Category : ナショナリズム
航空宇宙分野は、相当甘やかされているのではないか。航空宇宙分野は、ロマンっぽい響きがある。そのため、航空機開発や宇宙開発は予算支出での支持は大きい。成果品の戦闘機やロケットは大したものでもないが、国産スゴイという一種のナショナリズムで勝手に過剰評価される。航空宇宙分野は、相当に無駄遣いをしているのではないか。
■ 航空機開発の理由が胡散臭い
航空分野だと、新型機開発には希望的観測、あるいは騙しがある。いかに安く出来るかを表明するものの、コスト計算は高騰しなかった試しがない。
できた機体も、開発見通しほどの成果もない。F-1、F-2では、万邦無比の対艦攻撃機となると言いながら、凡庸な機体が出来た。F-1は、当時でも2線級、F-2は遅れたF-16導入に過ぎない。P-1、C-2とも、共用化により世界水準の機体が低コストでできるようにいっていたが、開発途中から共用化はドンドン後退した。
F-1なんて、過剰評価の最たるものだったわけだ。練習機に毛の生えた程度で、ジャギュア同等と言われていたが、これはつまりユーゴスラビア/ルーマニアのORAOと似た程度の機体だったということだ。しかし国産というだけで傑作機扱いされた。
F-1は対艦ミサイル運用能力が特徴とする。対艦ミサイル専用機であるので搭載できる、そういった宣伝をしていた。なに、対艦ミサイルはどんな飛行機にも搭載できる。後にイスラエルは、対水上専用レーダもないA-4に搭載している。対艦ミサイルを使うには専用機が必要だという雰囲気を出していたにもかかわらず、空自はシレッとF-4に後付け搭載している。
F-2もそう。対艦ミサイルを4発も積めるとか言っていたが、あれは搭載量だけの話でそれほど偉くもない。バッカニアもトーネードも、空自のF-4も対艦ミサイルを4発積んでいた。F-16そのままでも4発は積めた。
特に、F-2は開発意図が胡散臭い。本音は、制空戦闘機が作りたいという話なのに、支援戦闘機ですといった作ったのがF-2だった。確かに、機動性の高い艦爆風の機体でなければ、直衛機や防空艦で守られた艦隊攻撃は難しかったかもしれない。しかし、F-2では機動性の部分に、戦闘機の部分に金をかけすぎた。パッとしない艦爆よりも、とにかく戦闘機を作りたいのが開発側の本音だったのだろう。空自も、本音は戦闘機と戦える戦闘機が欲しかった。結果としてムダに高級に、高直になってしまった。対艦ミサイル4発と航続距離、そこそこの機動性といった要求程度なら、A-7でも充分だったわけだ。
まず、F-2は胡散臭く、過剰性能で高価な機体だった。しかし、国産、日本製というだけで、一種のナショナリズムから支持された。政策として反省されることもなかった。作りぬけみたいなものだ。
P-1/C-2開発もひどかった。共通の機体とか部材共用化とか主張していたが、しぶきがかかる程の100ft、200ftの超低空でぐるぐる対潜機動をする哨戒機と、巨大な貨物室に数十トンの重量物を積み、飛行中にランプ空けても大丈夫の輸送機が共通機体になるはずもない。どっちも、生産数は見込めないのだから輸入が正解だったのだが、開発したい病と、その金と受注が欲しいメーカに押し切られたものだ。
まあ、航空分野への支出は批判が少ないので、いい加減と言っても良いだろう。
■ 宇宙分野では、コストの検討すらされない
宇宙分野になると、ロマンチズムによる目潰しがさらに大きくなる。宇宙という言葉であばたもえくぼになる。
情報収集衛星は、効果がまったく示されていない。災害対策でもあるよといって整備されたにも関わらず、こないだの震災では解像度を落とした写真1枚も出していない。向直也さんによると、震災の時にはわざわざ3600万を出して、米国の商用衛星から写真を買ったという。※
向さんには「実際には解読機能がないのに隠しているのではないか」※ とまで言われている。某教育同期で衛星情報センタに出向していた人の話だと「海自と海保からの出向で解読してたよ」と言っていた。解読できないはない話だが、成果を公表していないので疑われても仕方がない。
H-2ロケットも同じで、成功失敗程度しか公表されていない。一体、今まで幾ら使ったのか、コスト的に太刀打ちできるかの見通しがどこにもない。出ているのは開発費用だけであって、1基あたりの製造費やその他コストを総合もない。「我が国の宇宙輸送系の現状と今後の方向性」を見ても「他の国もダンピングしている」「外国でも赤字事業」※※ と、日本だけが高いわけじゃないと開き直っている。
製造原価と、コスト的な将来見通しくらいは明示すべきではないか。
税金突っ込んている事業であるが、実態を隠している。コスト的に相当悪い実態なのだろう。ロケット打ち上げで儲かるとも思えないが、年金制度みたいに損を垂れ流しているのを隠すのは良くない。いずれ破綻するのではないか。
ロマンチズムでの目潰しといえば「はやぶさ」が挙げられる。失敗したわけなのに人情浪花節で誤魔化して、うかうかと誤魔化されたわけだ。航空宇宙分野から見れば、国民とか予算当局とか議会とか、相当チョロいと思っているんじゃないかな。
※ 向直也「安全保障の名の下に現れる『権利の巣窟』」『科学』(2012.9,岩波書店)pp1001-1006.
※※「我が国の宇宙輸送系の現状と今後の方向性」http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/senmon/dai12/siryou3_2.pdf pp46では次のように開き直っている
「 各国のロケット打上げ価格の背景には打上げ事業の基盤を支える政府支援があり、打上げサービス供給過多の市場において、競合するロケット間で価格の引下げが行われているものと推測。 強力な政府支援を受けている欧州のアリアンスペースでも、経済情勢やロケットの品質低下等により巨額の赤字経営に陥っている。」
■ 航空機開発の理由が胡散臭い
航空分野だと、新型機開発には希望的観測、あるいは騙しがある。いかに安く出来るかを表明するものの、コスト計算は高騰しなかった試しがない。
できた機体も、開発見通しほどの成果もない。F-1、F-2では、万邦無比の対艦攻撃機となると言いながら、凡庸な機体が出来た。F-1は、当時でも2線級、F-2は遅れたF-16導入に過ぎない。P-1、C-2とも、共用化により世界水準の機体が低コストでできるようにいっていたが、開発途中から共用化はドンドン後退した。
F-1なんて、過剰評価の最たるものだったわけだ。練習機に毛の生えた程度で、ジャギュア同等と言われていたが、これはつまりユーゴスラビア/ルーマニアのORAOと似た程度の機体だったということだ。しかし国産というだけで傑作機扱いされた。
F-1は対艦ミサイル運用能力が特徴とする。対艦ミサイル専用機であるので搭載できる、そういった宣伝をしていた。なに、対艦ミサイルはどんな飛行機にも搭載できる。後にイスラエルは、対水上専用レーダもないA-4に搭載している。対艦ミサイルを使うには専用機が必要だという雰囲気を出していたにもかかわらず、空自はシレッとF-4に後付け搭載している。
F-2もそう。対艦ミサイルを4発も積めるとか言っていたが、あれは搭載量だけの話でそれほど偉くもない。バッカニアもトーネードも、空自のF-4も対艦ミサイルを4発積んでいた。F-16そのままでも4発は積めた。
特に、F-2は開発意図が胡散臭い。本音は、制空戦闘機が作りたいという話なのに、支援戦闘機ですといった作ったのがF-2だった。確かに、機動性の高い艦爆風の機体でなければ、直衛機や防空艦で守られた艦隊攻撃は難しかったかもしれない。しかし、F-2では機動性の部分に、戦闘機の部分に金をかけすぎた。パッとしない艦爆よりも、とにかく戦闘機を作りたいのが開発側の本音だったのだろう。空自も、本音は戦闘機と戦える戦闘機が欲しかった。結果としてムダに高級に、高直になってしまった。対艦ミサイル4発と航続距離、そこそこの機動性といった要求程度なら、A-7でも充分だったわけだ。
まず、F-2は胡散臭く、過剰性能で高価な機体だった。しかし、国産、日本製というだけで、一種のナショナリズムから支持された。政策として反省されることもなかった。作りぬけみたいなものだ。
P-1/C-2開発もひどかった。共通の機体とか部材共用化とか主張していたが、しぶきがかかる程の100ft、200ftの超低空でぐるぐる対潜機動をする哨戒機と、巨大な貨物室に数十トンの重量物を積み、飛行中にランプ空けても大丈夫の輸送機が共通機体になるはずもない。どっちも、生産数は見込めないのだから輸入が正解だったのだが、開発したい病と、その金と受注が欲しいメーカに押し切られたものだ。
まあ、航空分野への支出は批判が少ないので、いい加減と言っても良いだろう。
■ 宇宙分野では、コストの検討すらされない
宇宙分野になると、ロマンチズムによる目潰しがさらに大きくなる。宇宙という言葉であばたもえくぼになる。
情報収集衛星は、効果がまったく示されていない。災害対策でもあるよといって整備されたにも関わらず、こないだの震災では解像度を落とした写真1枚も出していない。向直也さんによると、震災の時にはわざわざ3600万を出して、米国の商用衛星から写真を買ったという。※
向さんには「実際には解読機能がないのに隠しているのではないか」※ とまで言われている。某教育同期で衛星情報センタに出向していた人の話だと「海自と海保からの出向で解読してたよ」と言っていた。解読できないはない話だが、成果を公表していないので疑われても仕方がない。
H-2ロケットも同じで、成功失敗程度しか公表されていない。一体、今まで幾ら使ったのか、コスト的に太刀打ちできるかの見通しがどこにもない。出ているのは開発費用だけであって、1基あたりの製造費やその他コストを総合もない。「我が国の宇宙輸送系の現状と今後の方向性」を見ても「他の国もダンピングしている」「外国でも赤字事業」※※ と、日本だけが高いわけじゃないと開き直っている。
製造原価と、コスト的な将来見通しくらいは明示すべきではないか。
税金突っ込んている事業であるが、実態を隠している。コスト的に相当悪い実態なのだろう。ロケット打ち上げで儲かるとも思えないが、年金制度みたいに損を垂れ流しているのを隠すのは良くない。いずれ破綻するのではないか。
ロマンチズムでの目潰しといえば「はやぶさ」が挙げられる。失敗したわけなのに人情浪花節で誤魔化して、うかうかと誤魔化されたわけだ。航空宇宙分野から見れば、国民とか予算当局とか議会とか、相当チョロいと思っているんじゃないかな。
※ 向直也「安全保障の名の下に現れる『権利の巣窟』」『科学』(2012.9,岩波書店)pp1001-1006.
※※「我が国の宇宙輸送系の現状と今後の方向性」http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/senmon/dai12/siryou3_2.pdf pp46では次のように開き直っている
「 各国のロケット打上げ価格の背景には打上げ事業の基盤を支える政府支援があり、打上げサービス供給過多の市場において、競合するロケット間で価格の引下げが行われているものと推測。 強力な政府支援を受けている欧州のアリアンスペースでも、経済情勢やロケットの品質低下等により巨額の赤字経営に陥っている。」
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