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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

→ サークルMS「隅田金属」
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2010.08
28
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11:02
『05式水陸両用戦車は通常の3倍のスピードです』への反論です。
また『何故か◯◯◯◯演習の想定に拒否反応を示す隅田金属ぼるじひ社』伏字は隅田金属による)への反論でもあります。

> 05式水陸両用戦車
 なるほど、20kt出るわけですか。中国の人も立派な水陸両用戦車を作ったわけですね。でも、毎秒10m/sです。左右への転舵も敏捷でないでしょう。加減速も緩慢でしょう。水上目標としてそれほど攻撃が困難なものではない。

 さらに、その火力にしても、命中率はともかく、結局はT-72以下でしょう。前に述べたように、数が問題です。運ぶ手段が問題です。個々の戦車の性能は問題ではない。

> 海岸線付近での戦車戦は過去の戦史に幾つか例が有ります。ノルマンディー、シチリア、ビアク、サイパン、硫黄島、占守島などです。

 戦車と戦車が戦ったかもしれない。しかし、戦闘の主役は歩兵ですね。防御側は堅固な陣地によって粘り強く抵抗する。戦車はその陣地を潰すための兵器としての運用が優先されている。上陸戦側の戦車の役割はそちらでしょう。JSF氏が挙げた戦場でも、戦車vs戦車は刺身のツマのようなものです。


> 素直に謝罪し訂正して下さい。

 これが、JSF氏の攻撃性の現れです。自己の勝利の演出のために「読者を誤らせた」と言い寄り「謝罪」を要求します。
 海軍歩兵/海軍陸戦隊/海兵隊の兵員の素養は高い。また予算は潤沢かもしれない。しかし、最新鋭の戦車はすべて陸軍から配備されている。陸軍に一巡してから海軍に来る。特に誤りとは考えない。


> 同人誌の方は冬コミで訂正を入れるか、自分のサイト上で記述間違いを公表し、購入者への注意を促して下さい。

 JSF氏は準備委員会でもない。準備委員会でも各サークルの編集権には介入しない。著作権に違反したわけでもない。わいせつ図画にあたる表現をしたわけではない。
 私のサークルで本を買ってくれる人は、私の本に約500円の価値があると考えて買っている。その内容についても、その人が判断すれば良いだけの話です。

 しかも、しかもJSF氏は、私の本を読まないで判断している。それは妥当ではない。
 この謝罪要求の裏には、JSF氏が自身と同一視している戦車への侮辱を謝罪しろという心理もあるのでしょう。氏にとっての戦車の憧れは、原始的な心理であるペニ・ス願望なのです。セクシャル・シンボルへの執着なのでしょう。だから「ボク=戦車に謝罪しろ」と言い寄ってくるのです。

 いずれにせよ、JSF氏の議論には「上陸戦は戦車で決まる」という奇妙な方向性があります。これは「戦車が役に立たないと、JSF氏自身の存在価値が示せない」ことに起因するのでしょう。ですから、戦車が必要というシチュエーションを作るために奇妙な作為を行っている。これこそが「素直に謝罪し訂正して下さい」あるいは「自分のサイト上で記述間違いを公表し、購入者への注意を促して下さい」でしょう。
 別に私は、勝利を続けることによって「無敵魔王」の称号を得る必要もない。また「@obiekt_JP 私がそちらに寄稿してもいいです。」(WEBRONZAのツイッター、12:44 PM Aug 26th)とか「◯◯さん、安全保障で記事を書くときには相談に乗りますよ」(かみぽこ政治学 http://plaza.rakuten.co.jp/kingofartscentre/diary/201005250000/)と原稿依頼のための権威だてが欲しいわけでもないですから、謝罪は求めませんけれども。



 また、上陸戦そのものの前提条件をも弄っている。それも戦車を上陸させないことには議論をJSF氏自身の権威向上に使うことができないからでしょう。

 JSF氏は、まず周辺国の揚陸戦能力不足を直視しないために、不自然な作為をしています。まず、周辺国が、戦車を日本に揚げるために必要な揚陸艦能力を直視することを避けるために商船による上陸戦というファンタジーを主張しているのです。それは揚陸艦の存在意義の否定でしょう。
 日米英の揚陸艦開発の歴史は、商船による敵前上陸が不可能であることの証左でもある。氏は戦車の装甲にこだわるのに、それを脆弱な商船に乗せることに不思議を感じていないのでしょうか。さらに長時間の沖荷役(最低でも1日仕事、ヘタをすれば3日仕事です)で日本側の攻撃に晒すことが許せるのでしょうか。
 商船の直接港湾侵攻についても同じです。成功例がほとんどないので、ドイツのノルウェー侵攻を例示していますが、上陸はしばしば大損害を受けている。あの戦いも、ドイツが勝ったのではなく、英国軍は本土防衛のために引き揚げただけです。

 いずれにせよ、JSF氏の上陸戦への想定・発言は、大きく誤っています。その最大の誤りが商船の上陸戦使用です。氏は戦車についてのミクロの問題をとりあげますが、上陸戦そのものを知らないのでしょう。
 あるいは、海軍力についても知らないのかもしれない。強力な海軍力をもつ島国には、どのような強大な陸軍力を持つ国であっても侵攻することはできない。 戦車では外洋艦隊を排除できないのです。

 周辺国の戦車の質がどれほど優れていたとしても、結局、日本に上がることはできません。周辺国の海軍力、空軍力では、日本の海空戦力、加えて米海空軍戦力を排除することはできないからです。
 JSF氏は意図的に、海空自衛隊と米海軍の存在を無視してもいます。そうしないと相手国の戦車が日本に現れないためです。考慮した場合、周辺国の上陸船団では日米の妨害により、上陸戦に持ち込むこともできないのです。
 都市伝説の「上陸戦2割ルール」ですが、これは相手が10隻でも2隻しか沈められない。相手が1000隻くれば200隻沈められるという不思議ルールです。何の意味もありません。周辺国の海軍力・揚陸艦の規模から言っても、日本近海に出てくることはできない。

 海上自衛隊は東アジア最大の外洋海軍であり、外洋域での敵上陸船団の行動を阻害するでしょう。海自の海洋哨戒能力は、常に船団の行動を把握します。哨戒機部隊は、エアカバーのない船団を自由に攻撃できます。水上艦部隊は、エアカバーの弱いところであれば、海洋使用を拒否できます。
 つまり上陸船団は、集結すら難しく、日本近海にでてくるのも難しいのです。

 航空自衛隊は防空に特化した組織です。日本周辺での相手側航空機の行動を抑圧するでしょう。要撃機はJADGE、AWACSの要撃管制の支援を受けます。また、拠点防空であればSAMの存在も強力です。日本周辺での相手側航空機の行動を許さないでしょう。
 また、空自は、諸外国では海軍航空隊の仕事である対艦攻撃も実施します。支援戦闘機は、日本近海で船団を任意に攻撃できます。船団は上陸泊地にたどり着くことも難しい。仮にたどり着いても、商船による長時間の上陸作業などは不可能です。

 在日米軍は、海空自衛隊よりも大きな自由度を持ちます。空母機動部隊や米空軍は、航空基地を襲うでしょう。相手側の港湾そのものを襲うでしょう。航空機雷で封鎖することもできるでしょう。

 どう考えても、日米の前には日本本土を侵攻することは不可能なのです。しかし、JSF氏はそれをネジ曲げて上陸できたところからの話だけをします。

 さらに上陸側・防御側の戦車同士が衝突する状況だけを説明しています。そしてその質についてだけを語るのです。これは不思議な状況です。上陸側は戦車以外とも戦わなければなりませんし、防御側も戦車以外も倒さないとなりません。上陸した海岸では、戦車vs戦車という情景はむしろ少ないでしょう。戦車以外vs戦車以外、戦車vs戦車以外が戦いの過半です。さらに、防御側は上がった敵を倒すよりも、上がる前に沈めようとするでしょう。

 上陸戦・対上陸戦(そもそも起きない)を「上陸側戦車vs防御側戦車」に収斂させる。これは「戦車が役に立たないと、自分の存在価値が示せない」ための作為です。結局は、新戦車云々ではなく、JSF氏が自分の存在価値を示すための話だということです。






-----------------追記 21時00分-----------------

JSF氏 様

 どうも意味が通じないと思っていましたが
訳文の間違いを発見しました。よろしければ御参考に

『05式水陸両用戦車は通常の3倍のスピードです』

>水上では10ノットもでないでしょうね。(これは隅田金属記事からの引用)
(略)
>いえ、その3倍の速度が出ます。
(略)
>水上速度可达30-40公里/小时(中文から)

 これ、kmとマイルを間違えていませんか?いや、中文から40km/h≒20ktなのに変だなと
まあ、私も「毎秒10m/s」なんて書きましたし、間違いは誰にもある話。それで鬼の首を取ったつもりにはなりませんが。


あとは、ポリシーだと思いますけど。

「 @tareyuu 君はスミギンやらオータンみたいに資料の読み間違いはしないだろうし、貯め込んだ軍事知識が私の1000倍はあるから何でも出来るだろう?
30分前 Echofonから tareyuu宛」(JSF氏ツイッター)

「 こりゃ隅金さんに「数字」を提示しても無意味だな。彼には数字を理解する能力が無い。 約5時間前 Echofonから 」(同 上)

「 毎秒が二重になってる。単位が分かってねーんだな。駄目だこりゃ。→「毎秒10m/s」 約5時間前 Echofonから 」(同 上)
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