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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2014.01
16
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12:00
Category : エネルギー
 外貨が流出するから原発を動かすというのは、ボルビックを禁止して水道水飲めというようなものか。エルメスその他のブランド品に費やす外貨が無駄なので、国産品を使えというものと同じではないか。

 甘利経済再生大臣の記者会見で、いまどき外貨保護のようなことを言い、だから原発動かせというようなことを示唆している。
(問)国際収支についてお伺いしたいのですけれども、今日発表された11月の国際収支で、過去最大の赤字となりました。大きな要因としては、円安によるエネルギー関係の輸入額が膨らんだことと、輸出がなかなか円安にもかかわらず思ったほど伸びてこないことかと思われますけれども、大臣としては今回の過去最大の赤字という結果についてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

(答)これは今までも申し上げてきましたけれども、これからも注意が必要だと思います。貿易収支、経常収支、国際収支、どれも基本は貿易収支の黒字で、その貿易立国の原点が今若干揺らいでいるわけであります。最大の原因は原発全停止による代替エネルギーの輸入、この輸入に円安が拍車をかけているということになります。そして、御指摘の通り、円安で輸出環境がよくなっているにもかかわらず、思ったほどスピーディに輸出が拡大していかない。もちろん輸入の増と輸出の増の関係にはタイムラグがあることは御案内の通りであります。
「甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年1月14日」(内閣府,2014.1.14)
http://www.cao.go.jp/minister/1212_a_amari/kaiken/2014/0114kaiken.html

 甘利大臣は「貿易収支、経常収支、国際収支、どれも基本は貿易[ママ]収支の黒字で、[今回の赤字により]その貿易立国の原点が今若干揺らいでいる」と、当世ではなかなか聞かなくなった外貨獲得方針を日本の方針だと主張したあとで、今回の赤字の「最大の原因は原発全停止による代替エネルギーの輸入」にあると述べている。

 しかし、これは二重におかしいのではないか。

 貿易立国とは、輸出立国ではない。海外に競争力のあるもの、価値のあるものを売るのと同じように、優れたもの、安いものがあれば海外から買う国である。そこで冬前に燃料需要が増え、原油高や為替で短期的に収支が赤字(9月までは黒字)になったからといっても、日本の経済基盤が傾いたわけではない。

 そして収支に悪いから特定品目の輸入をやめさせようというのも、おかしい。 収支が悪いので、特定品目の輸入をやめるというのは、昔の保護貿易と同じではないか。これは、昭和30年に外貨獲得だけを目的として、贅沢品輸入に規制をかけていた昔に帰ろうというものだ。当時は、外国製エアコンやゴルフクラブは輸入禁止だった。

 それをやるなら、天然ガス・原油以外にも収支を悪くするものはある、それも禁止すればよい。たかが電気を作るのに高価な天然ガス云々という意見があるが、それならたかが水を飲むのにボルビックやエビアンを買う必要はない。国民は水道水飲めといえばよい。エルメスの革細工を買う必要もない、ナイロンのバリバリ財布でも同じである。BMWベンツVWを買う意味もない。カローラかサニーで十分妥当である。そういうのと変わらない。国際収支云々を口にして、◯◯立国が揺らいでいるというのなら、そこまで主張すればよいだろう。

 そもそも、なんでそこまで原発を動かしたいか分からない。電力会社がソロバンづくで原発を動かしたいのは分かるが、なんで政治がそれに付和雷同するのかが分からない。かつてのように、潜在的な核兵器開発能力云々は意味もない。日本は既に膨大な量のプルトニウムを持っている。他には、リスクだけでメリットはない。まずは金でも貰っているのでなければ説明もつかない。

 電力会社もわざわざ高い燃料を買っている疑惑がある。総括原価方式とやらで、電気代が高ければ高いほど電力会社がトクをする仕組になっている。今どき国内炭を購入したり、海外炭も過剰に高品質炭を買っているという話もある。それで原価が高くなれば、利益も大きくできるというカラクリからだろう。原子力も同じ伝で、原価を高くできるからやったという話もある。

 電力所要で国際収支云々を言うなら、そのコストカットをやらせたほうがいい。別に日本で電力を作る必要はない。夏のロシアには電力が余っている。夏季にはロシアから電力を買ってもよい。天然ガスも余っている。サハリンからパイプラインを引くなり、サハリンに日本の発電所を作るなりすれば、冬でも日本に安価に安定供給できるだろう。



※ 「甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年1月14日」(内閣府,2014.1.14)http://www.cao.go.jp/minister/1212_a_amari/kaiken/2014/0114kaiken.html
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2014.01
04
CM:8
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12:53
Category : エネルギー
 FT法で作られる燃料は、自衛隊が採用する必要もないし、品質も過剰にすぎる。経済性を考慮しても、実際に使われているように低品質燃料に混和するのが最もよい使い方ではないか。

 藤原秀樹さんが、前々から、FT法について自衛隊の利用について述べている。最近では31日付の「日本の豊かな森林が生み出すクリーンなディーゼル燃料-自衛隊の利用でコストを下げ産業競争力強化を」がそれだ。

 この藤原さんの記事は、FT法による燃料合成を丁寧に説明しており素晴らしいものである。

 しかし、自衛隊に無理矢理にあてがう必要があるのか、品質についても高品質を強調し過ぎではないかといった点で、やや疑問がある。また、経済性についても、利用法や製造法について、現実に即していないように見える。FT法は他のバイオ燃料に比べて製造単価が高い。

 自衛隊はそれほど高品質の燃料を必要としていない。

 まず、航空燃料であるが、FT法100%純粋なケロシンは却って使いにくい。軽油や灯油には、芳香族と呼ばれる炭化水素が含まれている。匂いや黒煙そのほかの問題もあるのであまり好かれてはいない。しかし、その芳香族には配管をシールする作用がある。このため、ICAOではFT法100%のケロシンは使うな(半分に割ればOKとしている)としている。民間機も軍用機も、基本的には同じエンジンであるので、民間機で使えないものは、軍用機でも使えない。当然、自衛隊のジェット・ターボプロップでもそのままでは使えない。

 艦艇燃料も、航空燃料と同じように適していない。今の護衛艦はガスタービンで動いている。飛行機に積んでいるエンジンと同じものであり、芳香族では同じ問題が発生する。また、コストの問題もある。艦艇燃料は航空燃料よりグレードの低い軽油2号を使っている。多少問題があっても、公開中でも機関科が面倒を見れるため、燃料は低グレードでいい。その点からすれば、ヨリ安価なバイオディーゼル、菜種油や天ぷら油を改質してできるような脂肪酸エステルで十分である。バイオディーゼルはFT法よりも更に安い。

 陸上用の燃料としては、さらに適していない。陸上動力は、概ねディーゼル・エンジン(一部の艦艇も同じ)である。ディーゼルは何でも動く。極端な話、菜種油でも不良重油でも、灯油やアルコールで割ればそのまま動く。菜種油のたぐいの単価は、FT法どころではないくらいに安い。

 つまり、自衛隊全体を無理してFT法燃料を使う必要はない。あっても、航空燃料の一部に混和する程度である。だが、米海軍は航空燃料にもバイオディーゼルをつかう実験をしている。エネルギー効率が悪いFT方法を主要する必要はない。

 また、藤原さんが主張する経済性についても、疑問点がある。FT法の原料は、木材に限られたものではない。天然ガス液化(GTL)、石炭液化(CTL)、バイオマス液化(BTL)は全てFT法である。今日、同じFT法をとるのならば、アメリカのシェールガスやロシアの天然ガスを液化するのが一番安い。日本国内でも東京の地下にある南関東ガス田や、廃炭鉱や褐炭鉱からの低品質石炭、生ごみガス化をやったほうが、おそらく安価である。

 経済性については、繰り返すが他のバイオ燃料との比較も必要である。既に述べたバイオ・ディーゼル(脂肪酸エステル)は、植物油脂ならなんでも利用できる。また、同じ木質原料を使うにしても、すでに稲藁でセルロースから触媒を使ったエタノールの商業製造に成功している。高温高圧を必要とし、エネルギー効率の悪いFT法よりも、エタノール製造のほうが効率が高い。

 もちろん、FT法にもいいところはある。貧ガスや不良石炭を使用できる点はその長所である。

 だが、その利用法としては、硫黄や燐、バナジウムを多く含む不良燃料への混和が一番経済的ではないか。改質が必要な燃料に混入し、改質なしで販売するのが一番安価だろう。あるいは、不快な匂いが無い点を活かしての、石油ファンヒータや石油ストーブ用としての販売だろう。

 いずれにせよ、自衛隊が最初に使う必要はないし、自衛隊が必要とする燃料需要にも合致はしてないのである。




※ 藤原秀樹「日本の豊かな森林が生み出すクリーンなディーゼル燃料-自衛隊の利用でコストを下げ産業競争力強化を」(日本ビジネスプレス,2013.12.31)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39561
2013.09
21
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Category : エネルギー
 中国情報機関が先島の無人島を買うという。「尖閣防衛の要衝 西表島近くの無人島を中国企業が購入打診」※ で、ダミー企業がウ離島を買うという話なのだが、あんな島は尖閣とは全く関係ない。使い道にならない島を、中国人が高く買ってくれるという。それならば、売りつけるチャンスだろう。


大きな地図で見る

 記事中に、適当に話を合わせただろう海上自衛隊幹部の話が出てくる。どの立場かわからないが、まあ中国の脅威を煽るように言っておけばいい立場なのだろう。
「ウ離島は西表島の東端にあり、さらに20キロ東側にある石垣島の西岸海域を見渡すことができる。石垣島の南西側には石垣港がある。そこには尖閣警備の拠点の石垣海上保安部があり、再来年までには大型巡視船14隻からなる尖閣警備の専従チームが配備される予定だ。
 ウ離島から直接、石垣港を見ることはできないが、大型艦が石垣港に寄港しようとすると、周囲の水深の関係で、石垣島の西岸海域のルートを通過しなければならない。そこはウ離島の目と鼻の先。そこに視察拠点ができれば、こちらの動きが丸見えになってしまう」
 もし中国資本でウ離島にリゾート施設などができれば、それをダミーとした中国の視察拠点ができるのではないか──そう防衛関係者は懸念しているのだ。


 しかし、石垣港の様子を見るなら、石垣港から見るのが一番手っ取り早い。港の周辺にはホテルがいくらでもある。一室を借りきって、冷房の効いた部屋から冷たい飲み物でも飲みながら、港を観察すればよい。連絡も電話でいくらでもできる。あるいは、北西にある観音崎の高所に家でも立てればよい。北に向かい出入港する船舶とその針路はいくらでも観察できる。

 ウ離島が中国企業に買われても、別段の問題もない。そもそも石垣港は遮るもの無くマルミエで、わざわざ遠くから観察する必要もない。ウ離島からみたいなら見せてやれば良い。

 おそらく、中国情報機関とやらもそれは承知である。中国情報機関との話がホンモノであれば、むしろウ離島は尖閣と全く関係ない島というのは理解する程度の頭がある。その上で買うというのであれば、むしろ資金工作や裏金づくりだろう。

 中国では、情報機関や治安機関には容易に予算が支出される。民主運動家を1人監視するためだけに2億掛けているという話もある。それが対日工作や、尖閣といった名目をつければ尚更である。お金はいくらでも湧いてくる。

 情報機関には、運動資金が要る。日本でも旧軍情報機関は鴉片その他で一儲けして運動資金にしていた。米国でも、キャノン機関やCIAでも似たような話がある。コントラを援助するのにイランに武器を輸出するような訳のわからないことをしている。中国も同じようなものだろう。

 その点、土地取引は一番効率が良い。土地取引は大金が動く、高値というのは、裏金やリベートをとるには最適である。ダミー企業ほかの経費で3割差っ引く、日本側に1割リベートを要求すると幾らでも方法はあるが、一回でガッチリ多額のお金を抜くことができる。

 こう考えると、ウ離島の売却は、関係者にとって誠に都合のよい取引である。中国情報機関は資金工作ができる。島のオーナーは非常識な高値で売却できる。日本防衛関係者は中国の脅威を煽ることができる。困るのはお金を無駄遣いされる中国政府だけか。

 「中国情報機関にしてやられた」という報道も、日中阿吽の呼吸に見える。日本側が「島が失われた、日本の防衛情報が」と言えば、中国情報機関は「だからいい買い物だったでしょ」と政府や中華風会計検査院に説明しやくくなる。中国がそれっぽい監視をしてくれれば、日本の防衛関係者も「中国の脅威は先島まで及んでいる、防衛力強化」と説明しやすい。傍から見ていると出来レースにしか見えない。

 それを見た右曲がりのダンディ達が、本気になって怒るのは滑稽にしか見えない。石垣港なんてホテルから幾らでも見えるのに「中国に筒抜け」と国を憂い、「島を渡すとは売国奴め」と義憤に駆られた発言をするのは、マヌケの極みである。

 なんにせよ、益体もないウ離島を高値で売りつけるチャンスである。中国側は役にも立たない不良資産に不似合いな金を出すと言っている。気の変わらない内に売ってしまうべきだろう。



※ 「尖閣防衛の要衝 西表島近くの無人島を中国企業が購入打診」">「尖閣防衛の要衝 西表島近くの無人島を中国企業が購入打診」『Newsポストセブン』(小学館,2013.9.20)http://www.news-postseven.com/archives/20130920_212756.html
2013.08
30
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12:00
Category : エネルギー
 航空燃料にマーガリンを混ぜられるのではないかという話がある。EUや航空産業によるSWAFEAコンソーシアムは、10%までなら混ぜられる可能性があるのではないかと言っている。※

 もともと、ガスタービンはマーガリンで動く。粗悪燃料で動くヘビデューティー・ガスタービンは、極端な話、燃えるものならなんでも動く。液体だけでなく、気体でも粉体でも問題はない。その説明として、マーガリンでも動くという言い方は昔からあった。

 ただ、さすがに航空用ガスタービンでは、難しいと考えられていた。空を飛んでいる時に不都合があると危険があるためだ。燃料の粘度が上がって燃料配管が詰まったりすると、確かに不都合がある。同じエンジンでも、艦艇転用や陸上転用なら止まっても極端な危険には及ばないが、空中では最悪墜落の危険性がある。

 このため航空燃料は、実績がある原油由来のケロシンが使われていた。航空燃料には色々種類があるが、ターボプロップやジェット機用に使う燃料は、原油由来のケロシンであった。Jet-Aにせよ-bにせよ、JP-4にせよ-5にせよ、結局は原油由来のケロシンであり、中身に差はない。

 しかし、原油価格が常にバレル50ドルを越え、100ドルまでふれる時代になると、原油由来にこだわることはできなくなった。そのため、今では航空代替燃料(実際には、ケロシンに混和する燃料)が模索されるようになった。

 今のところ、FT法によるガス/石炭/バイオマス液化燃料(XTL、XはG,C,Bと変わる)と、植物種子油を水素富化したHRJについて実用化されている。これらはケロシンの半分まで混ぜていいことになっている。※※

 そして、それに続き、マーガリンも混ぜられるのではないかという話も出てきている。マーガリンは脂肪酸エステルそのものであるが、これはバイオディーゼルその他で利用実績が積まれている。ディーゼルとガスタービンが必要とする燃料は、高いセタン価(オクタン価と逆の概念)が求められる点で似ている。

 脂肪酸エステルは、比較的簡単、安価に製造できる。原料としてはHRJと同じ植物油脂(動物でも構わないが)であるが、HRJのように水素富化に高温高圧の反応を必要としない。このため、HRJよりも脂肪酸エステルの方が断然安くなる。

 ただし、脂肪酸エステルはXTLやHRJとは異なり、高級純粋ではない。純ケロシンのXTL、HRJとは異なり、ケロシンそっくりといった程度にすぎない。また、不純物も含むため、今のところは航空燃料に混ぜてはならないとされている。しかし、原油や航空燃料の高止まりもある。10%程度は混ぜられるのではないかという見通しの元、可能性追求のため、混和により、どのような影響があるのかを見極めようとしている段階にある。

 もちろん、航空燃料として不安があるだけであり、ヨリ条件がゆるやかな陸上輸送や艦船であれば大した問題はない。軍艦に積んでいるガスタービンは、基本的に航空機と同じものだが、温度条件や整備条件の有利もある。高級なXTLやHRJを使うまでもない。配管そのほかの次第によるが、うまくすれば脂肪酸エステル100%、しかも安く挙げるために精製度を低くしても動くかもしれない。

 かつて駆逐艦が大豆油で動いていたという話もある。軍艦大和と一緒に沖縄に向かった駆逐艦は、燃料に大豆油を混ぜていたため、煙突からその匂いがしたという。脂肪酸エステルで軍艦を動かすと、同じようにマーガリンの匂いがするものだろうか。



※ Christensen,Dほか"A Reality Check on Alternative Aviation Fuels""ICAO Journal"(66)3(ICAO,2011)pp.22-26

※※ XTLもHRJも、ケロシンそのものだが、却って不純物がないので混和制限されている。Jet-Aほかを構成する原油由来ケロシンには、芳香族が不純物として混じっている。灯油や軽油を燃した時に嫌な匂いをだし、大気汚染の原因となる嫌われ者だが、たまたま配管接続部からの燃料漏を防止する働きをしているためである。このため、既存機体に100%のXTL、HRJを給油することは許されていない。
2013.07
15
CM:5
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12:00
Category : エネルギー
 電力会社の利潤は、コスト×利益率なので、燃料が高価になれば利益も増える。その観点でみると、国内炭利用は電力会社銭ゲバ商法にしか見えない。

 北海道電力が、わざわざ発電に国内炭を使っているという。電力会社からすれば、電力料金で回収できるので構わないが、電力料金を払う側からすればふざけた話である。電力料金審査で引っかかるのは当然の話だ。 

 だが、その当然の批判に、腹を立てる人々もいる。「電気料金審査専門委員会でまさかの国内炭批判」がそれだ。概ね、原発事故以前の原発擁護に似たものにしか見えないのだが、当の本人たちは本気なのだろう。電力会社の親衛隊といったところだ。

 中でも、ヘボ担当は、愛社精神から他地域会社を、理屈にならない理屈で擁護した結果、例によってズレた発言をしている。日本国内から炭鉱がなくなると危険とか、バーゲニング・パワーが減るといったものだ。

 このヘボ担当さんは、自分を大きく見せるため、理解せずにそれっぽい言葉を並べる習性がある。JP-4とJP-5のコンタミは危険で危ないとか、CIFの意味も知らずに統計の見方は伝説の呂布で、といったマヌケな発言がそれである。しかし、コンタミにどのような危険がるのか、相場の日内変動に隠れる程度の輸送・保険コストのどこが有料ノウハウなのかは全く示せない。もちろん、何も理解していないためだ。そして、今回も似た発言をしている。

 日本国内から炭鉱がなくなることは、ヘボ担当さんの言うような致命的な問題ではない。ヘボ担当さんは
発言者の真意を疑いたくなりますね。割高な国内炭使用を止めよ!というのは、短期的には正しいのかも知れませんが、それにより失われる炭坑が何処にあるのか、[日本国内であることを]考えたことがあるのか不明。
https://twitter.com/hebotanto/status/355817542822010880
と述べている。日本の石炭使用量は、年間2億トン近い。ヘボ担当さんが重要視する、日本唯一の炭鉱、釧路コールマインで、高価な国内炭を年50万トンとった所で、0.3%未満であり、エネルギー安全保障上の意味はなにもない。そもそも、山元価格で国際価格の1.7倍である段階で、経済的には退場すべき炭田である。「失われる」と嘆く必要はどこにもない。

 バーゲニング・パワーも、ヘボ担当さんが考えた屁理屈に過ぎない。ヘボ担当さんは
また当該炭坑が廃止となっても、では現状ベースで海外石炭を購入できるかは全くの別問題。バーゲニングパワーは「買わない・他を当たる」選択肢が有るからこそ成立しますが。果てさて。
https://twitter.com/hebotanto/status/355818052442529792
と言う。しかし、それなら、なぜ他業種がバーゲニング・パワーとやらを確保するために国内炭を買わないのかの理屈がつかない。実際は、単に高価で割に合わないので買わない話である。だいたい、国際価格の1.7倍の石炭は、まともな会社なら採算に合わないので購入しない。多少高値で掴まされても海外炭の方が安い。出炭量で国内需要の0.3%未満なら、何のバーゲニング・パワーにもなり得ない。

 実際に、釧路コールマインの石炭は電力会社しか買っていない。理由は簡単である。電力会社は高い石炭を買ったほうが、自社にとって有利になるためである。例の総括原価方式であるので、燃料は高ければ高いほど良い。同じ利益率なら、元値の高い方が良い。キャバクラで高い酒をすすめるようなものだ。普通の会社は回収できないので、こんな馬鹿高い石炭を買ったりはしない。

 ヘボ担当さんの擁護は、愛社男が、愛社精神で会社を擁護しているつもりが、その珍理屈で逆効果を招いている。まず、会社内部の理屈と、世間の常識のズレに気づいていない。一種の、自転する組織脳なのだろう。電力会社は高コストなら高コストほど利益が増える収益モデルがある。普通の社員は、それを知りつつ、世間からそう見られないように言論には注意する。割高な国内炭利用についても、まともな社員も公式理由の「非常時に備える」とか「技術伝承を」と、会社が傷つかないように、自己保身図りつつ発言するだろう。もちろん、注意して割高であることには触れない。割高な燃料を使うことは、消費者に差額+利益を全額負担させることが明白になるからだ。しかし、ヘボ担当さんは「発言者の真意を疑いたくなりますね。割高な国内炭使用を止めよ!というのは」と発言する。自分の会社、業種が世間からどう見られているかを全く理解していない上に、会社防衛まで頭が行かないわけだ。会社を守ろうとして、会社に傷をつける発言であることに気づいていない。

 ヘボ担当さんは、自衛隊の愛国下士官のようなものだ。モノ見えていない愛国下士官は、会社公式発表を心底信じている。ヘボ担当さんの発言は、本気で防衛費が足りないと嘆く愛国下士官そのものである。もちろん、普通の下士官は、会社の理屈は外の屁理屈であることを承知しているから余計な発言はしない。出世の早い優秀な下士官は、頭がいいので、恨みを買わない程度に会社の中で会社公式発表を利用する。だがもちろん、会社の外に対してはそんなことは一言も言わない。会社の外でも自衛隊の愛国理論を振り回すのは、あまりロクな下士官ではない。能力や待遇を見ても、相応の水準にあると見ていいだろう。




 まあ、エネルギー安全保障なら、出炭量年50万トンで通年100万kwを確保するよりも、採炭量の天井のない、風車や太陽光を普及させたほうがいいんじゃね? 化石燃料にしても、ロシアからガス送るパイプライン(直接、電力を買ってもいいけどね)をつなげるなり、どれだけあるかしらないが、国内の亜炭・褐炭・泥炭を掘る準備だけをしておくほうが、建設的であり、マシに見えるのだけどね。
2013.06
29
CM:2
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12:00
Category : エネルギー
 日本のプルトニウム保有量は、44.9tで世界第5位にある。ロシア(176.4±8t)、イギリス(94.4t)、アメリカ(92t)、フランス(62±1t)に次ぐ量を保有している。日本の次にもっているドイツは7.6tに過ぎない。日本に較べれば、6-9位のインド(4.96±0.14t)、中国(1.81±0.8t)、パキスタン(0.11±0.02t)北朝鮮(0.03t)は僅かな量に過ぎない。

 ストックホルム平和研究所の"SIPRI Year Book 2012"を読んでいて見つけたのだが、2011年の各国プルトニウム保有量は既述のとおりである。

 これは、世間体が悪すぎるのではないか? 日本人は、今のところ核を作る気はない。デメリットを考えず、核武装すべきと主張する人は少なく、その主張は夢想的だと考えられている。しかし、国際社会から見ると、何を考えているのかわからない量を保有している。

 日本にとって、使うつもりもないプルトニウムを大量保有して非難されるのは割に合わない。イランがアレだけ非難されている現況である。そこで、雰囲気を読まずに、青森でプルトニウムの再処理まで始めようとする日本は、いずれ「空気を読め」と非難される。
 問題は、処分する方法がないということだ。MOX燃料でコツコツ消費するにしても、原状で原発は止まっている。政権は原発再稼働をしたくてたまらないようだが、再稼働となると世論は相当に反発する。だいたい、MOXへの眼も厳しくなっているので、プルトニウムを大量に処理することはできない。お金を払えばイギリスが処分してくれるという話もある。だが、資産であると言いはる電力会社は、その銭ゲバ体質から、日本の世間体も考えずバランスシートの悪化を嫌ってやろうとしない。

 さて、プルトニウムはどうしたものかね。今の政治状況では、盗人に追い銭だが、電力会社が損しない仕組みで、原発に鈍感などこかの発展途上国に、海外援助と称してMOX燃料で押し付けるくらいしかないのだろう。電力会社が栄えて国が困る構造だね。



仮に○○○を作るにしても、1tもあればいいのだけれどもね。



※   朝日新聞の社説だけど「負の側面に目をつぶり、課題を先送りするような原発回帰は『政治の無責任』としかいいようがない。」は的を射ていると思うよ。http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201306280699.html?ref=reca
2013.05
13
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13:00
Category : エネルギー
 「原発の汚染水が溜まっている」問題だが、物理的方法を使えばトリチウムを除去できるのではないか?

 福島第1原発では、大量の汚染水が発生している。冷却に使う水は極端に多くないものの、冷却済の水が建屋地下に湧き出してくる地下水と混交し膨大な量となっている。地下水の量は1日400トン以上と言われているが、汚染水貯蔵量のグラフ読み取りからすると1日200トン程度である。いずれにせよ、貯蔵量は膨大である。、

 汚染水を浄化できない原因は、トリチウム、三重水素である。トリチウム以外は化学的手段では除去できるが、性質が水そのものと変わらないトリチウムは化学的に除去できない。極端に危険なものでもない様子だが、放射能であることは間違いなく。海に放流することもできない。福島の県民も、沿岸の漁民も、日本の国民もそれを許さない。

 このトリチウムだが、除去すればいいのではないか?

 トリチウムを除去する手段は、ないこともない。重水と呼ばれる水があるが、製造方法は普通の水から、トリチウムとデュートリューム(重水素)を含む水を取り出す方法で行われている。逆の動作として、汚染水から軽水、普通の水だけを抜き出すことで、除去はできない話でもない。

 重水製造法は、物理的手段によって行われる。重水は単純に重い。電気分解をおこなって水素を取り出すときに、重い重水は動きが悪く、残りやすい性質を使うものだ。実際には、キレイに軽水からなくなり、きっちり重水が残るわけではないが、何回もやれば軽水が多い水と重水が多い水くらいにはわかれる。

 軽水だけを抜き出す内に、自然の水と同じ放射線量になる。そのあたりで放流すればいいのではないか。いずれは重水の量も減るだろう。

 もちろん、金はかかる。電気分解による重水製造は、電気がタダ同然の場所でなければできない。戦争中、重水製造がノルウェーで行われていたもの、単純に水力発電の電気が余っていたからである。

 ただし、沸騰させる方法でできれば、それほど金がかからないかもしれない。基準値以下の軽水だけを雑に得り取るなら沸騰でも解決する可能性がある。蒸発-凝縮操作なら、多重効用缶と真空引き、ヒートポンプを使えば、それなりの費用でできる。

 多重効用缶とは、砂糖水や塩水を濃縮したり、アルコールを蒸溜するための設備である。水蒸気が水に戻るときの凝縮熱を利用して、液体を加熱して蒸発させる仕組みである。もちろん、蒸発した水は凝縮器に導かれ、隣の缶の加熱に利用する。その時に真空引きをすることによって、低温でも沸騰状態をつくることができるようになる。低温沸騰であれば、熱源もヒートポンプで済む。近くに崩壊熱を出す厄介者もある。可能なら、ヒートポンプの吸熱側をそれにできれば経済的である。

 ほかにも水蒸気にして、拡散させる方法とかも考えられるだろう。ウラン235と238を選り分ける方法がそれである。コストはともかく、気相拡散と遠心分離を組み合わせでも、できないことではない。

 具体的にコストを論じることができるわけでもなく、そのつもりもない。だが、10回か、100回か、電気分解か、蒸発・凝集操作か、気相拡散・遠心分離を繰り返させれば、汚染水から放射線量で異常のない水、軽水を取り出すことはできる。また、汚染水の量も減らすことができる。実用性は極めて低く、コストも高いが、やる気になってできないことではない。

 もちろん、汚染水の量を減らし、それを保管できるならそれでいい。地下水の移動を止めれば、汚染水の量は相当に減る。高トチリウム濃度の水も、循環冷却で使う分なら何の問題もない。汚染水の量が減れば、トリチウム除去を剃る必要もない。発生する汚染水の量が減りました。その汚染水も、例えば半減期の12年×5で60年も保存しておけば、放射線量は5%以下まで低下する。それなら、それでもいいだろう。

 ただ、今のところは泣き事をいって放流しようという気分も見えてくる。まず弥縫策だけをしているようにしか見えない。電力会社の発表をみると「汚染水を貯める場所がなくなりました」「人体に直ちに影響はありません」みたいな泣き言をいって、放流できるようにしたいのではないかと勘ぐりたくなる。だが、仕方なく放流するにしても、その前に実用的ではないとか高いといった逃げ口上を塞いで、やらせることはあるだろう。
2012.10
02
CM:0
TB:0
23:57
Category : エネルギー
 国立国会にに閉店時間まで居座って外に出ると、太鼓の音がする。「原発反対のサウンドデモかなにかだろう」と思ったのだが。首相官邸にしては音がでかい、閉会中の議事堂にデモもない。永田町の駅まで歩くと、その先にある自民党党本部前でデモやっていた。

自民党前

 参加者は、掴みで300人といったとこか。歩道にそって集まっていたんだけれども、反対側歩道から見るとそんな感じ。全体を見渡してみると、直感でだいたい200‐300くらい。ある程度見当つけようと、テモ列の真ん中を見つけてその半分、そのまた半分(1/4)、そのまた半分で1/8の検討をつけて、その1/8を10人ずつくらいで割ってみると30-40人位の見当になった。8倍して300程度かね。平日の夕方なのに結構あつまったものだ。

 主張は「原発反対」と分かりやすい。その上で、推進してきた自民党への抗議になっている。5分程度しか見てなかったけど、原発反対と、それに関連する自民党への抗議以外の、政治的なシュプレヒコールはない。結構、好印象だった。※ 汽車に乗ってから検索すると、金曜デモが火曜日に出張してきたものらしい。

 たしかに、自民党は責任は免れんよね。長く与党だった自民党は原発推進でやって来たわけだ。電力業界ともズブズブ。(民主党も電力労組とズブズブだったみたいだけどね) そして、この期に及んでも原発に未練を残している。こないだの自民党総裁選だと、候補者全員が原発維持を表明している。

 デモと主張は賛同できる感じでしたねえ。まあ、自民党の新体制が、原発反対の声よりも大企業や業界に賛同しそうなわけで、抗議はあっても不思議じゃないですね。

 ま、一番先立って抗議する先は、東電だと思うんだけどね。



※ あのあたりで一番腹たったデモは、草莽全国地方議員の会。あまりに酷いので日記に書いてあった。最高裁判所の前から、国立国会に向けてスピーカーでアジ演説しやがった。デジタル史料とかマイクロとか、眼が痛くなるような画面と格闘しながら読んでいる利用者は皆殺意を抱いていたよ。TPP反対(の名を借りたマスコミ批判)だったが、隣に座った爺サマ曰く「国会議事堂前で、常識的な範囲で主張していた農業団体のみなさんを見習え」だってよ。
2011.03
18
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02:08
Category : エネルギー
 電力に関しては、夏や冬に向けた電力供給力回復が焦点になる。だが、短期間で東電の送電能力を劇的に強化することはできない。

 原子力の発電所の再起動は、相当難しい。今回停止した福島第二原発、4基440万kwの再起動には、時間的な問題に加えて、政治的な問題がつきまとう。福島県は当然渋る。福島県には再起動を拒むだけの正当な理由もある。東電が、あるいは政府がどこまで押せるのかといった、県との綱引きが必要になる。東電や政府には「国民生活」という錦の御旗があり、また「福島の事情はわかる、しかし…」という世論の後押しもあっても楽観視できない。

 火力発電に関しても、できることは限定される。停止した火力発電所を起動する程度である。本格的な火力発電所の増設は間に合わない。火力発電所を新設するには2~3年はかかる。手軽な火力発電である、ガスタービン導入も短期間では準備はできない。粉炭や貧ガスからマーガリンまで燃やせるような陸上発電用のヘビー・デューティ・ガスタービン製造はリードタイムが長すぎる。

 汎用ガスタービンを集めても、発電規模は限定される。もともと汎用ガスタービンは自家発電用程度に使うものである。出力は不足している。艦艇用(航空転用型)のLM2500でも2万5000馬力(1万8000kw)である。発電効率を加味するとガスタービン1基で1万kwは発電できず、7000~8000kwがいいところである。発電所の体裁を整えるには、50基100基のガスタービンを必要とする。短期間にどれだけのガスタービンを準備できるのかという問題に行き当たる。

 電力輸入も短期間では不可能である。ロシアや韓国から電力を輸入するとしても、海底送電線他を準備する時間は短くない。ロシアからとなると、長距離送電のため超高圧直流送電となるが、直流から交流に戻す変電設備も簡単には作れるものではない。

 短期間で可能なのは、小規模発電の強化しかない。短期間の小規模発電強化では、夏や冬の電力不足を解決することはできない。だが、問題を緩和することはできる。

 企業が保有している自家発電機を日中常時運転することはできる。その企業の負荷を東電から切り離せば、その分、需要は減る。問題は、燃料が続かないことだが、タンク容積の増加や、境界との距離や消火能力、仮設上屋や防油堤築造を条件にの下にドラム缶で集積させてもよい。

 自家発電機を増産・緊急輸入してもよい。東電送電網に連結することは割が合わず、本格的な自家発電機は家庭の手には余る。しかし、企業であれば活用はできる。部分的でも負荷を減らせば、需要を減らすことができる。企業に積極的に使わせるには、発電機やA重油への助成をすればよい。

 太陽光発電も増産や緊急輸入できる。日差しに応じた発電能力となるので、夏の冷房需要を緩和する有効な手段となる。直流から交流に変える必要があるが、各家庭で使う分には、それほどの問題とはならない。外国製が電圧や周波数に難があっても、問題にはならない。家庭用の電機は、洗濯機も空調も50/60hzは兼用である。電子機器は、整流し、電圧安定化を行うので全く問題とならない。

 風力発電も、単独運転であれば比較的短いスパンで建設できる。欧州から回してもらえば、晩夏には間に合う。冬までには十分設置できる。単独ではあまりあてにはならないにせよ、計画停電を甘受するよりはマシと考える企業も出てくる。

 いずれにせよ東電は悪い話である。企業や家庭での発電は、東電にとっての市場喪失を意味する。経営的な判断として、早期の回復が可能であると謳うだろう。しかし、実態として電力不足を解決するほどの手段もない。原発の再起動は相当に難しい。火力発電所の新設も時間を要する。できることは小規模発電の強化による問題の緩和しかないのである。
2011.03
13
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18:44
Category : エネルギー
 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では、原子力発電所も被害を受けた。12日には福島県の原発から放射性物質、つまり放射能が漏洩し、周辺では低レベルながらも被曝された方が発生した。

 原発そのものの構造は地震に耐えた。破損したのは補機であり、その後の適切な操作によって破滅的な事態は避けられる見通しである。なにより現場では関係者が必死で頑張っており。危険な状況での活動には、頭がさがる思いである。

 しかし、原発への信頼は下がった。地震により原発は被害をうけ、放射線漏れにはとどまらず、放射能漏れに至ったことは事実である。従来の原発推進論では「地震があっても大丈夫」と保証していたが、その保証が崩れたことになる。実際の危険性はそれほどではないにせよ、今回の地震で放射能漏れを起こした以上、「同じような大地震が起きたら…」に対して「安全である」とは言い切れなくなった。

 今後、原発は今回以上の地震にも耐えなければならなくなった。現にマグニチュード9.0の地震が発生したのである。今後、原発はヨリ大きな地震に耐えなければならない。設計基準はマグニチュード9.0以上となる。津波対策を施すことも要求される。補機類についてもヨリ頑丈に、冗長性をもって整備しなければならない。非常用予備品の備蓄も大掛かりにしなければならない。原発要員数増員や要員水準も上がる。なによりも、不安や危険性の対価である周辺対策費が跳ね上がる。

 原子力発電はコストアップする。新設にせよ、既存にせよ、原子力発電所は今まで以上に丈夫につくらなければならない。非常時に備えた準備や周辺対策費も厚くしなければならない。これらの対策を実施しても、発電量は増加しない。原子力発電で生まれる電力は当然高くなる。

 原子力発電は高コストに耐えられるのか。まず、原子力発電のコストアップは避けられない。原油価格次第でもあるが、経済性で割があうかどうかの議論も出てくる。 経済性の観点だけでも、原子力発電所の新設には不利に働く。原子力発電のコストについては、いろいろな試算があるが、原発を推進する立場での試算であってもLNGや石炭を使用した火力発電と同等である。今後のコストアップを加味すると、経済性から原子力が選択される可能性は少なくなるのである。

 化石燃料からの転換先は変化する。原発建設の理由である化石燃料への依存減少にしても、原発のコストがある程度上がれば、割高であるグリーン発電、再生可能エネルギーの選択も真面目に考慮されるようになる。グリーン発電には、経済性以外の利点がある。原子力に較べ、グリーン発電は安全であり、災害時にもお荷物にはならない。また、グリーン電力は立地上の自由度もあるため、地域的に分散が可能である。立地が制限される原発は、集中せざるを得ないため、地震等によりまとめて動かなくなる可能性がある。今回の地震で東京電力が保有する原子炉は10基/17基が停止した。分散していれば、半分以上の発電所が停止するようなリスクは避けることができるのである。