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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

→ サークルMS「隅田金属」
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2012.07
27
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13:00
Category : ミリタリー
 自衛隊の短靴、世間一般で言う革靴だが、どれもプアにすぎる。「短靴」は「たんか」と呼ぶが、特定集団しかつかわない位相語。三自衛隊ともに短靴がある。陸空なら、制服を着た時に短靴を履く。海は制服と作業服ともに履く。短靴には、プレーン・トウ(陸空用・海曹士用)、ストレート・チップ(海幹部用、黒と白)があるが、低品質なことに変わりはない。マズイことに、色と形を合わせないといけないので、私物も似たような品質になっている。アレはどうにかしたほうがいい。

 なんといっても通気性がなくて直ぐに蒸れる。人造皮革なので湿気はほとんど吸わない。熱容量?が小さいせいか、履いてすぐに体温同等の不快な温度となる。それでいて結構歩いて、場合によれば走るので、中の温度は直に高くなり、汗で蒸れてヌルヌルになる。

 またゴム靴底が薄いのも困り者。フニャフニャのゴムなので、地下足袋やらタビ靴と同じで長い時間歩くもんじゃない。土踏まずがすぐに疲れて来る。釘なんかは踏み抜くだろう。滑りやすいのにも閉口する。靴底はほぼノッペラボーなので、濡れたら階段金物で滑る。パイプでできた梯子を登り降りするにも滑って危ないことこの上ない。己は高いところにあがるときには、コッソリ地下足袋に履き替えていた。

 そもそも、壊れやすい。薄い合成皮革は糊留めされているだけ。滑走路用の融氷液をこぼしただけでバラバラになった。あの短靴で火の中に入れるか怪しいもの。本番で防火衣・防火靴を指定されているもの以外は、あの靴と作業服で戦闘服装(陸戦服装とは違う)として防火防水もやることになっている。しかし、本番で使えるほど丈夫には見えない。

 なんにしてもプア。特にねえ、通気性がどうしようもない。朝の課業整列の段階で中がヌルヌルしている。皆が事務所に戻って最初にやるのは、靴と場合によれば靴下脱いでサンダルに履き替えること。己は部外者がいなけりゃ竹皮わらじを履いてたよ。木工で足置き台とファンをつけているのも見たことがある。しかし、うるさいところは、脱靴に文句をつけてくる。勤務中は履いてろなんて強制すれば、そりゃ、伝染病蔓延の原因になる。プールや風呂で病原体を貰ったあとで短靴を履くのは、養殖しているようなものだ。

 短靴を履かないで済むのは幸せである。陸空であれば、野戦服作業服なら長靴半長靴になる。海でも曹士は官品ズックがある。官品ゆえにプアであるが、履き心地は悪くはない。曹士は作業靴やスニーカーを履いても黙認される。しかし、幹部だと見つかるとうるさい。練習艦では私物の黒チロリアンを履いていて副長にネチネチいびられた。某飛行隊の屋根見るときに、滑るとアブナイので地下足袋履いていたら司令に見つかり、所属と関係ないのに怒られた。釈然としないのは、飛行服の司令が飛行靴はいていることだったねえ。

 短靴は本番使いも普段使いにも向いていない。本番なら火や薬品、切り裂きに強いブーツを履いた方がいい。なに、丈夫で火に強ければゴム長状でも構わない。防研いく中途にある、小林防火服の防火靴みたいなヤツのほうがよい。ヒモも金物もないので履きやすいし壊れない。逆に普段使いなら、ズックやスニーカー着用を拡大したほうがいいよ。なによりも伝染病予防になる。実際に准尉さんやトッツァン幹候出身は結構履いていて、黙認されているんだから服装容儀の問題もないだろう。
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