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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2012.08
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Category : ミリタリー
 12式短魚雷に閉鎖サイクル機関は無駄じゃないのかね? 

 新型短魚雷、12式は深海用の閉鎖サイクル機関を搭載している。フッ素だかを使って蒸気を作るエンジンとのこと。このエンジンは深海で高速移動をする潜水艦に対処するためのエンジン。電池じゃそれほどの速力が出ない。水圧が高いので、斜盤エンジンでは排気できない。だから採用されたエンジンで、極め付きに高価である。

 Mk50や97式短魚雷は閉鎖サイクルを採用した理由は、対アルファ級だった。-1000mを40ktでスッ飛ばすアルファ級に従来短魚雷では対抗できない。だから高価な閉鎖サイクルを採用した。項目は出ていないが、アルファ級より深く潜れて、後ろからでも追っかけられるようにより速い速度を出せなければいけない。

 しかし、12式単魚雷が想定しているのは、浅海を低速移動する潜水艦である。中国周辺で行動する中国潜水艦を目標としている。中国海軍潜水艦の主力は在来潜水艦であり、原潜は例外的存在にとどまる。在来潜水艦はスピードを出せない。中国原潜もあまりスピードは出せないし、そもそも浅いところにいると危なくて飛ばせない。浅海だと、ちょっと深めに潜舵とったら海底に激突してしまう。

 それを考えれば、高い閉鎖サイクルは不要じゃないのかね。Mk46中古の斜盤エンジンやで充分だと思うけどね。「外洋で深く潜られたらドースル」なら、電池式にすればよい。安くなった上に、バラすようなメンテナンスは不要になる。

 まあ、今までの短魚雷が浅海で使いにくい。浅海では海底と潜水艦のエコーは明瞭に分離しない。潜水艦が極微速で海底ギリギリを航走しているときには、短魚雷のアクティブ・ソナーでは、潜水艦移動によるドップラーシフトも拾いにくい。ましてや沈底された状態になるとお手上げだろう。

 12式短魚雷を作る必要はあった。外洋でのASWだけを考えていた海自にとって、浅海は不得手であった。「アスロックは使いにくいので、ボフォース、あるいはヘッジホックが良い」とする話もあった。その浅海域に対応するための魚雷開発は間違っていない。

 しかし、無駄に高級なエンジンを使う必要はない。水深-1000mを40ktでスットばす潜水艦は既に存在しない。ロシアの原潜も、常識的な水深、常識的な速力を出す潜水艦になっている。中国にはそのような潜水艦は存在しない。仮に将来出てきたときなら、97式/Mk50を使えば良い。海自は物持ちが良い。短魚雷はそうとう昔の在庫まである。何かが狂って紅いアルファ級が出ても、騒音出しまくりなので97式で充分だろう。-1000mで爆音とともに40kt出していたら、水上目標は探知できないし、攻撃する手段もない。放っといても構わないと思うのだがね。
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