Category : ナショナリズム
沖ノ鳥島は、島であり、200マイルの排他的経済水域(EEZ)を持つ。日本は沖ノ鳥島を起点とするEEZを、平穏に支配しており、国際社会でも認められている。
しかし、沖ノ鳥島には見るべき利益はなく、「日本の生命線」ではない。濱口和久さんは「沖ノ鳥島は日本の生命線」※とする意見を述べている。しかし、沖ノ鳥島EEZは日本にとって死活的な利益を生み出すものではない。
濱口さんの記事は、国際海洋法上の島の定義と、沖ノ鳥島に対する適用を非常によくまとめている。
しかし、残念なことに、EEZと領海を混同してしまっている。そして、EEZにより中国潜水艦行動を平時・有事とも制約できるとしている。
しかし、沖ノ鳥島とそのEEZは、潜水艦行動を制約するものではない。※※ EEZは領海ではない。また沖ノ鳥島領海は太平洋上の点であり、容易に迂回できる。そもそもチョークポイントでもない。沖ノ鳥島で制約しようにも、島は根拠地とはならず、付近にも拠点はない。
まず、EEZは、領海ではない。経済活動を除けば、沿岸国主権はEEZに及ばない。潜水艦が行う行動に関しては、公海と同じである。無害航行の必要もなく、潜水可能である。戦争に伴う行為にしても、沿岸国は自国領域としての権利を主張できない。
また、沖ノ鳥島を起点とする領海は、12マイル(22km)にすぎない。その範囲であれば、潜水艦に無害通航(浮上し、旗国を明確にする)を強要させることは、国際法上は可能である。しかし、沖ノ鳥島を起点とする領海は直径にして50km程度である。太平洋に浮かんだシミであり、迂回は容易である。
そして、沖ノ鳥島はチョーク・ポイントではない。マリアナ、ハワイから横須賀、津軽海峡、沖縄、台湾、朝鮮半島、南シナ海…どこに行くにしても、特に沖ノ鳥島を通航する必要はない。グァムから沖縄に行くまでの最短距離かもしれないが、迂回しても大して時間はかわらない。マラッカ海峡のように、そこを通らないといけないわけでもないのである。これは、戦時に中国潜水艦が米艦艇を邀撃するとして同じである。沖の鳥島は、米艦隊が通るか分からない。中国も、その島を中心にしてた拒否水面(Offensive Sea Denial)は設定しない。
最後に、沖ノ鳥島は足がかりとはならない。沖ノ鳥島は、根拠地として使うことはできない。実際に海空自や海保の根拠地は設定できない。実際には、領海や接続水域、EEZを実行支配することも容易ではない。※※※
沖ノ鳥島と、島を起点とするEEZは貴重である。また、近代国家にとって、領土を失うことに耐えられない。そのため、沖ノ鳥島保全には力が注がれている。
しかし、沖ノ鳥島には国防、防衛上の価値はない。実際に得られる利益は、漁業しかない。その漁業にしても、あまり漁獲も見込めない、砂漠のような海である。
沖ノ鳥島は、日本にとって死活的な利益ではないのである。
※ 濱口和久「沖ノ鳥島は日本の生命線」http://www.data-max.co.jp/2012/02/02/post_16433_hk_1.html
※※ 領海であっても、交戦される可能性もある。米中交戦の場合、日本は米側に付くため、中立はとりえない。仮に中立を宣言しても、一方が領海を利用する(米軍が日本領海を利用する)場合、交戦国間に公平でなければならないため、もう片方にも領海利用を許さなければならない。
※※※ 沖ノ鳥島を「島」と認めない立場で、領海内を潜水して通航しても、日本が事実を確認し、追尾し、浮上を求めることは難しい。仮に日本側が中国潜水艦を追尾できるとしても、沖ノ鳥島周辺では、固定翼哨戒機以外では追尾は難しいだろう。実際のところ、水上艦でなければ、浮上を要求し、強制することはできない。
しかし、沖ノ鳥島には見るべき利益はなく、「日本の生命線」ではない。濱口和久さんは「沖ノ鳥島は日本の生命線」※とする意見を述べている。しかし、沖ノ鳥島EEZは日本にとって死活的な利益を生み出すものではない。
濱口さんの記事は、国際海洋法上の島の定義と、沖ノ鳥島に対する適用を非常によくまとめている。
しかし、残念なことに、EEZと領海を混同してしまっている。そして、EEZにより中国潜水艦行動を平時・有事とも制約できるとしている。
[略]沖ノ鳥島海域は沖縄本島とグァム島を結ぶ直線のほほ中間に位置し、原子力空母を含む米海軍の艦船が日本周辺に向かって西進する最短の航路上にあり、極めて重要なチョークポイントとなっている。/もし仮に、沖ノ鳥島海域が日本の排他的経済水域(EEZ)から外れると、周辺海域は公海となり、中国海軍の潜水艦が大手を振って航行するようになる。[略]
濱口和久「沖ノ鳥島は日本の生命線」http://www.data-max.co.jp/2012/02/02/post_16433_hk_1.html より
しかし、沖ノ鳥島とそのEEZは、潜水艦行動を制約するものではない。※※ EEZは領海ではない。また沖ノ鳥島領海は太平洋上の点であり、容易に迂回できる。そもそもチョークポイントでもない。沖ノ鳥島で制約しようにも、島は根拠地とはならず、付近にも拠点はない。
まず、EEZは、領海ではない。経済活動を除けば、沿岸国主権はEEZに及ばない。潜水艦が行う行動に関しては、公海と同じである。無害航行の必要もなく、潜水可能である。戦争に伴う行為にしても、沿岸国は自国領域としての権利を主張できない。
また、沖ノ鳥島を起点とする領海は、12マイル(22km)にすぎない。その範囲であれば、潜水艦に無害通航(浮上し、旗国を明確にする)を強要させることは、国際法上は可能である。しかし、沖ノ鳥島を起点とする領海は直径にして50km程度である。太平洋に浮かんだシミであり、迂回は容易である。
そして、沖ノ鳥島はチョーク・ポイントではない。マリアナ、ハワイから横須賀、津軽海峡、沖縄、台湾、朝鮮半島、南シナ海…どこに行くにしても、特に沖ノ鳥島を通航する必要はない。グァムから沖縄に行くまでの最短距離かもしれないが、迂回しても大して時間はかわらない。マラッカ海峡のように、そこを通らないといけないわけでもないのである。これは、戦時に中国潜水艦が米艦艇を邀撃するとして同じである。沖の鳥島は、米艦隊が通るか分からない。中国も、その島を中心にしてた拒否水面(Offensive Sea Denial)は設定しない。
最後に、沖ノ鳥島は足がかりとはならない。沖ノ鳥島は、根拠地として使うことはできない。実際に海空自や海保の根拠地は設定できない。実際には、領海や接続水域、EEZを実行支配することも容易ではない。※※※
沖ノ鳥島と、島を起点とするEEZは貴重である。また、近代国家にとって、領土を失うことに耐えられない。そのため、沖ノ鳥島保全には力が注がれている。
しかし、沖ノ鳥島には国防、防衛上の価値はない。実際に得られる利益は、漁業しかない。その漁業にしても、あまり漁獲も見込めない、砂漠のような海である。
沖ノ鳥島は、日本にとって死活的な利益ではないのである。
※ 濱口和久「沖ノ鳥島は日本の生命線」http://www.data-max.co.jp/2012/02/02/post_16433_hk_1.html
※※ 領海であっても、交戦される可能性もある。米中交戦の場合、日本は米側に付くため、中立はとりえない。仮に中立を宣言しても、一方が領海を利用する(米軍が日本領海を利用する)場合、交戦国間に公平でなければならないため、もう片方にも領海利用を許さなければならない。
※※※ 沖ノ鳥島を「島」と認めない立場で、領海内を潜水して通航しても、日本が事実を確認し、追尾し、浮上を求めることは難しい。仮に日本側が中国潜水艦を追尾できるとしても、沖ノ鳥島周辺では、固定翼哨戒機以外では追尾は難しいだろう。実際のところ、水上艦でなければ、浮上を要求し、強制することはできない。
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