Category : ミリタリー
香港誌『鏡報』によると、来年に中国は国産空母を進水させるとのこと。昔から『鏡報』は新中国寄りで、先方が言いたいことをアナウンスする役割があった。内容的には信じがたいが、まず、無下には扱えない情報なんじゃないかね。
梁さんは「十八大吹響強軍」※で
来年進水はともかくとして、前から国産空母建造中という話はあったわけだが。サイズや主機、発艦方式については出た話はあまりない。「遼寧艦と同じ大きさ、蒸気推進と蒸気カタパルトを導入する。その目的は原子力空母建造のため」という具体的な話なのが気にかかるわけです。「最も速いスケジュールで、2005-2006年に就役」という部分は「2015年から2016年」の誤記だろうね。
ただねえ、蒸気カタパルトは難しいんじゃないかな。
中国には発電所でのノウハウはあるので、信頼性はともかく大出力蒸気タービンと補機群は作れるでしょう。
でも、カタパルトはゼロベースで造るしかない。とりあえず効率や信頼性を無視したものを作ったとしても、それでは実用性に欠けてしまうわけです。それを含めて試行錯誤を考慮すれば、国産空母はカタパルト試験艦で終わっちゃうんじゃないですかね。(まあ、それでいいならいいのかも知れませんけどね)
また、梁さんは、引用部のあとにも国産2隻目について言及してます。概要をまとめると「国産2隻目は、1隻目の進水から2年、就役から2年遅れる」「ガスタービン推進、電磁カタパルト」とのこと。
このガスタービンと電磁カタパルト採用も、少々信じがたい内容なんだよね。
ガスタービンは、吸排気のために、甲板に吸気路・煙路といった開口部を設ける必要があるわけです。それをやると、格納庫や飛行甲板を狭めてしまう欠点がある。それをわざわざやりますかということが一つ。また、搭載するガスタービンをどうするか問題になるでしょう。中露はガスタービン技術で遅れており、米英製に比較して、いま一つであって、容積効率や燃費が悪いことも問題です。
電磁カタパルトは、米国でも最新技術であって、中国がホイホイ作れるものではない。前にIDRに電磁カタパルトEMALSの記事※※ があったが、記事の内容から考えると、Su-27系の大重量機を押し出せるものを作るのは相当に難しい。なんといっても、F-18より重い。アメリカが作った電磁カタパルトよりも高性能なカタパルトが必要になる。それを中国が作れるとも思えないわけでね。
何にせよ、信じがたい内容なんだよね。。
とはいえ、完全無視もできない。『鏡報』は江戸時代のオランダ風説書みたいなもので、それなりの信憑性をともなっているんじゃないかというあたりか。
そして梁さん「中国はあと30年で超一流海軍国になる」とも述べている。30年を10年毎に分けて説明しているのだが「最初の10年で空母打撃群が3ヶできる」としている。そんなにスンナリ行くものかねえ。
ただ、もし、仮にそうなったとした時には、日本はどうするのかを考えると、日本も空母造るんじゃないかと。歴史的に見てそうなるんじゃないかと思うのですよ。確かに、日本人は海軍力で超越しているかぎり、軍事力には無頓着を極めている。でも、一回でも海軍力の劣勢を見せつけられると豹変する。そして海軍力増強を最優先にする。そういう国民ですからね。
実際に、黒船襲来、長崎事件、旅順艦隊創設で海軍力劣勢を感じた日本は豹変していますよ。まず維新後、日本は海軍建設を最優先にした。明治初期には優先順位通り「海陸軍」と呼んでいたほどの優先度になっている。また、日清戦争直前には、宮廷費削減・公務員給与1割減もやるからとする
明治大帝の詔勅を受け、政府と議会は海軍拡張予算を可決した。そして、三国干渉後に成立した六六艦隊は、保有艦隊の二倍以上を新造整備する大軍拡であった。それなんか臥薪嘗胆の一語で可決しているわけです。
ま、日本人は、突然化けるということです。海軍力の劣勢を感じた日本人は、海軍力の大増強を行うでしょう。中国が正規空母を3隻就役させたとなると「相手が空母を造るなら、日本も空母を造ろう」って話になるんじゃないかと、まあそう思うわけですよ。※※※
※ 梁天仞「十八大吹響強軍」『鏡報』(鏡報文化企業公司,2012.12)p.p.12-15
※※ "Power assist: EMALS era""INTERNATIONALDEFENCE REVIEW"(IHS,LONDON,2012.4)P.P.58-67
※※※ みんなF-35云々いうんだけど、とりあえずは、今ある軽空母にゴスホークの類でも積んで、飛んでみせればいいんじゃないのって思うんだけどね。
いや、ポストに入ってた『鏡報』最新号がねえ、この内容なので急遽投稿したのです、ハイ。
梁さんは「十八大吹響強軍」※で
中国首艘国産航母将於一年後下水・排水量与遼寧艦相若・採用蒸気輪汽並蒸汽弾射器、不採用燃汽輪機是従風険角度考慮及方便銜接未来的核航母・最快2005至2006年服役(下線ママ)と述べている。
来年進水はともかくとして、前から国産空母建造中という話はあったわけだが。サイズや主機、発艦方式については出た話はあまりない。「遼寧艦と同じ大きさ、蒸気推進と蒸気カタパルトを導入する。その目的は原子力空母建造のため」という具体的な話なのが気にかかるわけです。「最も速いスケジュールで、2005-2006年に就役」という部分は「2015年から2016年」の誤記だろうね。
ただねえ、蒸気カタパルトは難しいんじゃないかな。
中国には発電所でのノウハウはあるので、信頼性はともかく大出力蒸気タービンと補機群は作れるでしょう。
でも、カタパルトはゼロベースで造るしかない。とりあえず効率や信頼性を無視したものを作ったとしても、それでは実用性に欠けてしまうわけです。それを含めて試行錯誤を考慮すれば、国産空母はカタパルト試験艦で終わっちゃうんじゃないですかね。(まあ、それでいいならいいのかも知れませんけどね)
また、梁さんは、引用部のあとにも国産2隻目について言及してます。概要をまとめると「国産2隻目は、1隻目の進水から2年、就役から2年遅れる」「ガスタービン推進、電磁カタパルト」とのこと。
このガスタービンと電磁カタパルト採用も、少々信じがたい内容なんだよね。
ガスタービンは、吸排気のために、甲板に吸気路・煙路といった開口部を設ける必要があるわけです。それをやると、格納庫や飛行甲板を狭めてしまう欠点がある。それをわざわざやりますかということが一つ。また、搭載するガスタービンをどうするか問題になるでしょう。中露はガスタービン技術で遅れており、米英製に比較して、いま一つであって、容積効率や燃費が悪いことも問題です。
電磁カタパルトは、米国でも最新技術であって、中国がホイホイ作れるものではない。前にIDRに電磁カタパルトEMALSの記事※※ があったが、記事の内容から考えると、Su-27系の大重量機を押し出せるものを作るのは相当に難しい。なんといっても、F-18より重い。アメリカが作った電磁カタパルトよりも高性能なカタパルトが必要になる。それを中国が作れるとも思えないわけでね。
何にせよ、信じがたい内容なんだよね。。
とはいえ、完全無視もできない。『鏡報』は江戸時代のオランダ風説書みたいなもので、それなりの信憑性をともなっているんじゃないかというあたりか。
そして梁さん「中国はあと30年で超一流海軍国になる」とも述べている。30年を10年毎に分けて説明しているのだが「最初の10年で空母打撃群が3ヶできる」としている。そんなにスンナリ行くものかねえ。
ただ、もし、仮にそうなったとした時には、日本はどうするのかを考えると、日本も空母造るんじゃないかと。歴史的に見てそうなるんじゃないかと思うのですよ。確かに、日本人は海軍力で超越しているかぎり、軍事力には無頓着を極めている。でも、一回でも海軍力の劣勢を見せつけられると豹変する。そして海軍力増強を最優先にする。そういう国民ですからね。
実際に、黒船襲来、長崎事件、旅順艦隊創設で海軍力劣勢を感じた日本は豹変していますよ。まず維新後、日本は海軍建設を最優先にした。明治初期には優先順位通り「海陸軍」と呼んでいたほどの優先度になっている。また、日清戦争直前には、宮廷費削減・公務員給与1割減もやるからとする
明治大帝の詔勅を受け、政府と議会は海軍拡張予算を可決した。そして、三国干渉後に成立した六六艦隊は、保有艦隊の二倍以上を新造整備する大軍拡であった。それなんか臥薪嘗胆の一語で可決しているわけです。
ま、日本人は、突然化けるということです。海軍力の劣勢を感じた日本人は、海軍力の大増強を行うでしょう。中国が正規空母を3隻就役させたとなると「相手が空母を造るなら、日本も空母を造ろう」って話になるんじゃないかと、まあそう思うわけですよ。※※※
※ 梁天仞「十八大吹響強軍」『鏡報』(鏡報文化企業公司,2012.12)p.p.12-15
※※ "Power assist: EMALS era""INTERNATIONALDEFENCE REVIEW"(IHS,LONDON,2012.4)P.P.58-67
※※※ みんなF-35云々いうんだけど、とりあえずは、今ある軽空母にゴスホークの類でも積んで、飛んでみせればいいんじゃないのって思うんだけどね。
いや、ポストに入ってた『鏡報』最新号がねえ、この内容なので急遽投稿したのです、ハイ。
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