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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.01
05
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13:00
Category : コミケ
 実写映画版島耕作、例の『原発・CIA・島耕作』の話でもしようかと思ったのですよ。

 まあ『社長島耕作』『経団連会長 島耕作』から『政商島耕作』『フィクサー島耕作』と黒幕としも登りつめた。ようやくネタ切れかと思ったら、新しいシリーズですからね。米公文書公開で、島耕作情報がリリースされてCIAとの繋がりっていうのも面白い話でした。

 島耕作って、いままではイザとなったら下半身でなんでも乗り切るスーパーマンってイメージがあったのですがね。個別のエピソードなんかでも、フィリピンだかビルマだかで有力者のハーレムを一回で満足させる「十五対一 比島の死闘」とか、あれが島耕作の実像ってイメージがあったのですけどね…まあ、モーニング本誌の連載で原発話やったというから、図書館行って閲覧してきたんだけれどもねえ。

 でも、なに書こうとしても、3.11の以降に起きたことの前では力を失うわけですね。中でもリアリストの皆様の振る舞いがね。リアリズムってなんなのでしょうね。現実に原発が暴走し、放射能を撒き散らしている。その姿を眼の当たりにしながらも、リアリストたちは原発擁護論をブッたわけです。原発事故では「眼の前にあるリアルを無視するリアリズム」の姿があらわになりました。

 前提条件である安全神話が崩壊して、従来の原発擁護論・推進論のロジックが倒れたにもかかわらず、いまだに「原発作るべし」なんていう姿はマヌケそのものです。

 君子は豹変するものです。前提条件が変わったのです、発言が変わっても差し支えありません。

 しかし、なぜかリアリストは方針転換されない方が多い。現実を見ながら崩れた理屈によっているのです。実態は教条主義者です。機械仕掛けの保守派といってもいいです。

 「原発推進=リアリズム=保守派」と「反原発=理想主義=革新派」という2項対立から抜け出せない。革新に降ると勘違いして、執着しているだけですね。


 ウン、彼らのリアリズムは、現実主義とは程遠いものだったということです。

 リアリストが原発を推進したのも、反原発ムーブメントが革新サイドだったために過ぎません。80年代後半、チェルノブイリ以降に力を得た反原発運動は、現場だとかつての空想的平和主義にそっくりだった。それに拒否反応を示した一部保守派は、革新の主張を全否定しようと「原発は経済性が高いとか、安全だ」とか言い出した。それも原発建設サイドが出したお仕着せ資料を、無批判に肯定したものですよ。

 そして「これがリアルだ」と言い切った。なんせ清濁合わせ飲むのがリアリズムです。リスクについて思考停止するのは簡単です。効用と副作用の利得を考えないで強い薬を飲んだわけですね。

 結局は「原発推進=リアリズム=保守派」と「反原発=理想主義=革新派」って二項対立に自分から嵌り込んでいるだけだったわけです。

 そして、原発推進以外の選択肢は「反原発につながる」と、否定してきた。「長期的に自然エネルギーを導入して、将来的に原発を削減する」といったオプションまで「敵」と考えて拒絶を示したわけです。

 原発削減でリスクを減らす、平行して自然エネルギーで電力を確保する。それこそ現実主義なんですけれどもね。


 …ま、原作マンガ読んだら、思ったよりも自然エネルギー擁護的なんで拍子抜けしたのです。資本主義の手先、島耕作ですから、会社大事に教条的発言するのかと思ったのですけど、キチンと風を読んでいますな。世間様から反感買ったら読者も離れる。だから当たり前なんですけどね。

 例の悪フザケを書こうとしましたが、リアル擁護派の方が面白いので困るということです。ハイ



 2011年夏コミで出した『掃討しかない-感応機雷と対機雷戦-』の「あとがき」を転載
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