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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2012.03
23
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20:31
 自称ロシア通である某さん「対空挺地雷である」と断じているのだけれども、どうみても水際機雷/地雷なんだよね、って話。

 発端は、朝日新聞の関根和弘さんが紹介された1枚の写真です。どうみても水際機雷なのだけれども、関根さんは、

>これは対空てい部隊の地雷です。面白い形をしています。
http://twitpic.com/8zxray

と説明されています。しかし、実物は対上陸舟艇用に使われる水際機雷です。おそらく関根さん、「対デサント用」を「対空挺作戦用」と理解されたのでしょう。専門ではないとのことですから、仕方がないことです。もちろん、地雷とすれば珍しく、面白い形体です。役に立つ紹介といえるでしょう。

 しかしこれを見た、ロシア通を自称する某さんが、対空挺用であると断じるのは、どうなんでしょうね。

>対空挺地雷? これは初めて見た…
https://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/182976475815878657

>@hachimaki_t ロシアは対空地雷を開発した国でもあるので、これもそれに近いものかも。
https://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/182978904284344320

某さん、軍事に詳しい人を自称しているわけです。それなら、写真を見れば、水際機雷であることが明らかなことくらい分かるでしょう。また、ロシア通を気取っている某さんや、周囲の人なら、ロシアの地雷について詳しいはずです。ロシアに対空地雷があるなら、その形体、動作原理と比較してオカシイことに気づかなければなりませんよね。

 いやね、某さんは「軍事的な誤り」「デマ」に厳しい人でもある。はっきり言えば、他人の過ちを見つけて、鬼の首をとったように喧伝する。しかし、某さん、これを対空挺用地雷という「軍事的誤り」を紹介しているわけです。それって「デマ」じゃないのって。

 一番不思議なのが、なんで某さん「対空挺地雷」「対空地雷に近いもの」なんて判断したかってところね。特異な形状、空挺用だとした場合の動作原理について、疑問に思わなかったところ、相当に甘いですね。

 だってさ、この形体で「地雷」とすれば、水際機雷/地雷※しかありませんもの。底板は、機雷の沈みこみを防ぎ、缶体を垂直に保持するため。球体の上にある棒は、触角そのものか、おそらくは触角の先端を延長した棒。船底が棒に引っ掛かると、根本にある信管、多分、電解液の入ったガラス瓶が割れて、発火させる役割でしょ。

 状況証拠としてもさ、指揮棒で説明する兵隊さんの後ろにあるのも、水際機雷だね。半球型に棒がつきだしたタイプで、日本海軍が作った「タラワ型」の1触角タイプと全く同じ形ですからねえ。

 説明で、キャプションで、「対空挺地雷」とあると、そのまま信じてしまうのでしょうね。そこにあるもの、説明されているものには気づくけど、説明されていないもの、そこにないものには気づかない。某さんはそういうタイプなのでしょう。

 ま、常々公言している「軍事的な常識」や「情報へのリテラシー」に欠けているのは、御本人ということになりますね。
 某さんは、他人の間違いをあげつらう人です。だから、私が間違いを見つけて指摘しても、文句もないでしょう。

※ 水際機雷(みずぎわきらい)は旧海軍兵器、水際地雷(すいさいじらい)は陸自現用の兵器。用途は同じ。



-------------------------24日午後4時に追記-----------------

調べてきたけど、該当機雷は、PDM-2水際機雷/地雷だね。
Russian's Arms and Technology Vol12(Public House,Moscow,2006)p351.に写真付きで説明があった。
別の本をあわせてみると、ロシアは水際機雷/地雷としてPDM-1,PDM-1M,PDM-2,PDM-4,PDM-6を保有しているとされている。でも、浅海・河川用であるMIRAB機雷あたりと境目がないねえ。

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