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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2012.10
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Category : 海上運輸
 だよもん氏は海事問題や船舶輸送に関して理解が浅薄である。ツイッターでの海上封鎖に対するトンチンカンな発言群を見ると、その点がよく理解できる。
というか、[中国が※]日本に海上封鎖かけたら必然的に極東ロシアと韓国に対する経済封鎖も同時にやることにry
https://twitter.com/V2ypPq9SqY/status/258110316691476480

だよもん氏はこの発言で「日本に海上封鎖をかけ」ると「必然的に極東ロシアと韓国に対する経済封鎖」になるとユニークな主張をしている。これは、海上封鎖に関してほとんど御存知ないことを示す発言である。歴史的実例、海上封鎖の通例、機雷戦のやり方を知らず、国際法への感覚が鈍麻である点を伺うことができる。


■ 戦争中、ソ連は経済封鎖に陥っていない
 「日本に海上封鎖をかけ」でも「必然的に極東ロシアと韓国に対する経済封鎖」にはならない。これは、歴史的な実例を見ても明らかである。

 大戦中、ソ連極東部は経済封鎖に陥っていない。太平洋戦争で日本は米国から海上封鎖を受けた。しかし、それは極東ソ連への経済封鎖にはなっていない。戦争中であっても極東ロシア港湾に向けたレンドリースは継続していた。日本海上封鎖が完成した戦争末期であっても、ロシアは対日戦準備として船舶輸送を行なっている。


■ トンチンカンな海上封鎖
 だよもん氏は海上封鎖のやり方、実例を知らない。まず、海上封鎖を、あらゆる船舶を通さない壁を作ることだと勘違いしている。しかし、実際には中立国からも海へのアクセスを閉ざすような海上封鎖はやらない。また、機雷戦についても、機雷原を間違って理解している。全ての機雷原を完全封鎖するものだと誤っている。

 海上封鎖は、何も通さない壁を作るわけではない。中立国艦船が、中立国にアクセスする権利は尊重される。第二次世界大戦でも、日本は宗谷海峡を完全封鎖せず、ソ連艦船やソ連に向けたアクセスを尊重している。また、ヨーロッパでも中立国の権利は尊重されている。第二次世界大戦では、スイスやスペインから、新大陸へのアクセスも尊重されていた。例えば、カナダ産小麦へ輸入である。これは連合国・枢軸国了解のもとに行われている。

 つまり「日本に海上封鎖をかけ」でも「必然的に極東ロシアと韓国に対する経済封鎖」にはならない。


■ 機雷戦について御存知ない
 だよもん氏は機雷原についても間違えた理解である。だよもん氏は、日本封鎖のために対馬海峡に機雷原が作られるとしている。その機雷原は「機雷は船を選ばないw」と露韓の商船もすべて通れないと理解している。しかし、対馬海峡に機雷を敷設したからといって、露韓の商船が通れなくなるとする発想は誤りである。

 一般的に、機雷原には安全航路を設定することを知らない。先に挙げた宗谷海峡封鎖では、機雷原にソ連向け安全航路が設定されている。複雑な機雷原でも、アクセスのために沿岸沿いに安全航路を設定する。単純な航路では開放し、複雑な航路では先導船をつける。そして機雷原を作ったからといって、どの国の艦船も全く通れなくなるとする発言は、安全航路設定を知らないことを示している。

 そもそも、だよもん氏がイメージする鉄壁の機雷原は、対馬海峡では作れない。どんな船も通さないような機雷原は、ごく狭い範囲でなければ作れない。具体的には戦争末期の下関海峡や、ベトナム戦争末期のハイフォン港いった狭い海域である。しかも、継続敷設してようやく完成している。作れるとすれば防御側であるが、日本は安全航路を持たないような機雷原をつくるつもりもない。

 機雷原を作っても「必然的に極東ロシアと韓国に対する経済封鎖」にはならない。そのような発言は、機雷戦について何も知らないということを示している。。


■ 国際法への関心もない
 そして、だよもん氏が国際法について鈍麻であることも伺える。安導券といったものも知らないのだろう。何もかも通さないような海上封鎖が実施される。中立国のアクセスを奪うような非常識な機雷原が生まれる。安導券の存在を承知していれば、そのような発想はない。おそらく、国際法に関しての知識や関心も薄いのであろう。


■ 海上輸送への理解がない
 そもそも、中国による対日経済封鎖で「対馬や宗谷を封鎖」しなければならない理由が理解不能である。日本の主要航路は日本海を経由しない。むしろ、日本海は日本の安全航路になってしまう。輸送容量は小さいものの、シベリア・ランド・ブリッジの安全が確保される結果になる。完全封鎖するなら、むしろ日本海に侵入しなければならないハズなのだが。

 だよもん氏は、海事問題や船舶輸送に関して何も理解していない。海上輸送や船舶輸送をトラックで代替できると考えている程度に過ぎない。具体的には「冬に河や海が結氷したら、大規模物流は活発になる」http://twitter.com/V2ypPq9SqY/status/27408470032とか言い出している。「船がつかえないのならトラックで運べばいい」とする水準である。「パンが無ければお菓子を食べればいい」と大差ない考えなのだろう。



 まあ、海上封鎖に関しても何も御存知ないことも、不思議な話ではないなということ。他にも、[中国に]南シナ海の海上優勢とられる と制海権と海洋拒否の区別がついていないあたりも、御存知ないのだろうけど。このあたりは、長くなるから次の機会にでもね。


※ どの国が日本を封鎖するかに関しては、中国を指している。https://twitter.com/V2ypPq9SqY/status/258107917235003392で「南シナ海の海上優勢」云々から、アメリカの対日戦ではなく、中国による南シナ海制海権確保、中国による対日海上封鎖を示している。
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