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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2012.05
02
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13:00
Category : ミリタリー
 ルノーFTは歩兵にとって脅威じゃないが、ヴィーゼルやBMDになれば脅威だと言いはるんだろうね。

 「ルノーFTは歩兵にとって脅威ではない」という人がいる。「キャタピラと大砲があれば戦車だろうと思うけどね」に対する感情的反発なのだろうけど。「ルノーFTなら,相手が重機関銃を持っていたら,制圧されますね.装甲を貫通されるので.」という御趣旨。

 でもねえ、あまりにモノを考えていないよね。これ「重機関銃で対抗できるから、歩兵の脅威ではない」という意見になるわけだから。正確に言えば、歩兵に限らない、生身の兵隊やソフトスキン車両って意味になんだろうけど。重機関銃で制圧できるから脅威ではないとするのもね。

 反論以前にさ、言い返されたらどうするかね?。例えば「『重機関銃で制圧できるので、機関銃は兵隊の脅威ではない』と主張するのね」とか。もともとが「重機関銃があれば、機関銃は脅威ではない。射撃を受けても、兵隊は口笛を吹きながら行進できる」って主張なのだから一溜まりもないでしょ。

 味方に重機関銃があっても、敵機関銃が生身の兵隊に脅威なのは変わらない。射程で、威力で超越する味方重機関銃が断続的に射撃をしてくれてもさ、敵機関銃に狙われればまず逃げられない。当たれば兵隊は死ぬ。重機関銃の支援があっても、機関銃は脅威に変わりはないわけです。

 ルノーFTは、機関銃よりも強い。小銃弾は貫通しない、迫撃砲弾くらいなら至近距離で破裂しても抗堪できる。一応は戦車砲があるので、装甲車程度ならば撃破できる。機銃があれば、兵隊は容易に殺せる。ルノーFTであっても、兵隊や海岸作業部隊は殺され、上陸作業は混乱する。重機関銃で貫通するかもしれないが、上陸部隊にとっては脅威だね。

 また、彼らは重機関銃で云々と主張するが、重機関銃はお手軽な兵器ではない。分隊に1丁とか配備されているわけではない。

 ある軍事史研究家(後難を避けるため名を秘す)は、この発言を次のように評した。
 相手に重機があればって簡単に言ってくれますな。車載重機のイメージなのかどの戦場にもフランクに投入されるかのごとく語っていますが、重機が歩兵の個人携行火器になった事がない以上、そうそう着上陸部隊側が持ち込める装備じゃないのにね。無駄に重いし。なんかファンタジーですね。


 キャリバー50はとにかく重い。後方で、天秤担ぎでも一人はまず無理。本体も重いが、三脚も同じくらい重い。その上、弾丸も重い。50口径弾を運ぼうとして、箱取り落として指を潰した海曹もいた。それを身軽が信条の上陸戦で兵隊に携行させるのは無理がある。もちろん欲しいだろうが、重くて使い難い。

 重機関銃をソフトスキンに載せても、脆弱であることには変わりない。キャリバー50や搭載したソフトスキンは、ルノーFTに較べれば相当に脆弱です。機関銃や迫撃砲で撃破できる。ソフトスキンにしても、兵隊が携行するにしても、露天ですので、迫なり砲なりで叩いているうちは余裕もありません。



 なんにしても、彼らは見た目のイメージだけで判断しているわけです。旧式戦車はカッコ悪いので役に立たない。そう判断をしています。

 逆に見た目でしか判断できないので、新型車両であれば脅威と認定するでしょう。ルノーFT同等の水準でも、新型車両あるいはエリート部隊が装備する車両は、掌を返して高く評価します。例えば、ヴィーゼルやBMDといった空挺車両なら脅威だと言いはるでしょう。部位や角度に依りますが、どちらも12.7mm弾、あるいは14.5mm弾に抗堪できない。でも、新型+エリート部隊っぽいから脅威だと言い張りますよ。

 特にBMDは脅威認定しますね。エリート部隊がもつ新型装備ですから。実際に着上陸の話では「上陸部隊が少なかったとしても、ロシアには空挺軍がある」と豪語してました。

 また、重機関銃に抗堪できないBTRでも、脅威認定するでしょう。BTR-60※ は、7.62mmNATO弾も貫通する部位があったといいます。BTR-70もBTR-80も、装甲は極端に向上していません。重機関銃に抗堪できませんが、大好きなロシア軍が使っているので「脅威ではない」と言わないでしょうね

 逆に旧式なら重機関銃に抗堪できても「脅威ではない」と強弁します。ある旧軍研究家(後難を避けるため名を秘す)も 
逆にキャリバー50に堪えられる戦車を探すと、97式チハ車あたりならおおむね堪えるとができる。でも『ルノーのかわりにチハならイインダネ』って言っても、彼らは納得してくれないでしょうねぇ」
と評しています。旧式っぽくて、外見でカッコ悪い戦車、97式やオーストラリアの間に合わせ戦車センチネルなんかだと「脅威ではない」と言い出すでしょう。



 「ルノーFTは兵隊にとって脅威ではない」とする人は、具体的なイメージに引きずられて捨象できないんでしょう。ルノーFTのイメージに囚われて、古いとしか評価できない。生身の兵隊には装甲と機関銃だけで脅威なのにね。小銃弾に抗堪し、機関銃を装備する新しい装備と比較もできない。

 ルノーFTは対上陸戦に全く役に立たないと主張する人もいる。「ルノーFTの能力をどう吟味してもその構成要素は[対]着上陸には全く役に立たない」としか言いようがない。」 ([ ]内は筆者捕捉)ってあるんだけど、これも不思議な発想。この人もイメージに引きづられているんだろうね。軽装甲で小口径砲では戦車に対抗することは難しいかもしれない、しかし、歩兵やソフトスキンには脅威になるのにね。

 「対上陸戦で、ルノーFTが役に立たない」のであれば、自衛隊装備だと「対上陸戦で87式警戒車が役に立たない」と言っているのと同じになる。ヴィーゼル、BMDと同等品だと、87式だろうけどね。今度はイメージ的に新型っぽいから、それはそれで許せなくなって、怒ると思うよ。

 ま、もっと不思議なのは「ルノーFTでも出てくりゃ脅威だろ」って話を「ルノーFTを生産しろ」って認識する意見だね。ここここだけどさ。己は「ルノーFTを整備しろ」なんて一言も言っていないのだけれども。まず例示したイメージから逃れられなのだろうね。



※ タイヤハウス内部に7.62mmNATO弾が貫通する部位があり、ちょうど運転手の頭の位置だと言われていた。
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