Category : 有職故実
明治公文書は筆書きなのだが、くずし字が御家流から離れた時代なので読みにくい書類も結構ある。我流で崩していると読み憎さに辟易する。
そうなると、箸休めと称して、昔の人の日記・備忘録を少々拝見させてもらうのだけれども。なかなか興味ふかいもの。
レイテ沖海戦で軍令部にいた人の備忘録がなかなか面白い。
1944年10月23日から26日まで、現地情勢は五里霧中だったのだろうなと。
23日に「1YB 敵潜ニ捕捉 C×3ニ大被害」(愛宕・摩耶沈没、高雄大破ですね)
24日に「KdMBの牽制効ズ」(「効かず」だろうね)
25日に「1YB サマール島東方ニテ敵KdB捕捉□撃 (□は多分「砲」)
2YB レイテ突入後情報不足
神風特別攻撃隊体当リ」
ただねえ、このメモ帳は戦時中に記録したはずなのだが、異様に白い紙でできた付箋が糊付けしてある。その付箋や自由記載欄には、日記部分とは字体が微妙に異なっている。日記部分は、万年筆や、色が薄い昔の鉛筆で書いてある。でも、字体が違う所はボールペン?で書かれているのよね。他の備忘録にもポストイットが貼っつけたあったり。色々とオーパーツがある。
具体的には、使っていない日付の頁に走り書きがあるのですよ。45年8月12日に大西中将が、千早参謀を連れずにきて、小沢長官と1時間、キツイ話をして帰った。その後に長官が「今ごろ徹底抗戦とか言いに来るんだからモー」とけんもほろろの評があった。(超大意)とあるのだが、残念なことにこれもボールペン。戦後、おそらく1960~70年代にかき加えたんじゃないかと思うが、なんとも言えない。
別の方で面白かったのは、戦時下で、また戦後にも名司令官で知られた提督の日記。この方、度量広大な大人物で知られている。その人物評に違わず、日記の筆致もまたエラクのんびりしていらっしゃる。
重大作戦前に「工廠に行って『レーダーつけてよ、ないと困る』ってお願いしたけど、誰に頼んでも『3ヶ月待て』とか『無理なものは無理』と言われた。でも作戦の重要度からすれば、無理言っているわけじゃないんだけどなあ」(超大意) とかね。
また、別の作戦、決死を覚悟する作戦を前にして。その日に1行だけ「ワニノスキヤキ」ってのもあった。「ワニのすき焼き」なんだろうな。他にも「息子の結婚式、引き出物とお返しどうしよう」とか、国家趨勢とは関係ない心情が吐露されていて、読んでいて微笑ましくなるね。
ただ、こういう記述に、たまに真面目なことが書いてあると、相当神妙だったのだろうなと。 某港湾で、米機に対して体当たり敢行した陸軍機を目撃し、あとから官性名を追記したりとか、作戦での僥倖的勝利のあとに、大きく走り書きで「天佑に非ずして何ぞや」とかね
そうなると、箸休めと称して、昔の人の日記・備忘録を少々拝見させてもらうのだけれども。なかなか興味ふかいもの。
レイテ沖海戦で軍令部にいた人の備忘録がなかなか面白い。
1944年10月23日から26日まで、現地情勢は五里霧中だったのだろうなと。
23日に「1YB 敵潜ニ捕捉 C×3ニ大被害」(愛宕・摩耶沈没、高雄大破ですね)
24日に「KdMBの牽制効ズ」(「効かず」だろうね)
25日に「1YB サマール島東方ニテ敵KdB捕捉□撃 (□は多分「砲」)
2YB レイテ突入後情報不足
神風特別攻撃隊体当リ」
ただねえ、このメモ帳は戦時中に記録したはずなのだが、異様に白い紙でできた付箋が糊付けしてある。その付箋や自由記載欄には、日記部分とは字体が微妙に異なっている。日記部分は、万年筆や、色が薄い昔の鉛筆で書いてある。でも、字体が違う所はボールペン?で書かれているのよね。他の備忘録にもポストイットが貼っつけたあったり。色々とオーパーツがある。
具体的には、使っていない日付の頁に走り書きがあるのですよ。45年8月12日に大西中将が、千早参謀を連れずにきて、小沢長官と1時間、キツイ話をして帰った。その後に長官が「今ごろ徹底抗戦とか言いに来るんだからモー」とけんもほろろの評があった。(超大意)とあるのだが、残念なことにこれもボールペン。戦後、おそらく1960~70年代にかき加えたんじゃないかと思うが、なんとも言えない。
別の方で面白かったのは、戦時下で、また戦後にも名司令官で知られた提督の日記。この方、度量広大な大人物で知られている。その人物評に違わず、日記の筆致もまたエラクのんびりしていらっしゃる。
重大作戦前に「工廠に行って『レーダーつけてよ、ないと困る』ってお願いしたけど、誰に頼んでも『3ヶ月待て』とか『無理なものは無理』と言われた。でも作戦の重要度からすれば、無理言っているわけじゃないんだけどなあ」(超大意) とかね。
また、別の作戦、決死を覚悟する作戦を前にして。その日に1行だけ「ワニノスキヤキ」ってのもあった。「ワニのすき焼き」なんだろうな。他にも「息子の結婚式、引き出物とお返しどうしよう」とか、国家趨勢とは関係ない心情が吐露されていて、読んでいて微笑ましくなるね。
ただ、こういう記述に、たまに真面目なことが書いてあると、相当神妙だったのだろうなと。 某港湾で、米機に対して体当たり敢行した陸軍機を目撃し、あとから官性名を追記したりとか、作戦での僥倖的勝利のあとに、大きく走り書きで「天佑に非ずして何ぞや」とかね
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