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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2011.11
05
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13:00
Category : ミリタリー
 自衛隊は陸自向けに新しい大砲を開発したいらしい。現有榴弾砲であるFH70がそろそろ耐用年数を迎えるといい。それを更新するために、装輪式自走砲開発をリクエストしているのだが。その必要はどうみてもおかしい。

 まず、既存FH70が使えなくなる前提がおかしい。陸海空自衛隊とも、火砲からライフリングが消えるほど射撃はしていない。榴弾砲は戦車砲やかつての高角砲とは異なる。極端に高初速でもなく、精度もそれなりでよい。砲身命数にしても少なくとも1万発程度はある。仮に年間に1門あたり200発を実射しても、調達から30年では6000発程度にすぎない。砲身は当分寿命に達するとは考えられない。

 また、わざわざ新型砲を国内開発する理由も弱い。FH70後継砲の所要数はそれほど多いものではない。FH70後継砲の所要は200門もない。陸自が保有する重装備は、規模縮小により余剰を生じている。戦車ほどではないが、砲も余剰は生じる。火砲は定数600門から新定数400門となった。400門の枠内に残る火砲は、当然、ヨリ高級な自走砲から充当される。すでに新式である99式15センチ自走砲は100門が調達されており、継続整備中である。長射程大威力である20センチ自走砲100門も※残っている。FH70は500門製造された。しかし、その後継砲への所要は200門あるかないかである。この規模では国内生産するメリットもあまりない。国内開発する必要となると、さらに希薄である。ライセンス生産なり輸入で済ませる規模にすぎない。

 そもそも、防衛省が必要性として挙げた戦略機動性もいかがわしい。日本本土内での移動であれば、戦略機動性はほとんど問題にならない。交通網が正常であれば、北海道から九州まで、装軌式自走砲でも、急げば2夜3日は掛からない。これが牽引砲でも装輪式自走砲にしたところで、1夜2日になる程度である。また、最近、防衛力整備で重視している離島域や、いずれ焦点になるだろう海外への戦略機動性では、優位とはならない。この場合に限定すれば、車体分重くなる自走砲は不利である。ヘリでスリング輸送できるような軽量砲(それほどの数もいらないだろうが)が有利となる。

 省力化も繋がらないだろう。まず、いいことしか書かない予算要求で、人員省力化が示されていない。FH70自体がすでに少人数で運用できた。次に自走化しても、あまり減るものでもないのだろう。また、自走砲化すれば砲側での要員数は減る。しかし、部隊全体として運用に必要な人員数が減るかはわからない。砲が砲塔構造に押し込まれ、車体もそれなりに手入れが必要となる。

 新型砲を開発する必要性はない。既存砲は充分な寿命を持っており、その更新にしてもわざわざ開発する規模ではない。装輪式自走砲導入によって、戦略機動性は実用上向上しない。離島や海外派遣ではむしろ不便となる。

 防衛省はとにかく新兵器を開発したがる。しかし真に必要が、所要があるかといえば、怪しい物が多い。P-3Cアップデートで問題もないのに、わざわざP-1を作る。90式戦車と戦力的に大差ない10式戦車を作る。上陸戦の脅威も減ったのに88式SSMの性能向上型を作る。防衛省とその開発セクションは前例により予算がつくという理由だけで、必要のない仕事を作り出して浪費をしているわけだね。



※ 長射程・大威力なので、どうにかして残すだろう。
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