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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2012.08
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Category : ミリタリー
 統合部隊にいた時、陸予定者幹候の参考書を見せてもらったことがあるのだが、兵術みたいなどうでもいいことが一杯書いてあったよ。見せてくれた人、若くして陸曹長さんになれた優秀な先任で、本人も一生懸命なんだがね。幹部予定者(SLC、海ならC幹)に外国師団の編制とか暗記してもらう必要があるのかね。

 幹部予定者は、部隊経験と技能が期待されている。ぶっちゃけ、旧海軍の特務士官と同じで、兵術や大部隊での運用が期待されているわけではない。望まれているのは小さい部隊の仕切りと、専門を生かした技術指導に過ぎないわけです。この曹長さんは通信科だから、通信に秀でていればそれでいいと思うんだよね。例の野外令も使うとこだけ覚えてもらえばいい。陸戦も、通信・施設だと自衛戦闘でしょう。施校入校中に「施設と通信は、小銃1丁、最初に弾◯◯発をもらうだけで終わり」と聞いたけどそんなものでしょう。

 職種技能に重点おいて選べばいいのにね。まあ、陸はなんでも戦闘重視で、それは悪いことじゃないだろうけど。支援職種や後方職種だと、戦闘よりも大事な仕事があると思うのだがね。通信で、しかも今ホットなシステム関係をやっていた曹長さんです。無駄で、どうせ使わない試験勉強やってもらうよりも、高度な通信知識を覚えてもらったほうがいいんじゃないのかね。

 もちろん、幹部希望と書けばC幹になれる海のやり方も問題ある。なんせ、幹部希望を表明しとけば、試験は自分の名前書いておくだけで終わり。その試験も、3曹昇任試験よりも容易。会場に詰めたのは10年以上前だけれども、3曹昇任試験は、彼だけはという人間にしかカンニングはさせない。でも、昇任幹部とか昇任1曹は挙手して「教えてください」があったし、試験官は苦笑いしながら教えてやったよ。

 ヤル気演技だけ幹部になれるんだよねえ。某職域の方だが、ある競技ではエキスパート。それを生かして若い時からサブマークの体育員になった。しかし、本職マークで勤務していない。だから体育員から抜けられない。そのうち、体育員でも先任になる。でも部下指導はできない、庶務事務もできない。そこから逃げるため幹部になった。そういう人がいた。幹部になっても、本職マークも部下指導も庶務もできない。体育科長も、退職後に困るだろうと親心で◯◯に派出したのだけどね。やはり喫食伝票もまとめられない、小出庫管制額の割付もできない。調整も会議出席も係長付の3曹に投げていた。そもそも、ワードもエクセルもメールもできない。みんな、上から下まで心を鬼にして、この文書作ってメールで出すまでは、部屋から出さない、体育も駄目と一週間ほど略監禁したことあった。まあ、どうにかパソコンだけは覚えさせたよ。

 その点、昇任意欲のある人が、しかも一生懸命勉強して幹部になる陸システムはいいことだと思う。

 ただ、いまだに本土決戦用教育を踏襲しても、屠龍の術じゃないの。陸だってイラクに行ったわけだ。陸戦に関する内容でも、今ならそっちで役立つことを覚えて貰ったほうがいいんじゃないの。付幹部やってもらった高射特科、生徒あがりのSLC2陸尉ドノなんか、演習での本土決戦準備を、馬鹿みたいに掩体作ることを批判してたよ。朝雲に載った掩体写真を指して「攻勢転移する前に、無駄に立派な掩体を作らせて消耗するのってどうかと思う」だって。実はその掩体、知っている中隊長殿が作ったヤツで、本人も出来がいいと新聞に載ったと自慢していたのだがねえ。
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