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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2012.02
22
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13:00
Category : ミリタリー
 イラン人間魚雷は、米海軍にとってのIEDになるのではないかな。仮に、ペルシア湾内でイランとの戦いとなった場合、米海軍は人間魚雷に手こずるような気がするんだよね。



 米軍は、原始的な攻撃に対応できないことがある。野蛮人の素朴な発想に基づいた攻撃に対抗できない。例えば、IEDである。色々な手段を、積極的なもの、消極的なものも試したが、被害を減らすのが手一杯であった。ついにIEDに勝利することはできなかった。

 米海軍は、イランによる原始的な攻撃を無効化することができるか。例えば半潜水艇、人間魚雷といった手段に対抗できるのだろうか。

 米海軍は、高度なシステムを持つ。イージス・システムでもたらされる高度な防御能力はその代表である。艦艇・航空機は高度な指揮通信システムで互いに連結されている。それぞれの艦艇、航空機もシステム化されており、その支援により航空戦、防空戦、対水上戦、対潜水艦戦を優位に戦うことができる。

 しかし、システムでは対抗できない、原始的な戦闘が起きたらどうなるだろう。

 まずは、半潜水艇である。イラクは潜水可能な高速艇※1を保有している。潜れる深さは-3m程度であり、小型魚雷、ロシア魚雷艇に由来する直径381mmタイプを2発装備している。

 米海軍も、最近は、自爆艇対策として、ファランクスに対水上射撃モードが付加され、57mm砲といった小型砲も導入されている。RAMも高速艇を攻撃できるようである。※2
 しかし、水上目標が潜水した場合には対応できない。水上目標は、主としてレーダや光学手段により、発見し、追尾する。水中に潜られれば(スノーケルは水上に残るらしいが)探知はできなくなる。レーダ等と同時に、ソナーでも追尾していたかもしれない。しかし、パッシブでは方位はわかっても、相手の速力が分からなければ距離は分からない。小型目標であり、水面近くにいる半潜水艇を、アクティブで探知できるかはわからない。

 仮にソナーで半潜水艇の場所を掴んだとしても、攻撃手段にも困る。近距離目標に咄嗟で攻撃できる手段は短魚雷しかない。確実に当たるものでもないだろうし、当たるまで矢継早に撃てるものでもない。

 対抗できるのは、ヘリしかない。戦闘ヘリ、艦載ヘリどちらでもよい。潜水している半潜水艇を目視確認できれば、機関砲、あるいは大口径機関銃で沈められるだろう。半潜水艇は-3m程度しか潜れない。その深さなら、真上からであれば、通常の弾薬でも威力を発揮できる。しかし、艦載ヘリも常に艦艇周辺にいるわけではない。艦艇護衛以外の任務も多すぎる。

 人間魚雷は、更に始末が悪い。ここでいう人間魚雷は、英伊方式である。停泊している艦船に、ダイバーを載せた人間魚雷が接近し、遊泳により爆薬を仕掛けて損害を与える攻撃法である。第二次世界大戦で英伊はこの攻撃法を活用し、大きな戦果を挙げた。日本の高雄も、シンガポールで被害を受けている。

 イランは、SDVを保有している。SDVはSwimmer Derivery Vehcleである。AL-Sabehat級を8隻、新型を1隻持っている。別に高度な正式品である必要もない。旧式魚雷を改造しても、車のバッテリーとモーターをつないでもよい。どうとでも作れる原始的な兵器であり、数はいくらでも増やせる。

 人間魚雷に対抗する専用システムはない。原始的な方法に対しては、原始的に対抗するしかない。停泊や仮泊では、網を引き回すか、防御用にダイバー(水中銃やナイフで武装する)を入れるか、予防的に内火艇で爆雷※3を落として防圧するしかない。仮に防御策を施しても、それらをすり抜けられる可能性もある。

 人間魚雷は威力も馬鹿にできない。一般的には、リムペット・マインと呼ばれる、旧軍吸着地雷程度での攻撃だが、スクリューやその推進軸、舵を破壊されると行動に支障がでる。ソナーを壊されると、対戦能力は喪ったも同然である。重要部以外でも、攻撃されればそれなりに浸水を引き起こす。人間魚雷でも、やる気になれば爆薬100kg以上※4を、理想条件である艦底真下に設置することもできる。魚雷や機雷で用いる高性能専用爆薬が200-300kgもあれば、1000トン、2000トンクラスの艦船ならならポキンと折れてしまう。

 ペルシア湾内は比較的狭く、人間魚雷も展開しやすい。イランから対岸までも200-300km程度しかない。ミゼット・サブ等で、人間魚雷を泊地近くまで輸送することは容易である。イランが人間魚雷を活用した場合には、米海軍を始めとする米軍は、ペルシア湾内での停泊が難しくなる。もし、湾内に停泊する場合には、厳重に防備する必要がある。艦船でも、航行あるいは戦闘時に準じた隔壁閉鎖を求められる。乗員も休養はできない。

 仮に全面戦争になった場合は、当然、米軍がイランを圧倒する。米海空戦力にイラン戦力は対抗できない。ペルシア湾での脅威であったイラン航空戦力、海上戦力、地対艦ミサイル等は鎧袖一触で撃破される。

 しかし、それでペルシア湾がセキュアになるか、と考えれば、そうでもない。

 イランは、米国に制空権や制海権を取られたとしても、戦い続けるだろう。空軍や地対艦ミサイルを喪ったあとでも、人間魚雷や半潜水艇は、隙間を見つけて行動できる。これらの兵器は原始的であるが、それ故に米軍は対処に苦労する。イランはミゼット・サブや自爆艇も保有している。両者は人間魚雷や半潜水艇ほどでもないにせよ、やはり対処は容易ではない。

 イランが原始的な攻撃行った場合、米海軍は対抗できない。米海軍は、ジェット機や対艦ミサイルによる攻撃には容易に対処できる。例外的な損害を除けば、被害は受けないだろう。しかし、原始的攻撃手段に対しては、被害根絶は難しい。



 まあ、人間魚雷に対しては「ペルシア湾内では停泊しないこと」だけが根本的な解決策だろうね。米海軍艦艇はいいけど、タンカー等が狙われたらどうしようもないけど。



※1 イランは、Gahjae級、Kajami級半潜水艇を保有している。これらは北朝鮮製とされ、-3m程度まで潜水できるとされている。

※2 RAMの広告では、目標として、航空機、ヘリ、対艦ミサイルに加えて、高速艇も描かれている。

※3 爆雷も適当なものは保有していない。機雷処分用に使う135kgでは重すぎる。イタリア、スウェーデンで製造された、対潜水員用爆雷(1-3.5kg)程度を使うか、爆薬そのものを使うか、脅し程度にしからならないが、手榴弾や水中発音弾を落とすしかないだろう。

※4 イタリアは大重量炸薬をもっている。「次の戦争でもイタリアは人間魚雷をやるだろうね」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-137.htmlを参照
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2012.02
22
CM:0
TB:0
12:59
Category : ミリタリー
 古いIDR(International Defence Review)を読んでいて。AMOS迫撃砲に関する記事に、信管、MO332A1の写真を見つけた。この信管、設定がピクトグラムになっている。

fuse

 画像がみつからないので、手許メモから起こした。左から秒時設定、遅延、瞬発、近接となっている。遅延、瞬発、近接は直感で判る。悩むのは秒時設定だけ。

 ヨーロッパ共通であるかと思えばそうでもない様子。南アフリカ製信管(M9815 Electronic Proximity Fuze http://www.fuchs.co.za/products/mortar.html)、あとはWikipediaで出てくる155mm砲弾用近接信管http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/7c/PD_and_Proximity_fuze.jpg/90px-PD_and_Proximity_fuze.jpgで、同じピクトグラムが見つかるだけである。

 逆に、NATO加盟国でも、PROX、PD、DL、Progと書かれている信管も見つかる。昔習っても、長いこと使わないと悩むんじゃないかね。特に近接とProximityが繋がらない言語だとね。

 この手の表示って、バカでも分かるように示す。それなら、ピクトグラムに統一すればいいのにね。