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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2012.10
22
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13:00
Category : ミリタリー
 ミサイル艇「はやぶさ」は、さっさと処分したほうがよい。
 ミサイル艇を維持する費用は相当に高い。見えやすい燃料代だけでみても、消費量は護衛艦の半分近くに達する。燃費以外の運用経費も高く付く。
 そして、できることは少ない。ミサイル艇は護衛艦の代替はできない。しかし、ミサイル艇の代替は護衛艦や航空機には可能である。
 ミサイル艇には維持費に見合う能力はない。保管するなり、スクラップするなり、陸自に移管するなりしたほうが良いだろう。


■ 燃料費がかかり過ぎる
 「はやぶさ」型ミサイル艇の高コストで、分かりやすいのは燃料代である。石油価格が高騰した現在では、燃料費はランニングコストの大部を占める。

 ミサイル艇は、燃費が悪過ぎる。最大戦速44ktでの燃費が悪いのは仕方がない。だが、普段使いの巡航速力でも燃料をバカ食いする。1/3軸に減軸し、12kt運航するだけで、一時間に500リットルを費やす計算になる。

 「はやぶさ」は、5000馬力のガスタービン3基を並列に置いて、低速から最大戦速まで回している。燃費を重視して、1/3基に減軸、つまりエンジン1基-ポンプ1基だけで低速航行するにしても非効率である。

 ガスタービンは部分負荷、つまり低回転では凄まじく燃費が悪い。「はやぶさ」は排水量200t、12ktを出すのに、1000-1500馬力必要と仮定して計算してみると、相当に燃費が悪い。巡航速力で回しても、1時間あたりざっと400リットルから500リットルの軽油を消費する。

 そもそも、LM500はLM2500よりも燃費が悪い。GTは小さくなると燃費が悪くなる。LM2500で定格付近の理想状態で。185g/HP-hrである。これがLM500で二割悪化として222g/HP-hrになる。この数字は、旧式のFT-4A程度であり、不自然な数字ではない。

 部分負荷で燃費は劇的に悪くなる。特性からの読み取りでは、定格1/5の燃費は、LM2500で1.7倍、FT4Aで1.5倍に悪化する。定格1.5/5では、1.35倍、1.4倍になる。LM500について、1/5で1.6倍、1.5/5で1.4倍とみると、1000馬力運転で350g/HP-hr、1500馬力で310g/HP-hr。になる

 1時間あたりの燃料消費量でみれば、400リットルから500リットルということになる。燃費に馬力を乗ずれば燃料消費量になる。1000馬力で350kg、1500馬力で465kgになる。燃料は軽油であり、0.9kg/リットルであるので、容積に換算すれば400-500リットルということになる。この数字はミサイル艇の燃料搭載量からみて自然であり、誤った数字ではない。いずれにせよ、燃費は相当に悪い。


■ 2隻で護衛艦分の燃料を消費する
 ミサイル艇の燃費の悪さは、護衛艦と比較すれば明快である。

 ミサイル艇が巡航速力で消費する燃料は、おそらく「はつゆき」の半分程度になる。「はつゆき」の巡航エンジンは4500馬力ガスタービンを2基。減軸運転で、1軸定格4500馬力で回して12ktと仮定して、その時の燃費をLM500と同じ仮定で222g/HP-hrとすると、毎時990kg、1100リットルを費やす計算になる。

 「はやぶさ」の燃料消費量は、15倍大きな「はつゆき」の半分近くである。ミサイル艇は小艇であるが、2隻を動かすと護衛艦を動かすのと大差ないことになる。ミサイル艇は運用維持する上で、高く付くのである。


■ 燃費以外も馬鹿にならない 
 ミサイル艇は能力の低さに比べて、維持費が高い。燃費だけではない。高速艇は船体維持を頻繁にしなければならない。振動や衝撃も大きい。定期整備も高く付く。船体・機関だけでなく、無駄に高級な電子装備の整備は安くはない。

 後方への負担も大きい。高速艇は航空機に近く、乗員は航空機のクルーのようなものである。整備だけでなく、事務や休養も陸上側で行う必要がある。そもそも居住性が低い艇内で、乗員はフラフラになる。帰港後にはあまり期待できない。後方負担への依存は、水上艦以上に悪い。

 稼働率も高くできないので、実質的な経費はさらに高くなる。ミサイル艇は長期間行動できない。「はやぶさ」型の場合、燃料搭載量から見ると、巡航110-80時間分※ である。4-5日動かせば燃料の限界があり、それ以前に人間の限界がある。おそらく、運用も普段では1泊2日、頑張っても2泊3日といったところである。航海日数は稼げず※※※、行き帰りもあるので、警備や訓練といった任務遂行に裂ける時間はさらに減る。水上艦に比べ、稼働率は低い。特に、運用経費を実際の任務日数で割ると相当に悪化した数字がでるだろう。

 ミサイル艇は、一切合切が高く付く、そう見て差し支えない。


■ できることは少ない
 そして、ミサイル艇は使い道があまりない。目的とされた対艦攻撃や高速艇対処も、航空機で代替できる。燃料を食う割に、使えないミサイル艇を維持するのは効率が悪い。

 ミサイル艇は、護衛艦に比べて、使い道は少ない。対潜、対空戦闘能力、ヘリ運用能力を始め、耐洋性や航続距離、救難や洋上哨戒・監視にも使えない。災害派遣での軽輸送や給水・入湯・給食支援もできない。港湾での宿泊支援や通信当直艦といった雑用にも使えない。

 できることは、対艦攻撃や高速艇対処・臨検である。しかし、レーダ捜索能力は大きく劣り、対艦ミサイル等への防御能力は貧弱である。

 そして、ミサイル艇の任務は、護衛艦や航空機で代替できる。対艦攻撃は、護衛艦や固定翼やヘリでも可能であり、効率的に達成できる。臨検も、ヘリからテイクダウンすれば済む。


■ 保管するか、スクラップにするか、陸自にでも移管したほうが良い
 実際には、仮想的にしか使い道はない。付け加えても、広報用程度である。

 港湾防備にしてもオーバー・スペック。領域警備では能力不足、定繋港あたり限定しか使えない。積極的に使うにしても、長距離行動はできない上、捜索能力もない。

 ミサイル艇は、保管するか、廃棄するか、陸自にでも移管したほうが良い。ミサイル艇の任務は航空機で代替できる。人員予算を水上艦に回したほうがよほど有効活用である。




※ 「はやぶさ」型の満載排水量は240t、基準排水量は200tである。差分40tが燃料※※ としたばあい、巡航で時間あたり350-500kg燃料を消費するという見積りと概ね整合する。この場合、巡航速力で110-80時間ほど航海できることになる。実行動は頑張って2泊3日ということで、居住性が極端に悪いミサイル艇としては矛盾しない数字である。

※※ 満載-基準=燃料+真水であるが、なぜか実際の燃料搭載量は差分より大きい。はやぶさの場合、45tくらい積んでいても不思議はない。

※※※ 燃料搭載や整備、入行後の休養、補給を考慮すると、泊を伴う出港は、1泊2日を2回、2泊3日を1回が日常的な限界で、それでヘロヘロになってしまう。演習等で無理使いすると、その後に休養を与えないと何もできないだろう。また日帰りなら頑張れば週3-4回はできるだろうが、効率はよくない。行って帰ってで時間が費やされる。まず、出港日数の割に、警備や訓練といった任務は稼げない。
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