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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2012.07
21
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Category : 未分類
 中国は第二列島線そのものに野望を持っているわけではない。最近の中国脅威論では「中国は第二列島線までを勢力圏にする」と主張している。しかし、本気にしてもしょうがない話である。

 第二列島線は、あくまでも米海軍邀撃構想で出てくる地名に過ぎない。中国の構想は、来襲する米艦隊をなるべく遠くで撃破しようとするものに過ぎない。戦前に日本海軍がやろうとした漸減-決戦と同じようなものだ。第二列島線にある島嶼を自国領域に含めるとか、その海を利用するためではない。

 そもそも、米艦隊邀撃のため、第二列島線を占領したのでは割は合わない。攻略、占領、維持を行うだけで外洋海軍力をすり潰してしまう可能性が高い。攻略部隊を送ることができるか疑問である。送ったとしても、叩かれる可能性が高い。太平洋戦争で日本が占領したウェーク島のようなものである。奇跡的に占領できても維持・活用は難しい。

 第二列島線は目安に過ぎない。そこから先では、将来でも組織だった海軍戦力運用ができないだろうという中国の見積りである。第二列島線で防御しようとするものではない。

 実際には、決戦を挑むのは第一列島線から少々外側といったあたりだろう。邀撃の本番があったとしても、あまり離れると大陸沿岸から行動する攻撃機部隊が参加できない。そういったところで、水上部隊だけで行動しても有効な打撃は難しい。潜水艦も、確実に接敵させるなら、判明した米艦隊針路上に移動しなければならない。あまり前に出すと、決戦のときに遊兵になる。

 中国海軍は米海軍邀撃を意識している。そのため、第一、第二列島線といった地名を挙げて議論をしている。しかし、議論で列島線として言及されても、それを自国領域に含もうとする、領土的野望と見るのは短絡的である。
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