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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.02
28
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Category : 未分類
 日米との戦争になれば、中国空母「遼寧」は黄海の孤独な女王になるんじゃないかな。まあ、中国と日米ともゲームに留めるので、冷戦化や熱戦が考えがたいのだけれども。かりに戦時なると、沈められると政治的なダメージになるし、沿海での制海達成に影響する。空母である遼寧が存在していることによって、中国沿岸に近寄りがたい効果もあるわけだからねえ。あるいは、黄海もチョット怖いので、渤海の孤独な女王になるのかもしれないけど。

 「遼寧」の母港が青島と報道された。日経新聞「中国空母「遼寧」、青島を母港に 初の専用軍港」ほかである。骨子は、専用岸壁が整備されたということだ。

 米空母の場合には、横須賀の13号岸壁がそれだった。通常空母しか配備されていない時代に、原子力空母ニミッツ級にあわせて作っていたのは防衛施設庁も強心臓だと思ったよ。まあ、米海軍も施設庁、海自も、横須賀市との共生関係を損なわないために色々やっていたから、原子力空母配備も上手く行ったのだろうけどね。

 13号岸壁の例から考えると「遼寧」用岸壁は、それなりに特化した設計になっているのだろう。専用岸壁は、空母を横付けできる水深だけではなく、空母の能力やレイアウトに合致した電気・給汽・給水・通信供給設備を備える必要がある。停泊中には陸上電気をもらったほうが手間はかからない。原子力を含む蒸気艦であれば、ボイラを止めるためにも送汽は必要になる。ほかにも、飛べない艦載機等、大重量物を飛行甲板まで持ち上げる専用クレーンがあるのかもしれない。※ 実際に、朝日新聞からの孫引きだが、新華社電によると『埠頭(ふとう)や給油施設などを備え、空母を停泊させる能力があることを証明した』とある。

 近隣に飛行場も整備されるのだろう。これまでは、渤海北部の葫蘆島-秦皇島に訓練用飛行場があったのだが、500kmも離れていると塩梅も悪い。なるべく近く、できれば陸上移動も難しくない程度の距離、横須賀から厚木程度の距離で飛行場を確保し、艦載機専用の施設をつくるのだろう。青島や大連には海軍の飛行場も多いので、適当な場所に間借りする形が一番安くできる。

 ただ、「遼寧」関連の整備が進んだからといっても、日米中の海軍力のバランスが大きく変わるものでもない。「遼寧」や関連施設整備は、中国海軍力発達の表象ではあるものの、単艦で日本、米国に優位に立つものでもない。また「遼寧」自体が試作品や練習空母の類にすぎない。空母やそれに乗せる艦載機も、まともに空母を使ったことのないソ連・ロシア系の技術である。

「遼寧」やそれ以降の国産空母ができたとしても、米国と対等に戦えるものでもないし、日本相手でも相当に厳しい。戦時に第1列島線を超えるのは危険であるし、東シナ海で活動するのもリスクを伴う。その上、中国国産空母計画も縮小するという話もある。戦時の使い道としては、積極的な行動には使わず、艦隊現存主義での制海権獲得程度ではないのか。

 中国空母が存在することにより、重要な沿岸での制海権を確保するといったものだろう。ただし、上海周辺の長江デルタも、広州・深圳・香港周辺の珠江デルタも外海にむき出しになっている。艦隊を置いても、本気になった米軍には早晩に叩かれる。

 中国にとっての瀬戸内海である、渤海に置く程度ではないのかね。渤海は防護しやすく、重要性も高い。そこに配置して、米国、あるいは日米海空戦力にプレッシャーを与えて、渤海と黄海北部の海上交通、弾道弾潜水艦をを確保するあたりが限界ではないか。

 まあ、「遼寧」は戦時には「黄海の孤独な女王」あるいは「渤海の孤独な女王」になるんじゃないのかね。



※ 海南島や寧波・舟山でも、入港できる程度の岸壁を準備するんじゃないのかね。ブイ係留だと乗員も面白くないし、補給も面倒くさいからねえ。
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2013.02
27
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13:00
Category : 昭和の新聞
 電話している時に、相手の表情を動画で見る必要はあるか?

 昭和45年の新聞を読んでいたら「テレビ電話いよいよ登場」の記事※ を発見。大都市では、昭和48年を目標にサービスの準備、との内容なのだがね。それから40年近くたっても、 普及の目処も立たないのは『テレビ電話』の需要がないことを示しているわけだ。

 テレビ電話のサービスについては、当時から時折出てくる。昭和50年代、60年代、平成に入ってからもたまに出てくる。新しい通信サービスでの眼玉みたいな扱いで紹介されている。

 しかし、テレビ電話は普及しなかった。

 テレビ電話が必要ないことは、昭和50年代には理解されていたのだろう。当時、FAXへの需要は大きく、それに対してテレビ電話への要求が少ないことは分かっていた筈である。

 昭和40年代には、すでにFAXが実用化されている。正規サービスではないが、各企業は専用回線時代でも、べらぼうに高い通信維持費を払って運用していた。ややこしい話や緊急対応で、資料とか写真とか、現時点の議事録が欲しいとき、FAXは直ぐに対応できる。

 しかし、専用回線を維持したテレビ電話の話は全く聞かない。ややこしい話をする、会議みたいな話をするにしても、相手の顔の動画は必要ない。顔に用事はない。

 テレビ電話は、技術的にはただのテレビにすぎない。帯域を無視すれば、昭和300年代でも可能だった。それが、全然普及しなかったのは、たとえ重要な通信でも相手の顔を見る必要がないためである。

 かつて世界で一等重要だった米ソのホットラインも、テレビ電話ではない。実際にはただの赤い電話器にすぎず、その先には電信員がいて、首脳の言葉を電信で送受していただけだった。相手の顔を見る必要はないということだ。

 とはいえ、テレビ電話の話が毎回出てくるのは、新機能を説明しやすい点と、新発明・進歩的に見える点が有利であったためである。出す方としては需要がないのは承知だったのではないか。

 テレビ電話は、わかりやすい新機能である。音しか聞こえない電話に動画が出るのは、電話の進歩や新機能であると納得できる。新サービス発表の際にも、華となる上、説明しやすい。新聞雑誌放送が取材しても、「ついにテレビ電話」と、簡単に書ける上、説明しやすい。利用者や読者視聴者にしても、とりあえずは「スゲー」とは思ってくれる。もちろん、実際には誰も使わないのだが。

 テレビ電話は、新発明であり、歴史の進歩であるように見える。「ラジオからテレビ」という放送方式の進歩を見て「電話はいずれテレビ電話に進化する。これは○○主義への進化と同じように歴史的必然である」とでも言うような共通認識もある。おそらく、電話は、将来的にテレビ電話となるという見通し。「電話はテレビ電話に進化する」という発想は、いつまでたっても廃れないのではないか。

 もちろん、電話するときに相手のお面を見る必要はない。テレビ電話に需要もないことも歴史的事実なのだけれども。



 そういや、地上デジタルテレビの「双方向云々」とやらは、まだ実装されているのかね。あれもテレビ電話と同じで、紹介しやすく理解しやすいが、需要のないものだね。

※「テレビ電話いよいよ登場」『朝日新聞』(朝日新聞、1970.1.17)p.15
2013.02
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Category : ミリタリー
 浜口和久さんが、迷彩服通勤は悪く無いと主張している。「陸自の迷彩服通勤-『反対』が国民の認識?」で、毎日新聞電子版で報道された件に関して、「自衛隊員が誇りを持って迷彩服を着て活動できる環境こそが、日本の災害対応力の強化に繋がるのである。」と述べている。※

 浜口さんの主張するように、迷彩服をそれほど嫌う必要もない。外で着て悪いものではない。迷彩服が適しているなら、あるいは必要があれば着ればいい。

 しかし、通勤を迷彩服とするなら、通常の制服は必要なくなるのではないだろうか。

 自衛隊には常装という、いわゆる制服がある。冬は背広で、夏は半袖になっている。部隊勤務時は、基本は常装と定められている。作業服や戦闘服装、体育服装は、勤務時必要に応じて着用するものであって、基本はあくまで常装となっている。通勤時は、作業服や戦闘服を着る必要はなく、正門通過に際しては威儀を整える意味から、常装か私服での通過を求められることになっている。

 その常装を、通勤に着用しないのであれば、着用の機会はなくなる。特に大津駐屯地司令が「迷彩服での通勤は災害派遣に迅速に対応する」という英断をしている。それならば通勤以外でも迷彩服着用なのだろう。準備段階から長時間拘束される儀式の際も「災害派遣に迅速に対応する」ためには迷彩服なのだろう。儀礼での服装は日日命令なので「本職」の意嚮次第でどうとでもなる。おそらく、大津では常装は事実上廃されているはずである。

 常装はたしかに面倒くさい。毎日、アイロンを掛ける必要がある。ネクタイは煩わしい。軽作業にも向かない。官品は自宅で洗濯できない。(実際には普通に出来るが)だから、曹士は私服で通勤し、朝礼と終礼の時だけ常装を、シワがつかないように丁寧に着る。勤務時は作業服か戦闘服である。

 それなら、常装を廃止すればよい。陸空には、あまり常装の必要はない。海のように、海外等で登舷礼のような礼装(冬服なら常装+白手袋)機会はない。それならば、迷彩服を制服にすればよい。米陸空軍も、だいたい迷彩服を着てくる。昔のBDU、バトル・ドレス・ユニフォームみたいな制度を採用すれば、今の常装の必要はなくなる。変った幹部を除けば、隊員も喜ぶ。

 常装の煩わしさ、非効率にある点を明示しないで、左サイドへの憎悪につなげている点、浜口さんの記事は残念である。「中越沖地震発生の際、『反自衛隊』を主張していた一部の柏崎市民は、自衛隊の給水、給食、入浴サービスなどに並んだ。」といった、みみっちいことを言うよりも、常装や、それを着用することによる威厳の維持を旧弊なものと断じ、論じるべきであった。



※ 浜口和久「陸自の迷彩服通勤-『反対』が国民の認識?」(NetIB news,2013.2.19)http://www.data-max.co.jp/2013/02/19/post_16449_hmg_1.html
2013.02
23
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Category : ミリタリー
 総短艇という、まず一種のゲームがある。短艇は昔は端艇と書いた。艦艇に搭載するカッターであるが、今は搭載していない。江田島にある幹部候補生学校では、その短艇を使ったゲーム、分隊対抗競技をよくやっていた。

 総短艇は、今いる場所から、海沿いに吊るってあるカッターまで走って移動し、海に下ろして沖のブイを一周して戻り、また吊り上げるまでの順番を競う。具体的には拡声器で「学生隊待て」「学生隊総短艇」「総短艇はアルファ法」「服装は作業服装」「掛かれ」という形で始まる。

 候補生からすると、朝起きがけや、昼休みにやるので面倒この上ない。候補生は「待て」でその時の動作を止める。「総短艇だろうなあ」と思っていると果たして「総短艇」と聞いて面倒くさいと思う。アルファ法は反時計周りだったと思うが、漕手なので気にしたことはない。「掛かれ」全力で突っ走っていくことになっているが、それなりの距離もあるし、やることもあるので、己はまあ8割程度で走った。

 「第○カッター降ろし方用意、短艇索解け」や「ストッパー掛け」といった号令は未だに覚えている。下ろして、乗り込む。己はエンジンと呼ばれる8番座について櫂を伸ばしてエッチラオッチラ漕いでいく。回頭するとき、左舷は櫂を上げる。回りきったら漕がされて、岸壁に戻る。岸壁をよじ登って、麻索を引っ張って持ち上げて、整列して終わり。

 当時から、勝っても負けてもどーでもいいと思っていたのだがね。分隊長や分隊の半分くらいはやる気に溢れているので困った。土日に練習しようとか間抜けな事を言い出したり、細かい技術指導をしようとするのだけど。基本は体力というか、体重にある。分隊はそれで負けているのだから小手先をどうこうしても仕方がない。

 だからねえ、短艇掛には逆張りしろと言ってみるのだけどね、そういう決心できないのが、室長や短艇掛だった。防大出ていて男性性を誇示しているのに、だいたい決心はできなかった。「昼休みに幹事と幹事付が(カッター吊ってある)ダビッドに行った。だから別課(夕方にある体力練成)の時間に総短艇がかかる」と言う。それを見越して、各分隊は作業服に着替えている。

 「それなら体育服装にした方が勝てる可能性があるんじゃないか」と言った。周りの分隊が作業服なら、着替に戻る時間があるので、楽勝である。別課の時間は本来は体育服装でもある。分隊は毎回負けており、一度も勝ったことはない。「短艇力に負けているのだから、逆張りすんべえ」というような事を言ったのだがね。防大を6年かかって卒業した短艇掛に、真面目に考えろと言われたよ。

 「負けても服装のせいにできるぜ」と言おうと思ったが、まあ言っても無駄だなと思った。そして、みんな作業服を着ていたせいか、服装指示は体育服装だった。

 この時勝てたかどうかはともかく、正攻法で駄目なときに逆張りできないのは肝が小さいと思った。

 だいたい、勝てそうな競技に集中すればいいのにねえ。分隊は競技に弱かった。分隊長も、分隊も、どの競技でも優勝できないことを恥にしていた。何の競技でも満遍なく勝とうとしていたわけだ。それで毎回毎回、目前の競技の練習に浮気していれば、どれも勝てない。マイナーなヤツを一つ二つ選んで、力入れて練習すれば楽に勝てるのだがね。そう言うと「目前の競技に全力を尽くすのが本分」みたいなキレイ事を言う。それをやっている限りは勝てないだろうなと思って見ていたよ。
2013.02
21
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13:00
Category : ミリタリー
 昭和20年秋口からは、大陸でも負けるんじゃないのかな

 終戦直前に、連合国中国戦区への燃料輸送は一気に解決している。雲南師範大の肖さんが、抗日戦争での封鎖と対策という記事※ を書いている。その中にインドからのパイプラインと輸送能力が言及されている。このパイプラインの完成は、中国での戦いを相当に変化させるのではないか。中国戦区では、石油欠乏(缺油問題)は重大であった。それが、インドからのパイプライン完成により、一気に解決するためである。

 昭和20年4月にインドから昆明に至る3000kmのパイプラインが完成している。中印油管と呼ばれたパイプラインは、昭和18年8月のいケベック会談で建設が決定し、10月に測量を開始し、12月に敷設を開始した。昭和20年4月に完成、6月から送油が始まっている。

 それまでは、石油はハンプ輸送等で行われていた。ビルマルートを喪って以降、英米からの援蒋補給はヒマラヤを経由した航空輸送に頼っていた。昭和16年から20年まで、ソ連からの西北ルートを含む、対中国援助81%が航空輸送である。

 石油輸送がハンプ輸送からパイプラインに移行した結果、中国戦区での缺油問題は解決、あるいは相当に緩和した。その輸送能力は膨大である。肖さんからの孫引きになるが、胡さんの『抗戦時期西南的交通』※※ では、昭和20年5-11月の6ヶ月で10万トンを送油している。平均1万8000トンであるが、期間に8-11月を含んでいる。最大の送油能力は数倍どころか十倍以上あるだろう。

 これにより、国民党軍や派遣米軍の燃料問題は一気に解決する。もちろん、昆明から中国各地までの輸送力、特に末端輸送に難はあるが、航空部隊や米式装備部隊の行動は活発になる。缺油問題により、行動が制約されていた中国に派遣された米軍航空部隊や、中国の米式装備部隊の可能行動が一気に向上するのである。

 戦争が昭和20年秋口以降に継続した場合、中国戦区では、作戦面でも相当に苦戦するだろう。終戦時、支那派遣軍は戦争に負けたが戦闘に負けていないと考えていた。昭和20年初頭に米式装備部隊が出現した後でも、作戦であれば負けないと判断していた。しかし、米航空部隊や国民党米式装備部隊の補給は一気に改善する。航空部隊や米式装備部隊の活発な活動により、本格的な会戦でボロ負けする局面も出てくることだろう。

※ 肖雄「抗戦時期日本対華的交通封鎖及国民政府反封鎖政策」『抗日戦争研究』2011年第1期(中国社会科学院,北京,2011)pp.72-79.

※※ 胡文義「中印油管」『抗戦時期西南的交通』1992年版(雲南人民出版,1992)pp.414-417. ただし、肖雄「抗戦時期日本対華的交通封鎖及国民政府反封鎖政策」からの孫引き
2013.02
19
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13:00
Category : ミリタリー
 桜林美佐さんには、国産でなければならない理由を挙げられない。性能や価格よりも国産であることが大事と主張しているが、理由は情緒・感傷的なものにすぎない。

 桜林さんは、日本のパイロットは『死ぬなら、日本人の造った飛行機がいい』と考える。自衛隊員が外国製の飛行機に乗ると、体格や気質が合致せず、国産ではないことでストレスを感じ、ついには任務に集中できなくなる。桜林美佐さんは「UH-Xが絶対に必要である」と主張しているが、必要であるとする説明は、このような精神的なものだ。

 桜林さんは「陸自多用とヘリ『UH-X』は絶対に必要だ」※ をテーミス2月号に載せている。必要性については、既に述べたパイロットの精神的な問題をメインに据えている。
そもそも外国人の体型や気質に合わせて造られたものは、日本人にとって違和感のあるものも多い。
 「死ぬなら、日本人の造った飛行機がいい」

 機体に命を預けるパイロットたちのそんな正直な思いも技術者は受け入れる。任務に集中するための適合性は、安全性を担保する重要な要素なのだ。
   (太字部分、改行場所、段落はオリジナルと同じである)
しかし、これはあまりにも説得力に欠ける。

 今の外国製航空機で、日本人との体格差が問題になることはない。※※ 昔であれば、日本人の体格は大きく劣っていたが、今は西欧人と大差はない。実際に、製造国壮丁の体格と、日本人の体格は同じようなものだ。外国製ヘリコプターは、米国製か、仏国の影響の大きな欧州製である。米仏とも、確かに日本よりも背が高い人も多い。だが、背が低目の人も少なくなく、平均から低め側の体格は日本人と変わらない。

 航空機に気質が与える影響にしても、むしろ運用レベルでは外国製の方がよい。日本製航空機は複雑巧緻である、ある程度、日本的気質が影響したものである。しかし、現場ではシンプルであり、フール・プルーフを徹底する外国製機体の設計思想を好ましいと捉えられている。例えば、シーキングは、系統にあわせてオイルの色を換え、プラグ類はその場所にしか挿さらない星形(★)であったことは、古い整備幹部や整備員が絶賛する点である。

 『死ぬなら、日本人の造った飛行機がいい』というのは、桜林さんのイメージか、あるいは設計側の冗談を真に受けたものだろう。パイロットにとっては、高性能で信頼できる航空機がいい航空機である。なにより、死なない航空機が一番である。どこ製であるかは気にしない。

 桜林さんのイメージする自衛隊パイロットは、相当に戯画的にしか見えない。あるいは、神風連の乱を起こした敬神家のようなものか。文明開化を拒否した彼らは、西洋から輸入された電信線の下を通るときに、頭の上を扇子でカバーしたという。西洋の毒、ウエスタン・ポイズンを避けるためである。

 桜林さんが「UH-Xが絶対に必要である」と主張する理由は、ほかにもある。「UH-Xがないと、尖閣まで飛んでいけるヘリが手に入らない」(大意)とか「故障した部品修理に長時間かかる」(大意)、「随意契約の方がコスト削減に寄与する場合も少ないくない」(大意)といったものだ。

 しかし、UH-Xがなければ尖閣まで飛んでいくヘリがないという認識は正しくない。輸送ヘリはUH-1とUH-Xだけではない。陸自に限っても、CH-47やUH-60がある。

 部品修理に長時間かかるというのは、契約形態等による問題である。FMSによる手続きや調達時期のタイミングを指しているのだろう。しかし、直接発注で解決する問題も多い。そもそも、補用品そのほかを準備すれば済む話である。

 随意契約のほうがコスト削減につながるという主張は、練習機T-7導入での実例を無視したものである。当初の随意契約から競争入札となり、候補にスイス製練習機が現れると、富士重工は入札価格を当初随意契約の半分近くまで下げている。やはり競争入札はコスト削減につながるのである。

 この記事は結語も奇妙に見える。「この問題[UH-Xの開発談合]の最大の矛盾と感じるのは」「起訴された陸自の2人であり」「川崎重工に情報を提供した。それなのに罪に問われたという事実だ」とある。「矛盾」が「2人であり」という掛かり方も国語的にも奇妙であるが、それはさておく。それよりも、入札者である川崎に、競争相手の富士重工の「情報を提供した」のに「罪を問われた」点に矛盾を感じるところが奇妙である

 これは相当に感覚がズレている。 桜林さんは「談合をしたら罪に問われた」という部分を矛盾であると感じていると述べているのである。しかし、入札情報を漏らすことと、その人間が罪に問われることには矛盾はない。桜林さんのいう矛盾という言葉が使えるのは「談合を回避しようとしたら、罪に問われた」ときだろう。

※ 桜林美佐「陸自多用とヘリ『UH-X』は絶対に必要だ 自衛官が官製談合法違反で略式起訴されたが飛行機も国内開発・生産がベストだ」『Themis』(2013.2,テーミス)pp.80-81

※※ 昔、NTTが電話を独占していた頃、貿易摩擦絡みで外国製電話機の売り込みを受けた時「日本人は骨格が違うので、送受話器が大きな外国製電話機は使えない」と嘘をついたらしい。でも「頭が小さな子どもも大人向け電話機が使えるだろ」と後に反論されたとかいう。
2013.02
18
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06:02
Category : 有職故実
 陸上不発弾発見のニュースなんだが、つい、こないだにも海上不発弾処理のニュースもあった。

 不発弾はまだまだある。陸上にはそれほどないが、海にはゴロゴロしている。

 陸上では、通常爆弾は概ね限定された目標にしか投下されていない。出てこないことはないが、それほどの数ではない。その上、戦争中から不発弾は適宜処理されている。今残っているのは、命中場所からわりと離れた所に水平に埋まっている爆弾である。爆弾は地面に潜ると、J形貫通という奇妙な挙動をすることがあり、そういった爆弾は戦時中も戦後も未発見で処理されている。まずは例外である。

 しかし、海にはゴロゴロしている。戦争処理で捨てた銃砲弾薬と、発火しなかった機雷である。

 戦争直後に、銃弾から砲弾、爆弾、魚雷、爆雷、機雷のたぐいは全部、そこらの海に海洋投棄した。いまでも浚渫の際には、それらを引っ掛けないように磁気探査をする。変ったところでは、化学兵器も捨てている。屈斜路、苅田港、大湊だが、そのうちの一個を担当したのだが、危険性はともかく、風評被害防止や折衝が面倒この上なかった。ただ、いずれも安全な状態であるので危険性は、ほぼない。

 もう一つは、未発火機雷である。日米双方の機雷が海底にはゴロゴロしている。

 日本側機雷は、戦後1年間で完全処理されているが、炸薬その他はまだ海底に落ちている可能性が高い。繋維機雷であり、艦船による敷設であったので、敷設場所を繋維掃海すれば、船舶航行への危険はなくなるので処理完了となる。しかし、繋維索を切って、浮いた機雷を銃撃処分しているだけであり、銃撃で爆発しなかったものは、浮力を失い海底に沈んだままになっている筈である。

 米軍の機雷は、電池切れしているだけで、海底にゴロゴロしている。米軍は、日本本土に1万個程度の機雷を敷設したが、8割はそのままになった。敷設機雷のうち、大雑把に1割が触雷に成功し、1割が敷設直後に自爆あるいは陸上落下している。残り8割のうち、戦後に日本側が行った感応掃海で処理できた機雷は、3割(うろ覚えだがね)程度、つまり、1万個のうち、8割が残り、その3割を処理したにすぎない。残りの5割は「電池が切れ」で安全になったとみなされたものにすぎない。

 実際に、下関海峡付近では、海自掃海艇が訓練ついでにソーナーで海底をみると、たまに機雷を発見できるという。ただ、安全であると見なして放置しているだけである。最後まで生き残った磁気機雷による触雷は昭和34年、磁気掃海での発火は37年であるので、安全といえば安全である。その除去のコストやリスクを考えると、無理に処分する必要もない。

 まあ、本当なら海保に届けるのだろうが、届けても仕事の手間やコスト、社会的影響があるので、届ける気もしないし、届けてくれるなといったところなのだろう。



 うん、朝の20分で書けるものだ子
2013.02
17
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13:00
Category : 有職故実
 明治42年の新聞記事だけど。青学の学生、緒方○○さん(22)が、女をとっかえひっかえしたので拘引のち釈放された事件。なんでもギャルゲー並みに数十人食ったらしい、羨ましいというのはともかく。食われた方の女の言い分に平成を見たよ。

 ヒロイン側になる姉妹2人の言い分がふるっている。大宮の中田さん家の長女(20)と次女(17)の言い分なんだが
私達姉妹は緒方さんと同じく基督(キリスト)教信者で、姉妹ともに同氏と肉体の関係あるも精神は毫も穢れ居らず、神は浄き血を以て罪を浄め玉うなり肉体の関係は憚る処にあらず
「●驚く可き堕落男女学生」東京朝日新聞 明治42年11月20日より
「男を取っ替え引っ換えしたけど、心は清い」というような話は、本人の言い分にしていいものではない。若い尼僧が戦傷病者を救おうと、戦地にはいって強姦された後とか。あるいは苦界の話にしても、自堕落ではなく、心が清らかで信心篤く、喜捨や浮浪児保護に熱心な娼婦を指して、周囲が称賛する言葉である。あんま、自分から言い出すことじゃない。

 ああいう女は昔からいたということだ。「心はピュアなまま」とか自分から言い出す、発言小町タイプの女性は、明治の頃からいた。昔は性的に厳しい社会というのも、建前だけで、明治・大正・昭和初期まで内縁での結婚離婚は多い。大正デモクラシー、モダンや自由恋愛の中身も、中田さんの姉妹みたいなものだ。ただ、自分から言い出しはしない。一応は恥じるマネはするものだ。

 中田さん姉妹も、反発して口について出てしまっただけなのかもしれない。記事中で警察署長は「色魔の玩弄物となれるを毫も不貞の行為とは思わず不敵の態度なり」と言っている。そういう隙を見せてはいけないみたいな、田舎道徳的な説諭に、つい反発したのかもしれないけど。

 ちなみに緒方さんの戦法は、手紙を渡して面会し、断られたら短刀を出すというシンプルなもの。記事中に「美人録」と書かれた、いい女リストを持っていたという。手当たり次第に恋文出して、回答を強要し、駄目なときには「お前を殺して俺も死ぬ」らしい。これで数十人というのだから、何かの参考になるかもしれないが、お前を殺して俺も死ぬとか、短刀の方が、いまでは脅迫とか銃刀法でNGだね。



 ちなみに、記事には緒方さんや中田さん姉妹の下の名前、住所まで出ている。報道におおらかな時代であることが実感されるよ。
2013.02
17
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12:59
Category : 未分類
 地名に、インテリアほかをつけることがある。
「インテリア」 は「近いほう」
「エクステリア」は「遠いほう」
「トランス」  は「向こう」
「リモート」  は「えらく遠い」
例えば、「トランスヨルダン」は「ヨルダン川の向こう」 という意味ですナ

 でね、何が言いたいのかと言えば、不動産の表示やお店の名前は、控えめに言ってエクステリア、普通はトランス、確信派はリモートじゃないかということ。

 名前って、大抵は東京がわ、駅がわを示すでしょ

・エクステリア
 八王子に「東京本社」とかね(東京・エクステリア)

・トランス
 浦安なのに「東京ディズニーランド」
 さいたま新都心にある官署で「東京○○××局」とかね
 (トランス・東京)

・リモート
 成田にある「新東京国際空港」

 対して、インテリアは、まず具体的な所在地名を挙げる。東京市内なら、麹町区とか京橋区とかを前面に掲げるわけです。それが名乗れない場合、例えば、板橋・練馬・北・荒川・足立諸区は、市内インテリアを強調するわけです

 陸自の東部方面総監部もこの伝で、敷地の一角を東京市内として「所在地:東京」としているようです

大きな地図で見る
「大泉学園町9」の部分だけが「東京都」で、あとは埼玉県。さらに、正門を東京側につけたものの、付近はスプロール化された農地割のまま。交通経路としては、川越街道を用いて東京市内→埼玉→東京(大泉学園)という不自然形になっているわけです。

 果てしなくトランス-、-エクステリアに近い東京インテリアでしょう

2006年07月30日MIXI日記より
2013.02
15
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13:00
Category : 未分類
 機動戦闘車は、ヨリ素朴な装甲車でいいのではないか?

 機動戦闘車を作るらしい。まずはチェンタウロの類を開発し配備するという話である。戦車や偵察部隊ではなく歩兵部隊に配備するという。105mm砲を搭載する高級な装輪車両になる様子である。

 しかし、いつものように数も揃えられない結果になる。戦車みたいな装甲車を作れば、戦車と同じような値段になってしまう。国に新戦車を買う金もない。それよりも弱っちい機動戦闘車を、戦車と同じような調達価格で買う余裕はない。まず、機動戦闘車は数を作らない。大した数を作れる見込みのない車両を開発するのは、国損である。

 機動戦闘車は、対戦車戦闘をさせようとするから高くなる。歩兵部隊に配備するなら、欲目をはらず、歩兵支援ができる程度に水準を落せばいいのではないか。

 砲は75mm砲、あるいは人力装填の後装式迫撃砲※でいい。陣地を吹き飛ばす程度、装甲車を撃破できればいい程度であれば、何も105mmの戦車砲を積む必要はない。対戦車戦闘を諦めれば、歩兵を直協支援できればいいという水準まで落とせる。また、FCSも安くなる。


 それならば、既存装輪車輌に搭載できる。87式偵察車は、装輪式でそれなりの火力を持つ。大砲を積みたいなら砲塔のリングを大きくするなりして積めば良い。96式装甲車は、配備する歩兵部隊の主力になっている。改造ベースにすれば、整備や補用品はそのまま使える。容積も大きいので、射界はともかく、積む気になれば大砲は積める。

 実際にはもっと素朴な車輌で十分である。例えば、1950-60年代に作られたサラディン装甲車パナールERC装甲車で充分である。87式や96式をベースに作るにしても、相当ショボく作っても問題ない。むしろ重量が重くなるので、古いサラディンやパナールのほうが向いている。いずれにせよ、今作ろうとしている、チェンタウロやAMX-10のような機動戦闘車は、過剰性能である。

 要求理由を見る限りは、ヨリ軽量で簡易なサラディン・パナール程度で充分に見える。「ゲリラや特殊部隊による攻撃、島嶼部に対する侵略事態」や「空輸性、路上機動性等に優れた機動力」「直接照準射撃により軽戦車を含む敵装甲戦闘車両等を撃破」であれば、50-60年代に開発されたサラディン装甲車やパナールERCで充分としか読めない。

 機動戦闘車への要求は高度なものではない。ゲリラや特殊部隊相手であれば、人間が携行できる程度、汎用機関銃程度しかもってこない。軽量なサラディン・パナールの両車輌で十分である。また、両車輌は輸送ヘリで吊るして運べる重量※※ に収まっている。火力も90-76mmと「軽戦車を含む敵装甲戦闘車両等を撃破」するのに十分である。

 対戦車戦闘を諦めれば、高級な機動戦闘車を開発する必要はなくなる。87をそのまま使う、あるいは87・96ベースにすれば開発費は浮く。簡単な大砲と素朴なFCSに留めれば、調達価格も安くなり、数を揃えられる。要求の目的をみれば、サラディン・パナールのような素朴な装甲車でも務まるので、高度な火器は必要なくなる。



 今の機動戦闘車開発と、後の整備見通しは、結局はいつもの「開発したい病」だね。新戦車と同じで、必要もないのに開発するだけ開発する。必要もないから、実際には調達ができない。まずは国損だと思うけどね。

※ 連隊砲である120m迫撃砲と同じ弾を使える後装迫撃砲にして、人力装填すればいいんじゃないですかね。砲腔内で動くんじゃねって問題は、工夫すればどうになるでしょ。砲弾側にあるライフリングかみ合わせ部にナイロン樹脂とか、スポンジ状の銅か純鉄でも撒いとくとかね。

※※ 87式偵察車や96式装甲車よりも軽い。その分、装甲は薄いのだろうが、輸送性は高まる。汎用機関銃に耐えられれば充分と割り切れば良い。
2013.02
13
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13:00
Category : ミリタリー
 不発弾を運ぶときには、左手を使ったよ。

 基地の外柵よりで不発弾が見つかったことがある。わりと民家沿いで、常時人がいる衛生隊の建物の脇でもあったので、そのまま置いておくわけにはいかないだろうとなった。己が基地の中央部に運んだのだが、その時には、右手を伸ばした後で左手を伸ばしたよ。「無くすなら左手だろう」と思ったからねえ。まあ、現地で見たときに、小口径迫撃砲の弾で真鍮の頭部信管がない。演習弾だろうと思ったのだが、やはり不安がある。

 上司は「運べ」とだけ言って現地に来ない。その時には、事務所には上司と准尉サンと己しか居ない。准尉サンと一緒に言ったのだが、まあ初任幹部だった己がやるのだろうなという雰囲気になった。穴掘っている民間業者が見つけたのだけれども既に退避すみ。50mほど離れた、建物から離れた広場状のところまで運んだよ。

 上司は自分が行かない割に注文が多かった。「タイヤを積んで、その中に納めろ」とか「水槽の中に入れれば爆発しない」とかね。実用弾頭なら、タイヤ程度ではさほども保護されないだろうし、重機で砂運んで堰堤つくるにしても、その振動の方が危ないだろう。水槽に関しては、花火かなにかと勘違いしている。軍用火薬・爆薬は安定しているのであまりその気遣いはいらない。逆に、水中でも問題なく発火する。

 陸上で発見された不発弾は基本的ん陸自扱いになる。警察と遠くの師団司令部を経由して陸自に連絡すると、隣り合わせの駐屯地から武器科が来てくれた。一目見て「60mm迫撃砲の演習弾」と判断して、トンカチでガンガンやっていた。ガンガンやる理由はわからないけどね。

 そういえば不発弾処理での類識別は結構適当だった。後に旧軍遺棄弾薬の担当めいたことをしたのだが、水中処分隊の報告見たら、小火器弾薬なら「黒色火薬」とされていて、砲弾なら「信管は生きていない」とされていた。村田銃の実包やら6.5mm有坂やらが出てきたのだが、村田銃の後期から火薬は無煙火薬だったはず。砲弾も薬莢付きの高角砲のそれで、先頭に真鍮の信管が付いている。確かに発射しなければ信管はホットにならないが、死んでいるわけでもなかろうと思ったよ。

 一番驚いたのは、砲弾や機関砲の類の下から、現代的ママチャリが出てきたことだけどね。擾乱があったのだろうが、層序の不思議事件だと皆で笑ったよ。
2013.02
12
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15:40
Category : ミリタリー
 北朝鮮が核実験をやった様子である。始めてでもなく、3回目となると新味もないが、日米韓にとっては脅威の上積みであり、中露にとっても厄介な事件になっている。

 しかし、日米韓にできることは少ない。日米韓にできることは、外交的圧力と経済的締付がいい所で、軍事的にはやっても封鎖程度にすぎない。北朝鮮には極端な圧力とはならない。逆に、体制保障のためには、核とロケット開発に邁進するだろう。

 日米韓にとってできることは少ない。簡単に列挙すると、外交的圧力、経済的締付、軍事的手段がある。この内、外交的圧力と経済的締付を強化しても、大した効果は見込めない。軍事的手段を採用するにしても、陸上戦は採用できない。唯一効果的とかんがえられるサージカル・ストライクも現状では難しい。

 周辺国が掛けられる外交的圧力については、強度を上げる方法もない。あるとすれば、六カ国協議で北朝鮮の現体制を保障し、代償として、核とロケットを廃棄するしかない。
 しかし、おそらく相当に難しく、時間を要するだろう。まず、核とロケットを除けば、北朝鮮には大した戦力はない。北朝鮮は米軍事力に踏み潰されることを恐れて、早々に核とロケットを破棄できない。米国には国内世論がある。核とロケットを破棄した後でなければ、本格的な宥和はできない。韓国は、北朝鮮の通常戦力も減らさなければ、内戦の中止に頷かない。通常戦力を減らすことは、軍部の反発や、国内体制維持にも関わるので北朝鮮には頷けない。

 経済的締付も、これ以上徹底することは難しい。日米韓は実質的な経済封鎖を行なっている。これ以上、締め付けるオプションはない。中国とロシアに頼めることも少ない。中国とロシアは北朝鮮と交易している。北朝鮮は中国との交易で生き延びている状況である。中国は軍事関連の交易はやめてくれるかもしれない。しかし、緩衝国である北朝鮮の体制が倒れて、在韓米軍つきの韓国が鴨緑江に進むことも望まない。これはロシアも同じである。北朝鮮が本当に困る、経済封鎖に相当するような締め付けは期待できない。

 仮に経済的締付ができたとしても、徹底できるかは疑問である。結果として大規模な飢餓が発生する状況では、最終的に食料等の流入は認めなければならなくなるだろう。大規模な飢餓発生に、同じ民族であり、親類がいる韓国が耐えられない。食料と医薬品を認めろというか、独自で渡すかどちらかである。結果として、今の北朝鮮にとって必要な食料等の移入が可能になってしまう。

 軍事的手段も、取れるものが少ない。

 米韓による大規模侵攻はできない。死傷者に両国は耐えられない。韓国も自国の経時的困窮を伴うオプションは許されない。米軍が鴨緑江に迫る事態を中国も座視できない。空爆も

 空爆も不可能ではないが、ハードルは相当に高い。軍隊や軍事施設への空爆は、手間と損害に効果が釣り合うかが分からない。空爆の手間は相当に面倒である。目標と目的が判然しない戦争行為になるので国際・国内的な承認の手間、戦力投入・維持の手間が必要になる。また、それなりの損害も覚悟する必要がある。そして、効果は見込めない。やればやるほど北朝鮮は核・ロケットを振り回すようになり、あるいは韓国への不正規戦・正規戦も試みるだろう。リスクは高い。

 現実的に可能なのは、海上封鎖と飛行禁止あたりだろう。海上封鎖は合法性が高く、ハードルは相当に低い。飛行禁止も、イラクやリビアでの前例があるので、できないこともない。しかし、海上封鎖行動は、いまも半分やっているので、それ以上の効果はない。飛行禁止措置も、手間と費用がかかるだけであまり効果を見込めない。

 核とロケットに打撃を与えることができるのは、サージカル・ストライク(外科手術的攻撃)くらいしかない。しかし、採用するには相当の決心がいる。既に90年代、サージカル・ストライクが考慮されたが、泥沼化への考慮や、韓国の反対で採用されていない。核もロケットもない時期でも無理だったサージカル・ストライクを行うのは、それ以上の面倒があるだろう。

 サージカル・ストライクを行なえば、とりあえず核兵器とロケットの開発・生産にそれなりの打撃を与えることができるだろう。ただし、どの程度、確実な効果が得られるかはは分からない。ロケットの打ち上げ施設や、核実験場を叩いても意味は無い。原子炉や関連工場、それに至る送電線を狙うにしても、隠蔽されている。どこまで効果が挙がるか分からない。ついでに指導部を消し飛ばすにしても、その後の交渉をどうするかといった問題が起きる。

 原子炉を叩くリスクもある。また、原子炉本体を破壊されて、第二のフクシマが起きることを警戒する必要もある。

 北朝鮮の核・ロケット開発に対しては、当座は打つ手はないということだ。今よりは外交的圧力・経済的締付を行う程度だろう。しかし、外交的圧力・経済的締付はすでに行なっている。強度を増やす余地も小さく、効果は見込めない。残るのは、軍事的行動だが、簡単にできることは、海上封鎖と飛行禁止程度で、ほとんど効果を見込めない。効果を見込めるのは、軍事的手段としてサージカル・ストライクを行うことだ。しかし、採用どころか、提案される見込みもない現状である。





 ま、これでレーダ照射の件はウヤムヤだね。外交的圧力・経済的締付で中国に協力を頼む必要がある。この状況で、どうでもいいレーダ照射の件は持ち出せない。まあ、防衛相も首相も、大局を見ず、つまらないことで中国の面子を潰したもんだよ。(出先でノートパソコンで急いで打ったから、誤脱字は勘弁ね)
2013.02
11
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21:21
Category : 有職故実
 米軍のプロキシみたいなものだから、都合の悪い話は見聞きしないようにしていたのだろう。JSFさんとだよもんさんが、「商船がレーダ照射を受けたことが分かるのか」とマヌケなこといってる。米艦艇は結構、商船や漁船を実艦的に見立てて艦砲を向けていた。中には、もちろんだけど当たらないようにして実際に発砲した件もあることを知らないわけだ。

https://twitter.com/Military_Topics/status/300461967024459777
https://twitter.com/V2ypPq9SqY/status/300462727695048704
https://twitter.com/obiekt_JP/status/300469619351760898

 実際に、米艦艇や航空機は民間船ほかを標的に見立てていた。実際に発砲した件もある。航空機が商船に当ててしまった件もある。そこまで行かなくとも、東京湾口あたりでは、適当な商船を標的に見立てて操砲訓練をしていた。

 1988年11月には、C・F・アダムス級のタワーズが、野島埼南の日本領海で巡視船「うらが」後方に5インチ砲を17発発射している。弾着の距離については異同があるが、おそらく、後方2000ヤードを狙ったもののうち、何発かが1000m内外に弾着した様子である。これは巡視船相手であったので抗議できた話で、それまでにもなかった話ではないと報道されている。

 沖縄近海になるが、1987年7月には、F-18がマレーシア商船に演習用の爆弾を当てている。その巻き添えで、乗員の方が方腕を失った。これらの被害については、安保条約に基づき日本政府が保障している。

 砲を向けられたことがあるという体験は、珍しくないようである。タワーズ射撃のあと、報道でそういった証言が出ている。周辺対策で漁組ほかに行った時にも、そういった話を聞いたことがある。正確に狙っているかわからないのと、抗議しても意味が無いので放置しているだけの話なのだろう。

 自衛隊も似た様な事をしたことがある。2005年頃に、八戸のP-3Cが三沢漁協の漁船を標的にして攻撃動作の訓練をした。この時は八戸の某が「これに萎縮することなく」と訓示・掲示したが、直ぐに三沢に伝わった。海曹士は地元採用だから、当然である。この件、三沢漁協から三沢事務所を経由して問い合わせがあり、連絡官として別ルートで確認することとなった。八戸にいる同期のパイロットあてという形をとって要件を述べて「事実か」と部内電話したら「いないと言え」という後の声が聞こえたよ。夕方になって整理できたのかようやく回答があった。嘘くさいこと言ってきたけど、目的は「そんなことするな」と冷水ぶっかけることだから、それでいいのだけれどもね。

 なんにしても、つい20年前のタワーズの件も覚えていないということだ。新聞を読んでいなかったか、米軍不祥事を避ける心情があって忘れたか。特にJSFさんは米軍のプロキシを自認しているようなので、擁護の立ち位置で「商船がレーダ照射が分かるのか云々」と言いだしているのだろう。

 まあ、お二人とも海軍関連は相当にセンスがズレているのだからしかたがない。ゆとり上陸理論や、トラックで船舶輸送を代替できると思い込んだり、T-43を掃海戦力に勘定したり「機雷を踏めば一発減るというのがソ連脳」とか言っている。いずれもセンスのズレを覗える発言である。
2013.02
11
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13:00
Category : 有職故実
 オーストラリアとの同盟はいいとして、インドとの同盟は難しいのではないか。

 中国に芽生える恐れのある膨張主義を封じ込めるため、オーストラリアやインドとの同盟関係構築をやるとすれば、日本もそれなりに主張を後退させなければならない。オーストラリアであれば捕鯨取りやめ、インドであれば核兵器開発を認める必要がある。捕鯨で悶着を起こしては、オーストラリアとの同盟は上手くいかない。インドとの同盟をどうにかしようとしても、核兵器開発の問題を整理しなければ、実験の折にでも同盟は頓挫する。

 オーストラリアとの同盟関係を構築する上では、南氷洋の捕鯨はやめなければならない。調査捕鯨をやれば、オーストラリア国民は面白くない。調査捕鯨のインパクトは、中国がとるかもしれない膨張主義よりも、オーストラリア国民にとって強烈である。捕鯨は、目の前の、自分たちの海と思っている地点で行われる。遠い南シナ海で、中国軍艦が大きな顔をしているよりも、目の前で自分たちの鯨を虐殺される方がよほど不快感を起こす。調査捕鯨の権利はともかく、南氷洋での実施は問題外である。

 インドとの同盟関係では、核兵器開発を整理しないと、同盟は直ぐに躓く。インド人は核兵器を絶対に放棄しない。日本人がインドとの同盟を望むのであれば、日本国内でインド人の核兵器開発を認めるといったコンセンサスを作っておかないと、核実験ひとつで同盟は破綻する。日本国民にとって、NPTに入っていないとはいえ、核兵器開発をする国との軍事的な付き合いはやめようという話も出てくる。

 南氷洋での捕鯨はやめられても、核兵器開発を認めるのは容易ではないといったところだろう。

 捕鯨を止めることは難しくない。調査捕鯨は足踏みしている。そして捕鯨には実利はない。日本人としても、捕鯨の権利を侵蝕されるのが嫌なのであって、別に南氷洋で捕鯨をしなければならないこともない。捕鯨の権利があると主張できればいいし、権利を確認するにしても、日本近海でやればよい。

 しかし、核兵器開発を認めるのは容易ではない。まず、日本人には広島・長崎の経験に基づく心理的嫌悪感がある。また、北朝鮮の核開発を非難している点との平仄がある。インドの核兵器開発は許され、北朝鮮のそれはダメというのは、原理原則を重視する日本人には受け入れがたい。

 もともとインドとの同盟は、筋が悪い。インドと同盟関係を持つと、パキスタンとの相性が悪くなる。中国の軍事的行動を非難する向きもあるが、インドも結構、周辺国へに軍事的圧力を掛ける。最近でもスリランカに圧力を掛け、軍事的介入している。

 「インド人に裏切られた」と逆恨みすることになる可能性もある。だいたい、インド人のメンタリティーと日本人のメンタリティーの相性も良いわけではない。インドはドライで、国際情勢の変化に応じて、同盟関係は直ぐに入れ替える。冷戦初期には非同盟であったが、後に親ソとなり、冷戦後は親米になっている。今、対中同盟で意気投合しているが、何かの拍子で中国と同盟を組む可能性すらある。だいたい、インドは中国と国境紛争を抱えているが、貿易は盛んで、軍事的にもAEW機の共同開発をしている。「民主主義という同じ価値観」というような言葉に酔っても、いずれインドへの幻想に裏切られるのではないか。



 インドとの対中協調は、利害があう範囲と期間限定として、表面的かつ短期的なものにとどめておいたほうがいいのではないかね。
2013.02
09
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13:00
Category : ミリタリー
 もう10年以上前の話なんだがね。防衛施設庁に出向(同じ官庁だけどね)して連絡官やっていた時、国会待機中にお寿司が出ていた。国会待機とは国会開催に突然出る質問に備える待機なんだが、部隊ではお寿司は出なかった。酒とツマミが出る程度だったが、施設庁ではお寿司の出前を取ってタダで食わせてくれた。

 国会待機といっても、テレビを見て、酒のんで(己は飲めないので遠慮)、お寿司とオードブルを食っているだけだった。想定外の質問があり、上から電話があった時に、直ぐにトチらず回答するだけなんだがね。己が担当していた事業は目立ちやすい。できるだけ色々と隠蔽していたものの、読めば「アレ」と思う内容で、しかも明許繰越も事故繰越もやっている。地方行政にも関係がある。その中身を説明しろといわれる可能性はどうみても高かった。そのため、他職員よりも足止め優先度も高く、ほぼ略監禁だった。

 あのお寿司のお金は、まあ業者さんあたりからのお金をロンタリングしたものだろうね。部隊でも前世紀には、よくビール券が来た。施設庁なら違った形かもしれないが、発注額が大きいからそれ以上の額を業者さんから貰っていたのだろう。航空機あたりの額の大きさは、山田洋行事件あたりで推測される通り。まあ、癒着もあるよねという話。

 足を止めるためにロハで酒食を提供するのは、昔の賭場と同じ感覚だろうね。鉄火場の飯はロハの上、上等と伝えられている。今でも時折摘発される地下カジノとやらも、酒食はタダなのかねえ。
2013.02
09
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09:51
Category : ミリタリー
 レーダー照射を「拳銃を頭につきつけた状態」とラジオで比喩した軍事評論家がいたのだけれどもね。「直ぐに攻撃できる状態で、誤発射の可能性もあり極めて危険」と言っていたのだけれども。昔、米艦艇が東京湾口で、商船に向けてやっていたよね。「誤発射の可能性もあり極めて危険」ではなかったよ。もちろん、いい気分はしないし、やめてくれという話だけどね。

 まあ、今回は、大砲もミサイルも指向していないとの由。それならば、それほど危険でもないでしょ。挑発行為であることは確かだけど、途中で止めるチキンレースみたいなものなのだから、あまり沸騰してもしょうが無いと思うがね。

 その先に「謝罪要求」というのは、中国の面子を潰す行為だと思うよ。どこかの国の宰相が中国に謝罪要求したというが、日本国内だけでなく、中国国内も沸騰させる原因になるという認識があるのかね。「やめてくれ」というのはともかく、非であると責め立て、謝罪しろと迫るのは、先々のことを考えるとよろしくないのではないかね。しかも相手は面子を重んじる中国人だもの。本当にやめさせたいのなら、裏でゴチョゴチョやるべきじゃないかと思うよ。

 「NOといえる日本」を演出するのはいいけど、それが緊張関係解決に資するものではないように見えるね。支持者を満足させるのはともかく、国内のナショナリズムを焚きつけると、後々が面倒くさくなると思うよ。

 あとは、同じレーダから出た電波は区別できないといっている軍事ブロガーがいた事に驚いたよ。「捜索レーダーと照準レーダーが共通なので、中国海軍大佐の言い訳が名目上は通る」というのは、繰り返し周波数とか、スペクトラムとか、ピーク(1個とも限らないけどね)とか、パルス幅とか、立ち上がり時間とか知らないわけだ。○○引っ込みとかに直ぐ引っかかるタイプだろうね。それでF-2のレーダだのの話をするのは強心臓だと思ったよ。
2013.02
07
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13:00
Category : ミリタリー
 陸自榴弾砲は、改修すれば済む話ではないのか。

 陸自は既存榴弾砲、FH-70の損耗更新を理由にして、装輪式自走砲である火力戦闘車を開発しようとしている。しかし、FH-70の寿命は充分にあるので、無理に自走砲に更新する必要はない。

 大砲にはあまり壊れるところはない。基本的な構成部品はまず壊れない。本体である砲身は、単純なチューブであって、ライフリングの摩耗を除けば、消耗しない。薬室や尾栓は壊れるものではない。周辺の付属品は消耗・陳腐化しやすいだろうが、更新は容易である。

 前に書いたとおり砲身命数は残っている。日本が保有しているFH-70の砲身はそれほど損耗していない。火砲の本体については消耗というほどの状況ではない。

 周辺付属品、エンジンや照準器の更新は容易である。それぞれは充分に高価ではあるが、火砲全体の一部であり、全体を更新するよりも明らかに安い。

 FH-70老朽で問題にされるエンジンについては、更新は簡単である。FH-70に関してはイタリアの会社が更新用ディーゼルエンジンのパワーパックを作っている。ARIS社※ のAPUだが、FH-70改修専用品であり、既存エンジンよりも優れる上、2時間で交換できる。イタリア製そのままでもいいだろうし、ライセンスで生産してもよい。別に、日本が独自のAPUを作っても良い。いずれにせよ、大したものではない

 照準器については、システムと連接する必要があるが、更新に困難はない。もともと取付面には精度が出ているので、照準周りのユニットを新しくする程度で済む。そもそも、独伊のFH-70には後付でデジタル・ディスプレイ・ユニットが付いている。日本側システムへの連接が必要になり、開発費や、単体としてそれなりに高価になるだろう。しかし、99式自走砲の照準システムが既に存在しているので、手軽に済ませるのならば、それを流用すれば良い。加えても、遠隔・非接触による信管設定のシステム追加程度で済む。

 将来的な砲身消耗にしても、手はある。買ってもいいし、砲身を中ぐりして新しい内筒を詰めてもいい。冷戦終結で砲兵装備が余っているドイツあたりから、砲身を買っても良い。ライフリングが摩耗した砲身を中ぐりして、内筒を嵌めても良い。FH-70は単肉自緊砲らしいが、別にできないこともない。

 射程延伸云々という、砲兵としての欲求もあるだろう。その時は射程が伸びる誘導砲弾を使えば解決する問題ではある。しかし、仮にそうしたいというのであっても、今のFH-70改修でも解決する話である。ラインメタルで52口径化が計画されている。それができたら、必要な砲身だけを載せ替えれば充分だろう。

 FH-70は充分に改修可能であり、損耗更新で装輪自走砲を作る必要はないということだ。



※ A.R.I.S. S.P.A. (Applicazioni Rielaborazioni Impianti Speciali)
2013.02
06
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12:58
Category : 未分類
 中国レーダ照射の件は、おおごとにしてもあまりいい事はないんじゃないかね。

 朝日新聞によると、1月30日に「射撃用の火器管制レーダーを照射」ということらしい。しかし、国家安全保障に関わる重大事であるように公表すると、両国のナショナリズムを吹き上げる方向に進むのではないかねえ。

 日中間でのナショナリズム対立は拡大しやすい。中国人の行き過ぎた愛国が、日本側で針小棒大に誇張され、侮日・反日と受け取られ、ナショナリズムが吹き上がる。それを受けた日本側の対中強硬策により、中国人も侮中、反中と受け取られ、ナショナリズムが吹き上がる。

 戦前に起きた日本と中国の対立も、両国でのナショナリズム対立の結果である。中国愛国主義で起きた日貨排斥そのほかが、侮日・反日と受け取られ日本ナショナリズムに火をつける。世論の圧力によって採用された、派兵他の対中強硬策が、中国ナショナリズムに火をつける。その結果が、日華事変に至っている。

 最近でも、尖閣諸島で巡視船にブツかってきた件でも吹き上がっている。穏便に強制送還せず、強制起訴したあと、両国民が互いに怒るだけの結果に至っている。その後には両国の対立を招き、それまでなかった経済的交流の縮小も起こしている。両国共に益のない結果を生んでしまった。

 こういう構造になっているのに、政府がおおごとであるよう公表していいことあるのかね。2月5日夜、わざわざ防衛相が中国の挑発行為として、おおごとであると公表した。翌6日の参議院で首相が中国を強く避難している。

 1週間前の事をわざわざ今言い立てるのは、役人の、海自独自の判断ではなく、政権の意嚮でしょう。巡視船にブツかってきた漁民を起訴したのと同じ、政権の許可があるわけです。対外強硬策を売り物にしていた政権ですから、たまにはそういうスタンスも見せたいのかもしれない。

 一時的、国内的な人気取りには、ナショナリズム刺激は、政権にとってはいいかもしれない。だが、長期的に、政府全体としてみれば利は薄いんじゃないのかね。本来の政府の役割としては、中国に対して、互いに自国のナショナリズムを抑制するよう持っていくべきであり、自国ナショナリズムに油を注ぐようなことは避けるべきだったんじゃないかと思うよ。

 中国側の面子も立つように、とりあえずは裏で、コソコソと申し入れるとかね。それで止めてくれないなら、それこそプレッシャーを掛ければ多少は効くんじゃないの。日本側にはまだ海軍力のアドバンテージがある。レーダ照射するとか、尖閣諸島とか台湾海峡はマズイ。しかし、南シナ海に護衛艦やP-3Cを出すとかしてさ、暗に「減らして欲しければ照射は止めてね」とかやればねえ。

 なんにしても、レーダ照射も写真で映らないから、非難するにしてよ弱いよ。冷戦期のソ連軍艦みたいに、大砲向けてきているわけではないから、写真に残らない。大韓航空機撃墜みたいに音声があるわけでもない。こっちが照射仕返しても、向こうが気づくかどうかも怪しいし、どっちが先にやったかの証拠がないから、日本側から先にといわれる可能性も大だしね。



 しかしまあ、お昼の1時間でも書けるものだね
2013.02
05
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13:00
Category : 有職故実
 国立国会図書館に行く途中、黒塗りの中に知った顔があって、頭をペコリ挨拶をしたことがあるのだがね。あとで思い出すと福島瑞穂だった。向こうからすれば知らない顔に挨拶されて困ったのかもしれないし、政治家だからいつものことかもしれないのだけど、答礼してもらえた事があったね。

 福島さんは、結構ファンなんだよね。昔、TBSラジオゆうゆうワイドで人生相談に出てらっしゃった。そこでは、弁護士として党派性は抜きに相談者の利益に則った回答をしていて好感持てたのよ。

 中でも一番印象的なのは「隣の庭で爺ィが見える場所で立ちションする、どうにかできないか」という相談。回答は「お願いするしかないですね」「塀の類でも立てるとか」だったのだけど。相談者が法的処理を口にした時に、福島さんはそれを窘めた。家は個人の城であり、絶対的な自由の領域である。そこで行われる合法的な行為を妨碍する権利は誰にもない。そういった趣旨を諭すように説明した。法曹として立派な人だと思ったよ。

 その福島さんが党首をされている社民党本部が引っ越した。国立国会を使ったことがあれば分かるのだが、結構な偉容を誇る本部ビルなんだが、よく見ると壁にクラックがあり、鉄筋むき出しの剥落部が網で覆ってある。党勢が議員数6人まで零落したので、修復する金もなかったのだろう。ビルをテレビの撮影や、養蜂屋に貸し出したりしたものの焼け石に水だしねえ。あれほどの土地を、党員6人で建物を維持できない政党に貸し付けるのも、もったいない話なので、持ち主の国に返すのも当然だと思うけどね。

 社民党は歴史的役割を既に終えている。かつての保革構造の中で、社会党穏健派と自民党左派が占めていた位置は民主党に取って代わった。今のどー見てもアレな自民党や首相に対抗するにしても、民主党に期待するしかない。まず社民党は第一選択肢とはならない。

 少数政党としてやっていくにしても、いつまで続くか分からない。だが、福島さんには議員として残っていてもらいたい気持ちがある。前の沖縄問題でも、普天間の県内移転に反対し、連立から離脱したのは福島さんだった。前の戦争で本土は沖縄を見捨てた。本土決戦をやると嘘をついて騙した形になった。返還後も基地を押し付けている構造は続いている。その沖縄側に立った行動は、政治的な得失はともかくとして、諒とすべきだと思ったよ。

社会民主会館

社民党本部
2013.02
03
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13:00
Category : ミリタリー
 桜林さんは、題名と内容が異なる記事に違和感を感じないのだろうか?

 桜林美佐さんが『Themis』に掲載した「航空自衛隊『F-35戦闘機』を徹底活用せよ - ロシアや中国による領空侵犯が急増し自衛隊のスクランブル発進も増えている」についてだが、題名と中身が不一致である。題名、副題、各見出しとも、内容とかけ離れている。

 桜林さんの記事では「航空自衛隊」が「『F-35戦闘機』を徹底活用」する方法について書いていない。どのように活用するのか、一切示されていないのは、羊頭狗肉というよりも羊頭無肉とでもいうべきである。

 また副題「ロシアや中国による領空侵犯が急増し自衛隊のスクランブル発進も増えている」でも「航空自衛隊のスクランブルが増えている」以上に何も述べていない。具体的には「前置きが長くなったが、主権侵害といえば航空自衛隊のスクランブル(領空侵犯の恐れ[ママ]がある航空機への緊急発進が増えている)」と書いて終わりにしている。この文章も、スクランブルの回数と領空侵犯の回数を誤解している可能性を窺わせている。スクランブルは日本が勝手にやっているだけの話であり、その回数と領空侵犯には直接の関係はない。日本の防空識別圏は日露、日中の中間線の先に伸びている。中露が、それぞれの自国より沿岸を飛んでいてもスクランブルは掛かることもある。

 題名だけではなく、見出しも中身と一致していない。
「複合事態に備えうるF-35」
「米国のロジスティック戦略」
「官と民が意見疎通をする覚悟」
と3章立てになっているが、見出しと中身は乖離している。

 最初の見出し「複合事態に備えうるF-35」では、最初に「複合事態」として北朝鮮のミサイル発射と地震が重なったことを述べている。しかし、見出しで述べた事項はそれでオシマイになっている。「複合事態」とF-35導入の関係については何の言及もない。F-35なら「複合事態」を解決できるという説明は一切ないし、「複合事態」に対処するためにF-35が必要であるという説明も一切ない。もともと「複合事態」とF-35には何の関係もない。だから説明もできないのだが、それなら見出しを変えるべきである。

 次の見出しが「米国のロジスティック戦略」であるが、これは米国のロジスティック戦略とは何の関係もない。F-35の部品管理の概念であるALGSに関する内容である。このALGSの説明は長いが、理解として全体を説明せず、来歴ほかが全部ロッキードに集約される点だけを取り出して説明している。(全文4,000字中の1,500字) そして桜林さんが主張するのはは「情報が筒抜けになる事に抵抗を感じざるを得ない」だけであって、「米国のロジスティック戦略」とは全く関係がなく、またALGSの本質ともズレている。そもそもALGSは、乱暴に言えばF-35の部品管理であって、製造するロッキードとユーザーの間の話※※ に過ぎない。

 最後の見出しの「官と民が意見疎通をする覚悟」かんしては、どのような覚悟であるのかが全く示されていない。最後を「日本の覚悟が試されているのである」で〆ているが、その覚悟とは何かをハッキリさせていない。「共同開発」と「グローバルロジ」という言葉で説明して終わり。日本製の部品が戦争で使われる可能性や、コントロールできるかどうか難しいという問題点を直接示さないし、それを回避する方策も述べていない。

 桜林さんは記事名と中身が一致しないことが多い。『Themis』の記事では「海上自衛隊『潜水艦作戦』が領海を守る」§も乖離が大きい。「『潜水艦作戦』」でどうやって「領海を守る」のかと拝読したが、「『潜水艦作戦』」の話も「領海」の話も出てこない。F-35が「複合事態」と関係ないように、潜水艦と領海を守ることにも関係がないのだから仕方がない話である。

 いずれにせよ、桜林さんの記事名は、保守誌・右派誌を購読する読者を惹きつける題名ではあるが、中身が伴わない記事となっているのである。



※ 桜林美佐「航空自衛隊『F-35戦闘機』を徹底活用せよ - ロシアや中国による領空侵犯が急増し自衛隊のスクランブル発進も増えている」『Themis』(テーミス,2013.1)pp.80-81.

※※ 実際にはペリー級でやっているように、ユーザーが組合作って共有する話なんだけどね。

§ 桜林美佐「海上自衛隊『潜水艦作戦』が領海を守る」『Themis』(テーミス,2012.3)pp.76-77.
 副題で「国産潜水艦は09年度に予算がつかなかったことで国産・技術基盤に大ダメージが」とあるが、「国産・技術基盤に大ダメージ」の中身も説明しない。実際には、艦艇建造費は最長5年ある、その年に発注がなくとも、5、4,3,2年前に発注した艦艇は建造している。「大ダメージ」はない。また、毎年連続して潜水艦を発注する国は日本くらいなものであるが、英独仏伊でで「国産・技術基盤に大ダメージ」が あったという話は寡聞にして聞かない。
2013.02
01
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13:00
Category : 未分類
 柏にある3術校だと、夜に海士課程が号令調整をやっている。屋上で「右向け右」とか「左向け左」とかやっているのだが、メンドイのか左右連続でやっていて「回れ右」のあとに「回れ左」を令しようとしてハッとしているのだろう。まあ、海曹士は真面目だから。「頭下」とか存在しない号令調整やっていた己達よりも本気なんだろうけどね。

 号令調整なんかよりもやることあるのではないかね。そもそも海士課程なんて、学生の間だけしか号令掛けることもない。部隊に戻って号令掛ける立場ではないし、掛けても大した号令はない。学生隊も、曹士の課程だと余った結果はとりあえず潰そうとするが、号令調整は何の役にも立たないので、もう少し考えたほうが良いだろう。

 なんにせよ、やらせるなら術科に関連することをやらせたほうが良い。航空整備の古い人なんかは「あんなマヌケなことをする位なら、利きオイルとかやらせたほうがいい」と言っていたよ。指先につけたオイルの油性・粘度で、何のオイルが漏れたのか、機体のどこから漏れたのかわかるような訓練したほうがよいとね。

 技術について、本人たちに自信をつけるお稽古した方がいいとおもう。別に機械をイジる以外でも良い。卒業制作みたいなものをやらせる。例えば航空武器ならパラシュートを作らせるとか、航空機体整備なら、ジュラルミンでタンス作らせるとかね。

 3術校は、海曹教官には腕が立つのがいる。ジュラルミンの薄板を付きあわせ溶接できる奴とかもいる。本人は「なんで自分でできるのかもわからない」「コツもよくわからない、どうやって伝えられるか教えてくれ」といっている方が面白いのだがね。それで当直室の新聞受けなんか作っているのだが、90×60×150cm、10段くらいの棚が指一本で持ち上がるようなものを作っている。航空武器も、頼めばナイロンでなんでも縫ってくれる。時間に余裕があれば、そのあたりを学生にもやらせたほうがいいんじゃないかと思うのだけれどもね。