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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2011.04
30
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21:38
Category : ミリタリー
 前に肯定したハコ乗りSAM(「さおだけ屋SSMはなぜ否定されるのか」)についてです。別に私はハコ乗りSAMを作れと言っているわけではありません。(ただし、近接防御的な近距離防空であればそれなりに有効でしょう。)コメント欄では、そこまで読まずに「お前はバカか」や「人命軽視」(ミリタリ系だと便利な言葉ですね)といった、どうでもいい悪口を多数頂戴しました。中には「防空システムに連接しなければ効率が悪い」(ただし、相当長い)といった建設的な批判もありました。そのご意見に対しては、1基あたりの効率が悪くても問題はないと説明します。価格は安いし、弾体だけあれば応急的にも作れるので数でカバーできます。また、1両破壊されても、深刻な問題にならない利点もあります。

 こういったのコメントの中に「それで済むなら外国でもつくっているだろ」「実用例がないのが文谷の妄想である証拠」という、悪口か意見が微妙なコメントがありました。これに対しては、採用例があればよいということでしょう。実際に台湾は、天剣1型AAMを民生トラックに搭載し「車載剣1型防空飛弾」とし、航空基地防空用として運用しています。4連装発射機であり、重すぎるため動力操作背ざるを得ませんが、照準は目視-光学照準※です。ハンガリーとオマーンではより簡素な車両があります。ミストラル対空ミサイル(仏製)をトラックに直積みしたSAMを実用化しています。ミサイルの指向は人力操作であり、目視照準です。

 もちろん、両方のシステムでも目標捜索レーダの支援はあった方がよいでしょう。概略方位と高度が分かれば、そのあたりにミサイルを指向し、目視確認による即時発射が可能です。それ以上のカラクリは不要です。所詮は近距離用の、近接した航空目標を攻撃するシステムです。ミサイルの射程も短く、見える距離に入ってくれないと使えません。目視で見えないときには、まずミサイルからも見えません。発射したあとも、ミサイルは自身のシーカにより目標に向かいます。発射側からの誘導やCW照射は必要ありません。近距離用の打ち放しミサイルに、高度な射撃指揮装置をつけてもあまり意味はないのです。IFFだけあれば充分でしょう。

 この点からすれば、間違いなく近SAM(93式近距離SAM)は無意味に過剰です。近SAMは高度な射撃指揮装置(車両・発射機部分の値段は約6億円)をもっていますが、射程5km程度のミサイルに射撃指揮装置をつけても、ミサイルの射程は延伸しません。発射されたミサイルも、肩撃ちされた携SAM(同じミサイルです)を超える性能は発揮しません。つまり、なんで制式化してしまったかを疑うような装備です。予算に余裕があった時代の惰性としか言えません。

 近SAMなんかを作るくらいなら、肩掛け式発射機を持った操作要員をオープントップの車両に載せたほうがよかったでしょう。近SAMは8連装ですから、1両分のミサイルで8両のトラックを自走SAMとすることができます。ミサイルを除いた車両・発射機部分の値段(約5億)を節減することもできます。疲労軽減を図るのであれば、ミストラルのAtros Twin Lancherモドキでも作り、ポリカーボネードの腰壁でも付ければよかったのですけどね。


※  写真あり「国軍民国99年模範団体」14-21p.p『先端科技』2010年10月
※※ 16-17p.p "Jane's Land Based Airdeffence 2008-2009"
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