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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2012.11
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Category : ミリタリー
 中国の空母「遼寧」で離着艦作業が順調であると報道されている。日経「中国空母の着艦試験が成功 新華社など確認」※ には動画もついており、まずは問題なく離着陸している様子が示されている。

 しかし、これで戦力化できたと見るのは早計である。

 空母で艦載機が離着艦していることには不思議はない。もともと、離着艦できるように艦艇も機体も作られている。同型艦や、同じような機体はソ連/ロシアでも航空作業を行なっている実績もある。それには不思議はない。

 戦闘機が離着陸できたことと、戦力として実用化できることは違う。戦闘機にしても、兵装や燃料を搭載した状態で運用できなければ、意味は無い。また、甲板上での運用でのノウハウ集積も必要になる。そもそも、殲-15を海上作戦機として熟成させる必要もある。

 今回の離着艦では、何も搭載していない。記事に付された動画では、軽量状態で運用している。何も搭載していないだけではなく、燃料も少なめにしているだろう。試行段階であるのでそれは当たり前である。しかし、実運用する場合には、燃料と兵装を搭載する必要がある。戦力化では、それがどの程度積めるのかが問題になる。重量級機体と、スキー・ジャンプ方式の組み合わせだと、Su-33の最大離陸重量、30tをそのまま達成することができるかどうかは分からない。

 また、甲板上の運用能力、取り回しについてのノウハウ集積も必要である。戦力化するためには、例えば、離着艦の間隔を短縮や、そのために甲板上で機体をどう取り回すのかといったノウハウ集積も必要となる。

 他にも、殲-15を熟成させる必要もあるだろう。ロシア機にしても、その技術を継承する中国機にしても、基本は陸上機である。海上機のノウハウを持たない。塩分等、防蝕対策確立も必要だろう。実際に、陸上機である運-8を改良した哨戒機、高新シリーズでは、腐食対策※※ に苦労している。

 いずれにせよ、殲-15はその性能を生かし切れない。陸上運用よりも劣る状態で運用せざるを得ない。「遼寧」と殲-15の組み合わせは、技術収集の域は出ない※※※ だろう。ある意味、鳳翔と十年式艦上戦闘機みたいなものだ。本格的な戦力としては、新しい空母と新しい艦載機の組み合わせができるまでかかるのではないか。



※ 「中国空母の着艦試験が成功 新華社など確認 」(日本経済新聞,2012.11.25)http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2500C_V21C12A1000000/?dg=1
※※ 汪海清,譚小輝「海軍飛機腐食防護設計方法研究」『運輸機工程』(2011.1)pp.10-13.
※※※ 南沙諸島あたりならば、実用できるかもしれないが。


ニュースで見っけたナマモノなので、たまにはその日に投稿
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