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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2012.10
31
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13:00
Category : ナショナリズム
 航空宇宙分野は、相当甘やかされているのではないか。航空宇宙分野は、ロマンっぽい響きがある。そのため、航空機開発や宇宙開発は予算支出での支持は大きい。成果品の戦闘機やロケットは大したものでもないが、国産スゴイという一種のナショナリズムで勝手に過剰評価される。航空宇宙分野は、相当に無駄遣いをしているのではないか。


■ 航空機開発の理由が胡散臭い

 航空分野だと、新型機開発には希望的観測、あるいは騙しがある。いかに安く出来るかを表明するものの、コスト計算は高騰しなかった試しがない。

 できた機体も、開発見通しほどの成果もない。F-1、F-2では、万邦無比の対艦攻撃機となると言いながら、凡庸な機体が出来た。F-1は、当時でも2線級、F-2は遅れたF-16導入に過ぎない。P-1、C-2とも、共用化により世界水準の機体が低コストでできるようにいっていたが、開発途中から共用化はドンドン後退した。

 F-1なんて、過剰評価の最たるものだったわけだ。練習機に毛の生えた程度で、ジャギュア同等と言われていたが、これはつまりユーゴスラビア/ルーマニアのORAOと似た程度の機体だったということだ。しかし国産というだけで傑作機扱いされた。

 F-1は対艦ミサイル運用能力が特徴とする。対艦ミサイル専用機であるので搭載できる、そういった宣伝をしていた。なに、対艦ミサイルはどんな飛行機にも搭載できる。後にイスラエルは、対水上専用レーダもないA-4に搭載している。対艦ミサイルを使うには専用機が必要だという雰囲気を出していたにもかかわらず、空自はシレッとF-4に後付け搭載している。

 F-2もそう。対艦ミサイルを4発も積めるとか言っていたが、あれは搭載量だけの話でそれほど偉くもない。バッカニアもトーネードも、空自のF-4も対艦ミサイルを4発積んでいた。F-16そのままでも4発は積めた。

 特に、F-2は開発意図が胡散臭い。本音は、制空戦闘機が作りたいという話なのに、支援戦闘機ですといった作ったのがF-2だった。確かに、機動性の高い艦爆風の機体でなければ、直衛機や防空艦で守られた艦隊攻撃は難しかったかもしれない。しかし、F-2では機動性の部分に、戦闘機の部分に金をかけすぎた。パッとしない艦爆よりも、とにかく戦闘機を作りたいのが開発側の本音だったのだろう。空自も、本音は戦闘機と戦える戦闘機が欲しかった。結果としてムダに高級に、高直になってしまった。対艦ミサイル4発と航続距離、そこそこの機動性といった要求程度なら、A-7でも充分だったわけだ。

 まず、F-2は胡散臭く、過剰性能で高価な機体だった。しかし、国産、日本製というだけで、一種のナショナリズムから支持された。政策として反省されることもなかった。作りぬけみたいなものだ。

 P-1/C-2開発もひどかった。共通の機体とか部材共用化とか主張していたが、しぶきがかかる程の100ft、200ftの超低空でぐるぐる対潜機動をする哨戒機と、巨大な貨物室に数十トンの重量物を積み、飛行中にランプ空けても大丈夫の輸送機が共通機体になるはずもない。どっちも、生産数は見込めないのだから輸入が正解だったのだが、開発したい病と、その金と受注が欲しいメーカに押し切られたものだ。

 まあ、航空分野への支出は批判が少ないので、いい加減と言っても良いだろう。


■ 宇宙分野では、コストの検討すらされない

 宇宙分野になると、ロマンチズムによる目潰しがさらに大きくなる。宇宙という言葉であばたもえくぼになる。

 情報収集衛星は、効果がまったく示されていない。災害対策でもあるよといって整備されたにも関わらず、こないだの震災では解像度を落とした写真1枚も出していない。向直也さんによると、震災の時にはわざわざ3600万を出して、米国の商用衛星から写真を買ったという。※

 向さんには「実際には解読機能がないのに隠しているのではないか」※ とまで言われている。某教育同期で衛星情報センタに出向していた人の話だと「海自と海保からの出向で解読してたよ」と言っていた。解読できないはない話だが、成果を公表していないので疑われても仕方がない。

 H-2ロケットも同じで、成功失敗程度しか公表されていない。一体、今まで幾ら使ったのか、コスト的に太刀打ちできるかの見通しがどこにもない。出ているのは開発費用だけであって、1基あたりの製造費やその他コストを総合もない。「我が国の宇宙輸送系の現状と今後の方向性」を見ても「他の国もダンピングしている」「外国でも赤字事業」※※ と、日本だけが高いわけじゃないと開き直っている。

 製造原価と、コスト的な将来見通しくらいは明示すべきではないか。

 税金突っ込んている事業であるが、実態を隠している。コスト的に相当悪い実態なのだろう。ロケット打ち上げで儲かるとも思えないが、年金制度みたいに損を垂れ流しているのを隠すのは良くない。いずれ破綻するのではないか。

 ロマンチズムでの目潰しといえば「はやぶさ」が挙げられる。失敗したわけなのに人情浪花節で誤魔化して、うかうかと誤魔化されたわけだ。航空宇宙分野から見れば、国民とか予算当局とか議会とか、相当チョロいと思っているんじゃないかな。



※ 向直也「安全保障の名の下に現れる『権利の巣窟』」『科学』(2012.9,岩波書店)pp1001-1006.

※※「我が国の宇宙輸送系の現状と今後の方向性」http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/senmon/dai12/siryou3_2.pdf pp46では次のように開き直っている
「‡ 各国のロケット打上げ価格の背景には打上げ事業の基盤を支える政府支援があり、打上げサービス供給過多の市場において、競合するロケット間で価格の引下げが行われているものと推測。‡ 強力な政府支援を受けている欧州のアリアンスペースでも、経済情勢やロケットの品質低下等により巨額の赤字経営に陥っている。」
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2012.10
29
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13:00
Category : アニメ評
 「女の子とメカと鉄砲」の三幅対は定形なんだろうね。米国にもアメ車のボンネットで水着姿のネーちゃんがピストル持っているようなアホ写真もある。万国共通なのだろう。日本だと、アニメ・マンガで頻出している。無駄にスポーツカーや飛行機に鉄砲持った女の子を乗っけるようなイラストは昔からあるわけです。園田健一の『ガルフォース』は全くその組み合わせでしょう。アニメでも『マクロス』はそのもの、押井監督の『うる星やつら』にはその雰囲気は濃厚だった。

 今期の『ガールズ&パンツァー』は、その「女の子とメカと鉄砲」だけで勝負しようとしてる。3話まで見たところ、要素は本当に女の子・メカ・鉄砲だけ。女の子がキャフフする姿、メカの説明と動くさま、だれも傷つかない鉄砲撃ちしか出ていない。今のとこ、そういうアニメになってるわけです。

 結局、戦車が動いて、女の子が乗って、大砲をバンバン撃つだけの物語なんですかね。そうだとしたら残念な結果になってしまう。『けいおん』のようにキャフフだけでドラマがない話に堕するんじゃないか。仲良し同士が集まって、そこに成長も葛藤もない話だけとなると、BGM的にアニメが流れているだけになってしまう。

 何らかの試練を与えるべきじゃないのかな。物語的なリアリティや感情移入できる試練がいい。強大な敵がなんちゃらで、それに対抗するため戦車乗員を云々みたいなマヌケな世界を救う話はダメでしょう。チームがバラバラにされるとか、乗車がドナドナされるレベルの半径3m以内の話の方が現実味もある。ドラマツルギーも高まると思うのだけれども。

 まあ、なんだ。悪いライバルの陰謀で手法が不時発射、校長殺しを疑われ、チーム解散。車両への整備支援中止みたいなヤツでいいんじゃないの。戦車を整備する金が無いので、学園艦の搭載艇あたりで船饅頭(わからなければググれ)で金を作るあたりが試練かな。エロ方面の萌えも確保できて一石二鳥だろ。夜のチーム活動で理事長あたりに気に入られて、パトロンの下でチーム再結成が認められる。そして悪いライバルと最後の戦い。双方弾切れで体当たりを繰り返す。ハッチから上体出した戦車長同士もキャットファイトとかね。いや『ベン・ハー』なんて映画みたことないんだけどねえ。

 己としては卑怯行為を見てみたいんだよね。ライバルの支援車両が主人公サイドの戦車に並走してくる。審判の見えない車体下部から丸太棒やピアノ線かなにかを繰り出して戦車の履帯を切ったり、転輪をロックさせるような。メッサラの戦車とかボンドカーみたいなアレ。『爆裂弾交差点』みたいに、砲身に榴弾を逆さまに嵌めこんでおくでもいいけどね。尊敬できる敵とか障害もあるけど、憎しみを感じられる敵もいいんじゃないかな。

 機械や戦術の描写をやっても何にもならないでしょう。ドラマを語らない。メカ描写、戦闘描写だけを見せて、キャラクターを全く描かないのでは、そこでオシマイです。逆にメカ描写、戦闘描写を意図して消さないと、ドラマが振り回されちゃうのではないですかね。主客をハッキリさせないと、戦車が主人公になって、キャラは単なる説明役になってしまう。

 すでにウェブに挙げられた感想を見ても、メカ描写と戦闘描写ばかりであるのは、その予兆ではないかと。そこに物語への感嘆はない。それどころか「◯◯萌え」といった、例の感想よりもメカ・戦闘描写への感想が多いことは、視聴者が物語に没入できていない証拠と見ることもできる。

 なんにせよ、閉じられた世界が不健康ではないかと。物語を洋上の学園艦に閉じ込め、キャラクターをその世界で満足していては、戦車道で勝っても何にもならない。そこから出たい、あるいは出なければいけないような構造にしないといけないのではないかと。

 だいたい、学園艦という他者から隔絶された箱庭(なんせ男がいない)で、女の子が身内でキャフフして終わりだと、作品的にも商業的にも、劣化した『けいおん』で終わりになってしまいやすい。同じ戦車と女の子で、『ソラノヲト』みたいに、試練を乗り越えたあとに新しい世界がある。そういう話のほうが後に残ると思うよ。




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2012.10
27
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13:00
Category : ミリタリー
 YOUTUBEに『現代の海戦』と題された動画を拝見した。2010年頃に海自艦艇がどう戦うかを紹介している動画である。概念的な部分をCGで示し、実写映像を交えて説明するもので、対空戦闘や対潜戦闘をイメージするにはわかり易い形式になっている。

 しかし、中身には首をかしげたくなる。まず、潜水艦と水上艦が共に行動し、共同して対潜戦を行う部分である。また、対空戦での、特に電子戦に関連するあたりも、説明は間違っている。※

 「わかりやすくするため」ということでもない。全般的な話をして、例外的な部分が不正確となる類ではない。潜水艦運用は最初から誤っている。まず、潜水艦水上艦隊が同一行動することが誤りである。電子戦部分や器材の使用時期も誤った説明をしている。

 おそらく、監修不足だろう。専門家に取材をしてシナリオと動画を作ったものの、それが正しいかを専門家に確認しなかったように見えるのである。


■ 潜水艦と水上艦は一緒に行動しない

 まず、潜水艦が水上艦と艦隊行動をとる点が奇妙である。潜水艦は、水上艦と艦隊行動をしない。陣形を組むのは、広報での展示訓練や、写真撮影に限られる。


 潜水艦は水上艦と艦隊行動をとることにデメリットがある。水上艦との速力差、対潜戦を実施する上での困難があり、そもそも個艦運用が前提の潜水艦用法と合わない。このため、水上艦と艦隊行動をとることはない。

 潜水艦は速力が遅く、水上戦闘艦と共同歩調をとることが難しい。まず、通常型潜水艦は、充電したバッテリーで動く。電池を節約するため、比較的低速である。水上艦なみの速力では、30分と持たない。仮にスノーケルを使い、エンジンを回して航走すれば、それなりの速力はでるだろうが、常に海面ギリギリで行動しなければならない。このため、深度は自由に取ることができず、潜水艦の利点を殺されてしまう。無理に水上艦並みの速力を出したとしても、航走雑音により、潜水艦が最も頼りとするソーナー機能が妨害されてしまう。

 また、水上艦による対潜戦を妨害する要因となる。
 近くに味方潜水艦がいる場合、海空からの対潜戦は難しくなる。探知した目標が、敵潜水艦であるか味方潜水艦であるか分からない。そもそも、潜水艦か、潜水艦でないかの見極めで相当困っている。その上、敵味方も加わると面倒この上ない。
 また、敵潜水艦への攻撃でも困る。敵潜水艦であっても、迂闊に攻撃できない。対潜手段の主力である短魚雷は、敵味方を識別しない。そのあたりにある水中目標をお構いなしに攻撃する。実際には、味方潜水艦がいるエリアでの対潜戦は、攻撃OK、NGのエリアを設定するやり方も色々ある。当然、複雑になり、危険は増加するが、敵潜撃破の効率は悪い。

 潜水艦は基本的に一匹狼として運用される。例外的に、数隻まとめて運用されることもなくはないようであるが、あくまでも潜水艦同士をまとめるだけの話である。ある本※※ には海峡等を通過する際、1隻が先行調査し、安全を確保してから、4隻まとまって通るような運用が示されている。フォークランド紛争のように、一つの海域に3隻を配置することもあるが、行動は個艦でしている。哨戒区域も重ならないように調整している。

 米空母機動部隊が原潜と一緒に艦隊陣形を組む写真は、広報用である。PHOTEX(だったか)と呼ばれる儀式であり、実際には艦隊行動は共にしない。米空母機動部隊の前衛として運用云々にしても、独自に1日-半日分先行しているだけの話である。そもそも、行動中の潜水艦は、事前計画、個艦の判断、潜水艦司令部との連絡で動く。水上艦隊の指図は受けないし、実際に受ける方法もない。


■ 電子戦の説明も微妙

 電子戦の説明も、微妙にズレている。「対艦ミサイル防御としての電子戦」と好意的に考えてもおかしい。

 動画では、ミサイル発射をECMで探知するとしている。(動画ではココ 重くなるので、以下、再生時間へのリンクのみ)

 まず、レーダ、ECM(EA)、ESM(ES)の関係が消化されていない。

 ナレーションでは、「レーダよりも先に、ECMと呼ばれる装置がミサイルの姿を捉える」と述べている。しかし、レーダでも探知できない段階では、ミサイルも概ね慣性誘導段階にある。ミサイルのレーダ波は発振されていない。

 ミサイル側が最初から開眼していたと好意的に見てもおかしい。その場合であれば、ECMよりも、ESM(逆探)側での探知となる。

 画面にある「誘導電波を探知」から、対艦ミサイルが中間誘導を受けていたとしても、間違っている。ESMで探知できるのは、発射母体や誘導機からの電波である。ミサイルそのものの方位は分からない。

 ECMの動作開始時期も、おかしい。動画では、レーダー探知した後でECMが始まるとしている。(動画ではココ)

 しかし、ECMは、ミサイルが飛んできてから始まるわけではない。実際には発射以前の捜索や照準の段階から始まっている。敵艦艇や航空機のレーダを妨害するのである。アクティブなECMであるジャミングは、艦艇や航空機の捜索や照準、ミサイルへの中間誘導、ミサイルによるロックオンとホーミングの各段階で邪魔をする。ロックオンされたあとだけの妨害手段ではない。細かく言えば「強力な妨害電波」とも限らない。


■ ハード・キルや物理的妨害の開始時期も違う

 またハード・キル開始時期とECMを関係させることは、誤りである。ミサイル以下による交戦開始条件の説明も違っている。

 動画では、ECMが失敗したら、ミサイルと砲によるハード・キルが始まるとしている。(動画ではココ)

 ジャミングの成否を見て、ミサイルが発射されるわけでもない。既に近接され、追尾段階にある対艦ミサイルに対しては、ジャミングの成否に関わらず対空戦闘は開始される。対空ミサイルの射程から、時期的にジャミングの後になりやすいだけの話であり、最初から射程内なら、各種ミサイル、火器はECMと並行して発射される。

 物理的妨害手段であるチャフ・フレア・デコイの使用時期も遅すぎる。チャフ・フレア・デコイは欺瞞の目的によって異なるが、もっと早期に発射される。

 動画ではCIWS発射と同じ時期にチャフの類を放出するとしている。(動画ではココ)

 CIWS発射時期には、チャフ・フレア・デコイの放出は遅い。その時期には、ガイダンスを切って直進モードになっている対艦ミサイルもあり、無効である。そもそも対艦ミサイルを騙すには、ロックオンの段階で偽目標を作り騙す、あるいはホーミングしている段階で、自艦のRCSと入れ替わる必要がある。


■ 対潜戦の説明は、理解し難い

 敵潜水艦による攻撃以下の説明は、ナレーション、画面とも理解がしがたい内容である。(動画ではココ)

 「敵潜水艦の攻撃」は、「敵潜水艦接近」という意味なのだろう。だが、画面では魚雷を発射している。この点は、原稿とCG作成の齟齬なのだろう。しかし、「ヘリコプターが[敵潜水艦攻撃を]探知」とナレーションで説明したあと「対潜担当の護衛艦がアスロックを発射する」と説明するのは短絡である。その前に、ヘリ等による潜水艦所在の極限と、おそらくはヘリによる対潜攻撃が行われる。そのほうが、アスロックよりも手早く、正確である。

 そして一番奇妙であるのが、水上艦によるアスロック攻撃と同時に、潜水艦による攻撃が行われるとする説明である。(動画ではココ)

 実際には、水上艦と潜水艦による共同対潜攻撃はない。まず、最初に述べたように、潜水艦は水上艦と一緒に行動していない。また、戦闘行動中の潜水艦には、常時連絡を取りえない。そもそも、潜水艦からすれば、自艦で探知せず、確実に敵かどうか分からない目標に対し、貴重な魚雷を発車することには抵抗がある。

 潜水艦は水上艦と一緒に行動していない。そもそも、一緒に行動させて利益はない。潜水艦の自由行動を確保し、水上艦にも好き勝手に対潜戦をやるためには、両者は相当に離れていなければならない。距離的に離れているため、潜水艦が協力することは不可能である。逆に、協力できる距離であれば、対潜戦が制約を受ける。水上艦隊は、ホニャララにホニャララすることは許されない。

 動画では、潜水艦と密接な連携をしている描写がある。ナレーション水上艦、あるいはヘリコプターから潜水艦への連絡があるように示唆し、画面の流れもそれを肯定している。しかし、現実には連絡手段がない。ある程度、潜っている潜水艦には、リアルタイムで連絡する方法がない。つまり、同じ目標への、共同しての攻撃はない。

 また、潜水艦側からすれば、自艦で見つけていない目標に魚雷を発車することに抵抗もある。自艦探知以外の水上目標への攻撃は、東側の対艦ミサイル運用ではあった。しかし、潜水艦側からすれば、主兵装であり、数が限られる長魚雷を無駄に使いたくない。目標を直接観測し、効果を確認できる目標でなければ発射しない。水上艦側から概略位置だけを貰った目標に魚雷を使うことはない。


■ 監修できなかったのではないか

 これらの問題は、おそらく監修不足によるものだろう。「現代の海戦」はTV番組の録画の様子であるが、最初に取材して得られた話だけで筋書き、動画、ナレーションを作り、ある程度の知識を持つ人のチェックを経ないで放映したのだろう。そうでなければ、おかしい部分が多すぎるのである。

 些細な点であるが、ナレーションの「それぞれの艦(フネ)が持つ」を、「カンがもつ」と読んでいる点も、監修不足を窺える。(動画ではココ)

 ある程度の専門知識、経験を持つ人なら、原稿での「それぞれの艦が持つ」表記は避ける。まず、位相語のフネをカンと読まれることを警戒するものであるが、さらに経験があれば、文中に一文字の「艦」を入れることはしない。おそらく「各艦」と改める。

 動画としては分かりやすいものの、内容に不自然な点が多い。これは映像・番組を作る専門家はキチンと仕事をしているが、内容について説明する専門家が関与する機会が不十分であることを示しているのだろう。



※ 細かい点では、他にも?な部分は多い。例えば、ジャミングの細かい説明や、話の流れを分断して取り出したせいか「砲戦はありえない」言い切ってしまう部分である。

※※ Hervey,John,Submarines(London,Brasseys,1994)
2012.10
26
CM:2
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13:00
Category : 有職故実
 はこび屋、今でもいるのかね。はこび屋というと、非合法物件の運送屋、麻薬とか、おたずね者を運ぶ感じで、ギャング映画的なカッコよさがある。そのはこび屋、昔、大阪にあったらしい。

 50年前の朝日新聞に、大阪釜ヶ崎、いまでは「西成」と言われるドヤ街での生活が紹介されている。※ その中に、特殊商売として「はこび屋」がある。もちろん、赤帽や荷担ぎのような穏当な仕事ではない。犯罪の片棒を担ぐ、非合法物件を運ぶヤミの商売。

 ただし、運んでいるものは、盗んだオートバイというのが、少々カッコ悪い。銃器とか麻薬とか密入国者を運ぶほうが夢があるのだがね。もちろん、実際に生活する身上では物騒この上ない。映画の自転車泥棒とか、オートバイ盗程度の方が治安的には穏当だろう。もちろん盗まえれた方はたまらないけど。

 はこび屋は、大阪付近で盗んだバイクを地方に送る仕事。最近聞かない言葉だが、ポンコツ屋まで乗って行く。オートバイはそこでバラバラにされて、ロンタリングされる。多分、車台番号もエンジン番号も、全損したやつから移植したりするのだろう。5年くらい前に話題になった、高級車を盗んで海外に売っぱらう組織的アレと同じ。50年前には日本国内でやっていたわけだ

 手間賃は、輸送距離+帰りの汽車賃が慣行であった様子。輸送距離分の相場は名古屋まで5000円、和歌山だと2000円。初任給1万円、ラーメン40円の時代なので、結構高直。今なら10万-4万円くらいにあたるのかね。名神高速ができる前で、1日仕事にしても高い。警察の検問をスリ抜ける技術と才覚が必要とあるが、まず捕まりやすく、リスクが高いので手間も高いのだろう。

 他にも、釜ヶ崎の商売として炭焼き、カラ券屋、出ぇやん、さらい屋が挙げられていた。

 炭焼は、廃材から炭を作る仕事。廃材を集めて、市街地の線路傍で炭を焼く。12時間ほど、おそらく蒸し焼きにして、水により消火、1日放置して消し炭を作る。西成すみと称し、卸17円、小売25円(一般炭の半額)で売られていた。釜ヶ崎で3人が従事しているが、一人は東京医専を出たエリート、ヒロポンで身を持ち崩したとのこと。

 カラ券屋は、昔良く聞いた商売。大きな麻袋を持って競馬場にいき、捨ててある馬券を集める。多分、車券も舟券もやっていたのだろう。1万枚に1枚はアタリが紛れている、レースから3日以内であれば市役所で払い戻しを受けられる、月15000円程度の収入になるという。大阪に300人いるといわれていた。ウソかマコトか、本命入賞のときは当たりが多いので窓口下に落としてしまう、大穴の時には当たり券も投げ捨てるのでスタンド隅にあるというが、その場でチェックしているわけでもなかろうから怪しい話だ。
  
 出ぇやんは厳密には商売ではない。労務の傍らの副業。仕事そっちのけで落ちてるものを集める。100人に一人くらいるとのこと。仕事中、紐ついた磁石を引いて鉄くずを探す。ドブ掃除は、小銭も取れるので給料に加えて二重取りなので喜ぶという。記事では、くず鉄を売った金を元手に、小口の金貸しをしていた。くず鉄を必要とする平炉製鋼法が廃れる時期であったので、いずれ滅んだ商売だろう。

 さらい屋は、木津川で荷役から落ちた鉄屑を拾う仕事。出ぇやんとあまり差はない。ただ、荷役がコンテナ化するとまず仕事は無くなる。もちろん、河に落ちた物を回収する仕事もあるのだろうが、東京同然に川舟、端舟が減った今日では商売として成り立たなくなっただろう。

 この手の商売、大阪だけの話でもないだろう。大阪にある商売は、おそらく東京にもある。山谷あたりに似た商売はあったと見るのがだろうではないかね。

 当時の日本は、発展途上国の雰囲気が色濃く残っていたということだね。

※ 柴田俊浩「大阪のどん底、釜ヶ崎に住んでみて」(1960年2月19日、朝日新聞朝刊、20面)
2012.10
24
CM:2
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13:00
Category : ミリタリー
 陸自の対人狙撃銃、買うだけ買って使ってないらしい。3-4年前、自衛隊に別の火器の類を納入してる業者さんは「使った形跡もなければ手入れした形跡もない、買ってそのままでいずれ錆びるんじゃないの」といってたよ。

 その対人狙撃銃M24なんだが、アレ、60万円以上出して買うシロモノかね。中身は、日本国内でもメジャーなM700そのもの。どう見ても60万突っ込むようなものではない。

 狙撃銃をコマーシャルモデルM700で調達すれば、〆て25万以下で作れるんじゃないの。銃本体も、NATO弾(正確には308WIN※ )の普及品だと、M700は日本国内価格で15万円位で買える。銃精度の検品も、バイス・レストの弾着見りゃわかるだろう。このM700について、トリガー回りを軽いやつに交換しても、+3万円程度。銃では20万円はいかない。スコープも、ピンきりだけど、趣味のツァイスとか乗せなければ5万円もだせばソコソコ。〆て25万円で足りるんじゃないかね。さらに数がまとまれば安くなる。銃、トリガー、スコープをそれぞれをグレードアップする余地もある。

 銃をM700にしても命中精度は変わらない。今の鉄砲、新品だとハズレがない。M700を使っている人の話でも、ベンチレストするのでなければ、銃身交換する必要もないといっている。実際には、弾薬の精度が問題になっている。大口径だと、安いこともあるけど、弾薬は自作する。市販弾薬は精度が低いというのが共通認識。

 M24にセットされているペリカンのケースも特に必要なわけではない。だいたい、狙撃銃だけを届けるシチュはないんじゃないの。なんだかんだ言って、銃は銃手に合わせてある。銃手携行であれば、ハードケースは特に必要ない。もちろん気を配るにこしたこともないけど、照準回りに緩衝カバーつけとけば、狂わない。人によってはキャディーバッグで運んでいる人もいる。己も◯◯◯のソフトケースに入れて運んでいるけど、それで照準が狂った経験はない。

 対人狙撃銃も、M700と必要な資材をまとめ買いして、補給処あたりで組み上げれば半額になったんじゃないのかね。組み上げだけなら、1000丁でも、200人日あればできるよ。試射の手間も変わらない。M24にせよ、M700組み上げにせよ、領収時に試射は終わっている。スコープ等との調整は、結局は使う部隊でやるしかない。まあ、たかが60万で1000丁なんで、6億が3億程度までしか節約できないけどさ。

 ま、ホントに安く作るなら、国内ブランドのボルト・アクションで済ませてもよかったんじゃない。あまり知られていなけど、日本は銃輸出大国。名だたる海外メーカでも、中身は日本製ということがよくある。ライフルだと、ミロクがブローニングとかウィンチェスターを作っている。フローティング・バレルのボルト・アクションなら、精度には全く問題ないでしょ。ブローニングのボルト・アクションは、本体価格で普及品が6-7万程度から、上級品も10万程度。ミロク・オリジナルか、あるいは99式の図面でも渡して、薬室だけ308WINで作らせれば更に安くなるだろうね。



※ 別に308WINである必要もないけどね。小銃や機銃の弾と互換性があるといったところで、精度から別弾薬になる。それならいっそ、338ラプアとかにすれば、風に流され難いんじゃないかね。まあ、30-06以上は撃ったこともないし、6kgもないような軽いボルト・アクションも撃ったこと無いから、「軽い銃で高威力を撃つと反動が嫌」とかは知らない。
2012.10
22
CM:24
TB:0
13:00
Category : ミリタリー
 ミサイル艇「はやぶさ」は、さっさと処分したほうがよい。
 ミサイル艇を維持する費用は相当に高い。見えやすい燃料代だけでみても、消費量は護衛艦の半分近くに達する。燃費以外の運用経費も高く付く。
 そして、できることは少ない。ミサイル艇は護衛艦の代替はできない。しかし、ミサイル艇の代替は護衛艦や航空機には可能である。
 ミサイル艇には維持費に見合う能力はない。保管するなり、スクラップするなり、陸自に移管するなりしたほうが良いだろう。


■ 燃料費がかかり過ぎる
 「はやぶさ」型ミサイル艇の高コストで、分かりやすいのは燃料代である。石油価格が高騰した現在では、燃料費はランニングコストの大部を占める。

 ミサイル艇は、燃費が悪過ぎる。最大戦速44ktでの燃費が悪いのは仕方がない。だが、普段使いの巡航速力でも燃料をバカ食いする。1/3軸に減軸し、12kt運航するだけで、一時間に500リットルを費やす計算になる。

 「はやぶさ」は、5000馬力のガスタービン3基を並列に置いて、低速から最大戦速まで回している。燃費を重視して、1/3基に減軸、つまりエンジン1基-ポンプ1基だけで低速航行するにしても非効率である。

 ガスタービンは部分負荷、つまり低回転では凄まじく燃費が悪い。「はやぶさ」は排水量200t、12ktを出すのに、1000-1500馬力必要と仮定して計算してみると、相当に燃費が悪い。巡航速力で回しても、1時間あたりざっと400リットルから500リットルの軽油を消費する。

 そもそも、LM500はLM2500よりも燃費が悪い。GTは小さくなると燃費が悪くなる。LM2500で定格付近の理想状態で。185g/HP-hrである。これがLM500で二割悪化として222g/HP-hrになる。この数字は、旧式のFT-4A程度であり、不自然な数字ではない。

 部分負荷で燃費は劇的に悪くなる。特性からの読み取りでは、定格1/5の燃費は、LM2500で1.7倍、FT4Aで1.5倍に悪化する。定格1.5/5では、1.35倍、1.4倍になる。LM500について、1/5で1.6倍、1.5/5で1.4倍とみると、1000馬力運転で350g/HP-hr、1500馬力で310g/HP-hr。になる

 1時間あたりの燃料消費量でみれば、400リットルから500リットルということになる。燃費に馬力を乗ずれば燃料消費量になる。1000馬力で350kg、1500馬力で465kgになる。燃料は軽油であり、0.9kg/リットルであるので、容積に換算すれば400-500リットルということになる。この数字はミサイル艇の燃料搭載量からみて自然であり、誤った数字ではない。いずれにせよ、燃費は相当に悪い。


■ 2隻で護衛艦分の燃料を消費する
 ミサイル艇の燃費の悪さは、護衛艦と比較すれば明快である。

 ミサイル艇が巡航速力で消費する燃料は、おそらく「はつゆき」の半分程度になる。「はつゆき」の巡航エンジンは4500馬力ガスタービンを2基。減軸運転で、1軸定格4500馬力で回して12ktと仮定して、その時の燃費をLM500と同じ仮定で222g/HP-hrとすると、毎時990kg、1100リットルを費やす計算になる。

 「はやぶさ」の燃料消費量は、15倍大きな「はつゆき」の半分近くである。ミサイル艇は小艇であるが、2隻を動かすと護衛艦を動かすのと大差ないことになる。ミサイル艇は運用維持する上で、高く付くのである。


■ 燃費以外も馬鹿にならない 
 ミサイル艇は能力の低さに比べて、維持費が高い。燃費だけではない。高速艇は船体維持を頻繁にしなければならない。振動や衝撃も大きい。定期整備も高く付く。船体・機関だけでなく、無駄に高級な電子装備の整備は安くはない。

 後方への負担も大きい。高速艇は航空機に近く、乗員は航空機のクルーのようなものである。整備だけでなく、事務や休養も陸上側で行う必要がある。そもそも居住性が低い艇内で、乗員はフラフラになる。帰港後にはあまり期待できない。後方負担への依存は、水上艦以上に悪い。

 稼働率も高くできないので、実質的な経費はさらに高くなる。ミサイル艇は長期間行動できない。「はやぶさ」型の場合、燃料搭載量から見ると、巡航110-80時間分※ である。4-5日動かせば燃料の限界があり、それ以前に人間の限界がある。おそらく、運用も普段では1泊2日、頑張っても2泊3日といったところである。航海日数は稼げず※※※、行き帰りもあるので、警備や訓練といった任務遂行に裂ける時間はさらに減る。水上艦に比べ、稼働率は低い。特に、運用経費を実際の任務日数で割ると相当に悪化した数字がでるだろう。

 ミサイル艇は、一切合切が高く付く、そう見て差し支えない。


■ できることは少ない
 そして、ミサイル艇は使い道があまりない。目的とされた対艦攻撃や高速艇対処も、航空機で代替できる。燃料を食う割に、使えないミサイル艇を維持するのは効率が悪い。

 ミサイル艇は、護衛艦に比べて、使い道は少ない。対潜、対空戦闘能力、ヘリ運用能力を始め、耐洋性や航続距離、救難や洋上哨戒・監視にも使えない。災害派遣での軽輸送や給水・入湯・給食支援もできない。港湾での宿泊支援や通信当直艦といった雑用にも使えない。

 できることは、対艦攻撃や高速艇対処・臨検である。しかし、レーダ捜索能力は大きく劣り、対艦ミサイル等への防御能力は貧弱である。

 そして、ミサイル艇の任務は、護衛艦や航空機で代替できる。対艦攻撃は、護衛艦や固定翼やヘリでも可能であり、効率的に達成できる。臨検も、ヘリからテイクダウンすれば済む。


■ 保管するか、スクラップにするか、陸自にでも移管したほうが良い
 実際には、仮想的にしか使い道はない。付け加えても、広報用程度である。

 港湾防備にしてもオーバー・スペック。領域警備では能力不足、定繋港あたり限定しか使えない。積極的に使うにしても、長距離行動はできない上、捜索能力もない。

 ミサイル艇は、保管するか、廃棄するか、陸自にでも移管したほうが良い。ミサイル艇の任務は航空機で代替できる。人員予算を水上艦に回したほうがよほど有効活用である。




※ 「はやぶさ」型の満載排水量は240t、基準排水量は200tである。差分40tが燃料※※ としたばあい、巡航で時間あたり350-500kg燃料を消費するという見積りと概ね整合する。この場合、巡航速力で110-80時間ほど航海できることになる。実行動は頑張って2泊3日ということで、居住性が極端に悪いミサイル艇としては矛盾しない数字である。

※※ 満載-基準=燃料+真水であるが、なぜか実際の燃料搭載量は差分より大きい。はやぶさの場合、45tくらい積んでいても不思議はない。

※※※ 燃料搭載や整備、入行後の休養、補給を考慮すると、泊を伴う出港は、1泊2日を2回、2泊3日を1回が日常的な限界で、それでヘロヘロになってしまう。演習等で無理使いすると、その後に休養を与えないと何もできないだろう。また日帰りなら頑張れば週3-4回はできるだろうが、効率はよくない。行って帰ってで時間が費やされる。まず、出港日数の割に、警備や訓練といった任務は稼げない。
2012.10
20
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13:00
Category : ミリタリー
 10式戦車調達やら、装輪自走砲開発って、金をドブに捨てるようなもんじゃないかな?
過剰な本土決戦戦力に投資しても、何の効果もない。海空戦力に振ったほうがマシでしょう。海外派遣なら、今ある90式戦車や99式自走砲で足りるわけだし。


■ 日本本土への侵攻はない
 日本本土への侵攻は、まず考えなくて良い。北からの日本本土侵攻は、冷戦期でも難しかった。中国は日本本土侵攻に足る戦力を持っていない。政治的にも、中露両国とは険悪な関係にない。辺境の領有権で摩擦になってだけにすぎません。

 本土決戦戦力は、今ある陸上戦力でも過剰なわけです。中露のいずれも、今の日本陸上戦力を砕くほどの上陸戦力を持っていません。それ以前に、日本海空戦力を排除することもできない。日米同盟を加味すれば、排除されるのは中露海空戦力です。本土侵攻対処で考えれば、陸上防衛戦力は今より少なくても、劣っていても問題はない。まず、第二線級の戦力で充分なわけです。


■ 陸自定数は、60年前の情勢に合わせた数字
 なんといっても、陸自も多すぎる。陸自定員は、60年前の池田・ロバートソン会談で決まった18万人が基本になっているわけです。しかも、当時は東側優位で、ソ連は極東に60万の大戦力を展開し、新中国もソ連に従っていた。さらに、日本には大規模な海空戦力を持たせない方針がありました。しかし、これらの前提でも、18万人で充分と考えられていたわけです。

 もともと陸自は過剰なのです。その上、日本本土侵攻の脅威は消滅し、日本海空戦力は大きく成長した。それでも、陸自は14万を維持しようとしているのが現今の情勢です。

 日本本土侵攻の脅威はなくなっています。ソ連は崩壊してロシアになり、その極東ロシア軍は7万5000人しかいない。新中国がソ連と仲違いし、日本と国交を樹立し、改革開放以降は経済的に日米と密着している。

 日本海空戦力は大きく成長しました。池田・ロバートソン会談では海軍1万、空軍3万だった。今では海空自はそれぞれ定数5万近く成長しています。また、装備も練度も大きく向上していることも見逃せません。

 陸自定数は18万人から多少減ったものの、現状15万で、少し減らしても14万が維持されるわけです。強力なソ連とそれに従う中国、貧弱な海空戦力であっても、18万人いれば足りる。ソ連がロシアが弱体化し、新中国は日米と国交を持ち、経済的に密着し、日本が強力な海空戦力を持つ状況では、本土侵攻阻止には14万も要りません。


■ 陸自維持により海空戦力発展は阻害される
 過度な陸上戦力を抱えることは、海空戦力の発展を阻害します。税収、予算が潤沢であった時代なら、無駄な陸兵を抱え続けてもいいでしょう。しかし、防衛費を減らさなければならない時代です。しかも脅威はグローバル化し、海空戦力を強化する必要がある。この状況で、過度な陸上戦力を維持することは正しい選択ではありません。

 なかでも、本土決戦用の重装備を更新する必要はありません。陸上戦力は、14万人であり、本土防衛には過剰す。重装備も、すでに最新型が充当されている。90式戦車も、FH-70も、充分最新型です。周辺国装備に劣るものでもない。日米同盟や日本海空戦力優位を勘案すれば、重装備なんて別に2線級でも構わないんですけどね。




 なんにしても、10式戦車やら、装輪自走砲やらを作る必要は無いということです。本土防衛には既に充分な陸上戦力がある。そこに、本土決戦にしか使えないような戦車や自走砲に金を突っ込んでも無駄なだけです。国際協力、あるいは外征の必要があるにしても、既存の90式戦車や99式自走砲を持っていけば充分です。
2012.10
19
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13:00
Category : 有職故実
 大山元帥の陸海軍卿兼摂の話。東條首相なんかは、法的には完全にディクテーターで違憲だったわけだけれどもね。まだ、帝国憲法が出来ていないので、違憲ということもない。まあ、大山さんは
明治大帝の御信任篤く、「オマエ、勝手に隠退するな」言われたほどなので、なんということもないんだけどねえ。

 防研で明治海軍史料を漁っていたら、発簡者が「海軍卿伯爵大山巌」という文書を幾つか見つけたよ。 明治18年4月から5月の間に頻出する。印判も大山さんのそれ、一文字で「巌」の丸判。

 大山さんが海軍卿をやっている件は、臨時勤務の類の様子。当時は川村純義が海軍卿だったはず。でも、河村は結構、軍艦に乗ってあっちこっち行っている。「西海鎮守府どこに置くよ」問題では、宮様含めて卿も大輔(たいふ)も軍艦で物見遊山。

 その間、大山さんが海軍卿を代行していたみたい。中には、発簡者「陸軍卿 大山巌」で宛先「陸軍卿 大山巌殿」も存在している。明治18年5月8日、村田銃の弾薬譲渡はまったくそれ。「村田銃のタマで、ノルデンとかガトリングを作りたいねえ」みたいな話。マキシム機関銃云々も書いてある。だから
「『機関銃』ってなんだい」(大山元帥)
「閣下、そりゃミトライユーズでございます」(参謀)
という話は、この文書からすれば日清戦争以前にもありえない話。もちろん、この会話がありえないことは、『金星の追憶』にも書いてあるんだけどね。
2012.10
17
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13:00
Category : 海上運輸
 だよもん氏は海事問題や船舶輸送に関して理解が浅薄である。ツイッターでの海上封鎖に対するトンチンカンな発言群を見ると、その点がよく理解できる。
というか、[中国が※]日本に海上封鎖かけたら必然的に極東ロシアと韓国に対する経済封鎖も同時にやることにry
https://twitter.com/V2ypPq9SqY/status/258110316691476480

だよもん氏はこの発言で「日本に海上封鎖をかけ」ると「必然的に極東ロシアと韓国に対する経済封鎖」になるとユニークな主張をしている。これは、海上封鎖に関してほとんど御存知ないことを示す発言である。歴史的実例、海上封鎖の通例、機雷戦のやり方を知らず、国際法への感覚が鈍麻である点を伺うことができる。


■ 戦争中、ソ連は経済封鎖に陥っていない
 「日本に海上封鎖をかけ」でも「必然的に極東ロシアと韓国に対する経済封鎖」にはならない。これは、歴史的な実例を見ても明らかである。

 大戦中、ソ連極東部は経済封鎖に陥っていない。太平洋戦争で日本は米国から海上封鎖を受けた。しかし、それは極東ソ連への経済封鎖にはなっていない。戦争中であっても極東ロシア港湾に向けたレンドリースは継続していた。日本海上封鎖が完成した戦争末期であっても、ロシアは対日戦準備として船舶輸送を行なっている。


■ トンチンカンな海上封鎖
 だよもん氏は海上封鎖のやり方、実例を知らない。まず、海上封鎖を、あらゆる船舶を通さない壁を作ることだと勘違いしている。しかし、実際には中立国からも海へのアクセスを閉ざすような海上封鎖はやらない。また、機雷戦についても、機雷原を間違って理解している。全ての機雷原を完全封鎖するものだと誤っている。

 海上封鎖は、何も通さない壁を作るわけではない。中立国艦船が、中立国にアクセスする権利は尊重される。第二次世界大戦でも、日本は宗谷海峡を完全封鎖せず、ソ連艦船やソ連に向けたアクセスを尊重している。また、ヨーロッパでも中立国の権利は尊重されている。第二次世界大戦では、スイスやスペインから、新大陸へのアクセスも尊重されていた。例えば、カナダ産小麦へ輸入である。これは連合国・枢軸国了解のもとに行われている。

 つまり「日本に海上封鎖をかけ」でも「必然的に極東ロシアと韓国に対する経済封鎖」にはならない。


■ 機雷戦について御存知ない
 だよもん氏は機雷原についても間違えた理解である。だよもん氏は、日本封鎖のために対馬海峡に機雷原が作られるとしている。その機雷原は「機雷は船を選ばないw」と露韓の商船もすべて通れないと理解している。しかし、対馬海峡に機雷を敷設したからといって、露韓の商船が通れなくなるとする発想は誤りである。

 一般的に、機雷原には安全航路を設定することを知らない。先に挙げた宗谷海峡封鎖では、機雷原にソ連向け安全航路が設定されている。複雑な機雷原でも、アクセスのために沿岸沿いに安全航路を設定する。単純な航路では開放し、複雑な航路では先導船をつける。そして機雷原を作ったからといって、どの国の艦船も全く通れなくなるとする発言は、安全航路設定を知らないことを示している。

 そもそも、だよもん氏がイメージする鉄壁の機雷原は、対馬海峡では作れない。どんな船も通さないような機雷原は、ごく狭い範囲でなければ作れない。具体的には戦争末期の下関海峡や、ベトナム戦争末期のハイフォン港いった狭い海域である。しかも、継続敷設してようやく完成している。作れるとすれば防御側であるが、日本は安全航路を持たないような機雷原をつくるつもりもない。

 機雷原を作っても「必然的に極東ロシアと韓国に対する経済封鎖」にはならない。そのような発言は、機雷戦について何も知らないということを示している。。


■ 国際法への関心もない
 そして、だよもん氏が国際法について鈍麻であることも伺える。安導券といったものも知らないのだろう。何もかも通さないような海上封鎖が実施される。中立国のアクセスを奪うような非常識な機雷原が生まれる。安導券の存在を承知していれば、そのような発想はない。おそらく、国際法に関しての知識や関心も薄いのであろう。


■ 海上輸送への理解がない
 そもそも、中国による対日経済封鎖で「対馬や宗谷を封鎖」しなければならない理由が理解不能である。日本の主要航路は日本海を経由しない。むしろ、日本海は日本の安全航路になってしまう。輸送容量は小さいものの、シベリア・ランド・ブリッジの安全が確保される結果になる。完全封鎖するなら、むしろ日本海に侵入しなければならないハズなのだが。

 だよもん氏は、海事問題や船舶輸送に関して何も理解していない。海上輸送や船舶輸送をトラックで代替できると考えている程度に過ぎない。具体的には「冬に河や海が結氷したら、大規模物流は活発になる」http://twitter.com/V2ypPq9SqY/status/27408470032とか言い出している。「船がつかえないのならトラックで運べばいい」とする水準である。「パンが無ければお菓子を食べればいい」と大差ない考えなのだろう。



 まあ、海上封鎖に関しても何も御存知ないことも、不思議な話ではないなということ。他にも、[中国に]南シナ海の海上優勢とられる と制海権と海洋拒否の区別がついていないあたりも、御存知ないのだろうけど。このあたりは、長くなるから次の機会にでもね。


※ どの国が日本を封鎖するかに関しては、中国を指している。https://twitter.com/V2ypPq9SqY/status/258107917235003392で「南シナ海の海上優勢」云々から、アメリカの対日戦ではなく、中国による南シナ海制海権確保、中国による対日海上封鎖を示している。
2012.10
15
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13:00
Category : ミリタリー
 たまにあるんだろうけどね。

 ヘリのソーナでサンマを釣り上げた話は、読んだことがある。 館山でSH-60Kの試験をしているときに、サンマを巻き込んだ。物珍しいのでサンマは指揮官の食卓にのぼったみたいな話。わざわざ写真を撮って、航空安全様式で隊内に掲示していた。
 対潜ヘリ、今様に言えば哨戒ヘリには、吊り下げ式のディッピング・ソーナーが装備されていることがある。日本の場合、HSS-1、-2は知らないが、-2B、SH-60J、SH-60K(これは着脱式)に搭載されている。
 ディッピング・ソナーは、骨だけのコウモリ傘みたいな形をしている。嵩張るので、使う時だけ開くのだけれども。そのソーナを閉じるときに魚を巻き込んだよという話だった。

 ま、似た様な話は結構ある。内海で公開中、トビウオが飛び込んでくるとかね。前甲板にトビウオが落ちているのを見たことがある。大湊だと、荒天のあとに飛行場地区にホタテがあったとか聞いたこともある。

 一番でかいのは、インド洋給油でクジラを釣り上げた話じゃないかね。5年以上前かねえ、護衛艦が洋上給油中、バウ・ソナーにクジラ突き刺したのだけれども、針路変えられないからそのまま。給油後、変針したら外れたとか。「あれはクジラの死体を突いたんだ」と思い込みたかったみたいよ。褒められた話でもないので公表していないんじゃないかな。

 そいや昔、黛さんは利根?だったかで狙ってやった話もあったねえ。クジラ発見を聞いて、当直士官に対潜戦術としてのラミングを命じた、と本人の回顧談にあった。ホントに体当たりするんですか?と当直士官も尋ねたきたとか。確か、捕鯨砲の話だったと思う。初出の雑誌記事で読んだので、砲術史談に載っているかどうかは分からないけど。
2012.10
13
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13:00
Category : ミリタリー
 「空母が人も金も時間も吸い込んでしまう」と中国でも危惧している。中国総参謀部の魏さん、史さんの「航母人員従厳訓練持証上崗」※ を読むことができたんだけど。まあ、結論は無いのだが、「空母って人もお金も吸い込むよね」という内容。空母整備には躊躇しないんだろうけど、そのコストについては部内的にも相当の覚悟が必要だと認識している。実際に香港観測だと「正規空母は限定的にして、VTOL空母にしたようがよくね?」という話も出ているとかいう。

 魏慶さん、史偉光さんの「航母人員従厳訓練持証上崗」では、空母に訓練と維持に金がかかることを強調している。項目立てとしては3部構成になっている。艦長養成に時間がかかる、搭乗員訓練に金と時間がかかる、米国が空母維持するコストは高いといった内容。後二者は珍しくないのだが、最初の艦艇要員も困っているといったあたりは注目すべき内容だろう。

 艦長に関して「操艦と航空作戦に通じた指揮官がいるよね」としている。「米国だと、空母艦長は少なくとも海軍生活20年のベテラン」と述べている。実際には、任官20年程度では駆逐艦長程度なのだが、艦長以下の要員をどうするかといった問題意識は正しいものだろう。なんせ、この間まで、中国には大型水上戦闘艦艇を持っていなかった。それなりの商船をコンバーションした補給艦といったものがあったのだけれども。戦闘艦としての大型艦には経験がない。

 また、具体的にパイロット等の経験と、大型艦での経験[科長クラス?]が必要と述べている。「航母艦長必須是飛行員或空勤軍官出身[中略]同時遴选上的後備航母艦長還必須有両棲攻撃艦」といっている。だが、西側でも望めない人材ではないのかね。まず能力的にどっちつかずになる。そもそも中国では、なかなか育成できない人材じゃない。艦載機パイロット等は、少数のヘリ要員しかいない。大型艦も少ない上に、任務も航海・運用・機関程度しかいない。

 希望する艦長級人材は、今から20年立たないと育成できないんじゃないかねえ。また、艦長以外にも、副長から初級士官まで、さらに下士官や、場合によれば水兵でも高練度の要員が必要だろうし。甲板作業を行う運用員、メンドイ大型蒸気タービンの面倒を見る機関員、狭い格納庫で機体・エンジン・武器をどうにかしないといけない航空整備員も養成しないといけないねえ。

 同時並行で、パイロット他も作らないといけない。記事でも指摘しているのだが基礎教育から初めて、離着艦できるまで持って行って、さらに作戦行動ができるまでしないといけない。また飛行場(ココじゃないかと言われている)や練習機(JL-9)から作る話で、これも金と時間を使う話である。

 何にしろ金のかかる話で、中国も陸軍泣かすしかないんじゃないのかね。海軍と、あとホットな第二砲兵、武警に金突っ込むには、陸軍と空軍を減らすしかない。とはいえ、日本と違って陸上戦力を一気に減らすことも難しい。長い陸上国境を持ち、インドとは睨み合い。ロシア、ベトナムとも仲が良くない。中央アジアも警戒する必要があるしね。

※ 魏慶、史偉光「航母人員従厳訓練持証上崗-建造与訓練、維修保養耗費驚」『数字国防』2011年第5期(2011.5)
2012.10
12
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13:00
Category : ミリタリー
 昔の日記を読み返したんだけれどもね。

 ン年前、用事があったので幕その他に顔を出したら(もちろん私服)、某所で賞味期限切れの「小型乾パン」を数袋貰った。当直とかの時にボリボリやる柔らかい乾パン。今から思い出せば、海では見たことがないような気がする。8マイル遠泳で、昼飯だと海に放り込まれ、鯉が餌を食うように食った、海水漬け乾パンはもっと大きかった。

 まあその足で大学に行った。当時、出戻って院生やっていたのだが。いつもの通り先生は遅い。話の種に「どうぞ」と乾パンをゼミ前に配ってみた。

 お国にはないものなのだろう、中国人とタイ人がクッキー(まあビスケットではあるけど)と認識した様子。「お菓子、ありがとう」なんていう。

 コレ兵隊の餌だよ言っても、不味いものではないと言いたいのか、「そんなことないですよ」という。お世辞もあるだろうけど「おいしい」と言う。

 ただ、己を含む日本人は「まあ、味もないよねえ」とか「このボソボソ感が」とか言っている。留学生は、なんで貰ったお菓子に文句を付けなければいけないのか、そこがよくわかんないらしい。

 さらに、おまけのコンペイトウについても初見の様子。これも、ただの砂糖の結晶ではいっているだけといっても、お菓子と信じて疑わない。コンペイトウもガリガリかじる人もいる。

 そのうち先生(東大からバイトで来てた人)が来たのだが、「俺、静岡だから東海大地震用の訓練を思い出すよ」なんていいながら「この乾パン、柔らかいけど大丈夫なのかね」と言いながらボリボリ。

 授業後、同じゼミの留学生との話をしたときは、曰く「貰った食べ物を食べて『美味しくない』というのが不思議」とのこと。まあ、「乾パンってそういう食べ物なんだよ」といっても分からない顔をしていた。


 八〇后の娘さんで、中国の大学では軍事教練(不動の姿勢を10分とか、行軍10kmだから、体験入隊レベルだね)をしたとかいっていたけど、兵食って食わないのかねと思った。
2012.10
10
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13:00
Category : ミリタリー
 オスプレイが牽制や抑止の力を持っているとするのは言い過ぎだ。あくまでもヘリの延長にある輸送機である。便利であることは確かかもしれない。だが、オスプレイが存在することにより、中国やロシアが脅威を抱くとする見方は大げさである。

 峯さんの記事「オスプレイ配備から」※ では、オスプレイが中露に対する牽制であり、抑止であると主張されている。
オスプレイ配備による中露両国に対する牽制(けんせい)、抑止効果はすでに表れている。ロシアは9月にオスプレイの試験飛行が始まると、訓練空域付近に電子偵察機「IL20」を相次いで飛ばした。オスプレイの電波情報の収集が目的とみられる。また中国がオスプレイ導入に敏感に反応したのも、その軍事的効力を恐れたからだろう。
  峯匡孝「オスプレイ配備から見えてくる世界、沖縄、野田首相」      
  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121007/plc12100712010005-n2.htm

 しかし、中露に対して、主張するほど大きな影響は与えていない。

 まず、ロシアに対して牽制の力は果たしているとは考えがたい。ロシアから見て、沖縄においたオスプレイは、米本土にいるのと同じことである。北海道あたりに置かなければ、気にする必要もない。

 偵察機がオスプレイを見に来たのかどうかもわはからない。裏日本沿岸に沿って日本海を南下するのはいつものコースである。仮に見に来たとしても、オスプレイ輸送機であるので大した電波情報は得られない。「オスプレイの電波情報の収集」といっても、そもそも収集するようなデータはない。カタログ的に収集したとしても、EWで積極的に活用するデータでもない。

 中国にしても、オスプレイは軍事バランスを覆すほどの脅威でもない。峯さんは「中国がオスプレイ導入に敏感に反応したのも、その軍事的効力を恐れたから」と主張している。「敏感に反応」も、具体的に何であるのかわからないが、輸送機の「軍事的効力を恐れた」とするのは無理な主張だろう。その表現は、新しい基地ができたとか、新しい戦闘航空団とか、艦艇、巡航ミサイル等が配備されたときに使う言葉だろう。

 これらの表現は、オスプレイ反対へのカウンターなのだろう。配備を価値づけるため、オスプレイの効用を主張している。しかし、あくまでもヘリの延長にすぎない。その輸送機配備により、中国やロシアを押さえ込めるような表現は、針小棒大といえる。

※ 峯匡孝「オスプレイ配備から見えてくる世界、沖縄、野田首相」http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121007/plc12100712010005-n1.htm
2012.10
08
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13:00
Category : ミリタリー
 中華航母「遼寧」のアレスティング・ワイヤがスウェーデン製とかいう話なんだが、陸上基地のオーバーラン防止用なんじゃないのかね。

 陸上基地にもアレスティング・ワイヤは準備されている。空自も持っていて、その近所にある海自航空基地にも設置している。ただし、あくまでもオーバーラン防止用で、日常的に活用するものでもない。

 艦載機へのCTOL着艦にはどうなのかね。陸上用のアレスティング・ワイヤが非常時用とすれば、まず寿命も短いだろうねえ。制動力も、基本、着陸後の機体を止める程度なのかもしれない。艦載機だと、失速寸前(失速速度の2割マシくらいかねえ)で降りてくる艦載機をいきなり止めるようになっている。まあ、調整できるのかもしれないけど、常用に足るものなのかという気もする。

 着艦時の重量も制限されるんじゃないかね。もともと離陸でも相当に重量が制限される。「それよりはマシ」かもしれないけど「爆弾を積んだままじゃダメ」「燃料も減らさないとダメ」とかあるかもしれないねえ。

 まあ、習作なので色々あるだろうし、「空母を保有することが大事」で性能は二の次で構わないのだろうけど。
2012.10
08
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12:59
Category : 有職故実
 簡体字をつかう新中国は歴史破壊とか言い出す人もいる。自衛隊でも結構、高級幹部で仕事もできるけど、それ以外はご存じない人が講話で言っていたよ。※

 でもねえ、正規の繁体字なんかどこで使っているのかね。台湾でも日本でも、普段使う文字は繁体字なんか使っていない。そもそも、簡体字にも歴史がある。革命の余波で一気呵成にやったけれども、デタラメに決めたわけでもない。

 だいたい繁体字なんて、いちいち書けるもんじゃない。繁体字を使う台湾だって、普段使いする文字は康煕字典の繁体字は回避する。そもそも自分たちの住んでる地域の「臺灣」なんて手描きじゃ書いていられない。日本もそう。日常で使う、たとえば通貨単位の「圓」なんて毎回、丁寧に書いてらんないから、「円」と書いているわけだ。簡易化するのは当然な話。

 簡体字もデタラメではない。歴史的にどうやって簡略化をしたのかを参考にしている。民国時代に出版された『宋元以来俗字譜』が種本である。大学図書館とか国語研究所には所蔵されているかもしれない。まあ、国立国会にはオリジナルがなかったので、1950年代、新中国で影印復刊したヤツを読んだのだけれども、突拍子もないものはない。

 宋元以降が参考にされたかのは、出版文字が出現したためだ。宋元以降、商業出版として、一般民衆向けの白話小説等、版本出版が盛んになった。そこで使われた、簡略文字が標準になったためである。

 当時はメディアが手彫版本である。何回も出てくる字を、真面目に繁体字なんか掘っていられない。そもそも内容がどうでもいい口語文小説である。そのため「読めればいいよ」の略字が出てくる。※ 「無」なんて、多用される割には掘るのがメンドイ、だから「无」にする。実際には、オリジンというわけでもなく、それまでに使われていた、いろいろな略字がメインなのだろう。しかし、出版により大量流通したことにより、その略字が普及する。そして、別の版本でも使われると、その文字は固定する。

 『宋元以来俗字譜』では、「无」は12種類の本のうち、10種類で採用されていることを示している。日本でもくずし字で使われている。「文化破壊の簡体字」とバカにできるものではない。

 簡体字の過半は、それまで使われていた俗字や略字を採用し、その簡略化を似た文字に適用したものである。歴史破壊というほどのものでもない。

 そもそも、漢字しかない中国で、普段使いする文字を正しく書けというのも無理な話だ。それを「文化破壊」と批判する人も、簡略化、簡体字は使っている。彼らだって「鹽」なんて書かないで、「塩」と書くだろって。


※ そのたぐいの人に、起案用紙の裏にある「記書き」(手書きの趣旨説明)で咎められたことがある。防衛省の「衛」を「彳ヱ」と書いたのだが、その人のところで「そんな字はない」と説教を食らった。昔、防衛庁の看板でも結構使っていた文字なんだけどね。正しい字をつかえともいうのだけれども、正字も「衛」とは微妙に異なる。真ん中の下が違うんだけどね。
 まあ、明治大正昭和の公文書原義やその「記書き」を読んだことがあれば、馬鹿馬鹿しい話にしか聞こえないんだけれども。

※※ 「實」の簡体字が「实」であって、「実」ではないのは、筆記文字ではなく、手彫文字を採用した影響だろうね。掘る上では「实」のほうが優れている。「シ+ノ」のほうが、「三+人」よりも、掘りにくい交点が2つ少なく、線も一本少ないわけだし
2012.10
06
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13:00
Category : ミリタリー
 防衛費を増やせと主張する御仁、別の予算を増やせとする主張は鼻で笑うのだろう。防衛費を増やせと主張する、特に威勢の良い人は 社会保障費や文教費を増やせという主張を一笑に付す。非効率を是正しろとかいうのだろう。

 しかしね、防衛費にも非効率は多いよねえ。まずは「いまどき本土決戦準備に金突っ込むのはどうよ」とかね。防衛問題に対するスタンス、政治的立場はともかくとして「本土で大規模な陸戦をやるときはオシマイだろ」という考えは膾炙している。前の戦争もそうだったからねえ。

 防衛費を増やせと主張する御仁、そういった異見に対して情緒的に反論するんだろうね。社会保障で母子加算廃止したとき「子供が楽しみにしていたディズニーランドに行けなくなった」とか。文教費だと「35人学級でなければ、イジメは防遏できない」みたいにね。「陸自が弱いと、政府が勝手に降伏する」みたいなマヌケなこと言い出すんじゃないのかね。

 なんにしても、金がないご時世に「防衛費を増やせ」とする主張は間抜けな話です。傍から見れば、社会保障費を倍にしろ、文教費を篤くしろと同じ主張にすぎません。防衛費も減る方向にある。その中で重要な目標があれば、それ以外の予算を減らすしかない。「陸は大事だ、海は大事だ、空は大事だ、防衛費を増やせ」という主張は、まあ、今の御時世に「年金増やせ」と主張するようなものですね。
2012.10
05
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13:00
Category : ミリタリー
 自衛隊ファンをこじらせた結果、パペットやプロキシに堕してしまったのではないかね。「自衛隊スゴイ、エライ、大事にしろ」という話を、マクロ・ミクロを問わず、抽象度も調節されずに羅列し、しかも結論なく並べられると文章に違和感しか残らない。「自衛隊スゴイから、防衛予算を増やせ」や「日本の防衛産業エライから、競争入札ヤメロ」といった従来主張を見ていると、自衛隊への片想いが行き着いて、自己同一化したようにしか見えない。



 桜林美佐さんの記事「世界で最も信頼が厚い海自掃海部隊」※ には全体的な違和感がある。主張も不明瞭であり、内容の過半を占める海自対機雷戦部隊紹介にしても、散文的であり、自国軍隊への顕彰に引きづられている。対機雷戦部隊へのファンレターなのか、機能・能力について述べたものか判然としない。

 まず、主張が分からない。最初と最後の章からみれば「国防のため、対機雷戦戦力へのレディネスを上げろ」と主張したいのかもしれない。しかし、記事の構成や内容からでは単に、海自対機雷戦部隊の紹介にしか見えない。

 もともと桜林さんの記事は主張がハッキリしない。記事の中には、防衛政策等への細かいリクエストといったものが幾つかある。しかし、全体で何を主張したいのかがハッキリしない。昔の記事「陸軍が用いた海上戦力とは?」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35526」)が好例である。



 対機雷戦部隊紹介も、贔屓の引き倒しにしか読めない。記事の題名「日本の対機雷戦技術は世界で最も信頼が厚い」にしても、自国への顕彰が過ぎる。

 世界が海自を待っているといったような記述は桜林さんの願望である。海自の対機雷戦部隊を顕彰するため、桜林さんは、各国は日本部隊に大きな期待をしていると主張している。記事中では次に引用する部分である。

もしイランがホルムズ海峡の機雷封鎖を強行した場合、海自掃海部隊に対し即出動の期待の目が向けられた可能性は高い。

これにはしかるべき根拠がある。1991年の「湾岸の夜明け作戦」だ。湾岸戦争後、やはりペルシャ湾に派遣された海自掃海部隊は、木造の小さな掃海艇を駆使し、あらゆる悪条件を乗り越え、34個もの機雷処分に成功したという実績を持つ。

 「よくこの船でここまで来たな」

 とっくに現地で活動していた各国部隊は皆、目を見張ったという。海外での運用を想定していなかった掃海艇で、はるばるインド洋を経由したどり着いただけでも彼らを驚かせたが、さらにその実力のほどを発揮し、日本の掃海部隊の名を世界に知らしめることになったのだ。
「世界で最も信頼が厚い海自掃海部隊」より)


散文的な内容であるので整理すれば「日本から木造掃海艇で到着したことは偉業であり、各国海軍に驚きを与えた」「日本は高い掃海技術を発揮し、各国海軍にその能力を印象づけた」という内容になる。

 しかし「日本から木造掃海艇で到着したことは偉業であり、各国海軍に驚きを与えた」とする主張も、自国軍隊への顕彰と、パーティでのお世辞を真に受けたものにしか見えない。そもそも、ペルシア湾に投入された対機雷戦艦艇は、日本も各国も似たようなものであった。日本だけが小型であったわけでも、木造であったわけでもない。排水量的には各国MSC/MHCと変わらない。木造艇についても、アメリカが投入していた。英仏伊が投入したGRP艇と性能には大差もない。

 特に木造であることを強調しているのは、参加隊員が悪環境にあったことを強調したいのかもしれない。しかし、日本が木造艇としたのは、実際には乗り心地に拘った結果である。これもあまり格好のいい理由ではない。

 「日本は高い掃海技術を発揮し、各国海軍にその能力を印象づけた」も同様に、顕彰と、お世辞を真に受けたものである。そもそも、ペルシア湾戦後処理では日本は掃海していない。各国ともそうで、ドイツがトロイカを試用しただけである。重箱の隅をつつくようだが、行われたのは掃討であり、日本は技術的に大きく立ち遅れていた。そのため、ダイバーによる処理が多用された。むしろ各国海軍の能力、そこからの立ち遅れに気づいたのが正直なところである。



 結論部でのペルシア湾展開へのレディネスを上げろという主張も、唐突である。桜林さんは、エネルギー安保のため、ペルシア湾での機雷敷設に際しては即時展開できるようにしろと主張している。しかし、ペルシア湾での機雷除去は日本単独で行うものでも、行えるものでもない。1987年、イライラ戦争に伴う機雷除去以来、国際協調が基本である。合意形成には時間がかかる。もちろん、行かざるを得ない。だが、一番乗りをしなければならない理由もない。

 最後に付け加えられた「エネルギー論議」も、どうも次元の違う話である。

それにしても、日本では真にリアリティーのあるエネルギー論議がなされていないように思える。「そんなことはない」という反論もあるかもしれないが、例えば尖閣問題も領土そのものもさることながら、シーレーン問題として捉える必要があるだろうし、また、「反原発」論争にしても、わが国が現時点で、これほどに不安定なエネルギー輸入国であることに目を瞑ってはならないだろう。確かに、地震大国である日本に多くの原発があることは不安要素だ。しかし、遠く海の向こうの資源だけに国の生殺与奪を任せる不安も同様にある。
「世界で最も信頼が厚い海自掃海部隊」より)


桜林さんの問題提起では、輸入先多様化、原油備蓄積み増し、代替エネルギー投資が解決策になる。桜林さんは軍事的にはシーレーンや尖閣諸島に絡めようとしているが、それなら、対機雷戦部隊派遣というよりも、ペルシア湾でのプレゼンスがいるような話になるだろう。



 とにかく違和感が多い。主張が明確ではない。対機雷戦部隊紹介も、顕彰を目的としたファンレター的である。後半部はおそらく、対機雷戦部隊の重要性を主張しようとしたものである。しかし、国際協調といった視点の欠如、エネルギー論議への牽強付会といった部分で不明瞭度がさらに増加している。

 そもそも最初の部分で躓くのである。桜林さんは、普天間基地移設やオスプレイで悶着を起こしたので、領土紛争に至ったと主張している。記事導入部での記述は、国防・防衛の方針に異見がでたので、領土紛争に至ったとしか読めない。

普天間移設問題を混乱に陥れ、基地はいらない、オスプレイは出ていけと日米同盟を自ら揺さぶり、中国・韓国・ロシアに「その気」を起こさせた。
「世界で最も信頼が厚い海自掃海部隊」より)


しかし、北方領土、竹島、尖閣諸島とも、普天間やオスプレイの以前から存在した問題である。また、普天間移設問題、オスプレイ問題への軽視も垣間見える。

 自衛隊への片想いなのだろう。とにかくスゴイ、エライ、大事にしなさい、という内容になっている。それは個人の好き好きなのだろう。だが、「汚職を糾弾する『正義』が国防を弱体化させる」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36126)で主張されたような「防衛費を増やせ」や「防衛産業は競争入札の例外にしろ」※※ は、片想いが過ぎて盲目になったようにしか見えないものである。





※ 桜林美佐「世界で最も信頼が厚い海自掃海部隊‐『いざ』というときに備えて実機雷処分訓練を継続」(2012.10.4)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36220

※※ 空自T-7練習機導入の時に、スイス製メーカーが応札したら、値段が途端に半分になったことを忘れているのかねえ。まあ「『防衛生産・技術基盤研究会』の最終報告書」も、防衛省と防衛産業が喜ぶことを羅列しているんだろうけど。

※※※ 「世界が欲しがる救難飛行艇「US-2」民間転用による輸出で日本経済が活気づく」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36025)なんかだと、題名だけでもねえ、10機に満たない飛行艇で経済が活気付くとか。それでいて本文では、「ニーズの多いUS-2の無償供与などは検討されてしかるべき」と、金出して穴掘って、その穴を埋めれば雇用が生まれるだろう程度の内容になっている。
2012.10
03
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13:00
Category : ミリタリー
 陸上戦力は何の役にも立っていない。尖閣諸島をめぐる日中台の、まあ、じゃれあいでも面に立つのはコーストガード、背後にいるのは海軍である。陸上戦力には出番はない。
 冷戦が終わってから、国内防衛戦力には出る幕もない。脅威や面倒事は海の向こうに移った。脅威はグローバル化した。遠いソマリアの海賊行為や、中東でのテロリスト活動が脅威となっている。本土近くでは、北方領土、竹島、尖閣、ガス田ほかの海底資源といった領域を巡る鞘当てが面倒事になっている。これらに対して、国内防衛に特化した陸上戦力は何の役にも立っていない。

 海軍力を増強しないで、陸上戦力に金を注ぎ続けるのは、妥当ではない。海陸戦力への資源配分費は、明らかに間違っている。海軍力には過大な荷重が掛かっている。海保は任務量に比べ絶望的に人員予算が少ない。海自は海保よりはマシであるが、人員不足にあえいでおり、艦艇新造も遅れ始めている。対して、全く荷重がかからず、余剰すらある陸上戦力は従前どおり維持しようとしている。陸自は人員15万人を維持し、防衛費1/3を費消している。

 役に立たない陸自を減らして、繁盛期にある海保・海自に回したほうが良い。特に人員は問題である。陸15万に比して、海保1.2万、海自4.2万程度しかない。陸を5万程度減らせば、海保海自をそれぞれ1万づつは増やせる。陸には無駄な支出も多い。陸には、今となっては何のためか分からない装備や部隊がある。本土決戦しか使えない戦車や自走砲、多くても大隊規模しかなく、ヘタすれば殆どが予備部隊なのに連隊本部といった無駄がある。そこら辺を整理して海保・海自に回したほうが、予算の効果的な支出だろう。
2012.10
02
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23:57
Category : エネルギー
 国立国会にに閉店時間まで居座って外に出ると、太鼓の音がする。「原発反対のサウンドデモかなにかだろう」と思ったのだが。首相官邸にしては音がでかい、閉会中の議事堂にデモもない。永田町の駅まで歩くと、その先にある自民党党本部前でデモやっていた。

自民党前

 参加者は、掴みで300人といったとこか。歩道にそって集まっていたんだけれども、反対側歩道から見るとそんな感じ。全体を見渡してみると、直感でだいたい200‐300くらい。ある程度見当つけようと、テモ列の真ん中を見つけてその半分、そのまた半分(1/4)、そのまた半分で1/8の検討をつけて、その1/8を10人ずつくらいで割ってみると30-40人位の見当になった。8倍して300程度かね。平日の夕方なのに結構あつまったものだ。

 主張は「原発反対」と分かりやすい。その上で、推進してきた自民党への抗議になっている。5分程度しか見てなかったけど、原発反対と、それに関連する自民党への抗議以外の、政治的なシュプレヒコールはない。結構、好印象だった。※ 汽車に乗ってから検索すると、金曜デモが火曜日に出張してきたものらしい。

 たしかに、自民党は責任は免れんよね。長く与党だった自民党は原発推進でやって来たわけだ。電力業界ともズブズブ。(民主党も電力労組とズブズブだったみたいだけどね) そして、この期に及んでも原発に未練を残している。こないだの自民党総裁選だと、候補者全員が原発維持を表明している。

 デモと主張は賛同できる感じでしたねえ。まあ、自民党の新体制が、原発反対の声よりも大企業や業界に賛同しそうなわけで、抗議はあっても不思議じゃないですね。

 ま、一番先立って抗議する先は、東電だと思うんだけどね。



※ あのあたりで一番腹たったデモは、草莽全国地方議員の会。あまりに酷いので日記に書いてあった。最高裁判所の前から、国立国会に向けてスピーカーでアジ演説しやがった。デジタル史料とかマイクロとか、眼が痛くなるような画面と格闘しながら読んでいる利用者は皆殺意を抱いていたよ。TPP反対(の名を借りたマスコミ批判)だったが、隣に座った爺サマ曰く「国会議事堂前で、常識的な範囲で主張していた農業団体のみなさんを見習え」だってよ。
2012.10
01
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13:00
Category : ミリタリー
 某弾庫では警備犬を訓練していた。記憶だが、まあ無慮200頭を訓練しているところなんだが、バカな犬はいる。所用あって何回か通ったのだが、優秀な犬の中にはチョロい犬もいた。警備犬なのだが、尻尾を振って喜ぶというのもなんだかね。

 時間調整かなにかで暇つぶしをしていたのだろう。弾庫だと所在もない。だいたい、己がいられる場所が哨所くらいしかない。警衛からすれば、幹部に長っ尻されるのは迷惑この上ない。雰囲気に負ければ、お茶の一つも勧めなければならないだろう。警備隊には、そんな殊勝な警衛もいないもんだがね。こっちも哨所でお客さんをしているのも窮屈なもの。

 やることもないので、警備犬を構っていた。まあ、警備犬地区を犬の威嚇の鳴きマネとかしていただけ。だが、その1頭だけは、初手からこっちに懐いてきた。寂しかったのかね。檻の前で立ち止まって見つめただけだが、最後まで尻尾を振っていた。人見知りしないで懐いてしまう警備犬もいるわけだ。

 反抗的な犬も、餌一つでおとなしくなった。真面目な警備犬が憎たらしいので、屈服させようと一回だけで餌をくれたことがある。技官や警衛に見つかると怒られる。いない時間ならわかるまいよ。犬がSM-2の撃ち殻だかの影になるような位置でくれてやったら効果覿面だった。その一回だけで件の犬も屈服したよ。所詮は犬畜生だね。

 大した餌じゃない。昼に食った港湾食堂、昔の労務者向け食堂のオカズを隠し持っていったのだけれどもね。豚のしょうが焼きかなにか、一かけらを与えたら反抗的態度を改めたよ。まあ、己みたいな関東労務層向けの味付けなんで、塩っ辛いので犬には良くないんだろうけど。

 犬にもよるんだろう。忠義の犬が話題になることもあるということは、不忠の犬もいるのだろう。飼い主に手を噛むような犬もいるわけだ。頭のいい犬、言うことを聞く犬がいると思えば、ボンヤリした犬やアレな犬もいるのだろうよ。まあ、人間も同じだから文句も言えない。隊員にもサンケイに褒められて喜ぶ「国民の自衛官」もいれば、己みたいな「非国民の自衛官」もいるわけだ。

 弾庫の仕事も大したものじゃなかった。市だか県だかが「犬がいるならその糞尿が雨水に混じって外に流れる。浄化槽つけろ」といったリクエストに対応した話。何の根拠もないけど「体重で考えれば、犬3頭で人間1人に換算ですかねえ」と聞いてみたら、「犬は窒素分を多く出す、犬2頭で人間3人」(人数はうろ覚え)と明快に言われたよ。なんかの根拠があったんだろう。