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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2010.11
03
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11:45
Category : ミリタリー
 JSF氏の新記事ですけど、やっぱり戦車の性能しか見ていない視野狭窄です。こっちのスタンスは該当部分の3行前に示したように『戦車の質は些細な問題』ですな。あとデータに文句があれば、あれはミリタリーバランスから引っ張ってきたものだから、IISSにでもメールすれば宜しい。「読者を惑わすので修正せよ」とか好きなんでしょうから。
 要は、日本に敵が揚がってくるか否かですよ。上陸戦です、海岸まで上陸部隊をどうやって運ぶのか、揚がった部隊への補給は維持できるのか、凶悪な日米同盟を相手に制空権と制海権を維持できるのかが問題でしょう。そこらへんで「どこにどれくらいが揚がってくるのか」「破壊した港湾をどう復旧するのか」(そういや、日本が機雷原つくったらどうするんだろう?)「珍奇な2割ルールが何故信じられるのか」…全然明らかにできないのがJSF氏です。些細な性能には細かいくせに、大きな部分に答えられないという…「正確に間違える」人なのでしょう。あの姿を見ていると、漠然と正しくありたいと思いますね。


 余計な話はともかく本題の日本海軍の対潜魚雷について。資料を見つけたので少々。ただし、無誘導であり、役に立つとも思えないシロモノだけれども。

 ポンチ絵と項目だけを記した1葉(別紙?)が旧軍資料に入っていたのですよ。ただし、未整理資料を脈絡もなく綴ったものであるので、本紙にあたる書類がない。だから、思いついただけなのか、あるていど試験されたのか、まずはないが、実用されたのかも不明です。ただ、「マニラ×8、高尾×9、沖縄×8、硫黄×8」と鉛筆で書込んであるので、ある程度までは検討が進んでいたのでしょう。

 ポンチ絵の中身は、97艦攻?が魚雷を投下、そこから魚雷は円筒に沿うように、スパイラル状に下降し、潜水艦に命中しているというもの。添えられた項目によれば、魚雷が沿って下降する円筒の直径は250mから300m、高さは110mから125mです。雷速は25kt、馳走距離は3000m、一周あたりの降下率は25m程度になっていました。

 使用する魚雷は91式魚雷とされています。おそらく91式航空魚雷のジャイロと深度調整機構を無効化、あるいはバラストと交換し、水平・垂直の舵角を一定方向に固定して発射するのでしょう。水平方向の舵角を左右いずれかで固定すれば、同じところをグルグル廻ります。垂直方向の舵角を下向きに固定すれば、一定の角度で下向きに進みます。どちらかというと発射法ですね。原理的には現地で簡単にできそうな内容です。

 ただ、まず当たらないでしょう。魚雷が動く円周が潜水艦の大きさに比べてチョット大き過ぎるだろうし、垂直方向の密度も全然足りない。円周上で魚雷と潜水艦は交差するかもしれないけれども、深度が異なった「ねじれの関係」でオシマイでしょう。

 コストもエラク高くなるでしょう。対潜爆弾や完成しなかった航空爆雷とは異なり、魚雷は精密機器で高価です。「敵潜水艦らしい」で気軽に使えるようなものではありません。敵潜水艦確実でも、この程度の命中公算では何発必要なのかを考慮すれば、割に合わないことは間違いないでしょう。

 ポンチ絵は3枚組なんだけれども、2枚目は水中グライダー?のような魚形対潜爆弾、3枚目はホーミング魚雷になっていました。本紙がないのも残念ですが、作成元や作成年月日も記入されていないのも残念ですね。おもしろそうなのに。
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