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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2012.02
04
CM:8
TB:0
23:39
Category : ミリタリー
 10式戦車を導入しても、抑止力はほとんど増えません。

 日本本土への侵攻を躊躇わせる抑止力は、経済力、日米同盟と海空軍力がほとんどですよ。戦車の質による抑止力は問題にならないほど小さい。しかも90式戦車が10式戦車に変わっても、ミクロで微増するだけで、マクロに、全体を見ても何も変わりませんね。
 まず、日本本土に侵攻しようと考える国はありません。周辺国を見ても、北朝鮮を除きすべての国、地域と日本は友好関係にある。離島での領有権、交流関係深化による摩擦といった、多少の対立はありますが、戦争に繋がるような対立はありません。

 クローズアップされる中国との競争も、外交や海軍力競争であり、ゲームにすぎません。どちらも問題を大きくするつもりはない。尖閣諸島をめぐる応酬も、両国とも拡大防止に意を砕いている。あの中国にしても、ナショナリズムを抑制しようとしている。全面的な対立に結びつくようなものではないのです。

 周辺国は、日本との全面戦争は望みません。対日線は経済的困難を伴います。日米同盟もある。そして、日本は地域屈指の軍事力を持っている。

 日本との全面戦争は、経済的困難を伴います。
 日本、その背後にいる米国を敵にまわすことは、交易困難を伴います。
 中国脅威論が流行りですので中国を例に挙げますが、中国GDP6兆ドルに対して、輸出が1.6兆ドル、輸入が1.4兆ドル、輸出入合計して3兆ドルあります。中国の輸出先で、日米は4000億円を占め、輸入先としても3000億を占める。また対中投資でも日米が占める割合は大きい。香港からの投資を除き、対中投資額は2011年実績で300億ドルですが、そのうち日米が占める割合は100億ドルと1/3を超えています。
 また、海軍力に長じる日米を敵にまわすことにより、海路による交易が途絶えてしまう。日米以外との輸出入も止まることになります。

 日本との全面戦争は、アメリカとの対立も覚悟しなければなりません。周辺国には、少なくとも外洋域で日米同盟に対抗できる戦力は存在しません。質的要素も加味すれば、日米同盟はロシア・中国のの10~20倍の外洋戦力(圧倒的な日米同盟)を持っています。日本本土への侵攻どころか、日米により沿岸域に閉じ込められ、沿海地域への攻撃をおそれなければなりません。

 日米同盟を除外しても、周辺国は地域屈指の日本軍事力を圧倒できません。日本本土への侵攻は事実上無理ゲーです。戦後レジュームで、日本人は「専守防衛のための軽武装」であると考えがちですが、日本が持つ海軍力、海自と海保はあまりにも強力です。駆逐艦以上の軍艦を比べても、日本は48隻を保有していますが、ロシアは8隻、中国は13隻に過ぎない。潜水艦、哨戒機、艦載ヘリ…何れも日本が圧倒しています。また、空軍力にしても、昭和50年代から、空自は脚の長い最新鋭機を導入しています。国内や沿岸では、空自機はJADGEにより高度に管制され、侵入機に対して優位に立てます。外洋であっても、AWACSを主力とする早期警戒機により優位な戦闘が可能になっています。

 経済的理由、日米同盟、海空自衛隊が持つ軍事力、周辺国が日本との全面戦争を決することは考え難いですし、日本本土に侵攻することはできません。

 抑止力としての陸軍力には、あまり力をそそぐ必要もありません。陸軍力によって抑止される以前に、経済、同盟、海空軍力により抑止され、日本本土への侵攻は封止されています。その陸軍力のごく一部である戦車、その質が担う抑止力は、毛の先ほどもありません。抑止力全体を100としても、1に満たないでしょう。

 その戦車が、90式戦車から10式戦車に変わったとしても、抑止力云々は何も変わりません。90式戦車も10式戦車も同じようなものです。フェアレディZをGT-Rに乗り換えた程度に過ぎません。日常的に道路を走る分には、別に速い遅いもありません。10式戦車になって増えた抑止力なんてものは、頭の髪の毛を数えて、その一本の毛先が太くなった程度にすぎないのです。

 陸軍力は、力の真空を作らない程度で充分でしょう。海空軍力は、インド洋でも使える、国際貢献にも使える。対して、陸軍力、今の陸上自衛隊は、本土決戦に特化しているので、より重要度が増す海外での活動には使い難い。まず、陸上自衛隊に予算をつぎ込んでも、しかも本土決戦準備に予算を投入してもリターンは見込めません。もちろん、災害時等に国家が直轄投入できる人的資源としては重要ですけどね。でも、戦車はありさえすればいいんじゃないですかね。
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2012.02
04
CM:2
TB:0
13:00
Category : ミリタリー
 魚雷艇あたりに積む長魚雷は、短くしても構わないんじゃないかな。まあ、ドイツ魚雷が馳走距離に応じて電池を増減しているのをNAVINT※で見つけて思いついたのだけれどもね。



 長魚雷も、短射程で使用するなら電池を減らしてもかまわない。ドイツが使用している長魚雷(Heavyweight Torpedo)、DM2A4では、短射程であれば電池を減らして使用できるようになっている。

 DM2A4は、潜水艦から運用される長魚雷である。商品名として"Seehecht"あるいは"SeaSHARK"。性能は最大全長6.22m、最大重量1530kg、炸薬はPBXで250kg、最大雷速50kt(90km/h)、最大馳走距離50nm(90km)となっている。用途としては、米Mk48、英スピアーフィッシュと同じ仲間である。

 特徴としては、バッテリー駆動であり、電池が増結式となっている点である。このDM2A4は、長射程ではバッテリー4個であるが、極短射程、あるいは航跡追尾や、AUV運用ではバッテリーは1個になる。魚雷はバッテリーの数により、A4無印(4個)、A4-M(3個)、A4-S(2個)、A4-VS(1個)と分類される。航跡追尾式(Wake Homer)は、光ファイバーディスペンサー(ホビン)と、頭部センサー部が省略されており、A4-LC(1個)とされる。機雷でも搭載するのだろうAUVタイプも、ディスペンダーはなく、A4-AUV(1個)と命名されている。

 バッテリーは、相当高価な様子である。長魚雷そのものも高価であり、対艦ミサイルよりも高い。誘導機構、炸薬も高価であるが、動力部分も安くはない。バッテリーで駆動するDM2A4であれば、モータは安価であるが、電池が高くつく。1.8v銀亜鉛電池を86セルでつかい、150vで300kwモータを動かす。最大速力50ktでの馳走距離、25nmから逆算すると150vで2000Ahになる。バッテリー1ユニットが150v500Ahになる。1ユニットあたり、少なくとも邦貨換算1000万円以上はするのだろう。

 短射程と割り切れば、電池式魚雷は安くできる余地がある。長魚雷を最大射程で使うことは、それほどないと思われる。DM2A4は最大50nm、最大速力で25nmである。だが、潜水艦から使用する場合を考慮しても、その距離では、ソーナーで敵が探知できるかわからない。詳しくは「やっぱり魚雷を使うんだろうね」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-188.htmlで書いたが、洋書で示唆されている限りでは、ソーナー探知できる距離は直接波で約10km程度にすぎない。また、実際にはソーナー探知した水上目標であっても、一度は襲撃用潜望鏡で確認したいだろう。最大速力での最大馳走距離25nmは、過剰性能とも考えられる。



 特に魚雷艇で襲撃的に運用する場合では、長魚雷は短く使って構わないんだろうね。バッテリー1ユニット分、50ktで6nm走れば充分じゃないのかな。昔、スウェーデン魚雷/ミサイル艇が狙ったミサイルと長魚雷による、同時弾着攻撃(TOT)でもなければ、25nm、50nmもの射程は不必要な長さでしょう。魚雷艇であれば、ディスペンサーを通じた音響誘導も不便で、打ち放しか、航跡追尾式で充分だろうね。航跡追尾式DM2A4-LCであれば、全長も3.5m程度になり取回ししやすいだろうね。



※ Jane's Navy International(2005.6) pp.12-16.

※※ 市販されている時計用銀亜鉛電池の能力・単価で割ると、全体で1億8000万円、1ユニット4500万円程度。それほどでないにしても、魚雷全体で2~3億円程度とみれば、バッテリー4ユニットで4000万から8000万くらいはするだろう。

※※※ もちろんUSMで行われるように、魚雷を迂回させて潜水艦位置を掴ませない方法で使うかもしれない。USMの場合は、例えば目標西にいる潜水艦から、ミサイルを南に迂回させ、攻撃潜水艦が南にいる(虚像、phantom)ように見せかけることも行われるらしい。これはHervey,John,Submarines(London,Brasseys,1994)p.131.に図示されている。