Category : ミリタリー
夏コミ作業の準備として『The Military Balance 2010』で下調べをしていたのだが…
ロシア軍の凋落(極東ソ連軍って7万5000人しかいない!)に加えて、中国軍の陳腐化に驚いた。中国軍については、いつもは艦艇ばっか見ていたから、コンスタント新型装備が入っている印象だったのだけれどもね…
特に空軍がどうしようもない。中国空軍(PLAAF)、いまだに主力戦闘機がJー7/J-8なのね。いや、割と知られている話なんだけれども、現役の機材の数を出してみるとその深刻さも分かる。
戦闘機の数が1100機+となっているが、その内数は惨々たるもの。
J-7(MIG-21相当) × 550
J-8(J-7双発化) × 310
J-10(ラビっぽいアレ) × 120
J-11(中国製Su-27) × 116
3/4以上が、1960年代の水準に留まっている。そういうことになる。J-7やJ-8はアップデートしているのだろうけれども、そもそもアビオニクスの出発点が低いからあまり期待できないだろう。機体そのものにしても、燃費の悪いエンジンとか機体サイズの限界から足も短い。邀撃用にしか使えないシロモノ。新型のJー10にしても、軽戦闘機風の位置づけのようで、SU-27を超える機体ではなさそう。そのSu-27にしても、まあ同世代の米軍新鋭機を凌駕するものではない。
戦闘爆撃機にしても、約300機中、新型のSu-27/33は92機、あとはJ-7とQ-5。
さらに付け加えれば、AEWの性能と数、タンカーの不足もあるので、どうしようもない状態。
陸軍も一気に陳腐化(もともと新鋭装備だったこともないけど)
主力戦車6550+両保有しているのだが
59式(T-55の国産型) × 4300+
79式(西側系FCS・砲) × 300
88式(エンジン出力強化) × 500
96式 × 1500
98式 × 250
空軍の戦闘機と同じ、1960年代水準が3/4近い。第三世代相当は1750両。
ヘリコプターの中身もあまり芳しくない。
戦闘ヘリも、ドーファンベースの「武装」ヘリ水準で、数も126機
輸送ヘリは、ドーファン×90 Mi-17×150、UH-60(S-70)×18
偵察ヘリは、AS350 ×53
戦闘ヘリは攻撃ヘリとしては使えないだろう。輸送ヘリも数に余裕がない。さらにドーファンは馬力が不足している。Mi-17は積めるけど高地運用能力が駄目。UH-60は高価な米国製
で数は限定される。AS350(海自が練習機としたアレ)なんて、6人しか積めないから、偵察ヘリに分けたよ(文谷による)
いずれにしても陸空軍の近代化は、定数を減らさないとどうしようもない。『ミリタリーバランス』の数は、昔からあんまり精密ではないのだけれども、人民解放軍の近代化が第二炮兵と海軍に傾斜配分されていることは間違いない。
…この状況をみるとね「中国脅威論」もどうかと。
「近代化の進む中国軍」とはいわれる。しかし、その実態からすれば、貧困等の国内問題深刻化と、冷戦終結の状況下、軍部が望むだけの1:1の新型装備更新はまず無理。近代化よりも急速な陳腐化が先行してしまうわけだ。
それでもなお新型は高いから、国防費も大きくなってしまう。新型装備と国防費増大によって周りの国も文句をつけてくる。中国の国防政策は巧く行っていないんじゃないのかね?
そういった実態を見ないで、ネトウヨ等が「沖縄が奪われる」なんというのは何を見て怯えているのかと。
守る側の自衛隊を見てみると、重要な装備はことごとく新型になっている。さらに、島嶼戦で米軍に抗堪しえた日本陸軍のノウハウを継承した陸自や、防空軍と対艦攻撃(普通は海軍航空隊の仕事)に特化した空自は、本土決戦準備やっているようなものだ。中国軍じゃ手も足も出ないだろうよ。
でもまあ一番驚いたのが、『The Military Balance 2010』って400ユーロもするって点だね。むかしは3000円で訳本が買えたんだけれどもね。ネットの普及でこの手の本は高くなったもんだ。当然、買わないでNDLで複写。
『The Military Balance 2010』はNDLでも開架で置いてある。そのそばに『国際軍事データ』(ディフェンス リサーチ センター)があってパラ読みしたのだけれども。必死に日本周辺の脅威を煽っていてなんだかなーという内容だった。まあ、どれくらい必死かというと、かつての『Soviet Military Power 1984』なみかな?
ロシア軍の凋落(極東ソ連軍って7万5000人しかいない!)に加えて、中国軍の陳腐化に驚いた。中国軍については、いつもは艦艇ばっか見ていたから、コンスタント新型装備が入っている印象だったのだけれどもね…
特に空軍がどうしようもない。中国空軍(PLAAF)、いまだに主力戦闘機がJー7/J-8なのね。いや、割と知られている話なんだけれども、現役の機材の数を出してみるとその深刻さも分かる。
戦闘機の数が1100機+となっているが、その内数は惨々たるもの。
J-7(MIG-21相当) × 550
J-8(J-7双発化) × 310
J-10(ラビっぽいアレ) × 120
J-11(中国製Su-27) × 116
3/4以上が、1960年代の水準に留まっている。そういうことになる。J-7やJ-8はアップデートしているのだろうけれども、そもそもアビオニクスの出発点が低いからあまり期待できないだろう。機体そのものにしても、燃費の悪いエンジンとか機体サイズの限界から足も短い。邀撃用にしか使えないシロモノ。新型のJー10にしても、軽戦闘機風の位置づけのようで、SU-27を超える機体ではなさそう。そのSu-27にしても、まあ同世代の米軍新鋭機を凌駕するものではない。
戦闘爆撃機にしても、約300機中、新型のSu-27/33は92機、あとはJ-7とQ-5。
さらに付け加えれば、AEWの性能と数、タンカーの不足もあるので、どうしようもない状態。
陸軍も一気に陳腐化(もともと新鋭装備だったこともないけど)
主力戦車6550+両保有しているのだが
59式(T-55の国産型) × 4300+
79式(西側系FCS・砲) × 300
88式(エンジン出力強化) × 500
96式 × 1500
98式 × 250
空軍の戦闘機と同じ、1960年代水準が3/4近い。第三世代相当は1750両。
ヘリコプターの中身もあまり芳しくない。
戦闘ヘリも、ドーファンベースの「武装」ヘリ水準で、数も126機
輸送ヘリは、ドーファン×90 Mi-17×150、UH-60(S-70)×18
偵察ヘリは、AS350 ×53
戦闘ヘリは攻撃ヘリとしては使えないだろう。輸送ヘリも数に余裕がない。さらにドーファンは馬力が不足している。Mi-17は積めるけど高地運用能力が駄目。UH-60は高価な米国製
で数は限定される。AS350(海自が練習機としたアレ)なんて、6人しか積めないから、偵察ヘリに分けたよ(文谷による)
いずれにしても陸空軍の近代化は、定数を減らさないとどうしようもない。『ミリタリーバランス』の数は、昔からあんまり精密ではないのだけれども、人民解放軍の近代化が第二炮兵と海軍に傾斜配分されていることは間違いない。
…この状況をみるとね「中国脅威論」もどうかと。
「近代化の進む中国軍」とはいわれる。しかし、その実態からすれば、貧困等の国内問題深刻化と、冷戦終結の状況下、軍部が望むだけの1:1の新型装備更新はまず無理。近代化よりも急速な陳腐化が先行してしまうわけだ。
それでもなお新型は高いから、国防費も大きくなってしまう。新型装備と国防費増大によって周りの国も文句をつけてくる。中国の国防政策は巧く行っていないんじゃないのかね?
そういった実態を見ないで、ネトウヨ等が「沖縄が奪われる」なんというのは何を見て怯えているのかと。
守る側の自衛隊を見てみると、重要な装備はことごとく新型になっている。さらに、島嶼戦で米軍に抗堪しえた日本陸軍のノウハウを継承した陸自や、防空軍と対艦攻撃(普通は海軍航空隊の仕事)に特化した空自は、本土決戦準備やっているようなものだ。中国軍じゃ手も足も出ないだろうよ。
でもまあ一番驚いたのが、『The Military Balance 2010』って400ユーロもするって点だね。むかしは3000円で訳本が買えたんだけれどもね。ネットの普及でこの手の本は高くなったもんだ。当然、買わないでNDLで複写。
『The Military Balance 2010』はNDLでも開架で置いてある。そのそばに『国際軍事データ』(ディフェンス リサーチ センター)があってパラ読みしたのだけれども。必死に日本周辺の脅威を煽っていてなんだかなーという内容だった。まあ、どれくらい必死かというと、かつての『Soviet Military Power 1984』なみかな?
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『イギリス連合王国の政治と行政』(発行年月日不明 東京駐在英国大使館情報部刊
”Goverment and Administration of the United Kingdom”1952年版と56年の抄訳?)読んで少々。
イギリスの諸制度を紹介する本なんだけれども。まあ、王妃は王と同格になるが王配は女王より下になる(エディンバラ公ね)というような有名ところから、検死裁判所(Coroner's Court)とかスコットランドの奉行裁判所(The Sheriff Court)とか珍妙に見える組織名、中世以来の四季裁判(Court of Quater Session)、巡回裁判(Assize)、教会裁判所の大僧正裁判所(Provincial Court)と僧正裁判所(Consistory Court)が戦後も残っている点なんかが面白いところか。
ただね、警察組織にある『王立アルスター警備隊』(The Royal Ulster Constabulary)でチョットね。北アイルランドの警察組織なんだが、北アイルランド政府とベルファウスト諸団体のカンパで運営されているような書きぶり。「植民地の権力側が金を出し合って自警組織を作って、そのまま警察になったような感じなのかねぇ、嫌らしい」と考えたとき「何かに似ている」と気に掛かったのよネ。アトで気づいたのだけれども、東インド会社が自前で軍隊を持ったようなものなんだろうね。(正しいかどうかは確認しないといけないけれども)
あとは、軽微犯罪治安裁判所は無給判事(多分、地方の名士のボランティア)によるが、ただしロンドンは有給判事である、というあたりもなんか自治都市ロンドンの格の高さなのだろう。
MIXI日記 2010年02月13日 より
”Goverment and Administration of the United Kingdom”1952年版と56年の抄訳?)読んで少々。
イギリスの諸制度を紹介する本なんだけれども。まあ、王妃は王と同格になるが王配は女王より下になる(エディンバラ公ね)というような有名ところから、検死裁判所(Coroner's Court)とかスコットランドの奉行裁判所(The Sheriff Court)とか珍妙に見える組織名、中世以来の四季裁判(Court of Quater Session)、巡回裁判(Assize)、教会裁判所の大僧正裁判所(Provincial Court)と僧正裁判所(Consistory Court)が戦後も残っている点なんかが面白いところか。
ただね、警察組織にある『王立アルスター警備隊』(The Royal Ulster Constabulary)でチョットね。北アイルランドの警察組織なんだが、北アイルランド政府とベルファウスト諸団体のカンパで運営されているような書きぶり。「植民地の権力側が金を出し合って自警組織を作って、そのまま警察になったような感じなのかねぇ、嫌らしい」と考えたとき「何かに似ている」と気に掛かったのよネ。アトで気づいたのだけれども、東インド会社が自前で軍隊を持ったようなものなんだろうね。(正しいかどうかは確認しないといけないけれども)
あとは、軽微犯罪治安裁判所は無給判事(多分、地方の名士のボランティア)によるが、ただしロンドンは有給判事である、というあたりもなんか自治都市ロンドンの格の高さなのだろう。
MIXI日記 2010年02月13日 より