Category : ミリタリー
YOUTUBEに『現代の海戦』と題された動画を拝見した。2010年頃に海自艦艇がどう戦うかを紹介している動画である。概念的な部分をCGで示し、実写映像を交えて説明するもので、対空戦闘や対潜戦闘をイメージするにはわかり易い形式になっている。
しかし、中身には首をかしげたくなる。まず、潜水艦と水上艦が共に行動し、共同して対潜戦を行う部分である。また、対空戦での、特に電子戦に関連するあたりも、説明は間違っている。※
「わかりやすくするため」ということでもない。全般的な話をして、例外的な部分が不正確となる類ではない。潜水艦運用は最初から誤っている。まず、潜水艦水上艦隊が同一行動することが誤りである。電子戦部分や器材の使用時期も誤った説明をしている。
おそらく、監修不足だろう。専門家に取材をしてシナリオと動画を作ったものの、それが正しいかを専門家に確認しなかったように見えるのである。
■ 潜水艦と水上艦は一緒に行動しない
まず、潜水艦が水上艦と艦隊行動をとる点が奇妙である。潜水艦は、水上艦と艦隊行動をしない。陣形を組むのは、広報での展示訓練や、写真撮影に限られる。
潜水艦は水上艦と艦隊行動をとることにデメリットがある。水上艦との速力差、対潜戦を実施する上での困難があり、そもそも個艦運用が前提の潜水艦用法と合わない。このため、水上艦と艦隊行動をとることはない。
潜水艦は速力が遅く、水上戦闘艦と共同歩調をとることが難しい。まず、通常型潜水艦は、充電したバッテリーで動く。電池を節約するため、比較的低速である。水上艦なみの速力では、30分と持たない。仮にスノーケルを使い、エンジンを回して航走すれば、それなりの速力はでるだろうが、常に海面ギリギリで行動しなければならない。このため、深度は自由に取ることができず、潜水艦の利点を殺されてしまう。無理に水上艦並みの速力を出したとしても、航走雑音により、潜水艦が最も頼りとするソーナー機能が妨害されてしまう。
また、水上艦による対潜戦を妨害する要因となる。
近くに味方潜水艦がいる場合、海空からの対潜戦は難しくなる。探知した目標が、敵潜水艦であるか味方潜水艦であるか分からない。そもそも、潜水艦か、潜水艦でないかの見極めで相当困っている。その上、敵味方も加わると面倒この上ない。
また、敵潜水艦への攻撃でも困る。敵潜水艦であっても、迂闊に攻撃できない。対潜手段の主力である短魚雷は、敵味方を識別しない。そのあたりにある水中目標をお構いなしに攻撃する。実際には、味方潜水艦がいるエリアでの対潜戦は、攻撃OK、NGのエリアを設定するやり方も色々ある。当然、複雑になり、危険は増加するが、敵潜撃破の効率は悪い。
潜水艦は基本的に一匹狼として運用される。例外的に、数隻まとめて運用されることもなくはないようであるが、あくまでも潜水艦同士をまとめるだけの話である。ある本※※ には海峡等を通過する際、1隻が先行調査し、安全を確保してから、4隻まとまって通るような運用が示されている。フォークランド紛争のように、一つの海域に3隻を配置することもあるが、行動は個艦でしている。哨戒区域も重ならないように調整している。
米空母機動部隊が原潜と一緒に艦隊陣形を組む写真は、広報用である。PHOTEX(だったか)と呼ばれる儀式であり、実際には艦隊行動は共にしない。米空母機動部隊の前衛として運用云々にしても、独自に1日-半日分先行しているだけの話である。そもそも、行動中の潜水艦は、事前計画、個艦の判断、潜水艦司令部との連絡で動く。水上艦隊の指図は受けないし、実際に受ける方法もない。
■ 電子戦の説明も微妙
電子戦の説明も、微妙にズレている。「対艦ミサイル防御としての電子戦」と好意的に考えてもおかしい。
動画では、ミサイル発射をECMで探知するとしている。(動画ではココ 重くなるので、以下、再生時間へのリンクのみ)
まず、レーダ、ECM(EA)、ESM(ES)の関係が消化されていない。
ナレーションでは、「レーダよりも先に、ECMと呼ばれる装置がミサイルの姿を捉える」と述べている。しかし、レーダでも探知できない段階では、ミサイルも概ね慣性誘導段階にある。ミサイルのレーダ波は発振されていない。
ミサイル側が最初から開眼していたと好意的に見てもおかしい。その場合であれば、ECMよりも、ESM(逆探)側での探知となる。
画面にある「誘導電波を探知」から、対艦ミサイルが中間誘導を受けていたとしても、間違っている。ESMで探知できるのは、発射母体や誘導機からの電波である。ミサイルそのものの方位は分からない。
ECMの動作開始時期も、おかしい。動画では、レーダー探知した後でECMが始まるとしている。(動画ではココ)
しかし、ECMは、ミサイルが飛んできてから始まるわけではない。実際には発射以前の捜索や照準の段階から始まっている。敵艦艇や航空機のレーダを妨害するのである。アクティブなECMであるジャミングは、艦艇や航空機の捜索や照準、ミサイルへの中間誘導、ミサイルによるロックオンとホーミングの各段階で邪魔をする。ロックオンされたあとだけの妨害手段ではない。細かく言えば「強力な妨害電波」とも限らない。
■ ハード・キルや物理的妨害の開始時期も違う
またハード・キル開始時期とECMを関係させることは、誤りである。ミサイル以下による交戦開始条件の説明も違っている。
動画では、ECMが失敗したら、ミサイルと砲によるハード・キルが始まるとしている。(動画ではココ)
ジャミングの成否を見て、ミサイルが発射されるわけでもない。既に近接され、追尾段階にある対艦ミサイルに対しては、ジャミングの成否に関わらず対空戦闘は開始される。対空ミサイルの射程から、時期的にジャミングの後になりやすいだけの話であり、最初から射程内なら、各種ミサイル、火器はECMと並行して発射される。
物理的妨害手段であるチャフ・フレア・デコイの使用時期も遅すぎる。チャフ・フレア・デコイは欺瞞の目的によって異なるが、もっと早期に発射される。
動画ではCIWS発射と同じ時期にチャフの類を放出するとしている。(動画ではココ)
CIWS発射時期には、チャフ・フレア・デコイの放出は遅い。その時期には、ガイダンスを切って直進モードになっている対艦ミサイルもあり、無効である。そもそも対艦ミサイルを騙すには、ロックオンの段階で偽目標を作り騙す、あるいはホーミングしている段階で、自艦のRCSと入れ替わる必要がある。
■ 対潜戦の説明は、理解し難い
敵潜水艦による攻撃以下の説明は、ナレーション、画面とも理解がしがたい内容である。(動画ではココ)
「敵潜水艦の攻撃」は、「敵潜水艦接近」という意味なのだろう。だが、画面では魚雷を発射している。この点は、原稿とCG作成の齟齬なのだろう。しかし、「ヘリコプターが[敵潜水艦攻撃を]探知」とナレーションで説明したあと「対潜担当の護衛艦がアスロックを発射する」と説明するのは短絡である。その前に、ヘリ等による潜水艦所在の極限と、おそらくはヘリによる対潜攻撃が行われる。そのほうが、アスロックよりも手早く、正確である。
そして一番奇妙であるのが、水上艦によるアスロック攻撃と同時に、潜水艦による攻撃が行われるとする説明である。(動画ではココ)
実際には、水上艦と潜水艦による共同対潜攻撃はない。まず、最初に述べたように、潜水艦は水上艦と一緒に行動していない。また、戦闘行動中の潜水艦には、常時連絡を取りえない。そもそも、潜水艦からすれば、自艦で探知せず、確実に敵かどうか分からない目標に対し、貴重な魚雷を発車することには抵抗がある。
潜水艦は水上艦と一緒に行動していない。そもそも、一緒に行動させて利益はない。潜水艦の自由行動を確保し、水上艦にも好き勝手に対潜戦をやるためには、両者は相当に離れていなければならない。距離的に離れているため、潜水艦が協力することは不可能である。逆に、協力できる距離であれば、対潜戦が制約を受ける。水上艦隊は、ホニャララにホニャララすることは許されない。
動画では、潜水艦と密接な連携をしている描写がある。ナレーション水上艦、あるいはヘリコプターから潜水艦への連絡があるように示唆し、画面の流れもそれを肯定している。しかし、現実には連絡手段がない。ある程度、潜っている潜水艦には、リアルタイムで連絡する方法がない。つまり、同じ目標への、共同しての攻撃はない。
また、潜水艦側からすれば、自艦で見つけていない目標に魚雷を発車することに抵抗もある。自艦探知以外の水上目標への攻撃は、東側の対艦ミサイル運用ではあった。しかし、潜水艦側からすれば、主兵装であり、数が限られる長魚雷を無駄に使いたくない。目標を直接観測し、効果を確認できる目標でなければ発射しない。水上艦側から概略位置だけを貰った目標に魚雷を使うことはない。
■ 監修できなかったのではないか
これらの問題は、おそらく監修不足によるものだろう。「現代の海戦」はTV番組の録画の様子であるが、最初に取材して得られた話だけで筋書き、動画、ナレーションを作り、ある程度の知識を持つ人のチェックを経ないで放映したのだろう。そうでなければ、おかしい部分が多すぎるのである。
些細な点であるが、ナレーションの「それぞれの艦(フネ)が持つ」を、「カンがもつ」と読んでいる点も、監修不足を窺える。(動画ではココ)
ある程度の専門知識、経験を持つ人なら、原稿での「それぞれの艦が持つ」表記は避ける。まず、位相語のフネをカンと読まれることを警戒するものであるが、さらに経験があれば、文中に一文字の「艦」を入れることはしない。おそらく「各艦」と改める。
動画としては分かりやすいものの、内容に不自然な点が多い。これは映像・番組を作る専門家はキチンと仕事をしているが、内容について説明する専門家が関与する機会が不十分であることを示しているのだろう。
※ 細かい点では、他にも?な部分は多い。例えば、ジャミングの細かい説明や、話の流れを分断して取り出したせいか「砲戦はありえない」言い切ってしまう部分である。
※※ Hervey,John,Submarines(London,Brasseys,1994)
しかし、中身には首をかしげたくなる。まず、潜水艦と水上艦が共に行動し、共同して対潜戦を行う部分である。また、対空戦での、特に電子戦に関連するあたりも、説明は間違っている。※
「わかりやすくするため」ということでもない。全般的な話をして、例外的な部分が不正確となる類ではない。潜水艦運用は最初から誤っている。まず、潜水艦水上艦隊が同一行動することが誤りである。電子戦部分や器材の使用時期も誤った説明をしている。
おそらく、監修不足だろう。専門家に取材をしてシナリオと動画を作ったものの、それが正しいかを専門家に確認しなかったように見えるのである。
■ 潜水艦と水上艦は一緒に行動しない
まず、潜水艦が水上艦と艦隊行動をとる点が奇妙である。潜水艦は、水上艦と艦隊行動をしない。陣形を組むのは、広報での展示訓練や、写真撮影に限られる。
潜水艦は水上艦と艦隊行動をとることにデメリットがある。水上艦との速力差、対潜戦を実施する上での困難があり、そもそも個艦運用が前提の潜水艦用法と合わない。このため、水上艦と艦隊行動をとることはない。
潜水艦は速力が遅く、水上戦闘艦と共同歩調をとることが難しい。まず、通常型潜水艦は、充電したバッテリーで動く。電池を節約するため、比較的低速である。水上艦なみの速力では、30分と持たない。仮にスノーケルを使い、エンジンを回して航走すれば、それなりの速力はでるだろうが、常に海面ギリギリで行動しなければならない。このため、深度は自由に取ることができず、潜水艦の利点を殺されてしまう。無理に水上艦並みの速力を出したとしても、航走雑音により、潜水艦が最も頼りとするソーナー機能が妨害されてしまう。
また、水上艦による対潜戦を妨害する要因となる。
近くに味方潜水艦がいる場合、海空からの対潜戦は難しくなる。探知した目標が、敵潜水艦であるか味方潜水艦であるか分からない。そもそも、潜水艦か、潜水艦でないかの見極めで相当困っている。その上、敵味方も加わると面倒この上ない。
また、敵潜水艦への攻撃でも困る。敵潜水艦であっても、迂闊に攻撃できない。対潜手段の主力である短魚雷は、敵味方を識別しない。そのあたりにある水中目標をお構いなしに攻撃する。実際には、味方潜水艦がいるエリアでの対潜戦は、攻撃OK、NGのエリアを設定するやり方も色々ある。当然、複雑になり、危険は増加するが、敵潜撃破の効率は悪い。
潜水艦は基本的に一匹狼として運用される。例外的に、数隻まとめて運用されることもなくはないようであるが、あくまでも潜水艦同士をまとめるだけの話である。ある本※※ には海峡等を通過する際、1隻が先行調査し、安全を確保してから、4隻まとまって通るような運用が示されている。フォークランド紛争のように、一つの海域に3隻を配置することもあるが、行動は個艦でしている。哨戒区域も重ならないように調整している。
米空母機動部隊が原潜と一緒に艦隊陣形を組む写真は、広報用である。PHOTEX(だったか)と呼ばれる儀式であり、実際には艦隊行動は共にしない。米空母機動部隊の前衛として運用云々にしても、独自に1日-半日分先行しているだけの話である。そもそも、行動中の潜水艦は、事前計画、個艦の判断、潜水艦司令部との連絡で動く。水上艦隊の指図は受けないし、実際に受ける方法もない。
■ 電子戦の説明も微妙
電子戦の説明も、微妙にズレている。「対艦ミサイル防御としての電子戦」と好意的に考えてもおかしい。
動画では、ミサイル発射をECMで探知するとしている。(動画ではココ 重くなるので、以下、再生時間へのリンクのみ)
まず、レーダ、ECM(EA)、ESM(ES)の関係が消化されていない。
ナレーションでは、「レーダよりも先に、ECMと呼ばれる装置がミサイルの姿を捉える」と述べている。しかし、レーダでも探知できない段階では、ミサイルも概ね慣性誘導段階にある。ミサイルのレーダ波は発振されていない。
ミサイル側が最初から開眼していたと好意的に見てもおかしい。その場合であれば、ECMよりも、ESM(逆探)側での探知となる。
画面にある「誘導電波を探知」から、対艦ミサイルが中間誘導を受けていたとしても、間違っている。ESMで探知できるのは、発射母体や誘導機からの電波である。ミサイルそのものの方位は分からない。
ECMの動作開始時期も、おかしい。動画では、レーダー探知した後でECMが始まるとしている。(動画ではココ)
しかし、ECMは、ミサイルが飛んできてから始まるわけではない。実際には発射以前の捜索や照準の段階から始まっている。敵艦艇や航空機のレーダを妨害するのである。アクティブなECMであるジャミングは、艦艇や航空機の捜索や照準、ミサイルへの中間誘導、ミサイルによるロックオンとホーミングの各段階で邪魔をする。ロックオンされたあとだけの妨害手段ではない。細かく言えば「強力な妨害電波」とも限らない。
■ ハード・キルや物理的妨害の開始時期も違う
またハード・キル開始時期とECMを関係させることは、誤りである。ミサイル以下による交戦開始条件の説明も違っている。
動画では、ECMが失敗したら、ミサイルと砲によるハード・キルが始まるとしている。(動画ではココ)
ジャミングの成否を見て、ミサイルが発射されるわけでもない。既に近接され、追尾段階にある対艦ミサイルに対しては、ジャミングの成否に関わらず対空戦闘は開始される。対空ミサイルの射程から、時期的にジャミングの後になりやすいだけの話であり、最初から射程内なら、各種ミサイル、火器はECMと並行して発射される。
物理的妨害手段であるチャフ・フレア・デコイの使用時期も遅すぎる。チャフ・フレア・デコイは欺瞞の目的によって異なるが、もっと早期に発射される。
動画ではCIWS発射と同じ時期にチャフの類を放出するとしている。(動画ではココ)
CIWS発射時期には、チャフ・フレア・デコイの放出は遅い。その時期には、ガイダンスを切って直進モードになっている対艦ミサイルもあり、無効である。そもそも対艦ミサイルを騙すには、ロックオンの段階で偽目標を作り騙す、あるいはホーミングしている段階で、自艦のRCSと入れ替わる必要がある。
■ 対潜戦の説明は、理解し難い
敵潜水艦による攻撃以下の説明は、ナレーション、画面とも理解がしがたい内容である。(動画ではココ)
「敵潜水艦の攻撃」は、「敵潜水艦接近」という意味なのだろう。だが、画面では魚雷を発射している。この点は、原稿とCG作成の齟齬なのだろう。しかし、「ヘリコプターが[敵潜水艦攻撃を]探知」とナレーションで説明したあと「対潜担当の護衛艦がアスロックを発射する」と説明するのは短絡である。その前に、ヘリ等による潜水艦所在の極限と、おそらくはヘリによる対潜攻撃が行われる。そのほうが、アスロックよりも手早く、正確である。
そして一番奇妙であるのが、水上艦によるアスロック攻撃と同時に、潜水艦による攻撃が行われるとする説明である。(動画ではココ)
実際には、水上艦と潜水艦による共同対潜攻撃はない。まず、最初に述べたように、潜水艦は水上艦と一緒に行動していない。また、戦闘行動中の潜水艦には、常時連絡を取りえない。そもそも、潜水艦からすれば、自艦で探知せず、確実に敵かどうか分からない目標に対し、貴重な魚雷を発車することには抵抗がある。
潜水艦は水上艦と一緒に行動していない。そもそも、一緒に行動させて利益はない。潜水艦の自由行動を確保し、水上艦にも好き勝手に対潜戦をやるためには、両者は相当に離れていなければならない。距離的に離れているため、潜水艦が協力することは不可能である。逆に、協力できる距離であれば、対潜戦が制約を受ける。水上艦隊は、ホニャララにホニャララすることは許されない。
動画では、潜水艦と密接な連携をしている描写がある。ナレーション水上艦、あるいはヘリコプターから潜水艦への連絡があるように示唆し、画面の流れもそれを肯定している。しかし、現実には連絡手段がない。ある程度、潜っている潜水艦には、リアルタイムで連絡する方法がない。つまり、同じ目標への、共同しての攻撃はない。
また、潜水艦側からすれば、自艦で見つけていない目標に魚雷を発車することに抵抗もある。自艦探知以外の水上目標への攻撃は、東側の対艦ミサイル運用ではあった。しかし、潜水艦側からすれば、主兵装であり、数が限られる長魚雷を無駄に使いたくない。目標を直接観測し、効果を確認できる目標でなければ発射しない。水上艦側から概略位置だけを貰った目標に魚雷を使うことはない。
■ 監修できなかったのではないか
これらの問題は、おそらく監修不足によるものだろう。「現代の海戦」はTV番組の録画の様子であるが、最初に取材して得られた話だけで筋書き、動画、ナレーションを作り、ある程度の知識を持つ人のチェックを経ないで放映したのだろう。そうでなければ、おかしい部分が多すぎるのである。
些細な点であるが、ナレーションの「それぞれの艦(フネ)が持つ」を、「カンがもつ」と読んでいる点も、監修不足を窺える。(動画ではココ)
ある程度の専門知識、経験を持つ人なら、原稿での「それぞれの艦が持つ」表記は避ける。まず、位相語のフネをカンと読まれることを警戒するものであるが、さらに経験があれば、文中に一文字の「艦」を入れることはしない。おそらく「各艦」と改める。
動画としては分かりやすいものの、内容に不自然な点が多い。これは映像・番組を作る専門家はキチンと仕事をしているが、内容について説明する専門家が関与する機会が不十分であることを示しているのだろう。
※ 細かい点では、他にも?な部分は多い。例えば、ジャミングの細かい説明や、話の流れを分断して取り出したせいか「砲戦はありえない」言い切ってしまう部分である。
※※ Hervey,John,Submarines(London,Brasseys,1994)
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