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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2011.06
26
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Category : ミリタリー
 中国空母って使い物になるのかね?(前編)の続きです。中国空母にはいろいろ足りないものがある。そこら辺とか、空母周辺にある能力を考慮すれば「戦闘投入可能なのは、南沙あたりだけだねえ」ってところです。件の『鏡報』でも、南シナ海の地図が載っていて「これで南沙諸島への侵略がとまる」とでも言いたげな感じで「空母ができれば日本本土に上陸できる」なんて阿呆なことは言い出していませんw
 まあ、中国人にしても、空母は「国之重器」、ある意味で床の間の置物と言ってるくらいだから、実用にならなくてもいいんでしょう。


 



 しかし、問題は空母技術だけではない。中国が空母を実用するためには、空母技術以外にも大きな不足がある。中国海軍戦力を見ると、空母機動部隊を運用するためには戦力・技術にも大穴が開いている。空母機動部隊を運用する上で、中国は護衛戦力、洋上哨戒力が欠けており、対潜技術が不足している。これらの欠落、不足は、空母実用上で相当の足かせとなる。

 まず、中国海軍には空母護衛用に必要な水上艦が不足している。中国海軍が保有する水上艦はそれほど多いものではない。『圧倒的な日米同盟』で示したように、現代的な駆逐艦は13隻しか保有していない。ひとまわり小さいフリゲートのうち、それなりの水準にあるもの6隻-16隻を足しても、20隻-30隻程度である。空母機動部隊1つを作るために、10隻程度を抽出するとそれだけで一線級にある水上艦戦力が3割-5割程度も使われてしまう。空母機動部隊を使うには、随伴する洋上補給部隊も欲しくなるが、それを直接護衛する為にもそれなりの水上艦は2~3隻は必要とされる。空母機動部隊を1つ作るだけで、駆逐艦・フリゲートはおおむね使い切ってしまう。空母機動部隊以外を編成する余裕は相当圧迫されてしまう。中国は、空母を5隻は作りたいとしているが、今保有している水上艦戦力は空母機動部隊1つを支えられる規模に過ぎない。空母1隻を増勢するためには、護衛戦力も一緒に整備しなければならない。しかも高価な防空艦や対潜戦力を強化した大型水上艦が必要になるが、所要を満たすことは難しい。

 また、中国海軍は洋上哨戒力を持っていない。中国は、空母機動部隊の前払いとなる長距離哨戒機をほとんど保有していない。仮に空母機動部隊を外洋で使うとしても、現状では洋上哨戒力に欠けるため、何がいるかわからない海に空母を放り出さざるを得ない。水上艦同様に『圧倒的な日米同盟』で出した数字を示せば、純然とした哨戒機は4機である。能力的にあまり期待できないだろうが、30機ほど保有しているH-6爆撃機を足しても洋上哨戒は大きく不足している。中国はShijianやYaoganといった偵察衛星を持ち、合成開口レーダや逆探、光学観測により洋上捜索に使うつもりである。だが、衛星では哨戒機ほど柔軟には利用することはできない。洋上哨戒力を持たず、水平線から先がどうなっているかもわからないのに、空母機動部隊を闇雲に進出させることは相当に危険である。この方面を強化するにしても、ほぼゼロベースから整備しなければならず、中国海軍にとって重荷である。

 そして、中国は対潜技術に優れているわけではない。中国にとって、空母機動部隊を日米潜水艦から守ることは容易ではない。中国水上艦は対潜戦を強く意識したものではない。中国水上艦は、まず対水上艦戦闘を第一としている。対潜技術がどの水準であるかはわからないが、重視してはいないことは明らかである。対潜兵装を見ても、ようやく新鋭艦に短魚雷が装備されはじめたが、それ以前には対潜ロケットや、場合によれば爆雷しか装備していない。艦載ヘリについては、ディッピングソナーは備えているが、ソノブイを運用するほどでもない。空母直衛には充分だろうが、艦隊前方で広域哨戒するほどの能力はない。その上、艦載ヘリ保有数も少ない。陸上に配置された長距離哨戒機にしても、対潜戦力としてどこまで期待できるかわからない。対潜ヘリや哨戒機も保有数からすれば、積極的に敵潜水艦を沈めるよりも、まずは中国戦略原潜を守るための戦力とみなすべきかも知れない。対潜兵器としての中国潜水艦についても、米海軍には「騒音潜水艦」※※と呼ばれている。日米潜水艦に対して優位に立てるとも思えない。そもそもs中国海軍そのものが、対潜戦をまともに意識しているか怪しいものである。対潜技術はノウハウや蓄積データがものをいうが、中国にはそれがないのである。

 中国は来年10月に空母を完成させるかもしれない。だが、完成した空母は直ちには実用とはならない。中国空母は慣熟訓練が終わったとしても、空母技術上の不足により、実質的には試験運用程度の段階にとどまる。空母以外の海軍戦力・技術の不足も大きい。当座の間は、空母は国威発揚、砲艦外交の道具としてしか使えない。強いて実用を、戦闘的な状況に投入するとしても、南沙諸島あたりでの紛争に投入するのが限界だろう。米日台の海軍力に対抗する手段としては使えるものではないのである。


※※ 'ENTER THE DRAGON INSIDE CHINA'S NEW MODEL NAVY’"Jane's Navy International"(IHS,May 2011)




 中国にとっては「空母出現を真に受けた日本人が本格空母を建造しちゃうかも」問題もあるよね。可能性は低いものではないと思うよ。(『中国が空母を完成させたら日本もすぐ作るのだろうね。』
 すでに日本は艦載早期警戒機、護衛用水上艦、哨戒機、対潜技術は保有している。アメリカもカタパルトも艦載機も売ってくれるだろうね。
 だいたい新規建造なんかしなくとも、すでに日本はすでに軽空母風を2隻保有している。まあ小さくてどうしようもないけど、すでに予算成立している22DDHなら、ちょっといじくれば武装させたゴスホークとかなら運用できるかもしれないw

 しかしまあ、日中両方とも海軍関係者からしてみれば、新しい玩具が買いやすい時代が来たわけだ。海自にしても、70年代後半からの拡張方針を続けてもらえる見込みもたつから、悪い話でもないのでしょう。
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2011.06
25
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03:11
Category : ミリタリー
 「来年10月にできる中国空母(旧ワリヤーグ)って、いろんなものが足んないよね」とね。アレ、強力すぎる日米海軍力や、台湾の前では使えるものでもなさそうですね。空母については中国人自体、威信財だと理解しているから、本人的にもいいのでしょう。以下、趣旨としては「まあ能力的も、フランスや南米で保有している威信財空母と同じじゃないかね?」といったあたりです。ハイ。



 香港誌『鏡報』5月号表紙は「中国航母明年十月成軍」という特大の記事紹介がある。記事※によれば、中国初となる空母が来年10月1日に海軍に引き渡されるという話である。中国人にとって空母は「夢」であった。記事中にも「『航母熱』が国や人民を動かした」という記述や「地方政府である山東省が空母建造のために20億元の支出をした」(大意)とする紹介もある。海軍も「何があっても、岩にしがみついても空母を作る」(「咬定青山不放鬆」)と公言していた。中国人にとっては、空母建造は悲願であり、それが成就する日が近づいているのである。

 しかし、建造した空母が使い物になるかどうかは怪しい。中国が手に入れる空母関連技術は、旧ソ連系技術である。今建造している空母にしても、船体そのものはウクライナから購入した半完成品である。同様に、船体に取り付けられる航空艤装や、艦載機も運用技術もロシアやウクライナから輸入されたものである。ロシアやウクライナが持つ空母関連技術は実用性に富んでいるわけではない。確かに、いまでもロシアは旧ソ連以来の技術で空母を運用している。洋上で固定翼艦載機を飛ばし、着艦させている。だが、それだけである。ロシアは空母を運用しているが、活用できているわけではない。厳しい見方をすると、試験運用を続けているだけである。空母を限定使用しかしていないロシアや、現要していないウクライナからもたらされる技術には限界がある。中国は短期間で空母を実用レベルに持っていくことはできない。

 そもそも、旧ソ連に由来する空母技術には、抜けがおおい。カタパルト、固定翼早期警戒機、専用艦載機は、旧ソ連以来欠落した技術である。ロシアとウクライナには渡せる技術も実物もない。これらの欠落は、中国にとって、本格的に空母運用をする上で大きな障害となる。

 まず、カタパルトがない。カタパルトがないため、スキー・ジャンプ台による発艦となる。艦載機はカタパルト発艦に比較して、シビアな重量制限を課せられる。燃料や弾薬についても、搭載量が制限される。艦載機は比較的短距離・短期間の運用を強いられる。問題を解決するには、カタパルトを搭載するしかないが、いまカタパルトを作ることができる国は米国だけである。旧ソ連が空母建造を決心してから今日にまで、70年代から今日に至るまで、旧ソ連もロシアもカタパルトは作ることができなかった。同じように、中国はカタパルトを入手する見込みは立たない。

 次に、固定翼早期警戒機がない。早期警戒機は、空母機動部隊を防空する上で是非とも欲しいものである。しかし、ロシアが提供できるのは、能力が制限されるヘリコプターに搭載した早期警戒システムである。ヘリコプター搭載型早期警戒機では、搭載できる機材は小さく、軽いものにならざるを得ない。固定翼早期警戒機に比べて飛行高度も稼げないため警戒範囲は狭くなる。もちろん滞空時間は短く、乗員に疲労は多い。また艦載機を攻撃的に使う場合にも、ヘリコプター搭載型早期警戒機では攻撃部隊に同行できない。相手が早期警戒システムによる支援が得られる場合、攻撃部隊は一方的に不利になる。極端な話、空母から運用できる固定翼早期警戒機がなければ、艦載機は威力を発揮しない。空中では高性能であるSu27系統を艦載機として搭載しても、宝の持ち腐れとなる。固定翼早期警戒機も、中国は長い期間と予算を投じて、自前で作らざるを得ない。

 そもそも、母艦運用専用の艦載機もない。ロシアに購入を持ちかけているSu-33は、艦載機についてノウハウを持たぬロシアが、陸上機を改修したものにすぎない。機体も大型であり、空重量で20トン近くと重い。カタパルトを持たない中国空母で容易に運用できる機体とはいえない。同じように通常型空母を運用しているフランスやインドは、小型軽量な機体を指向している。カタパルトを持つフランスでも、艦載機は丁度10トンのラファールを搭載している。カタパルトを持たないインドは、国産陸上機LCAに手を入れた機体であるが、6.5トン程度の艦載型を開発しようとしている。カタログ上、Su-33は空中に上がれば高性能かもしれない。だが、軽量機に比較して離着艦は容易なものではない。また、搭載数も制約を受ける。そもそもロシアにしても空母運用は実用試験を続けているようなものである。艦載機としてのSu-33も、たしかに艦上運用は可能である。しかし、実運用で役に立つものであるのどうかは実証されていない。中国が空母を実用品として使うためには、空母をある程度運用し、空母技術を熟知した上で、中国の事情に合わせた正規の艦載機を開発するか、購入する必要がある。

 このように中国は空母技術上の不足している。完成した中国空母は、ロシア空母と同様に、長期間にわたり試験運用程度の水準にとどまる。正規空母として本格的に利用できる目処は、当座立たないだろう。この問題は中国人も承知している。一時、中国で刊行されている一般向け軍事雑誌『艦船知識』や『軍事知識』では、空母紹介のたびごとに、カタパルトや固定翼早期警戒機、専用艦載機の必要性を主張していた。

 しかし、問題は空母技術だけではない(以下、『中国空母って使い物になるのかね?(後編)』


※ 江小舟「中国航母明年10月成軍」『鏡報』(鏡報文化企業、香港 2011年5月)




 …まあ、ちょっと長くなったので、読みにくいから残りは明日にでも上げることにします。内容的には、これに加えて「護衛戦力と洋上哨戒力と対潜技術をどーするよ」ってあたりです。
 まあ、原潜も持って、空母も持ってだと、それ以外の海軍装備って絶望的におしまいになるんじゃないかね。その上で中国が言われている「空母5隻欲しい」というのも、戦前日本にとっての戦艦×8、巡戦×8なみの負担になるんじゃあるまいかと。すでに海軍と第2炮兵は金食い虫だし、ほかにも武警やら公安警察やら、4つもあるコーストガードといった機関に金突っ込んでいるわけで、今以上に陸軍を削減し、空軍装備更新を後回しにしても金は続かないだろうね。
 中国もじきに一気に高齢化するようだし、『デフレの正体』みたいに引き潮的な経済縮小があると、中国がやっている海軍優先もどうなることかね。もともと陸軍国だから、大海軍はさっさとあきらめるのかもねえ。ソ連崩壊後のロシアのように。
2011.06
22
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22:27
Category : ミリタリー
 某所で『海運』を閲覧したのだけれども。2003年9月にバングラディッシュにあるチッタゴンでの海難訴訟(交通事故)が、なかなか想像しがたいもの。記事は高橋裕勝氏の「チッタゴンの347日」※である。

 事故当事者は、韓国船籍コンテナ船A(船主は日本)と、バングラディッシュ船籍コンテナ船B、バングラディッシュ海軍となっている。チッタゴンはカルナプリ川に面した河港である。河口から距離は短いものの、河はS字にカーブしているので見通しが悪い。事故はその状況で発生している。

 記事の内容から、事実関係を時系列風に記載すると、以下のとおりになる。
・ パイロット操船中のコンテナ船Aが、カルナプリ川の・湾曲部へ飛び出してきた小舟を避けた。
・ コンテナ船Aは、対向車線を走っていたコンテナ船Bと衝突
・ そのまま縺れ合って、海軍基地に突っ込み、艦艇と衝突。
・ 係留していた艦艇が玉突き衝突
 これにより、艦艇18隻が損傷する、バングラディッシュ海軍最大の事故となった。

 また、これからも酷いもの。
・ コンテナ船AとBは海軍に差し押さえられる。事実上の抑留状態
・ コンテナ船AとBも相互に差し押さえを行う。
 海軍による差し押さえが、民事行為なのか、行政行為なのかすらも判別しがたい様子である。

・ 海軍の損害額に関して、JANE'Sに鑑定を依頼したところ「300万から2500万ドルの損害」
・ それにも関わらず、バングラディッシュ海軍は3000万ドルの賠償を要求
  → 海軍に損害額の立証を求めると、「軍事機密であるので説明できない」

 国際慣行上、船舶所有者の責任は船舶価値に限定される有限責任制度である。そこで「船舶価格900万ドルを超える賠償はありえない」とし、船舶放棄を試みると
・ 海軍は乗員に下船許可を与えず、長期間に渡り乗員を人質とする
というありさまである。

 これは、乗員をおろし帰国させると、容易に船舶放棄される可能性がある。そうなると賠償金を取りはぐれる。乗員をトリコにしておけば、賠償金を払う方向に持っていけるだろう…といった発想のようだ。海上警察権力と当たり屋が一緒になった感もある。英米法の基礎をなす「法の支配」つまり「正義」にもとる行為だといえるだろう。

 事件解決は、日本(船主)、韓国(船長)、フィリピン(船員)3国の外交努力(圧力?)によりもたらされるのであるが
・ 3月に乗員を下ろし、バングラディッシュ人船員と入れ替え
・ 9月に賠償金900万ドルで和解、コンテナ船が解放された
乗員は延々半年も半拘束されたという話である。

 そして、記事のまとめは
・ パキスタンとバングラディッシュのカントリーリスクだから、船主は注意しろよ
・ そんなときでも、ウチ(損害保険ジャパン)の船舶運航傷害保険があれば助かるよ
 というもの。

 英米法の国でもこのような対応となると、発展途上国では似たような事件はいくらでも起きるのでしょう。海上保険も、単純に海上危険にだけ備えるものだけでもないというわけですね。
 なんにせよ、某国海軍はインド洋の当たり屋かなあという話です。

※ 高橋裕勝「チッタゴンの347日(上)」『海運』(日本海運集会所,2009-08)、「同(下)」(2009-08)

 2011年02月28日 MIXI日記より
2011.06
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15:40
Category : 未分類
 米軍から本格的機雷がなくなろうとしている。第二次世界大戦型はすでに在庫していない様子である。CAPTOR(対潜魚雷を発射する)も退役している。SLMM(潜水艦発射式自航機雷)も退役間際である。残っているクイック・ストライクは、通常爆弾を機雷に変更するキットでしかない。

 新機雷についても大量調達の目処も立たない。新機雷であるシー・プレデターは間違いなく高価になる。シー・プレデターは一種の無人潜水艦であり、技術的にも実用化できるかわからない。できても機雷原に相当するほどの数を調達できる見込もない。SLMMも、Mk48長魚雷を流用した後継型が計画されている。だが、廃用魚雷が出てこないことには大量整備できない。

 数的に主力であるクイック・ストライクは、限定された性能しかない。最大でも2000ポンド爆弾を転用できるだけである。現用している2000ポンド爆弾も、弾殻が厚いため炸薬量も400kgと少なく、威力も水雷用爆薬よりも劣る。旧式の2000ポンド薄肉爆弾が残っていればそれを使ったほうが良い。たが、薄肉爆弾は寸法的に2000ポンド爆弾と同じというだけで実際の重量は600kg程度である。炸薬量も500kgと大して増えない。水雷用爆薬ではないため、威力もそれなりである。クイック・ストライクはどの爆弾を使おうとも沈底式に限定される。危害半径で及ぶ程度の、浅い海域でしか使えない。

 米軍が好む大規模機雷原を構成するには、開発中の機雷も、クイック・ストライクでも不足がある。いま開発している機雷は高価すぎる。クイック・ストライクは浅い海でしか使えない上に、威力も不足する。消耗機雷原や、海上封鎖をするためには、開発している機雷よりも安く、クイック・ストライクよりも強力な機雷が必要になる。

 実際に米海軍は機雷を買えばいいと考えている。第二次世界大戦で米国が使った感応機雷は、英国製感応機雷を参考にした機雷や、英国が入手したドイツ製感応機雷のコピーであった。米国と英国は親密な関係にある。このため、米海軍には「機雷程度であれば、いつでも英国が売ってくれる」と考えている節がある。

 しかし、それは甘い考えではないか。今の米国に新型感応機雷を大量生産する能力があるかは疑問である。魚雷や機雷に用いる水雷用爆薬は、生産に高度な技術力が必要である。化学合成をする段階も厳密に管理しなければならない。充填や成形に際しても、炸薬にスが入らないように高度管理する必要がある。もちろん米国は魚雷を生産しているが、生産規模は大きくではない。短期間に1000個単位の機雷用炸薬を大量生産し、充填・成形する能力はないだろう。砲弾・爆弾用炸薬を流用すると、威力が小さく、危害半径が狭く、敷設深度も浅くなってしまう。威力低下分を炸薬量増加で対応すると、航空機や艦艇、潜水艦への搭載数が激減してしまう。

 また、別の懸念もある。ノーマン※は「外国製機雷は[米海軍基準に]摺り合わせることは以下の理由から難しい[中略]なによりも海軍は、機雷のコードにトロージャン・ホースや致命的なコード・エラー組み込まれている可能性を恐れている」と言っている。システム連接をする場合、機雷は自国製で開発しなければならないといっている。

 米国には戦時に必要なだけ機雷を集められない可能性がある。高度な機能を求める新機雷は取得性で見通しが暗い。既存のクイック・ストライクでは能力的に不足してしまう。本来なら、在来型機雷をある程度ストックしておきたいが、すでに在庫はない。

※ Norman Polmar,Scott C.Truver'Weapons That Wait...and wait'"Proceedings"June 2011,USNI,87.p.
2011.06
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15:31
Category : 未分類
"Jane's Navy International"で各国CIWSの記事を見かけたのだけれども。
 
 ファランクスの改良型、Mk15Mod41はレーザ兵器になっている。ま「実際に作ってみました」で終わりじゃないかと。ウン、ファランクスのバルカン砲をレーザに変えたシロモノなんだけれどもね。

 ・ 散布界がないから、まぐれあたりなし。照準シビアじゃね?
  ・ 長距離になればなるほど、照準キツクね?

 ・ 連続発射に耐えられるのか?
  ・ バルカンなら、弾が続く限り撃てるけど、発振器まわりの加熱とかあるんじゃね?

 ・ システムは相当大きくなるんじゃないの?
  ・ 容積/排水量/電力に余裕のあるフネじゃないと、積めなくね?

 ・ 気象条件で有効距離が短くなるんじゃね?
  ・ 霧/視程不十分では、射程500mとかだと困らね?

 ・ ミサイルを鏡状に磨かれたら、対数的に威力が減るんじゃ?
  ・ SDI対策で出てきた、ミサイルの表面を鏡した空間磁力メッキ風で相当威力は減じないかね?

 まあ、素人でもコレくらいは考えつくよね。

 米軍も、すぐには実用できないのは分かっていて作っているのだろうけどさ。無垢の20mm機関砲とか40mm以上の破片とか、ミサイルの破片調整子の類の方が威力はあるわけだ。出来てもいないのに、ダメだしされるのがレーザー兵器でね。ロマンはあるけど、実用性は常に「あと20年」ではないかと。この40年の間「あと20年で」と言われ続けたリニア・モータ・カーの方が先行しているのではないかと。兵器ではなく、測距とか観測とか、救難、製造、あるいは医療なんかが全然先行しているのも、光は長距離まで届くものの、「殺人光線」としてのパワーは近距離に限られるからなんでしょうなあ。

 あとこの特集で気づいたこと。ちうごくのType730Aの形状かね。どう見てもゴールキーパーのコピーですというオーラが出まくっているよ。http://defense-studies.blogspot.com/2009/10/type-730-chinas-ciws.html

2011年3月24日、MIXI日記より転載
2011.06
15
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20:30
Category : ミリタリー
 海空自衛隊や陸自後方部門では、簡単な銃でいいのではないか。

 いまなお自衛隊の主力である64式小銃は部品数が多い。日常整備であっても、ある程度の熟練(入隊後3ヶ月程度か)が必要とされる。その後であっても、整備に要する時間は長い。日常整備であっても、射後手入れであってもすぐに終わるものではない。

 対して、旧式米製小火器は単純かつ簡易である。M1小銃にしても、トミーガン(トンプソンM1短機関銃)にしても、部品数そのものが少ない。トミーガンに至っては、日常整備では部品は6つにしか分離しない。部品数が少ないため、整備も極めて容易である。

 ボルト・アクション・ライフルは、整備もさらに容易である。自動銃とは違い、機筐部がない。自動銃では機筐部にガスが漏れるため、分解整備が必要となるが、ボルト・アクション・ライフルではその必要はない※。射撃後にはボルト(尾栓)を抜いてソルベントで銃身だけを拭えばよい。

 海空自衛隊では、小銃は重要な道具ではない。この点で小銃が表道具である陸自とは異なる。もちろん、海空でも警備専従部隊であれば、小火器への要求は大きい。だが、それ以外の部隊であれば、儀礼と自隊警備程度でしか使用しない。後方での自隊警備であれば、小銃にそれほどの要求はない。陸自でも、野戦展開しないような後方機関・部門では同じだろう。

 小銃への要求が小さい部門には、簡単な銃を支給すべきではないか。海空自衛隊や野戦に従事しない陸自後方部門には、小銃整備に費やす時間は無駄である。小銃そのものへの要求も少ない。高精度や連射時での耐久性は求められない。要求性能を切り詰めることにより、整備が負担とならない簡単な銃を支給してもよい。性能的には安全性があり、確実に動作し、儀礼で使えるように着剣できる程度の性能で十分である。威力は弾薬によって保証されている。

 海空自衛隊や後方部門では、むしろ旧式にみられるような小火器の方が向いている。旧式米製小火器は、64式よりも整備性に優れている。弾薬である30-06や45ACPについてもストックはある様子である。安定して回転するか不明であるが、民生用にはNATO弾や9mmコンバージョンしたものもある。火力への要求性能を絞って、ボルト・アクションでよしと割り切れれば、整備性と確実動作も確保される。安価な民生用を導入し、着剣装置だけをつければよい※※。ボルト・アクションの発射速度はそれほど緩慢でもない。伏射でも立射でも、サイトを覗いたままでボルト操作はできる。弾倉なしの単発銃※※※であっても、その姿勢のまま装填できる。

 小銃で良いとする限りであれば、どちらでも火力は64式と大差はない。旧式米製小火器は、64式と大差のない火力を持つ。ボルト・アクションでは64式に比較して火力は劣るが、整備性と確実性で勝る利点がある。火力要求をゲリラ・コマンド対処云々まで引き上げるとすれば、小銃ではなく機関銃が必要となる。64式であっても、それ以下であってもあまり意味はない。

※ ボルトや銃内部については、乾燥さえしていれば、相当放置してもなにも起こらない。
※※ ボルト・アクションは弾薬を選ばないため、距離別の表示はない。
※※※ 単発は競技銃のみ。ボルトアクションでも一般的な銃では弾倉がついている。
2011.06
11
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23:30
Category : ミリタリー
 機雷戦は有力な海軍作戦である。機雷は海上輸送を阻害し、船舶を撃沈破し、対機雷戦を強要させる有力な手段である。英独機雷戦は第一次、第二次世界大戦で熾烈を極めた。太平洋戦争でも、米国の対日攻勢機雷戦も大戦果を挙げ、日本を屈服させる要素となった。

 日本にとっても機雷戦は有力な手段である。まず考えにくいことであるが、仮に日本が周辺国に戦争を仕掛けられても、日本は機雷戦によって周辺国が必須とする海上輸送を阻害させることができる。『攻勢機雷戦という方法もある』で示したように、周辺国は、海上輸送に依存する割にはまともな対機雷戦戦力をもっていない。日本が攻勢機雷戦を実施した場合、周辺国は対日戦を断念しなければならない事態となるだろう。

 公海は機雷で封鎖できる。公海への機雷敷設と封鎖には前例がある。公海そのものへの機雷敷設は、第一次、第二次世界大戦でも実施されている。日米独英ソは、公海に機雷を敷設し、海上輸送や海軍作戦を阻害した。また、ベトナム戦争でも米国は北ベトナムを機雷で海上封鎖している。

 ベトナム戦争での機雷封鎖は、公海機雷封鎖は合法であることを再確認するものとなった。ソ連はタス通信を通じて「公海使用の自由」から公海への機雷封鎖を非難したが、それ以上の行動は取らなかった。公海での機雷敷設は、第一次、第二次世界大戦でも実施されていたためである。

 北ベトナム沿岸への機雷敷設は、機雷封鎖を実施する上での手続きの前例ともなった。1972年、米国大統領であったニクソンは北ベトナム沿岸を封鎖する旨を宣言した。ニクソンはテレビとラジオによって海上封鎖を宣言し、そののちに外交関係に通告している。具体的にニクソンが宣言した事項は次の3つである。
(1)北ベトナム諸港の封鎖(1972年5月9日9時付:サイゴン時間)
(2)機雷が動作開始する日時(5月11日18時以降:サイゴン時間)
(3)北ベトナム諸港から出航する場合の安全保証(9・10・11日の昼間)

 仮に日本が機雷封鎖を行う上でも、北ベトナムで行った封鎖手続きを踏襲すればよい。封鎖する範囲と開始する日時、機雷が動作を開始する日時、既に入港している第三国艦船への出港安全保証である。海上封鎖は国際法上合法である。その手続きも前例を踏襲することにより、合規性も担保される。



※ 米軍はハイフォン港に約3000個、北ベトナム沿岸では合計約8000個を敷設した。結果、ベトナムは海上輸送を閉ざされた。海上輸送が途絶した結果、ベトナムは輸入量(援助量)にして85%減となった(残り15%は鉄道輸送による)。海上封鎖によって、北ベトナムはパリ和平会談で米国との交渉に応じた。これにより、米国にとってのベトナム戦争は終了した。
2011.06
04
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15:08
Category : コミケ
 当籤しました。14日(日曜日) 東地区 "Q" ブロック 35bです

『感応機雷への対応-掃討でなければ処理ができない-』(仮題)の予定です。
2011.06
01
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23:26
Category : ミリタリー
 1950年代、米国で「ソ連がアラスカに攻めて来る」と主張する向きがあった。翻訳記事ヘルナー,モーリス Hの『アジアの闘争と海上権』(Helner,Maurice H‘Sea Power and the Struggle for Asia’"Proceedings"(USNI,1956))では、当時、米国では「ソ連がアラスカに攻めて来る」とする意見が『よく耳にする』とされている。ちょうど、日本人の一部が「ロシア軍(ソ連軍)が日本本土に上陸してくる」と発想するものと同じあり、なかなか興味深いものである。

 「ソ連がアラスカに攻めて来る」とする主張を、翻訳記事から引用すると次のとおりにである。『チューコット半島と、アラスカを隔てているベーリング海峡は極めて狭く、ソ連軍は容易にアラスカに侵入できる』『アラスカに対して空挺隊による侵略を試みる』 単純に「対岸にいるソ連軍は、自国領土に攻めて来る」というものである。これは、冷戦期に日本で唱えられたソ連脅威論で最先鋭的だった『ソ連軍が日本に攻めてくる』と同じ発想である。

 ヘルナーはソ連極東部での地理的条件から、アラスカ侵攻を否定している。ヘルナーは極東部でソ連が採れる可能行動については、輸送がネックになることを示している。ソ連極東部ではシベリア鉄道終点であるウラジオ、支線(当時)の終点であるソビエツカヤ・ガバニから先に陸上輸送機関はない。そこから先へは海上輸送するしかなく、ソ連が極東で採用できる可能行動は、海上輸送によって制限されるとしている。ヘルナーは具体的に、ソ連が大規模な作戦行動を支えられる大規模海上輸送を実施できるか、否かについては明言していない。だが、ベーリング・アプローチそのものについては『通俗雑誌や時事解説的分析に過ぎない』とも片付けている。事実上「不可能である」としているのである。

 極東部でのソ連、ロシアが採用できる可能行動は制限される。シベリア鉄道と、後のバム鉄道沿線をのぞけば、ソ連、ロシアは大規模な作戦行動を実施できない。海上輸送を実現するための輸送力と、それを保護する海軍力を持たないためである。日本に近い、樺太や北方領土でも同じである。ソ連、ロシアはアラスカに上陸・空挺侵攻できないことと同じように、日本本土に上陸できないのである。

 「ロシアが日本に上陸してくる」も「通俗雑誌的分析に過ぎない」ものだということだ。今日になってなお「ロシアが日本に上陸してくる」と主張されることがあるが、ヘルナーの言葉を借りれば全く通俗雑誌の発想である。それを戦車の性能だけで一点突破しようとしても、それはできない話である。まず『海上輸送は上陸作戦に必要であるばかりではなく[略]上陸作戦の基地を作るためにも必要である』ということである。ロシアに対日線に足る輸送能力はない。ロシアの鉄道・船舶輸送力が絶対的に不足している。ロシアの海軍力と日本の海軍力に絶望的な差がある。このような現実を前にすれば、戦車の性能優劣は取るに足らない問題である。このことからしても、「ロシアが日本に上陸してくる」と主張は、容易に否定されるのである。