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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2011.02
05
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18:09
Category : 未分類
 英伊両国は、次の戦争でも人間魚雷を使うだろう。人間魚雷は有効・確実な手段であり、両国はその威力を承知している。イタリアは今でも人員・機材・ノウハウを保有し、イギリスも人員とノウハウを保持している。英伊両国は、必要に応じて人間魚雷戦術を行うだろう。

 人間魚雷による艦船攻撃は、有効・確実な攻撃手段である。水上艦や潜水艦、航空機が侵入できないように厳重に防護された港湾泊地でも、潜水員であればくぐり抜けることができる。潜水員には携行できる爆薬には限界がある。だが、100kgを超える爆薬を持ち込むことができれば、在泊艦船に大損害を与えることも可能である。大重量の爆薬運搬は、潜水員に魚雷サイズの潜水艇を組み合わせることにより可能となる。これは人間魚雷"manned torpedo"と呼ばれる。

 第二次世界大戦では、イタリアが人間魚雷を活用した。潜水員を改造魚雷(SDV:Swimmer Delivary Vehicle, Chariotとも呼ばれる)にのせ、停泊している艦船に近づき、船底に爆薬を仕掛けて戻るというものである。最近、よく話がでるリムペット・マインの運用に近い。だが、小規模破壊を目指すリムペット・マインとは異なり、イタリアの人間魚雷は沈めることを目指している。

 現在も、イタリアは人間魚雷を活用する気なのだろう。イタリアは改造魚雷を進化させたSDVを保有し、専用爆薬(中性浮力にしてあるのだろう)としてMk41(炸薬量105kg)、Mk31(炸薬量230kg)を準備している。この爆薬は港湾や施設破壊用とはされているが、もちろん艦船攻撃にも使える。SDVは同時にリムペット・マインも運べるとされており、艦船攻撃を考慮した兵器である。リムペット・マインだけでも相当の被害を与えることはできるが、Mk41、Mk31を使えばそれ以上の成果を期待することができる。停泊中、上陸員がでている状況では、警戒閉鎖程度であれば沈めることも可能である。また船体構造にある程度の座屈や歪みを生じさせることもできる。修理不能となるか、長期間のドック入りが必要となる。

 英海軍も、人間魚雷を活用する可能性は高い。イギリスは第二次世界大戦でも、X艇やChariotにより、イタリアと同じように泊地での艦船攻撃を行った。戦後でも、リムペット・マインを配備しており、潜水員による水中攻撃は可能である。訓練された人員とノウハウは充分にある。英海軍はプリミティブな作戦を好む傾向がある。手の届く港湾に、敵艦船が在泊していれば、人間魚雷を復活させるだろう。必要な装備は水中爆薬とそれを運ぶ能力のあるChariotである。だが、爆薬は機雷の増結炸薬でも用いればよい。Chariotも入手難ではない。必要な性能は分かっているので、新製しても、民生用を転用してもよい。保管品(展示品)をあるいは旧式魚雷を転用も不可能ではない。
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