燃種が切り替わっても、さらにタンク内でコンタミしても、何も起きない。

 それらの航空燃料が混ざっても、何も起きないのは当たり前の話だ。それ以上に異質なバイオ燃料を半々にしても問題が起きない。米軍は実験でバイオ燃料を半分混ぜてもホーネットは運用できるとしている。ICAOも、バイオ燃料については、カロリーと粘度と凍結温度を確保できれば、半分まで混ぜていいとしている。バイオ燃料でもOKなのに、それ以上に高性能な本物の航空燃料が混ざったところで問題が起きるはずもない。

 前に、へぼ担当さんは、海自がC-130Rを導入するのは、JP-5対応エンジンであるためと断言していた。通常のC-130はJP-4なので、海自が使うJP-5を入れると壊れるとも言っていた。

 その後、己の主張「『ガスタービンは燃料を選ばない…』と公言なさっていた人物がいるが、モノを見ているのか?と小一時間。」[JP-4とJP-5混交利用を]「長期使用をしていると、それらに応じて様々な課題が出てくる。」と意見をいただいたのですが、実際にJP-4とJP-5の併用やコンタミで発生する問題について回答を頂けなかったのが残念でした。

 さて、へぼ担当さんは、米軍がJP-8をJet-Aに切り替えたことについて、危険性を指摘するのでしょうかね。前にご意見いただいたように、[米空軍は]「モノを見ているのか?と小一時間。」と米空軍を啓蒙するべきなんじゃないでしょうかねえ。…まあ、「官のやることは無謬」って発想だから無理だろうけど。
2013.07
31
CM:3
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12:00
Category : ミリタリー
 自衛隊には隠蔽体質がある。海自にももちろんあるし、幹部、海曹士を問わない。ある程度エラくなっても、結構、粗暴な隠蔽をやっている。

 「海自自殺訴訟:いじめ調査の破棄指示 海幕幹部、存在把握」※ なのだが。自殺した事件があり、イジメがあったかどうかについて、誰かが艦内あたりでアンケートを取った。アンケート取った奴、まずは副長かそれ以上は、例の雰囲気の圧力で「なかった」という結論を期待したのだろうが、案に相違して「あった」とする正直な結果が含まれていたといったところか。

 しかし、「あった」その答えは訴訟で困る。「いじめは他人でも気づく水準にあった」とされると困る。だから、その存在そのものを秘した。原告に「アンケートがあったろ」と言われたら「破棄したので分からない」と言い張った。

 しかし、処理が事務官だから、隠蔽のやり方も中途半端になった。「処分した」と言い張るなら、本当に処分しとけばいいものなのだが。役人同士の申継で残したといったあたりか、現物を残してしまった。自衛官なら、悩まずに本当に処分しただろうが、事務官・技官は結構、思い切りが悪い。

 「ない、処分した」と言いはったものの、現物が残ったのだから、2回も嘘をついたことになってしまった。

 イジメと自殺だと隠蔽だと、艦艇で実習受けていた時にも、それっぽい話はあった。隣の護衛艦で、海士が海に飛び込んだ。残念ながら、彼はそのまま見つからない結果になった。その後なのだが、副長が己達を集めて「イジメとか自殺とか言うな」と箝口令っぽいものを出したことがある。そう言えば、言うことを聞くと思っているのが浅はかだと当時から思っていた。

 隠蔽話なら、他にも幾らでもある。ニュースになった横須賀に限っても、大小問わなければ、何件も思い出せる。横須賀は、今回の事件の2年前には働いていた。今回のアンケートで問題となったところから、半径で20m以内にいたよ。その頃にも、その手の隠蔽事件はあった。

、横須賀通信隊での薬物事件も、隠蔽だった。幹部自衛官(知っている人だった)が薬物をトイレに流して証拠隠滅を図ったという話だ。本人が使ったのではない。怪訝な海曹士の机か何かから、白いおクスリが出てきたのだが、保全して警務隊に連絡せず、隠蔽を図った結果である。

 後に問題になった航海日誌処分も、その頃の横須賀のフネの話だ。いまから見返しても、なんで給油実績を隠蔽するのかわからない事件だった。だが、最終的には航海日誌をシュレッダーに掛けてごまかそうとしていた。

 横須賀ではないが、目の前で隠蔽の話をされたこともあった。どこぞの部隊で働いていた時なのだがね。略同期相当の、目の前で艦艇の砲雷幹部と経補幹部が「漁網引っ掛けたけど、即座に信号長が艦位を消しゴムで消してズラして書いた、ベテラン海曹は違う、偉いねえ」みたいな話をしていた。己が「気の利いた漁協はレーダと暗視装置で見てる。レーダなんか記録とっているけどね」というと「そんなことはあるはずない」、「証拠がなければ終わりじゃないか」といってきたのには、気が滅入った。

 漁網切断では自衛隊はシラを切る。周辺対策関係やっていると、その話は漁協から毎回聞かされるし、実際の記録見せられる。でも艦艇側に言うとシラを切られる。だいたい、艦長クラスか先頭になってシラを切る。一回、己と同職域のエライさんが総監部の総務課長だか幕僚長だかをやった時の話なのだが。漁協から通報を受けたそのオトッァン、ついに爆発して、艦長集合をかけて「オマエらがやったのは、わかってんだぞ」とやったらしい。でも「連中はシュンとするだけでダメだったよ」といっていた。

 まず、艦艇部隊はなんでも隠蔽しようという傾向が強い。海に出ていればバレないという頭なのだろう。例えば油流出にしても、艦艇部隊は如何に報告しないで済ませるかを考える。

 逆に、海自の陸上・航空部隊は、比較的、隠蔽しようとしない。それでも比較問題の話だが、艦艇ほどではない。どこかの航空基地で、基地内油流出をやった時には、敷地内で食い止めたが消防に連絡した。その時に、隊長級の一人が「言わなくてもバレない」と発言したが、その人は指揮官級から集中砲火を食らったね。



 まあ、最近の自衛隊は世間の好意を寄せられているけど、足許はこんなもんだ。だから、何かあると大変なことになるんじゃないのかね。ツイッターやらドラマへの協力で脚光浴びるのもいいけれども、落とし穴をそのままにするほど危ないものもない。この手の体質改善を、10年20年掛けても、着実にどーにかしないといけないと思うよ。

※ 「海自自殺訴訟:いじめ調査の破棄指示 海幕幹部、存在把握」『毎日.JP』(2013.7.30)http://mainichi.jp/select/news/20130731k0000m040057000c.html
2013.07
30
CM:6
TB:0
12:00
Category : ミリタリー
 兵隊にとられる前に、趣味でエア・ライフル(ファインベルクバウS300の時代だよ)を撃っていた。だから小銃は学生隊で一等賞だったのだけれども、海だと幹部になるとライフルは撃たないのでそれっきりなのが残念か。

 自衛隊のライフル射撃はそんなに難しくない。銃を左右水平にして、見出しをとってから、手先じゃなくて体で狙う。最後に自然狙点を確認すれば、ほぼ同痕になってまずは一等賞。江田島の大原?だったか、距離200mだったので、弾痕に5cmだか10cmだかの、丸いマーカーを指して確認させるのだけれども。試射の2発目と3発目がマーカーの大きさに収まった。貸出の無免許無線で、いわゆる寝台戦友のMに尋ねると同痕とのこと。本射のグルーピングも良かったから、精度で馬鹿にされる軍用銃も悪くはないということだ。

 その軍用銃で、距離25mで弾痕不明が出るのには驚いた。航空整備の海曹課程の、昔の1000インチ射撃をやった時の話。部の安全係幹部で見に行った。射撃の安全係とは別で、面倒な安全会報の実績作り。兵隊が射撃を安全にやらせるかという問題ではなく、○○科が射撃を安全にやらせているかをチェックする名目だったが、なんでそんなにズレるのかと、ソッチが気になって仕方がなかった。

 他を見ても、弾痕不明はないものの、全く当たっていない。海士課程で、素人なのはともかくだが、一応、真面目に狙っている。しかも伏射、確か、30センチ大の大きな標的を狙うが、みんなCD/DVDの大きさ位にしか集まらない。ヘタすると弾痕不明がでる。

 倍の距離でやる競技射撃、50mP60だと、未経験者でも最初の日には、弾着が500円玉台には収まる。まあ、50m先の5円玉の孔にかするかどうかの競技なので、64式と減装弾とは、銃と弾の精度も違う。ただ、距離25mでCD/DVDの大きさはありえない。

 結局は、見出しと引き金の絞り方しか教えない教育の限界ではないのか。前にも言っているのだが、予習でエア・ライフルで距離10m、50発を2回でも撃たせれば、それなりに当たるようになるよ。

 エア・ライフルだから、室内で安全射撃できるし、火薬は使わないので弾薬管理もいらない。自衛隊だから、免許もいらない。それで自然狙点を教えるだけで、日ラの5級位には到達する。自然狙点とは、体が狙っている場所のことで、一回目を閉じて、開いた時に狙っている場所がそれ。胴体や足を動かして、自然狙点と標的を一致させれば、まず外れない。(銃の左右傾きとかもあるのだけどね)

 その上でズルする方法もある。照星で黒円部中心を狙わない方法がそれ。軍用銃のサイトだと、黒円部の中心が分からないので、あまり当たらない。だから、サイトを調整した上で、標的の黒円部下端と、照星の間が、毛一本で別れるか別れないかを狙う方法がズルいくらいに有利。戦争で使える方法ではないのだけど、これができれば、候補生学校で学生隊で一番位にはなれるのだけどね。
2013.07
28
CM:2
TB:0
12:00
Category : ミリタリー
 そこに「ない」ものを見つけるほうが偉い

 朝鮮戦争停戦60周年だという。その件で、北朝鮮が軍事パレードをしたとするニュースがあった。FNN「北朝鮮・大規模軍事パレード 特色ある兵器が多く登場しました。」によれば、核兵器を示唆する部隊や、OH-6の民生用や、新型自走砲が出てきた云々としている。

 しかしねえ、「何々戦車だ、何々ミサイル」よりも、そこにないものを見つけたとする方が、ニュースとしては意義があるんじゃないかね。

  実際に、中央日報日本語版の「“反米援助戦争”を“朝鮮戦争”に用語変えた中国」は、無いものを見つけた興味深い内容になっている。そこに「抗美援朝戦争」という言葉がないことは、重要な発見である。中朝、中韓、中米関係の間にある変化を明らかにしているためだ。

 中央日報では、「抗美援朝戦争」が出なかったことについて、その背景を次のように推測している
国際社会で通用する“韓国戦争(Korean War)”の表現を今回の停戦記念行事関連の公式文書に書いたことは、北朝鮮・中国の特殊関係の枠でこの戦争を見ずに、普遍的な国際社会の見解で北中関係を管理しようとする意図が敷かれていると見られる。
戦争での歴史的な経緯もあって、唇歯輔車の関係とされていた中国と北朝鮮の関係も、もはや特別の関係ではない。重要性を増す中米・中韓関係と天秤に掛けられたということだ。

 北朝鮮軍のMD500が飛行したことも、重要なニュースかもしれない。しかし、その存在は昔から知られている。また、仮に南北での衝突や、熱戦でも、戦局を変えるほどの兵器でもない。

 それよりも「中国が『抗美援朝戦争』を使わなかった」方を、ニュースとして報道すべきではないのか。北朝鮮が前にミサイルを発射した時もそうだった。前にも書いたが兵器についてのミクロの話よりも、世界がどう変わるのか、どう変化したのかといったマクロの話を報道するべきではないのかね。



※  「北朝鮮・大規模軍事パレード 特色ある兵器が多く登場しました。」『FNN』(フジニュースネットワーク,2013.7.27)http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00250689.html

※※ 「“反米援助戦争”を“朝鮮戦争”に用語変えた中国」『中央日報日本語版』(中央日報,2013.7.26)http://japanese.joins.com/article/322/174322.html?servcode=A00§code=A30
2013.07
26
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 JSFさんは、戦車の周辺にある環境を見ようとしない。だから、10式戦車を論ずることができず、10式戦車に詳しいだけで終わってしまう。

 まず、儲かっているかと聞いて、ボロ儲けだと回答する会社はない。しかも、官需で稼いでいる企業であればなおさらだ。「軍需でウハウハです」と答えるバカはいない。

 JSFさんは、そこが分かっていない。戦車生産について「メーカーはそもそも戦車で全く儲かってない。三菱重工に聞いてみるといいですよ。」というが「聞いてみるといい」と言い切るところが、世間を全く分かっていない。

 防衛産業は、相当に有利な「コスト×利益率」で計算している。東電の総括原価と同じで、全く損をしない仕組みになっている。企業によって異なるが、利益率もそれほど悪くはない。

 また、支払いもよく、取りはぐれもない。特に戦車は単歳なので年度末までには回収できる。戦車は2年後、3年後に支払う国庫債務負担行為(国債)ではない。また、取りはぐれもない。経費が増えれば、商議でその分、増額される。やる気になれば、水増しして増額させ、まんまと支払わせることもできる。実際に、三菱電機ほかが戦闘機で水増し請求をやっている。

 JSFさんは、大好きな国産兵器を擁護するあまり、そのあたりを問題視できない。国産兵器と、その周辺にある問題点に盲目である。国産兵器スゴイ、エライ、世界一としか言わないことは置いておこう。興味深いのは、国産兵器ラブのあまり、その周辺も美化してしまうことだ。「[国産兵器]メーカーはそもそも[国産兵器である]戦車で全く儲かっていない」と言い出すのは、「ボクの大好きな国産兵器を作る防衛産業が金に汚い訳がない」と信じるピュアな心情の吐露である。

 この点、JSFさんは桜林美佐さんと同じである。仮に国産兵器の裏にどんな問題があったとしても、それが犯罪であったとしても、国産兵器を作るための「工夫」と言抜けるだろう。桜林さんが過大請求を「国のためではありながら国に補填してもらえない赤字を、自分たちの社内の工夫でなんとか乗り切っていたということだ。」愛国無罪を主張したように。

 JSFさんも、その支持者も、贔屓の引き倒しだ。結局は、戦車そのものしか見ていないファンである。團十郎と勘三郎だけを見て、芝居を見ない歌舞伎ファンに近い。役者しか見ないで芝居を見ないファンと、10式戦車しかみないで日本の安全保障の現況を見ようとしないマニアは同じである。最初から「10式戦車カッコイイ」、「もっと10式戦車を見せろ、増やせ」としか言えない。そこから出ようとしないので、10式戦車がなぜ必要なのかを説明できない。

 10式戦車は整備する必要性もない。だが、10式戦車のカッコよさに狂っているJSFさんとその支持者は「10式は必須ではない」主張には感情的に反発することしかできない。その結果が、「ヤツは戦車不要論だ」という、珍奇な理論展開である。JSFさんとその支持者は、頭のなかが「10式戦車 = 戦車・陸上防衛」で短絡しているので、奇妙な論理には全く気づかない。

 これは、團十郎、勘三郎のファンが、その演技に疑問を持つ者を「歌舞伎否定論者だ」というようなものだ。全く珍奇な展開であるが、当人たちからすれば、「団三郎、勘三郎 = 歌舞伎」なので、その奇妙さに全く気づかない。

 いつも例にだす「カナダでは」の出羽守がそれだ。カナダはアフガンで戦車を再調達したという一点だけで、10式戦車調達を肯定しようとしている。しかし「カナダがアフガンで戦車を必要だと判断した、だから、日本の戦車を10式に更新すべきだ」というのは、全く筋の通らない話である。カナダがアフガンで戦車が必要だったからといって、日本の本土防衛で新戦車が必要とする話にはならないし、それが10式戦車である必要はどこにもない。

 だが、10式戦車とそのファンには「10式戦車 = 戦車・陸上防衛」という、誤った確信がある。だから、その点を疑問に思わないのである。あたかも「団三郎、勘三郎 = 歌舞伎」なので、歌舞伎の必要性を述べれば、団十郎、勘三郎の芝居を見に行く理由が立つだろうと勘違いしているわけだ。

 1両の戦車を、前後左右上下内部と11面観音に緻密に見ても、その戦車の周辺は見えない。モデラーが模型を玩味するようなものであり、その戦車には詳しくなるのだろう。だが、その戦車が必要であるか、今ある戦車で充分ではないか、自衛隊が海外に出る時期に国内でしか使えない戦車を更新する必要があるのか、そもそも10式戦車を買うような無駄な金があるのかといった点には全く頭がまわらない。

 10式戦車を論ずるためには、戦車そのものではなく、戦車の周辺にある環境を見る必要がある。それがなければ、10式戦車に詳しいだけで終わってしまう。

 JSFさんは、10式戦車に詳しいだけで終わっている。「ボクの大好きな10式戦車を作る防衛産業が金に汚い訳がない」と「[戦車]メーカーはそもそも戦車で全く儲かっていない」と言い出すのでは、10式戦車が置かれている環境は全く理解は及ばない。10式戦車に疑問を抱く意見に、サイン刺激で噛み付くような言動をこれからも繰り返すのだろう。
2013.07
24
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 米海軍が海水から燃料を作る研究をしている。

 "Navy eyes turning sea water into jet fuel"※ によると、米海軍は海水中に溶存している水素と二酸化炭素を抜き出して、燃料に合成するつもりらしい。合成に要するエネルギーについては、原子炉を頼りにするというもの。

 石油の払底を見越して、改質油や合成燃料やバイオ燃料が作られている。米軍はその点に熱心であり、それらの代替燃料で艦艇や航空機を動かす実用実験をしている。代替燃料は、製造にも消費にも実用上に極端な問題はない。

 これらの代替燃料は、プラントがあれば需要先に作っても良い。今のところは、天然ガス・重質油・石炭といった原料の扱いや、反応塔や改質設備の共用から、供給元に都合の良い石油化学工業地帯に置かれている。しかし、原料やプロセスを適切なものとすれば、設置場所は選ばない。

 艦隊にプラントを持たせれば、前線への燃料輸送を減らせる。米海軍はそのような発想を得て、空母にプラントをもたせるアイデアについて研究を始めたということだ。原料については、本質的な問題はない。燃料合成での主流であるFT法では、一酸化炭素と水素を合成して燃料を作っている。天然ガス、重質油、石炭、エタノール等の原料は、一酸化炭素と水素を作るための材料に過ぎない。必要なのは、炭化水素をつくるための炭素と水素と酸素である。別に化石燃料やバイオマスの形で持っていかなくとも、大気中にも海水中にもいくらでもある。

 米海軍の着目点は、一酸化炭素の代わりに二酸化炭素を使用できれば、洋上燃料合成はヨリ容易になるというものだ。一酸化炭素は自然界にほとんど存在しないが、二酸化炭素はいくらでもある。水素はそれなりに存在しているし、別に電気分解で作っても良い。米海軍は原子炉をもっているため、合成反応に必要なエネルギーは確保できる。米海軍のアイデアはそのようなものだ。

 米海軍は、二酸化炭素と水素から燃料を作り出すプロセスについては具体的に説明していない。しかし、それなり研究もあるので、見通しが暗いわけではない。別に非効率でも二酸化炭素から炭素を取り出して一酸化炭素を作ってもよい。原子炉があれば、エネルギー効率は相当に無視できる。

 このアイデアが実現すれば、空母機動部隊は食料と弾薬ある限り戦闘を続けることができる。米空母打撃群にあるアキレス腱は、大量消費する航空燃料と弾薬にある。それらを消費することで戦闘継続能力を失い、洋上あるいは寄港しての補給を強要される。だが、航空燃料だけでも自前で作れれば、戦闘継続能力は飛躍的に向上する。弾薬も、航空燃料用スペースを転用すれば相当数積み増しできるからだ。また、航空燃料は艦艇燃料に転用可能なので、護衛する水上戦闘艦の燃料としても使える。

 計画では、空母にプラントをはめ込む構想である。プラント船から洋上給油の手間を省くことを考えれば、合理的な発想である。しかし、プラントのサイズや、既存艦への対応を考えれば、当座は原子炉を搭載した専用補給艦の類に取り付けることになるだろう。



 実現するにしても、5年10年の話ではない。その間に紆余曲折もある。そもそもうまくいくかどうかは、全くわからない。だが、将来の燃料枯渇を見据え、新しい技術で解決しようと研究するところは、米国のエライところであるだろう。まあ、計画遅延による打ち切りを恐れた技術者が「この通りでございます」と、CNOの目の前で海水と燃料を掏り替えるようなエピソードとかも欲しいけどね。
 あとは、効率次第だが、日本では海自より新日鉄よりの技術かもしれない。製鉄業は2酸化炭素があり、昔は水素富化とかやっていて水素生産も容易である。熱も余っている。排出権分コストが高くなっても、二酸化炭素のごく一部でも液体燃料化できれば助かるだろうよ。

※ "Navy eyes turning sea water into jet fuel","NAVY TIMES"(2012.10.13)http://www.navytimes.com/article/20121013/NEWS/210130317/Navy-eyes-turning-sea-water-into-jet-fuel
2013.07
23
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 自衛隊で、これだけあればデカイ顔ができるものがある。体力でも、技術でも、語学といろいろあるが、文書もひと通りできればデカイ顔ができる。

 特に面倒な文書をやりたがる奴はいない。一般命令や日日命令といった、定例の文書なら書く奴は多いが、面倒な文書はみんな逃げる。中身が重要であるだけに、それで失敗したり、泥沼にハマることを恐れている。逆に言えば、その文書が作れれば、普段は鼻毛ぬいて長さの記録をとっていても、表だっては何も言われない。

 デカイ顔をするには、まずは自ら重要かつメンドイ文書を書くことである。みんなが嫌厭する文書について、2-3回も起案して決済まで持っていけば、周りは頼りにしてくれる。たとえば、指揮官から自治体首長あてのリクエストや、米海軍転任者への感謝状、係争相手への要求文書、トラブルでの業者間仲裁といったものだ。

 2尉の時に、総監名で市長への手紙、その中身は行政への海自の抗議とリクエストを書いたことがある。その時には、周りの佐官級はみんな逃げた。仕方がないから己が起案した。仮置きのリクエストを作り、関係課にそれでいいかを確認し、起案すると、ほとんど文句は出ない。唯一、作戦部のアレなの(もちろん上級者)がブツブツ言ってくるが、「それならアナタが起案しなさい」というと黙る。

 決済貰ったあと、普段は口うるさい総務課文書係も何も言わない。普段は無事に決済が終わっても、浄書で文書形式について文句を言ってくるものだが、中身が中身だけで何も言えない。縦書で、格調があるのだがないのだかの持って回った言い回しをして、しかも常用漢字以外を乱発し、秤量の大きな紙に印刷した行政文書とは相当に離れた体裁だが、これでなければならない理由をガーッと言ったらそのまま通った。あとは市役所の方にも連絡して、文書を握りつぶされない部署宛に送るだけ。

 あとに並べた文書もそんな感じで起案・発簡した。みんな逃げる仕事を拾えば、その文書起案だけではなく、それ以降も仕事で文句を言われなくなる。

 一回、メンドイ文書をやれば自信も付く。別に自分の裁量で文書を書いても、それでOKなことに気づく。部外宛のメンドイ文章は、『海上自衛隊文書の手引』なんか最初から無視して構わない。つまらない難癖みたいな指摘は全部無視できる。「文句があるならお前やれ」で「公文書としての効力は変わらない」とか「総務省は字数行数に拘らず、1ペーパーを推奨している」と嘯くようになれば、以降は、定例文章でも何も言われなくなる。

 そんな感じで、若い時に米海軍転任者への感謝状、係争相手への要求文書、業者間トラブルでの仲裁の案文なんかを連荘でやった。やっているときはキツイが、その後、同じ性格の文書で2回目3回目は鼻歌ものでできる。そういう案件・文書を担当していれば、タバコ(吸わない)と称して、ブラブラ散歩していても、周りは何も言えなくなる。普段から非定型の仕事が多かったので、よく考えが詰まるので、ブラブラ散歩していたが、押し付けた仕事ということもあって、怒るに怒れないのだろう。押し付けた張本人、逃げてばかりで何も仕事をしない定年前の小煩いだけの幹部は、わざわざ己のいないとこで初級幹部を叱っていたよ。

 そうこうすると、筆に自信もついて来るので、中級幹部になるころには、相当にデカイ顔ができるようになる。その頃になると、対外文書の添状を、いたずら心で、わざわざ小笠原流を真似した、少し崩した字を書くようになった。もちろん、文句どころか感心されるようになったよ。ちなみに、崩し字は修士で読解をやっただけで、書く方は書道なんかやったことはないのだけれどもね。

 まあ、何か一芸あれば、あとは適当にやってもデカイ顔ができるというものだ。若いうちに、競争のない、あんまやりたがならい仕事で周りをブッチギって名前売っといたほうがよい。特に手仕事系は、体力徽章とかと違って年取っても維持に苦労することもなく、老練になるので悪くないものだよ。
2013.07
22
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 JSFさんが、「海自は『しなの』を艦名から排除しない」と主張している。だが、誰がわざわざ「しなの」と「むつ」を命名するというのかだろうか?

 「しなの」と「むつ」は縁起が悪すぎる。「しなの」は戦局にまったく寄与せず、公試直後に瀬戸内に疎開する中途で沈められている。「むつ」は、自爆により沈んでいる。どちらも、縁起が悪いこととして国民に有名である。艦名に採用するにはあまりに不都合に過ぎる。

 JSFさんは「『しなの』が縁起が悪い」という世評に対して、奇妙な噛み付き方をしている。
JSF‏@obiekt_JP
そういう発想は嫌いですね、旧海軍の艦艇は殆ど不幸な最期を遂げているのに運が無いというだけで否定するだなんて。潜水艦に沈められたのは雲龍も同じですが、既に海自の潜水艦に命名済みですよ。RT @ant_onion そもそも信濃なんて先代に運のない艦名を選ぶなんて…。
2013年7月20日 - 10:09
https://twitter.com/obiekt_JP/status/358634707350601728
JSFさんは「旧海軍の艦艇は殆ど不幸な最期を遂げている」と述べている。だが、「しなの」にあるのは、「不幸な最期」だけではない。建造当初から、常に不運であることを見ていない。この点、ゲン担ぎに向いていない。「信濃」は、戦艦として建造され、工事が中断し放置され、空母に改装されるが、完成した時には何の仕事もできない状態であった。その上、作戦行動でもない、内海への疎開で、あっけなく潜水艦に沈められている。戦功ゼロの上、あまりに惨めな最後である。そして、その縁起悪さは乗員や国民に周知されている。誰も支持せず、ヤメロという艦名である。「雲龍」とは違いすぎる。「雲龍は」艦隊に入って、作戦行動中に沈んでいる。その不運も、あまり知られていない。

 JSFさんは、国民や乗員への評判を考慮しない。「信濃」は、不運の象徴であることは、国民や乗員に有名であることを無視している。基本的に口喧嘩に勝つことしか考えていないので「『戦局に寄与する事無く生まれて直ぐ沈んで行った』という艦は信濃以外にも一杯」いると、言い訳している。
JSF ‏@obiekt_JP
@ant_onion 「戦局に寄与する事無く生まれて直ぐ沈んで行った」という艦は信濃以外にも一杯いますので、信濃だけ特別視する意味を感じないです。
2013年7月20日 - 10:19
https://twitter.com/obiekt_JP/status/358637375460618242
つまりJSFさんは「国民や乗員に不人気な名前でも、抵抗があっても、役所は機械的・事務的に命名する」と本気で考えているということだ。そのような発想自体、世間知らずだということを告白している。

 「軍隊は政治的に潔白で、その艦名決定は、政治的配慮とは全く無関係である」とJSFさんは信じている。だから、米海軍にある政治的配慮についての、問題指摘も矮小化しようとしている。現実には、国でも主力艦には、命名についても国民や議会方面への配慮がなされている。しかし、JSFさんは、そこには、国民や議会の歓心を得るような不純な発想はないと主張している。
Kanorin_EX‏@ant_onion
@obiekt_JP アメリカの場合建造予算獲得のためにもっと更に生々しい(?)レベルで名前が決まる傾向がありますしねぇ…。
2013年7月20日 - 20:49
https://twitter.com/ant_onion/status/358795791743193088
JSF ‏@obiekt_JP
@ant_onion 22DDHが「いずも」となったら神話繋がりで「しなの」は24DDHの最有力候補の一つになるでしょう。あとアメリカの場合は国防長官がゴリ押しした例はありません。2013年7月20日 - 12:22
https://twitter.com/obiekt_JP/status/358668175170224129
海軍予算獲得のために、議会や政治家の歓心を得る上で、艦名も利用されている。それが「建造予算獲得のためにもっと更に生々しい(?)レベルで名前が決まる」である。しかし、JSFさんの「軍隊を清潔で無謬な存在である」という、片思いに似た感情がそれを認めることを許さないわけだ。艦名を決めるときに、汚れた政治から距離を取っておいて欲しいという、清潔好きな願望の現れある。

 だが、現実はJSFさんのように潔癖ではない。日本も米国も英国も、それ以外の国でも、艦名には国民や議会への配慮がある。この時、話題になっている米海軍でも、原潜の父リッコーバーは、潜水艦の艦名が魚・海生生物であることを無視して、議会配慮を得るために人名を採用した。その時には「魚は投票しない」と言い放っている。後に潜水艦は議会の賛同を得やすいように都市名が採用され、さらに、空母とともに生存している政治家名を冠することも増えている。

 米海軍での実例で困ったJSFさんは、結局は「海軍が自発的に命名するのは別にいいんです」と、わけのわからない理由で主張を後退させた。
JSF ‏@obiekt_JP
@ant_onion 海軍が自発的に命名するのは別にいいんですよ、ステニスにしろ。ゴリ押しの実例、出せますか?
2013年7月20日 - 21:01
https://twitter.com/obiekt_JP/status/358798822375301120
それまでの主張「海軍は議会、政治家の歓心に超然としている」から「海軍が自発的に命名するのは別にいい」への変化は怪訝である。超然としているなら、へりくだってゴマを擦る必要はない。だが、実際に米海軍はゴマを摺りまくりであることが分かったので、撤退して予防線を貼ったものだ。

 つまり、JSFさんの、海自は艦名として「しなの」を避けないという主張は、JSFさんの軍隊への願望の発露である。軍隊は国民世論や、議会、政治家から超然としており、全て軍事的合理性だけで成り立っている組織であるといった信念の結果である。JSFさんは「軍隊は清潔であり、政治の汚濁から逃れている、だから無謬である」と考えている。だから、国民の意見に惑わされずに、事務的合理性から「しなの」も使うと主張しているのである。

 結局、JSFさんは、人の心、感情といったものを全く理解していない。「沖縄に基地を置くのは軍事的合理性に合致しているので、県民世論は無視して良い」や、「オスプレイは機械工学的な信頼性は確保しているので、反対運動は全て無視して良い」といった普段の主張と同根の問題である。まず、教祖も信者も理系を売り物にしているが、人の感情が分からない理系が、アレでどうしようもないものである。なによりも、それに気づかない本人たちといった点は、共通する性質である。



・オマケ
 JSFさんはいつもの予言癖で、次は「『しなの』になる可能性が非常に高い。」「日本神話繋がり」と述べている。だが、別に出雲と信濃には、神武東征での日向と伊勢のような関係を想起できるわけではない。
JSF ‏@obiekt_JP
ただ24DDHは「しなの」になる可能性が非常に高い。「いずも」と日本神話繋がりになるので。
2013年7月21日 - 5:03
https://twitter.com/obiekt_JP/status/358920235086131200(赤字は筆者)
その程度の「神話のつながり」よりも、艦名がもつイメージが悪いので、それを忌避する感情の方が強く出る。そもそも、あの世間体を重視する海自が、特に国民のウケが悪い「しなの」と「むつ」を入れるとも思えない。仮に鈍感な担当が、そんな案を出しても、アンケートでエライ目に遭う。少なくとも重要艦名では、3択と自由記述のアンケートをとっている。多分、将官あたりで回すものだが、その将官が「せっかくだから部下に意見を聞いてみるか」と考えてか、己あたりのレベルまで回ってくることもあった。「いせ」のときはそうだったのだが、将官にあげる結果は、まずは無難かつ妥当なものだった。まあ、「しなの」と「むつ」は間違いなく、選択肢に登らないし、アンケートで拒絶されるね。
2013.07
21
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 おおすみ型輸送艦とうらが型掃海母艦と、ましゅう型ほかの補給艦は、ひとつのクラスで一本化できなかったものか。

 輸送艦、掃海母艦、補給艦は、大型で中速、補給物資搭載といった点で共通している。航空機運用能力が必要である点や、長距離を移動する仕事といったあたりでも似ている。
 輸送艦3隻、掃海母艦2隻、補給艦5隻を共通化できれば、便利になっただろう。同時投入可能な数が、それぞれ10隻に増えたのと同じ事になるからだ。

 各艦種を全く同じにできなくとも、限定的でも他艦種が行う仕事ができるようにすべきだった。相当に柔軟な運用ができる。共通化が容易な輸送艦と掃海母艦に比べて、補給艦はやや特殊である。だが、輸送艦と掃海母艦が簡易な洋上補給能力を持ち、補給艦に簡易な輸送能力や掃海艇支援能力をもたせただけで、運用での柔軟性は相当に向上する。

 DDHも、輸送/掃海母艦/補給艦の上位互換で作るべきであった。DDHは、すでに護衛艦ではない。護衛される側であり、固有兵装を必要とするものではない。まずは航空機運用能力が第一である。そのための広大な甲板面積、大型格納庫、巨大な燃料搭載量、乗員給養能力が用意されている。いずれも一寸した艤装で輸送/掃海母艦/補給艦として充分に活用することができる。

 米空母も、輸送/掃海母艦/補給艦の上位互換として使っている。米国は空母をしばしば輸送艦、つまり強襲揚陸艦の代わりに使う。また、米国の掃海母艦は、ミニ空母とでもいうべき強襲揚陸艦の転用である。掃海ヘリや掃海具展張、対機雷戦艦艇の支援は空母にとって容易である。空母には、随伴水上艦への補給能力もあり、洋上補給を行うこともある。

 作ってしまったものは仕方がないが、今からでも改装等により、可能な範囲での共用化を図るべきではないか。それにより、DDH、輸送艦、掃海母艦、補給艦をヨリ有効に使うことができるようになる。



 まあ、それなりの軽空母である22・24DDHの後に、モノホンの空母を作るのだろうけどねえ。「おおすみ」と「いせ」にしても、冗談めかしながら「目を慣らすため」という話を聞いたことがあるのだけどね。その時には、輸送艦や掃海母艦、補給艦の上位互換にしといたほうがいいだろうねえ。
2013.07
18
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 海自の海外活動が増えた。航空部隊も艦艇部隊も、インド洋やらアデン湾やらに進出するご時世である。アデンには、航空基地を間借りするに至った。撤退するときにはジプチに呉れてやる約束だが、海自が建物ほかも建てている。

 しかし、将来的には、整った基地が借りられないこともあるのではないか。また、拝み倒して海外に土地や良湾を貸してもらえても、飛行場や港湾施設がなかったり、貧弱だったりする可能性もあるだろう。

 その時に備えて、特設部隊を準備したほうがいい。予め必要な部隊をパッケージにして、準備しておいたほうが捗るのではないか。飛行場に展開する航空基地隊なら、拡張能力をもった土木部隊と、航空管制部隊と、ある程度の整備・補給部隊、給養・衛生部隊、通信部隊を準備しておく。港湾に展開する基地隊なら、燃料・弾薬・食料と、電気・蒸気・清水を提供できる母艦と、現地で使うタグ・水船・警戒艇、必要に応じてアンカー付きの係留ブイ投入能力といったものを作っておく。何かあれば、一気に展開する仕組みである。

 普段から専門部隊を養う必要はない。

 航空基地隊なら、各基地に派出要員を指定しておけばよい。機動施設隊(八戸)で適当な隊を指定しておく。管制と通信部隊は、航空管制隊(厚木)に、器材集積と、人員の派出部署を作らせておく。整備・補給部隊、給養・衛生、は、母隊の列線の他に、人出に余裕のある八戸・厚木の整補と、航空衛生隊に、器材集積と人員指定だけをしておけばよい。

 基地隊も同じで、横須賀・呉あたりで要員を指定すればよい。総監部、艦補処、警備隊で予め人員指定しておけばそれで済む。器材は全部母艦に積んでおけば良い。中古商船で充分で、横須賀・呉に2隻も作っておいて、最低限の保安要員だけを配置して、タグほかは搭載可能しておけば済む。

 役に立つのは、海外派遣だけではない。南西諸島あたりでキナ臭いことになっても、宮古島や石垣島、奄美大島あたりに航空/艦艇基地があれば相当に便利になる。災害派遣でも、災害で破壊された地域や、もともと空港や港湾が貧弱な地域での展開にも役に立つだろう。



 …とまあ、CS試験の自由論述で出した中身のリサイクルだけどね。この手の内容で、図版や概念図を入れると早く書き上がった。さっさと直帰できるので、受験3回ともこれで出した。CSは、受かる受からないの試験ではない。行きたいか行きたくないかの試験で、別に難しくないので、行きたいならだいたい行かせてくれる。己は行く気もなかったので、毎回そんなものだった。

 海自でCSはそれほど希望者はいない。だいたい、CS行って順位さげて、定年ギリまで1佐がこない人もいた。立派で優秀な人だったが「昇任考えたら、行かないほうが良かったね」と笑っていたよ。そういう話があるので、CSに行きたがらない人も多い。CS行って変な順番付けされると味噌付けられる。別に将官になるのにCS行かなきゃいけないわけでもない。興味ふかい話としては、CS行くより、統幕学校行ったほうが箔がつくからいい。だからCSに行かないという人がいた。ただ、その人は統幕学校で田母神精神を受容して帰ってきて、アチャーだったよ。※

 そんなCSだから、行くのは難しくない。己は、CSよりも部外大学院に行って、腰据えて資料読みたかったので無給休業(現役のまま自由行動できる)とったのだがね。無給休業を諦めさせたい海幕人事課に「CSに行きたいのなら相談に乗ってやるから、大学院諦めろ」と言われた程度である、CSの重さはその程度に過ぎない。まあ人事課がCSの合格者を決めるのだから、相談も何もない話だと思ったよ。



※  この手の話をSNSでしたら、1期下相当の陸2佐ドノ(もちろん1課程、己は2課程)にイキナリ関係を切られたよ。CGS出ているエリート殿だから、軽く見られたと思って怒ったのかね。別にCGSもCSも馬鹿にしていたわけでもないのだが。
   そいやその人「北海道の兵隊って、部外と調整するとき官尊民卑ベースだよね」って言葉でも怒っていた。当時北海道の部隊長していて、俺の部下を非難するのかと言っていたが。全体的な傾向の話で怒っても仕方がないのだけどね。
2013.07
17
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12:04
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 自民党の憲法草案Q&Aで軍法会議を復活するとか言っているのだが。アレ、相当に問題のある運用されていた。その原因である、軍人が裁判官・検事をやるという仕組みを残すあたりが、何も考えていないんじゃないのかね。

 「平和憲法に真っ向背反 石破幹事長の『軍法会議設置』発言」(東京新聞)によると、石破幹事長が必要性を力説したとあるのだが。その大元になる「国防軍に審判所を置くのは、なぜですか?」(http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf p.12)には、旧軍軍法会議の問題点が全く反映されていない。

 古い本だが、花園一郎さんの『軍法会議』には、そのあたりに問題意識があった。引っ張られて旧軍で軍法会議の裁判官をやっていた花園さんは、士官学校出は軍法会議を概ね免れる点を問題視していた。起訴・不起訴は師団長、司令長官に一任されているので、階級が高いほど起訴されない。裁判官は不告不理なので、問題行動を知っていても処罰はできないというもの。結果として問題行動のある将官士官は罪を免れる、下士官兵、特に徴兵された兵隊は微罪で起訴され、簡単に重罰が求刑される。そのように述べている。

 こういった、旧軍軍法会議の問題点に全く注目していないのは、あまりにも粗雑が過ぎる。自民党の憲法草案Q&Aには、「裁判官や検察、弁護側も、主に軍人の中から選ばれることが想定されます。」とある。裁判官と検察を軍人から、まずは防大卒あたりの、クラス上下で思考停止する連中に任せることは、危険でしかない。

 そもそも、軍法会議を作る発想も、やたら他罰的な発想の結果にしか見えない。左派がいなくなった今日の自民党で、体育会系的な、何も考えない鞭と罰を使った、義務・処罰大好きが表に出た頭の悪い右派/宗教系の発想ではないのかね。そこで、モノが見えると思っていた石破さんが問題点をについて、フォローしないのは残念にしか見えない。

 まあ、左右問わず憲法草案なんて願望の垂れ流しである。そのとおりになるものでもないし、書きなぐった方もそうなると思っていない。石破さんも心中で「だからいいんだ」という話かもしれない。でも、そういった願望があって、そのデメリットを見ないでそのまま発表するあたり、自民党が右派/宗教系に乗っ取られて、穏健な左派がいなくなってしまったことを嘆くものであるよ。



 ウン、ネット見てたら軍法会議発言を見つけて、お昼前書き上げようと頑張ったけど、アップは少し遅れたよ。まあ、石破さんがそういったのがショックだったね。
2013.07
16
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Category : ミリタリー
 陸軍国との比較や、GDPや、人口あたりの軍人数はあまり意味はない。井上和彦さんは「日本の自衛隊、資質や士気高いが深刻な問題も」※ で、3つの数字を出して「自衛隊の戦力がいかに少ないかが分かる。」と嘆いている。だが、いずれも根拠としては怪しいものだ。

 軍隊の多い国と比較して、自衛隊が少ないとする主張は、意味がない。井上さんは、自衛隊の人員数23万を米国(157万)、中国(229万)、北朝鮮(120万)、韓国(66万)と比較して少ないと評している。しかし、米軍は全世界に介入する軍隊である。中国軍は長大な国境で他国と対峙している。北朝鮮と韓国は内戦中であり、停戦ラインを挟んで睨んでいる。これらを無視して、自衛隊総兵力を比較することは妥当ではない。

 また、軍事費のGDP比率を以って、日本の防衛費が少ないとする井上さんの主張も妥当ではない。井上さんはGDP比率をもって、日本防衛費、4兆7000億円を「各国の半分以下」であり少額と主張している。つまり、防衛費に9兆円以上を注ぎ込めというようなものだ。国防費9兆円となると、世界第二位の額である。戦争もしていないというのに、世界第二位の金額を何に使うのか。そもそも、日本の税収は40兆円である。そして国債の償還費を毎年20兆円払う原状である。基本的に動ける幅は残り20兆しかないしかない。そのうちの、防衛費は既に1/4を占めているというのに、それを倍にして、実質的な歳入のうち、半分を防衛費に費やせというのは尋常ではない。防衛が栄えれば国が滅んでもよいと言っているようなものだ。

 井上さんが指摘する、人口あたり軍人数も、意味のある数字ではない。まず、今後主流となる自衛隊海外活動では、日本の人口に対する自衛隊員の比率を云々しても仕方がない。そして、優先度が下がる国土防衛についての指摘にしても、人口あたりよりも面積あたりの兵員数で比較しなければならない。陸上作戦が土地の支配を競うものであることからすれば、総人口あたり軍人の数は意味を持たない。そして、国土狭隘な日本は、面積あたりの兵員数ではむしろ米中露を超えている。(このあたりは「面積あたりでみりゃ、戦車は多すぎるね」でも同じようなことを説明した)

 井上さんの主張は、防衛省・自衛隊が部内誌や部内講話でしていた、内輪話をそのまま書いただけのものである。アレな自衛官が「自衛隊は人数が足りない、だから増やせ」という内輪話をするときに、毎回出てくる根拠にすぎない。この主張は、自衛隊内では、内弁慶を発揮する。だが、その根拠も結論は外に出せるようなものではない。たまにOBが雑誌で発表したりするが、防衛費を5割10割増し、陸自30万50万といった非現実的な話であり、馬鹿にされるだけの話だからだ。

 井上さんが新聞にそれを発表するのは、自衛隊へのヨイショでしかない。上の理屈は、井上さん本人も内心では馬鹿にしている論理だろう。何の根拠もなく、必要性も示せない数字にすぎない。しかし、新聞で主張した実績をつくることで、高級感部も含まれるアレ自衛官にはウケが良くなる。それで自衛隊の歓心を買おうとするものだ。

 いずれにせよ、井上さんの陸軍国との比較や、GDPや、人口あたりの軍人数を持ちだしての主張は、根拠になり得ないものであり、容易に反論することができる。

 外国兵力数との比較については、陸上国境を持たない国との比較で反論できる。日本同様に、四面環海の英国でも兵員数は20万人であり、自衛隊よりも少ない。国境が安定しているという意味では、日本や英国と同様の仏独にしても、仏国23万、独国19万に過ぎない。自衛隊と同じか、それよりも少ない。

 自衛隊人員数は、英仏独軍の人員数とほとんど差異はない。これは「自衛隊の戦力がいかに少ないか」と嘆くことが、大げさであることを浮き彫りにする。日本には自然の防壁としての海がある。日本(と米国)が海を好きにできる限り、中朝韓のように、戦力の過半を占める陸上兵力はあまり必要はないのである。

 GDP比率の話も容易に反論できる。GDP比率は、その国に必要な防衛予算を算定する根拠にはならない。GDP/GNP比率の話は、もともと、1950年代にアメリカが同盟国の尻を叩くために作ったロジックである。各国に軍事支出を増やすことを要求するとき、各国には予算規模に差があるので「各国はGNP比率でこの程度は支出してくれ」としたものだ。冷戦に勝つため、これくらい軍事費を増やしてくれという寄付金あつめのようなものだ。

 このGDPの話は、根本的な矛盾をはらんでいる。井上さんの言うように「GDP比率の軍事予算が少ないので防衛に支障をきたす」理屈は、逆に「GDPを下げれば日本の防衛は充実する」という奇妙な結論を導いてしまう。

 人員あたりの軍人数も同じ方法で矛盾をつくことができる。井上さんの主張の通り「人口あたりの軍人数が少ないので、防衛に支障がある」という理屈は、逆に「同じ隊員数でも、人口が減らせば軍人比率が高くなるので、防衛が充実する」という、珍奇な結論になるなってしまうのである。

 井上和彦さんがしている主張の根拠は、妥当性がないということだ。



※ 井上和彦「日本の自衛隊、資質や士気高いが深刻な問題も」『ZAKZAK』(産経新聞,2013.07.14)http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130714/plt1307140730000-n1.htm
2013.07
14
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 イスラエルが戦車と火砲を減らすという。「イスラエル、大幅な戦力見直し─周辺国からの侵攻脅威が低下」※ によれば、国防予算を5年間で822億円を減らし、その予算も戦車や火砲よりも非対称戦に努力を注ぐということになっている。
イスラエルのヤアロン国防相は「40年前の第4次中東戦争のように軍と軍が真っ向からぶつかる形の戦争が起きる可能性はますます小さくなっている」と指摘し、重火器への依存を減らす方針
   「イスラエル、大幅な戦力見直し─周辺国からの侵攻脅威が低下」『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2013.7.12)
   http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324195104578600802632448978.html?__from=mixi#articleTabs%3Darticle


 判断としては妥当だろう。滅茶苦茶になっているシリアとの大規模戦は考えないで良い。潜在的なエジプトの脅威も、低下している。

 イスラエルでも、戦車と火砲はあまり必要なくなる。大規模な戦争が起きない見通しなら、両者はあまり必要ではない。国内治安維持なら、戦車はあれば良い程度のオモチャである。別に最新鋭戦車でなければならないこともない。火砲もまずは使わない。

 イスラエルとすれば、この状況では治安維持にお金をかけたほうが良い。可能性が低下した直接侵攻よりも、都市ゲリラの類の方が脅威である。都市ゲリラを防圧し、追い詰めるための施策に金をかけようという話になる。

 このあたり、10式戦車が無ければ日本は滅ぶといっている人が、おしなべて沈黙しているのは興味ふかいものがある。JSFさんのツイッターを見たら、RTしながら何も言及していない。これまでは戦車擁護のために「中東戦争での戦訓により」とか「イスラエルでは」と出羽守を連発していたので、何も言えないのだろう。

 戦車教団は頭がわるい。その連中は「ジャスミン革命で民族紛争がおわり平和になった中東とは違い、東アジアは冷戦構造が残っている」みたいなトンチキなことを言い出したりするんじゃないのかな。あるいは「RPGをもっているゲリラは新型戦車でなければ撃破できない」とかね。そのあたり、中国軍研究家の某さんは「信者は『イスラエル軍は中東紛争の戦訓を知らない』とか言い出すんじゃないの」とまで言っていたよ。

 あのイスラエルも財政上の制限で軍縮する。その上で新装備を導入しなければならないので、戦車火砲や兵員を削減する。※※ まずは、必要なやりくりである。

 対して、教団・信者の類は防衛予算は聖域だと言い出す。優先度の高い海空装備のために、優先度が低い陸上装備を減らすことにも耐えられない。「日本の防衛力が足りないのに、財政が何だ」と言い出すのが教団と信者だから。付ける薬もないね。



※   「イスラエル、大幅な戦力見直し─周辺国からの侵攻脅威が低下」『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2013.7.12)
    http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324195104578600802632448978.html?__from=mixi#articleTabs%3Darticle

※※  イスラエルには陸兵3000-5000人を減らすという報道もある。
    http://www.vosizneias.com/135722/2013/07/10/idf-to-dismiss-3000-to-5000-career-soldiers-due-to-budget-cuts/
2013.07
11
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 空自には、ある会社のコピー機がない。コピー機を作る会社はそれほど多くない。市場は、リコー、ゼロックス、キャノン、コニカミノルタ、シャープ、ミタの6社で占められている。空自には、なぜか6社のなかの1社が足りない。空自シェアは残り5社で締められており、それぞれキレイに1/5づつ、だいたい20%に均等割になっている。

 あるべきメーカの商品がないことは、怪訝である。喩え話だが、ある省庁が、すべてTOTOであり、INAXがない、あるいは逆で、すべてINAXで、TOTOがないとしたらどうか。あるいは、委託食堂や自販機が全部コカ・コーラでありペプシ・コーラがない、あるいはペプシ・コーラでありコカ・コーラがないとすればどうか。まず涜職か癒着だと疑われても仕方ない。

 去年の『会計検査資料』に「航空自衛隊第1補給処の事務用品等…」※ という記事があり、その中にコピー機の件が書いてあるのを見つけた。それを元に検索すると、「航空自衛隊第1補給処におけるオフィス家具等の…」という談合事件について防衛省による調査報告書が出てくる。談合事件と「談合事案」と言い換えるのは、いつもの役人の習性だが、それに大概が述べられている。

 空自がやった談合、調達を随意契約にするやり方は、平凡なものだ。そこに何の工夫もない。普通に業者を呼んで、シェアリングさせる。一般競争入札を避けるために額を分割して随意契約にする。素人臭く、粗雑であるとも言える。毎年のシェアが変わらず、キレイに5等分されているあたりは、気づいてくれと言っているようなものだ。

 一般競争入札で、狙った会社に落とさせるやり方も、平凡である。仕様書で無駄に細かい性能を示して、目的会社の製品しか落ちないようにする。これも平凡である。この談合から離れた例で示すと、たとえば、タブレットを調達するとして「iTunesに接続できること」とすれば、iPADだけを調達できる。ノートパソコンも「厚さ1.8cm以下、SSD搭載」とすればMacBookAirを調達できる。掃除機を調達するときに、吸引力と紙パック不使用を指定すればダイソンだけが落ちるようにできる。そんな仕様書を上げてくれば、競争の実効性を確保できないため、上で蹴られるものだが、上が主導した涜職なのでそのあたりはノーチェックになる。

 実際に、監査や検査ではこのあたりは絶対にチェックされる。監査、会計検査のたぐいは結構受けている。会計検査は、海自や統合部隊だけではなく、防衛施設庁の分まで世話したこともある。だいたい目をつけられるのは、このあたり。あるべきものがない、不自然な随契、シェアや額に変化がない、競争性を確保できない仕様書といったあたり。監査だと臨時監査官やったりしたが、やはりその辺りを見ていたよ。

 でも、国産装備開発・導入になると、この不自然な点に文句をいう人は少なくなる。あるべき海外メーカーがないことや、シェアがキレイに分かれている点、特定企業を通すための競争性のない仕様作成はまかり通っている。どうみても談合行為なのだが、談合となったのはUH-Xくらいなものか。露骨なF-2、P-1/C-2導入とかも、事業の健全性についての評価は相当に甘い。

 開発中なら、機動戦闘車とか火力戦闘車も不自然になっている。普通は先行する海外製を買う話だがそれがない。シェアは国内独占企業である三菱・日本製鋼で分け合う構造である。仕様も、国内開発するために無理矢理に引っ張っている。先行する海外製だと駄目になるように組んでいる。陸だけではなく、陸海空全てにある話なのだが。

 国産装備開発には、「あるべきものがない」ことで満ちている。報道や雑誌記事では、日本はスゴイというだけで、その背後にある不自然を批判しないことが不思議であるものだ。



※   「航空自衛隊第1補給処の事務用品等の調達にかかる入札、契約及び予算執行の状況について」『会計検査資料』(建設物価調査会,2012.6)pp.11-15.

※※  「航空自衛隊第1補給処におけるオフィス家具等の調達に係る談合事案に関する調査報告書」(防衛省,2009)http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/board/kentoiinkai_asdf/pdf/08/chousa.pdf

※※※ 報告書についても、なんだかんだ言っても、被害極限を図る防衛省よりも、会計検査院のほうが信頼できると見て良い。
    『航空自衛隊第1補給処における事務用品等の調達に係る入札
・契約及び予算執行の状況について』(会計検査院,2011.9)http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/23/pdf/230922_zenbun_3.pdf
2013.07
10
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 防衛白書のWEB版に、日本と周辺国の戦力比較が載っている。防衛省が防衛予算を増やすための本なので、脅威を大きく見せる立場で作っているのだが、中国海軍970隻と極東ロシア海軍240隻は膨らませ過ぎではないか。

 防衛白書は、防衛省が自分たちの政策を肯定してもらうために作っている。そのため、内容は防衛省自衛隊に都合よく書く。もちろん、それを攻めるつもりもない。企業のPR、広報部と同じで、目くじらをたてるほどではない。

 ただし、防衛白書もその傾向にあることから、割り引いて見る必要がある。企業のPR、株屋のPRが株やると儲かる、健康食品のPRではこれ飲むとビンビンになる、毛生え屋のPRが毛も生えてくる、保険屋のPRが癌になると儲かるし、掛からなくとも祝い金で儲かるというようなものだ。防衛白書での判断や主張についても、眉つばで聞くのがちょうどいい。

 特に眉つばでみるべきが、中国と極東ロシアの艦艇隻数である。(「図表Ⅰ-0-0-1」)中国970隻、ロシア240隻はなんにしても多すぎる。タグやら水船やらを足して、さらに軍港内に放置している鉄くずも足しての数字なのだろう。

 防衛白書は、日本艦艇数について140隻としている。ざっと護衛艦が50、対機雷戦艦艇が30、潜水艦20、その他40で勘定しているのだろう。その他を10隻分づつ挙げると、補給艦・練習艦・掃海母艦10、訓練支援艦、輸送艦、観測艦、音響測定艦で10、支援艦、ミサイル艇で10、あとは試験艦と「はしだて」の類、それにLCUを足して10といったところだろう。

 同じ方法で中国海軍を勘定しても、保管艦艇を足しても、どうやっても970隻に足りない。どう頑張っても650隻である。中国は水上戦闘艦について、どうみても使いものにならない旧式艦を多めに足しても100隻である。同様に潜水艦70隻、機雷戦艦艇100隻、商船改造の雑多な補給艦が80隻、LSM以上の揚陸艦が80隻、高速艇が200隻といった程度だ。

 おそらく、数合わせてどうしようもない艦艇を足しているのだろう。しかし、どうしても120隻足りない。保管装備としても腐る寸前の上海型砲艇(100t)30隻、オーサ級コピー(200t)20隻を足して50隻。陸地が見える範囲で使うのが限界の、150t未満のLCMーLCU相当の揚陸艇保有数150隻。これでも足して850隻である。

 足りない分、120隻は、80t・機銃1丁の警備艇(8隻)とか、揚陸戦で出てくる20tクラスの通船(名称・数不明)とかを足しているのだろう。それならば、それよりも大きなタグボートや水船も足しているとしか思えない。

 ロシアも同じである。極東ロシアには、甘々にみても100隻である。動いているかどうかも怪しい艦艇を足しても、水上戦闘艦25隻、潜水艦25隻、ミサイル艇20隻といったところ。極東ロシアで限定するのが難しいが、補給艦、機雷戦艦艇、ホバークラフトのうち1/3が極東に居たとしても30隻がいいところである。

 240隻との差、140隻については相当の小艇を足してもなかなか足りない。116tの内水調査船GPB-480の1/3が20隻、70tの魚雷回収艇を同じように1/3、15隻、300t-42t潜水支援船を同じく1/3、40隻。あとは、本当に港湾用タグを含む曳船の1/3を足して25隻。アムール河の河川艦隊30隻を足してどうにか120隻である。あと20隻は誤差やどうでもいい船だろう。

 さて、日本と中国と極東ロシアを比較する上で、140隻 対 970隻 対 240隻 とする比較は妥当だろうか?

 日本は、100t未満の小艇を足していない。日本は、50年前に作った、腐りかけた上海級を足しているわけではない。ましてや通船に毛の生えたような、魚雷回収船や潜水支援船を足していない。

 防衛白書も、あやしげなPR広告同然の表記があるということだ。970隻が本当かといわれると、コマゴマと数を数え上げた資料を読み上げて「間違っていない」というだろう。あたかも、毛生え会社が、薬は効く、毛が生えた喜びの声のこんなに来ていると手紙の実物を示すように。



 まあ、日本の艦艇数が少なくて危険が危ないと危機感を煽られたなら、日本艦艇数を140隻以上に勘定しなおせばいい。中国や極東ロシアが勘定しているような、300t未満のタグ・水船・油船は結構ある。100tに満たない通船も港務隊には何席も転がっている。起重機船やハルクを数えてもいい。なんなら、候補生学校や教育隊にあるカッターや、艦艇に積んでいる作業艇・内火艇も、数が同等になるまで計算に入れてもいいだろう。所詮その程度の数字である。
2013.07
08
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 イージス艦を2隻増やす話がある。「イージス艦8隻態勢に 北朝鮮対応踏まえ、ミサイル防衛を強化」※ では、防衛省関係者の話として報道している。

 報道では、理由を「ミサイル防衛(MD)の態勢強化」としている。だが、実際には艦隊向けの防空艦を増やす措置だろう。ミサイル防衛は、納得させやすい理由付けに過ぎない。

 イージス艦運用は、日本海貼付けで柔軟性がない。現在保有しているイージス艦は6隻だが、いつも日本海に2隻貼り付けられるようにする態勢は困りものだ。日本近海以外のには、1-2隻しか回せなくなるからだ。

 今のイージス艦6隻体制とMD運用は、相当に窮屈になっている。稼動状態にあるのは3-4隻である。6隻中、2-3隻は、なんだかんだで検査・整備・修理・改修のため入渠している。残り3-4隻にしても、訓練期間であったり、長距離移動中であったり、補給中で全部を作戦行動に使えるわけではない。1隻がその状態にあるとすると、手元に残るのは2-3隻、そのうち2隻を日本海に貼り付けられる状態と、日本近海を離れて、機動的に運用できるイージス艦は1隻しかなくなってしまう。

 実際には、整備等も綱渡りなのだろう。この体制では、海外派遣の計画に合わせて整備線表を作るしかない。海自の、日本海軍力のプレゼンスのためには、リムパックほか、派米訓練にイージス派遣は必須である。その時には、無理に稼働4隻にする必要がある。当の派遣用に1隻、日本海貼付できる体制(日本近海に留置)に2隻、多方面での機動運用分に最低1隻で、4隻である。この4隻を維持するために、整備等、例えば検査・修理、訓練、人事、補給での綱渡りをする必要があって困っているのだろう。

 その点、あと2隻を足せば、運用は相当に楽になる。3/8が入渠等で長期運用不能、1/8が訓練等で短期運用不能でも、だいたい手許に4隻は確保できる。MDに2隻引いても2隻残り、派遣訓練や長期行動で1隻抜かれても、機動運用できる1隻は残る。その1隻できり回している間に、運用不能であった4隻のうち1隻は使用可能になるだろうし、遠くに派遣したイージス艦を呼び戻すこともできる。



 ただ、一番いいのは、MDからイージス艦を抜くことなのだがね。

 北朝鮮の弾道弾を気にしなければ、イージス艦は中国とのゲームで大活用できる。北朝鮮の弾道弾は、恐怖を与えることが目的の政治的なオモチャである。実際には使用は相当に難しい。実威力そのものも、核でもつまない限りはたいしたものではない。そして、核を使えば北は終わる。昔の新中国ではないが「張子の虎」だと割り切れば、別にイージスを貼り付ける必要もない。そのイージス艦を、東シナ海や南シナ海、琉球弧付近で使えば、日本にとって北朝鮮以上に重要な中国とのゲームが有利になる。

 あるいは、MD専用の小型艦を作っても良い。必要なのは、MDができる程度のイージスシステムであり、今あるような高価なイージス艦ではない。日本海貼付け用は、スペインのバサン級をもっとショボくしたイージス艦であってもよいし、商船改造の特設軍艦でも構わない。5000t、20ktで、武装はSM-3を12発と余剰76mm砲1門、乗員は最低数。燃料と生糧品だけは山と積んでおいて、外洋漁船方式で乗員はヘリで交代とかにすればいいんじゃないのかね。それを3隻用意して終わりとかすれば、まあ捗るんじゃないかと思うよ。

 なんにしても、イージス艦を2隻追加すること自体は悪い話じゃない。確かに高い買い物だけど、色々と使い勝手が良い。中国とのゲームでも非常に役に足つ。本土防衛にしか使えないように使い勝手が悪く、中国とのゲームで役に立たない10式戦車やら、必要もない新榴弾砲を開発しようとするのに較べれば、筋は悪くはない話だね。


※ 「イージス艦8隻態勢に 北朝鮮対応踏まえ、ミサイル防衛を強化」『47NEWS』(全国新聞ネット,2013.7.7)http://www.47news.jp/47topics/e/243209.php
2013.07
05
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 中国でも陸軍から海軍への転換をしているのに、日本ができないのは何事なのだろうか?

 アジアでの軍事力整備は、海軍に焦点が絞られている。各国とも、海上交通や海洋権益確保がメインになっている。そのため、海軍力を増やすことに躍起になっている。

 海軍力を増やすには財源がいる。

 国防費を増やすことは難しい。どこの国も、対外強行派や愛国者面がいて、軍隊の御用聞きみたいな発言をしながら「国防費は増やすべきだ」というのだが、その金を都合する方法なんかありはしない。

 だから、普通は陸軍あたりを整理して、海軍に振り向ける。それは中国でも同じである。

 今月の『鏡報』に水石さんの「中国陸軍番号的秘密」※ がある。今まで中国は、解放軍部隊については秘匿のため番号を振っていた。戦争中の日本でやったように、第39集団軍を65321部隊と呼ぶ方法である。その中国が、公開の場で本来の部隊名を使うようになったという記事である。※※

 ただし、記事で興味を惹かれるのは、人民解放軍での陸軍整理の歴史である。解放軍は、建国以来の70ヶ軍を段階的に縮小し、18ヶ軍にしたとしている。1949年から82年まで15ヶ軍を減らし、85年の100万人軍縮で8ヶ軍、97年の50万軍縮で2ヶ軍、2003年の20万軍縮で4ヶ軍を減らした。並行して、4ヶ軍を海軍、6ヶ軍を空軍、3ヶを第二砲兵、3ヶ軍を公安、7ヶ軍を建設部隊に振り分けている。合計減少数は-52ヶ軍で、70ヶ軍から18ヶ軍体制に至った、と水さんは述べているのである。

 中国の場合でも、海空軍を増強や、陸軍の高度化のためには軍縮をしているわけだ。

 特に東アジアでは、各国とも陸軍が多すぎた。各国は自国防衛に必要以上の陸軍を抱えており、海空軍力は比較的弱体である。

 旧自由主義陣営は、アメリカの方針により陸軍優先とされていた。アジアの戦争はアジア人にというアメリカの方針により、陸軍建設を優先され、海空軍は米海空軍に依存すればよしとされていたため、海空軍は比較的少数となった。

 旧共産主義陣営は、数で圧倒できるという頭で、陸軍力を優先していた。海空軍は限定された能力で充分と考えられていたため、沿岸防備用程度に限定されていた。

 各国が海洋を重視するようになって、陸軍整理により、海軍への傾斜配分をしたのは当たり前の話だということだ。なんせ陸軍は余っており、海軍は足りないのである。それは中国でも、政治判断で行なっているのである。

 それを判断できないのは、日本くらいなものだろう。日本の硬直した体制は、陸を大幅に減らして海空を増やすという選択ができなかった。そのため、いまだに池田・ロバートソン会談以来の、無駄なまでの陸上戦力整備が続いているのである。

 かつての陸自18万人は、米要求10ヶ師団30万人のプランそのままである。対ソ・対中防衛戦を独自遂行するための10ヶ師団の戦闘部隊を揃えて、省ける後方支援を省いた体制である。日本の暴発を防ぐため、なるべく海空軍を持たせない発想もその背後にあった。

 その陸自18万人から15万人への定数切り下げも、殆どは陸自維持の発想である。18万人体制でも、常に実数は15万人程度であった。

 陸自・防衛省の組織維持で、海軍力、あるいは海空戦力強化は邪魔されているのである。意味のない陸自人員の確保に汲々としていると、海空強化は難しく、それだけでなく、陸自近代化の足も引っ張られるだろう。

 日本も陸自人員を一気に減らさないと、そのうち中国に負けるのではないかな。



※  水石「「中国陸軍番号的秘密」『鏡報』432(香港,鏡報文化企業有限公司,2013.7)pp.58-61.

※※ 水石さんは、その話ついでに、陸軍各軍の称も付している。
   北京の近所、河北にいる38集団軍なら「万歳軍」。
   上海近所の浙江湖にいる第1集団軍なら「一号軍」。
   13集団軍は「山中猛虎」だが、この13軍は中印紛争、中越紛争、カンボジア・ハイチ・アフリカでの平和維持活動、国内治安戦であるチベット平定、新疆平定、雲南省あたりかの西南剿匪に参加し、1968年の重慶治安維持が実績として揚げられている。
   第20集団軍は「蘆蕩火種」で、朝鮮戦争や対国府戦への参加で有名らしい。
2013.07
01
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 横須賀とか厚木なら当たり前なのだが。ナンバープレートのひらがなが、Y、A、Eは気をつけないといけない。Yが小型・普通自動車、Aが軽自動車、Eが8ナンバーに該当する。これは在日米軍軍人軍属やその家族の私有車なのだが、ぶつけられてもぶつけても面倒この上ない。話は通じない上に、へたすると被害者を加害者だとか言い出すのがいる。補償も、自賠責は入っているものの、任意保険は怪しい。そもそも高年式の整備不良でも気にしないので、周りを巻き添えにする可能性もある。

 同じように米軍公用車もアテにならない。米軍公用車だが、日本人がハネられるとか、運転している車がぶつけられる事件はしょっちゅう発生し、重篤なものや公務認定が怪しいものはたまに報道される。

 公用車は日本ナンバーとは全く違ったプレートで、USNとかUSAFと書いてある。車は米国産やら日本車やらいろいろある。江田島の秋月弾薬庫で、興味本位で中を覗いていると軽トラが尾行してくるが、それも米軍ナンバーだった。

 いずれも、運転が荒いとかそういう問題ではない。ぶつけられた後の交渉が面倒な上、まともに補償されるかも怪しいということだ。任意保険ではなく、基本的に裁判ベースになるので、補償額をガツガツ削ろうとする。しかも、相手に違反行為があっても刑罰がゆるゆるで腹が立つ事この上ないという問題がある。

 これなんかいい例だ。「民間女性同乗も『公務』 防衛省、米軍人の追突事故」http://www.47news.jp/CN/201306/CN2013062501002690.htmlとあるが、これでも私用上の事故扱いしない。米軍公用車にぶつけられると損だということだ。米軍も、基本的に占領軍という頭のままなのだろう。女乗っけておいて公用とは良くも言ったもので、このようにあんまりなことをすれば、駐留軍の評判も悪くなる。米軍は治外法権意識で身内を庇おうとする。防衛省も外務省もそれに追従する。

 平時の車輌運行については、公用でも「全て日本側裁判権で処理」とかにしないと、いつかまた火種になる。だが、それまでは逆に権益が保護されるので、ノウノウとしているのだろう。

 実際には、米軍関係だけではなく、自衛隊車両も怪しいものなのだがね。自衛隊ナンバー車両は、任意保険どころか、ほとんど自賠責にも入っていない。ぶつけた部隊の責任者あたりは「国が責任を持って」というが、実際には結構被害者に酷になっている。

 自衛隊車両での事故補償は防衛省の金を使うので、直ぐに払われないし、額を露骨に値切ろうとする。自賠責ではないので、そのあたりがメンドイ。実際に、請求されるまで払わない、裁判まで払わないとか、損害額を極限しようとする。基地や駐屯地ごとにいる損害賠償専門官(これは事務官)が、ガツガツの値切りを試みる。普段は仕事も無いから、やっていますアピールなのだろう。

 これも昔、空自大湊でエライ問題になった。自賠責がないので支払われず、自衛隊も金額を裁判で争ったので直ぐに保証金を渡さかなかった。その支払は事故から15年後という始末。被害者も酷い目にあったのは当然だが、当該車輌の運転手やその上司もいたたまれなくなったという。自衛隊は、それで落とさなくても良い評判を落としている。戦車や航空機の牽引車はともかく、基地外の一般道路を走るマイクロバスや乗用車※ の類は、全部自賠責に入れといたほうがいいとのだけどね。



※  乗用車のごく一部が、例外的に自賠責に入っているらしい。
※※ 自衛隊官用車で、交通違反のたぐいも、話としては聞いたことがある。まず自分の免許限りで止めるので、上は知らない。だれが幸せになる話でもないでの、上司として聞いても聞かないふりをする。警務隊にしても、青い切符でもなければ警察でチェックしない。多分、青い切符でも、警務隊のオトツァンも、見ても見なかったふりをするのだろう。常識的な範囲内で、二回目三回目でもないかぎり問題にすることもない。このあたり、当然、指揮官クラスは知らない。うっすら気づいているのはいるかもしれないが、過半は全くご存じない。そもそも車両運行の仕組みなんてご存じなく、自分の部隊は規律厳正で精強な自衛隊だと思っているからそのような可能性は思い至らない。
   まあ、運転手もピンキリなので、まあ自衛隊車両も安心できないということだね。
2013.06
30
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12:00
Category : ミリタリー
 横須賀総監部に土嚢で掩体作ったことあるのだが、その土嚢は転用されてインド洋にまで持っていかれたよ。

 2001年の9.11で、横須賀で土嚢で掩体を作った。前年に施設学校に行っていたという理由だけで己が担当になったのだがね。耐弾性その他で施校教官、課程主任の3陸佐に助けを求めた。だがその時に、危機感の差かね、まあ理論的なことから始めるのには参った。勝田の学校と米軍基地隣の横須賀では全然感覚が違うものだ。でもま、作業や調達の根拠となる小銃弾に対するストッピングパワー一覧をFAXでもらえたので助かった。

 問題は、土嚢を組む作業員がいないこと。最初は、普通に土木用の土嚢にそこいらの土を詰めるつもりだった。しかし、総監部と通信隊、造補処は、そんな仕事に作業員は出せないという。そこで課長が決心してくれた。「土の詰まった土嚢を買う、それをフォークで下ろすから、積み上げるところだけ頼む」という話がまとまった。

 土入り土嚢なんて調達したことはない。まあ、そのあたりは部内出の同僚がやってくれた。砕石屋だかコンクリ屋だかと、ゲラゲラ笑いながら見積もりを頼んでいたのを憶えている。土木用のナイロンザクザク編の汎用土嚢とそれに詰める砂よりも、人件費と積み込みと輸送費が数倍、ヘタすると数十倍するから平素はありえない話だ。

 土嚢が届いた後が己の仕事。場所は決めてある。正門の警備に役立ち、外や米軍から見えやすい場所で、水がたまらない場所はここしかない。実際のドンパチに役立つなんてのは二の次の話で、とにかく外に警備体制が厳重になったことをアピールすることを優先した。だから見えるように総監部の真ん前。そして、水が溜まらないように下に排水口のある場所を選んだ。


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 前日に縄張りをしておいた。すずらんテープと3寸の釘で、8尺四方(1間チョイだったと思う)で縄張り。ココにテープの通り並べればできることを示すための措置。円形に積むのは難しいので諦めて四角にした。

 当日は、布積みの方法と示し、安全対策を達して作業開始。建物の外壁タイルを棒で指して「崩れるから、縦目を通すな、横目を通せ」、腰を痛めるので運ぶのは二人一組。体が弱いのは、平スコップで土嚢を傷つけないように締固め。それだけの指図だから3分もかからない。

 作業開始以降は、己は現場で積み方の指示。普通は左右を長く、横にしてに積むのを、縦方向にして、しかも弾が通らないように厚く2ヶ積、なので最初の一段の指図は面倒だが、2段目は「間に積め、縦目を通すな」だから楽ちん。30分もかからず修了。

 以降の自隊警備でそこに人員を配置したが、雨の日に天井がないのは困るという話も出てきた。まあ、陸空じゃ出ない話だろう。兵隊なんで傘させないので冷える。己は別にテント張っても構わないのだけれども、その前に、上がそれは贅沢だろうという話で終わった。雨で足許がぬかるむという話は、造補処あたりからの派出人員が木製パレットを敷いて解決していた。その頃には、ケブラーヘルメットやアーマーベストも貸しだしていたが、基本は腰に手ぬぐい、ズボンの裾を靴下に入れる海自戦闘服装なので、足許は短靴、背広の時に履くような普通の靴なので、結局は、パレットすのこが使われていた。

 ちなみに、自隊警備といっても、あまりに人が足りないのでフネからも人を借りた。己等が作戦室に引っ張られて人が足りないようなときには、停泊中の護衛艦、通信当直艦から人を引っ張って警備に当てた。これは部長が旧部下艦長を頼っての、全くの横車だが、ありがたいことこの上なかった。

 その土嚢掩体だが、後にリサイクルされた。翌年か、横須賀から最初にインド洋に出すときに、そのフネから土嚢を貸してくれという話があった。残念だが艦名を覚えていない、今調べると調べると「せとぎり」っぽいが、「あめ」か「なみ」だったような気もする。直ぐに「いいよ、あげる。好きに取りに来ていい」と返答したけどね。そのフネ、機関銃のM2も補給艦から借りたらしい。※ 機関銃ともなると責任問題があるので、帳簿上は自分のモノにしてしまうのだけど、いずれは返すという口約束なのだがね。まあ借りものだらけの海外派遣だなと思ったよ。



※ 新鋭艦に搭載している、「新型機関銃」62式はよほど信用がないらしい。知っている話ではM2を借りた話がこれ。海曹の話だと、わざわざM1919-A4を乗せて行って、ホニャララでホニャララしたこともあったとか言う。
2013.06
28
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Category : ミリタリー
 話題の敵地攻撃能力なんだが、潜水艦にハープーンのBlock-2でも積んどけばとりあえずはいいのではないか。

 ハープーンBlock-2を導入し、潜水艦から運用すれば、それなりの敵地攻撃能力を安価かつ短期間に導入できる。

 ハープーンBlock-2は、対艦攻撃モードに加えて、限定的だが対地攻撃能力がある。ハープーンは巡航ミサイルでもあるので、目標には超低空で突入する。対地攻撃では、特に低空域での防空レーダ網を用意しない限りは、レーダではまず探知されない。陸上攻撃に使った場合には、特に音でバレるかも知れない。だが、ハープーンは音速近くで飛翔する。音が聞こえる頃には目視できる程度の至近距離で、すぐに何処かに行ってしまう。対空砲で捕まる可能性も低い。

 このハープーンは、潜水艦から発射可能である。艦艇発射型ハープーンは、どのタイプでもカプセルに封入し、魚雷発射管から、それなりの深度からでも発射できる。実際に、Block-2を封入した潜水艦発射ミサイル、UGM-84Lは各国に導入されている。

 潜水艦から発射可能である点は利点である、敵の近海から奇襲的に攻撃が可能になる。射程は長くないが、陸岸によればそれなりに奥まで叩くことができる。

 もちろん航空機から発射もできるが、潜水艦に較べリスクもあり、奇襲性に劣る。ハープーンそのものはF-15でもF-16でも搭載できる。F-16のバリエーションのF-2でも搭載できる。哨戒機P-3でも搭載できるし、輸送機でも搭載できるだろう。しかし、敵沿岸近くに接近することは、それなりにリスクである。航空攻撃では、敵の防空網に近づかなければならない。また、基本的に丸見えの状態で接近するので、敵に攻撃の可能性や対応の暇を与えてしまう。

 敵地攻撃能力について、当座に使う分は、ハープーンで充分である。既に日本潜水艦にはハープーン運用能力があり、潜水艦発射型ハープーンそのものも調達してある。Block-2には、既存ハープーン用の改修キットがあるので、それだけ買って改修すれば相当安上がりで済む。これは航空機搭載型ハープーンも同じで、既存品を改修できる。今のところP-3Cにしか適応しないが、空自機もハープーンを積めるようにしておけば、潜水艦には劣るかもしれないが、当座の敵地攻撃能力として活用できるのである。
2013.06
26
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Category : ミリタリー
 防衛白書の概要なのだが。毎年毎年同じように安全保障が悪くなったを繰り返すのは、「今年は当たり年」を毎年繰り返すボジョレ・ヌーボーと同じではないかね。

 時事通信による※ と、2013年度版防衛白書では「日本を取り巻く安全保障環境は『一層厳しさを増している』と強調」されるとのこと。ただし、これは毎年同じような文言を繰り返すものである。なるほど、ここ10年は中国とのゲームが続いている。しかし、今年になって急激に厳しさを増しているわけではない。去年とも、一昨年とも、あまり大差はない。日本と中国は防衛分野で対峙しているものの、軍隊同士は極端に緊張しているわけでもなく、その緊張もここ三年で大差もない。このあたり、組織防衛のためという防衛白書のスタンスを理解しないで、その文言をそのまま真に受けるのは、ボジョレ・ヌーボーのコピーを真に受けるのと同じではないか。

 防衛白書は、防衛省とその施策を肯定するために出される。防衛省に権限よこせ、防衛予算を増やせ、人を減らすなという内容になる。それは役所なので仕方がないとも言える。しかし、防衛省の組織防衛のため、国際情勢ほかで現実の情勢を無視する傾向があるのは頂けない。

 実際に、防衛白書には、冷戦が終わった後になっても、消滅したロシアの脅威を強調しつづけた前科がある。当時、抜け殻状態であった極東部ロシア軍について、防衛白書は毎年「ロシアの脅威は無視できない」と言っていた。極東ロシアの陸海空軍が大幅に減少し、装備も放置され運用不可能な状態にあることを知りながら、そのことは見て見ぬふりをして、一切白書には書かなかった。北に重点配備された陸自13ヶ師団、18万人を維持する上で不利になるからである。

 防衛白書での安全保障環境とやらは、自衛隊を減らさないような情報を記述するものだったというわけだ。現実の極東地域、東アジアを観察し、そのまま記述すると都合が悪ければ、それには一切触れない内容である。

 だから、防衛白書は、毎年「より危険になった」と書く。ボジョレヌーボーが、毎年「10年に1度の出来」、「ここ数年で最高」、「50年に一度の傑作」を繰り返すように。防衛白書も、連続で出された昭和51年以降、ここ40年、毎年「安全保障は厳しさを増している」、「戦力拡大した周辺国に較べ、わが防衛体制は大きく遅れている」を繰り返すことになる。これをまともに信じると、毎年毎年劣勢になっていくわけなので、日本は自立も怪しいバナナ共和国並になるはずである。

 つまり防衛白書は、組織防衛を目的とした役人による作文にすぎない。原状維持を目的としているから面白くない。情勢や判断については、資料としては批判的に読まなければならない部分も多い。逆に、予算関係の数字については、役人のやることなので間違いはない。また、施策についての掲載順といった細部を読むことによって、防衛省内での優先順位を見出すといったこともできる。※※ 役人はそういった事にこだわる。革命記念日にクレムリン前で並ぶ首脳陣の順番を観察するようなものだが、そう読むにも、やはり批判的に読むに限る。

 本来なら、防衛白書は内閣の政策を発表するものではないか。新しい政策の必要性や、そこに至る経緯や、そのために必要なコスト、あるいはオプションとコストとベネフィットの比較とかを説明するのが本来ではないか。中国に海洋膨張主義の脅威が云々というなら、それに対して、膨張主義のおそれを封じ込めるために、日本も第1列島線でのプレゼンスを強化するとかね。そのためには、北にある戦力を大胆に整理して南西に回す。海洋でのプレゼンスにあまり意味のない戦力を削り、その分を艦隊建設に回す。その政策を訴えるのが本来である。※※※



※  防衛白書、中国に強い懸念=尖閣「不測の事態も」『時事ドットコム』(時事通信,2013.6.25)http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013062500749
※※  ちなみに10式戦車は、防衛省による施策発表の順番では、毎年最下位である。
※※※ そのような政策転換ができないのが、日本の政治風土でもあるのだけれども。結果として防衛予算の中身は陸海空均等割で膠着したままになっている。
2013.06
25
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12:00
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 弾薬庫が足りないので、艦船を使う発想は昔からある。

 海自艦艇部隊には弾薬庫が足りない。既存弾薬庫で、保管上限に当たる換爆量が限界に近づいている。しかし、港湾地区であると、土地に余裕が無いため、新しい弾薬庫を作れる見込みはない。できるのは、吾妻島でやったような、旧海軍弾薬庫再生がいい所である。

 陸上に土地がないなら、弾薬庫船を作ればいい。海的には、それほど違和感のない自然な発想である。なんせ艦船は陸上関連法規がほとんど通用しない。それは弾薬でも同じで、火薬類取締法、通称で火取法には、船舶への搭載・保管・輸送に関する規定はない。換爆量や保安距離といったせせこましい事は言われず、なにより経産省に伺いを立てる必要がないのが素晴らしい。

 実際に、弾薬補給所が、予算要求や業務改善でよく上げていた。廃用する補給艦を転用するといったもの。別に商船規格の新造船でも、改装船でもいい。船体だけのハルクでもよいが、金が掛からないといったところで補給艦転用を出していたのだろう。

 管理は容易である。セキュリティーは確保しやすい。艦船は海で隔てられており、鋼板でくるんだ構造であって、出入口も少ない。品質管理もやりやすい。弾薬庫は、高い乾燥度と一定の温度管理が求められるが、艦船は湿気の進入はなく、空調もやりやすい。計装もつけやすい。弾薬の出し入れも容易になる。船内にエレベータや天井走行レールをつけ、サイド・フォークリフトを走れるようにしておけばいい。ハッチに自前クレーンをつけることもできる。

 ただし、実際に使えるかどうかは別の話である。そもそも人口密集地域である総監部近くに係留させることは、妥当とは思えない。家の目鼻の先に、弾薬庫船がいるのは、誰でもいい気持ちはしない。弾薬庫は見て分からないが、弾薬庫船は見ればわかる。なによりも、海の上にあるものは意外と近くに見えるものだ。安全性も万全ではない。覆土式や隧道式とは異なり、大規模な爆発を抑えこむ構造は作れない。やるとしても、コンクリート船にするとか、徹底的に水深を深くとって、横ではなく上に吹き抜けるようにする位がいいところだ。

 実際に作って、ご近所から文句を言われるくらいなら、従来弾薬庫で工夫したほうがよい。近場にある弾薬庫の中身を見直す。どうでもいいようなMk44や対潜爆弾、触発式やアンテナ式機雷の類は、取っておくにしても遠くに保管して差支えはない。どこか遠くの山に、空自が東北町に作ったような大容量弾薬庫を作っても良い。あるいは、各総監部の金で舞鶴や大湊のような僻地に新弾薬庫を作っても良い。

 米軍吾妻島弾薬庫や秋月弾薬庫のように、海自全体で持つ弾薬庫や、自衛隊全体で持つ弾薬庫を作っても良い。海に近い場所なら、呉・江田島に近い無人島の大黒神島あたり。山の中に作るなら適地は色々あるが、群馬の富岡あたりが一番よい。どちらも近くに火薬工場があるので、弾薬本体と炸薬が別々になっているような弾薬について、炸薬装填が容易にできるメリットがある。
2013.06
21
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 高い開発費を突っ込んでC-2を作っているけど、何機作るのかね。

 C-2はC-1を代替する機体となっている。C-1は25機あるが、同数は完全に更新できない。単価が高いこともあるが、必要もそれほどないからだ。

 空自には25機もC-2は要らない。長距離・大量輸送には向いているかもしれない。だが、普段使い用には大きすぎて使い難い。内地での定期便等に使うにしても効率が悪すぎる。

 C-2は、C-1がやっていた普段使い用には大きすぎる。雑用には燃料代が相当かさむ。機体空重量は、C-1は20tだったが、C-2は60tある。飛行距離と搭載量の組み合わせがあるのでなんとも言いがたいが、燃費が悪いことは間違いない。多少、エンジン効率は上がったとしても、3倍の重さの機体を動かすには、必要な燃料もそれなりに増加する。

 内地での使い勝手も悪い。C-1をC-2にすると、短距離・軽量の輸送は相当に非効率になる。5tの貨物を運ぶのに60tの機体を使うこともない。内地にある自衛隊飛行場間での輸送需要は大したものではない。C-1にしても、満載で飛ぶこともない。ざっとだが、5tで500kmみたいな輸送がメインになる。それ以上の重さを、空輸でまとめて運ぶような需要もあまりない。

 特にC-1がやっていた空挺訓練は、C-2には全く向いていない。入間のC-1を柏まで回して、空挺を乗っけて、習志野で荷物を落とし、入間にもどるような訓練をしている。そういう任務には向かない。仮にC-1で2機分をC-2では1機にできても、割は合わないだろう。

 C-1がやっていた内地での雑用的な仕事は、C-2には回ってこない。定期便等や空挺の訓練は、C-1退役後はC-130でやる事になる。C-2にはその分、仕事もなくなる。

 それ以外の仕事も、C-2になって搭載量が増えることもあるので、C-1よりもヨリ少ない機体数で可能になる。極端な話、C-1で5機分の仕事が1機で済むという話になれば、「C-1代替だけど、25機分はC-2を5機でヨクネ?」という話にもなる。

 さて、C-2は何機つくるのだろうか。中期防では「10機作ってもいいかもね」といっていた。だが、肝腎の実物が遅れており、最終的に幾らになるのか分からない。同じ状況にあり、ヨリ金食い虫になるだろうF-35との兼ね合いもある。10機行かないで終わる可能性もあるのではないかね。

 戦略輸送的な分にしても、10機はいらないんじゃないのかね。イラクやアフガンに手を出した英国も、C-17は8機で済ませている。日本はとりあえず手を出しているところはない。もちろん、国際貢献や、硫黄島への輸送、有事に空自がやる基地転換用に、C-2クラスの機体はまとまった数は必要かもしれない。とはいえ、英国のC-17よりも少なくて済むだろう。所要から行っても、5・6機で済んじゃうんじゃないかな。



※ まあ、量産機作って火傷する前に、今からでもC-17買ったほうがいいんじゃないのかねと思うよ。P-1・C-2とも、「国産したい病」の結果できたものであって、別にC-2である必要もなかった。どうせ数作るものでもない。P-8とC-17にしとけば、開発費もリスクも節約できたんじゃないのかね。