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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2010.06
21
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02:37
Category : オカルト
こっちから向こうは見えるけれども、向こうからこっちは見えない。
相手には気づかれていないことが必要だし、その観察の一方向性があるから、「覗く」行為には快楽、愉悦に似たものが生じる。
初期のエロ写真、エロ映画なんかでも、わざわざ鍵穴のマスクを作って、その中にエロスを放り込むことによって、エロさを倍加させているわけだ。エロにも限らず、「覗く」ことの一方向性によって、観察者は好奇心や興味を書き立てられる。

しかし、その一方向性が崩れたときに、観察者は狼狽する。たとえ観察が合法であり、なんら咎めだてされない行為であっても、暴かれたことによって観察者は優位から劣位の存在となってしまう。匿名者の匿名性が暴かれたとき、その名前が明らかとなったときも同じだろう。神話や民俗にも似たような例もあるだろう、オカルトものなんかでは、怪力乱神はその真名を知られることによって服従、使役されてしまうなんてパターンは結構ある。

というそのオカルトなんだが

<こわい話>狂った村人が村民を皆殺しにして、「地図から消えた幻の杉沢村」

884 名前: 下敷き(宮崎県)[] 投稿日:2010/02/13(土) 11:28:20.96dHOZKod/
漏れにはちょっと変な趣味があった。
その趣味って言うのが、夜中になると家の屋上に出て
そこから双眼鏡で自分の住んでいる街を観察すること。
いつもとは違う、静まり返った街を観察するのが楽しい。
遠くに見えるおおきな給水タンクとか、
酔っ払いを乗せて坂道を登っていくタクシーとか、
ぽつんと佇むまぶしい自動販売機なんかを見ていると妙にワクワクしてくる。

漏れの家の西側には長い坂道があって、
それがまっすぐ漏れの家の方に向って下ってくる。
だから屋上から西側に目をやれば、
その坂道の全体を正面から視界に納めることができるようになってるわけね。
その坂道の脇に設置されてる自動販売機を
双眼鏡で見ながら「あ、大きな蛾が飛んでるな~」なんて思っていたら、
坂道の一番上のほうから物凄い勢いで下ってくる奴がいた。
「なんだ?」と思って双眼鏡で見てみたら全裸でガリガリに痩せた子供みたいな奴が、
満面の笑みを浮かべながらこっちに手を振りつつ、猛スピードで走ってくる。
奴はあきらかにこっちの存在に気付いているし、漏れと目も合いっぱなし。
ちょっとの間、あっけに取られて呆然と眺めていたけど、
なんだか凄くヤバイことになりそうな気がして、急いで階段を下りて家の中に逃げ込んだ。

885 名前: 下敷き(宮崎県)[] 投稿日:2010/02/13(土) 11:29:56.83dHOZKod/
ドアを閉めて、鍵をかけて「うわーどうしようどうしよう、なんだよあれ!!」って怯えていたら、
ズダダダダダダッって屋上への階段を上る音が。明らかに漏れを探してる。
「凄いやばいことになっちゃったよ、どうしよう、まじで、なんだよあれ」って心の中でつぶやきながら、
声を潜めて物音を立てないように、リビングの真中でアイロン(武器)を両手で握って構えてた。
しばらくしたら、今度は階段をズダダダダッって下りる音。
もう、バカになりそうなくらいガタガタ震えていたら、
ドアをダンダンダンダンダンダン!!って叩いて、
チャイムをピンポンピンポン!ピポポン!ピポン!!と鳴らしてくる。
「ウッ、ンーッ!ウッ、ンーッ!」って感じで、奴のうめき声も聴こえる。
心臓が一瞬とまって、物凄い勢い脈打ち始めた。
さらにガクガク震えながら息を潜めていると、
数十秒くらいでノックもチャイムもうめき声止んで、元の静かな状態に……。
それでも当然、緊張が解けるわけがなく、日が昇るまでアイロンを構えて硬直していた。
あいつはいったい何者だったんだ。
もう二度と夜中に双眼鏡なんか覗かない。


ホラーとしては良くできている。そう思って、なんでホラーがあるのかを考えた結果、冒頭のような結論に達したわけだ。これは、完全に「覗く」行為の一方向性が崩れ、観察者が対象に対して優位から劣位に遷るときの恐怖を利用したものだろう。

まあ、最初に面白いと思ったのは

> 双眼鏡で見てみたら全裸でガリガリに痩せた子供みたいな奴が、
> 満面の笑みを浮かべながらこっちに手を振りつつ、猛スピードで走ってくる。

というところ。
いや、マンガや小説、映画に登場する双眼鏡や望遠鏡への過剰な期待が見事に現れているのですよ。
7倍~10倍の双眼鏡では、自転車に乗った人間の表情なんてわからない。10倍~20倍の双眼鏡では、視野が狭く、手ブレで自転車の追尾なんか、詳細な観察を継続しながら不可能だろう。まして夜だもの、そんなにクッキリ見えやしない。

とはいえ、この手のガジェットで絵的には(おはなしや文章であっても)面白くなるのだから、ウソでも楽しめればいいのでしょう。
(「ジャッカルの日」で、スコープに入る標的がドゴール風じゃないとね、実際人間の頭なんて粟粒大にしか見えないけれどもさ)

MIXIの2010年02月21日日記から転載
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2010.06
21
CM:0
TB:0
00:48
Category : ミリタリー
 明末の技術書、『天工開物』(宋應星 平凡社東洋文庫版)の中で気になったところ。

 黒色薬の製法なのだが。
『硝石の性質は真直に飛ぶのが特徴である。
 だから直撃する火薬の成分は硝石九で硫黄が1である。
 硫黄の性質は横に広がるるのが特徴であるから、
 爆撃する火薬の成分は硝石が七で硫黄が三である』(302頁)

 コレって、爆速と爆圧の事じゃないの?
爆速を上げたければ、硝石を増やして爆轟のスピードをあげる。
爆圧を上げたければ、硫黄を増やしてカロリーと発生ガス量を稼ぐ。
ってことじゃないのかな。
 化学的にあっているかどうか怪しいけれども、配合比を変えたりした結果、そういう傾向にあるということを突き止め、それを発射薬用、爆薬用と表現したのではないか?

「硝石の性質は真っ直ぐ…」とか理学っぽい(儒教のほうね)感じだし、「原典のニュアンスどうよ」と、版本に当たってみたのだが、やっぱり発射薬と爆薬っぽい感じ。
『消性主直、直撃者消九而硫一。硫性主横、爆撃者消七而硫三。』
九大デジタルアーカイブ該当部分より、句読点は文谷)

 この『天工開物』の兵器の部、地雷や機雷、擲弾の親玉みたいな武器も出ている。爆撃=「炸薬としての爆薬」って意味ならば、7:3の配合は爆圧重視なのかもしれない。
 まあ、硝石の節約策の可能性もあるのだけれども。

↓版本(九大デジタルアーカイブ)へのリンク
地雷=地雷(導火線式)、機雷=混紅龍(導火線管制式水中上向砲?)
擲弾=万人敵(桶の中に火薬をいれて投擲する)