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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2011.10
15
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13:00
Category : ミリタリー
 ロシアには大規模な海軍作戦を行う能力はない。今年9月上旬、ロシアはカムチャッカ方面で大規模演習を行うため水上艦艇を派出した。その一群は、ウラジオストックから宗谷海峡を経由している。防衛省統幕発表※によると艦隊規模は20隻である。艦艇数では比較的大規模であるため、日本でもニュースとして報道された。しかし、この艦隊について具体的に組成を見ると、「20隻の艦隊」というほど強力な存在ではない。

 宗谷海峡を通過したロシア艦隊は、強力な存在ではない。その主力は、駆逐艦以上が4隻、揚陸艦が3隻にすぎない。残りは、1000トンにみたない対潜哨戒艦2隻と500トンに満たないミサイル艇6隻、曳船ほか補助艦艇5隻と、パッとするものではない。駆逐艦以上にしても、スラーバ(巡)×1、ソブレメンヌイ(駆)×1、ウダロイ(駆)×2である。それぞれ対艦攻撃能力こそ強力であるが、旧ソ連が70年代に建造を始めたシリーズで、防空や対潜戦力は低い。揚陸艦にしてもロプーチャ×1、アリゲータ×2、合算して1個大隊も運べば上々である。

 大型艦×4、揚陸艦×3が、ロシア太平洋艦隊が出せる上限と見てよい。ロシア太平洋艦隊が持つ巡洋艦は1、駆逐艦は5である。巡×1、駆×3は、ほぼ全力である。保有揚陸艦も4隻であり、1隻は調子が良くない様子である。揚陸艦×3も全力である。そして艦隊には航洋曳船を帯同している。機関故障に備えたものだろう。

 極東でロシアが実施可能な海軍作戦は限定される。数も少ないが、質も低い。大型艦×4にしても、対潜戦力は低い。防空戦力も日米DDGに比すれば2世代は遅れている。個艦でみれば強力な対艦攻撃戦力を持つが、所詮は4隻である。揚陸艦が持つ輸送力も低い。揚陸艦3隻は上陸戦に間に合うものではない。オホーツク内海での生地輸送がせいぜいである。

 ロシアには北海道に攻め込む力は全くない。本格的に侵攻するには、水上艦×4、揚陸艦×3では絶望的に規模が小さい。大戦での上陸戦を見れば明快である。マレー侵攻では、輸送船は第1波で×25、第2波で×44が準備された。水上部隊も、直接護衛だけで巡洋艦×6、駆逐艦×16が投入されている。比島侵攻では、輸送船は当初×19、その後に×100程度が準備され、直接護衛部隊も巡洋艦×6、駆逐艦30が投入されている。米軍による硫黄島上陸では、輸送船は400、護衛・支援戦力として、空母×10、戦艦×6、巡洋艦と駆逐艦×20が常時張り付いている。

 北海道にロシアが上陸することはない。防衛力は、西方に、中国とのゲームに焦点が据えられている。北方はすでに第二線である。第二線であれば、第二線の戦力、装備で充分である。演習等に便利なのかもしれないが、それほど戦力を置いておく必要もない。戦争中期までも、北海道本島には、1個師団を配置しただけであり、その仕事も軍政面が主体である。今でも、その程度でよい。

 北方にはそれほど備える必要もない。無駄に北方に予算・人員を突っ込むよりも、中国を相手にしたゲーム振り向けるべきである。北で大規模な陸兵を維持しても意味はない。同じお金を遣うなら、西で海空戦力に振向けるほうがまだ建設的であるといえる。


※ ロシア海軍艦艇の動向について(2011.9.10)統合幕僚監部
http://www.mod.go.jp/jso/Press/press2011/press_pdf/p20110910.pdf
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2011.10
15
CM:0
TB:0
12:59
Category : 未分類
 同じ内容を2種類に分けて売る手法が増えた。同じマンガの単行本でモノクロ版とフルカラー版(限定版)で、2種類を同時に発売している。2冊買わせようという目論見だろう。最初に気づいたのは4月頃に出た『榊美麗のためなら僕は…ッ!!』なんだけどね。他にも、限定版として上製函に収め、DVDをつけたようなとかも最近併売されるようになった。

 通常版と限定版、2種を同時に売りつける商売はうまくいくとも思えない。5年くらい前の、DVDとかCDとかゲームを、複数買わせようとする。あるいは上製の差額をかすめ取ろうとする商売のやり方を参考にしたというわけだ。しかし、大元のDVD・CD・ゲームでは、後に高い限定版だけが売れ残る喜劇に見舞われている。

 同じコンテンツを複数買わせる手法は、衰退への萌芽である。既にマンガも売れなくなっている。だから、1人に同じ作品を複数購入させようと、小手先で考えついた。しかし、客から見れば好感持てるやり方ではない。嫌悪感がたってしまうと、滅びの道につながる。

 高く売れるのであれば、ストレートに値上げをすればよい。通常版と特別版を買う客は、真のファンである。商業的に辛いのなら、普通に値上げすればよい。判型を一回り大きくして、単行本1冊1000円でも買うだろう。目眩ましに980円にしてもいい。それで売れない本ならば、フルカラーやらDVD付き特別版も売れない。例えば、安永の『青空にとおく』とか唐沢の『まんが極道』、他にも志村の『青い花』、柳原の『高杉さんちのお弁当』あたりであれば、一回客が付けば1000円でも躊躇なく売れる。





 まあ、付加価値をつけるなら、もっと素朴な物をつけたほうがいいでしょうね。例えば、本屋によって添付したりしている、コピーの著者メッセージペーパーですね。一種手紙のようなモノですから、B6で1枚でも有難いわけです。犬神すくねがコミケでうているようなブックレットを、更に簡略化してつけたほうがいいでしょうね。銭ゲバ臭はあまりしない。売りつけ感もない。あれはうまい商売だと思うのです。しかし、あれが別料金でDVDつけたり、函入りにしたりした途端に、銭ゲバ臭がするわけです。

 そもそも「フルカラーを喜ぶ人ってどれくらいいるのか」問題もあります。日本のマンガはなぜかスミ1色で、おそらくフルカラーは膾炙しないでしょう。極端に言えば、マンガの絵はオマケで、肝は作劇術でしょう。マンガをフルカラーとする事は、書籍のフォントに色をつける、大きさを変える手法と同じで、意味は少ない行為ですねえ。