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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.03
28
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13:00
Category : 有職故実
 ライフルで無垢の鉛の弾は普通に撃てる。鉛無垢の弾は危険云々と言ってきた人が居たのだけれども。鉛無垢の弾には、特に危険性はない。

 まず「暴発云々」という危険性はない。暴発は、銃の動作・安全機構、付け加えても雷管(プライマー)の材質での問題で起きる。弾頭の素材の影響は受けない。

 銃身内に停弾する危険性もない。鉛はライフリングに溜まりやすいが、非常に取れやすい。次の弾でこそぎ落とされるし、大した邪魔にもならない。弾頭も非常に柔らかい鉛である。多少抵抗が増えても、弾丸が容易に変形する。火薬の入れ忘れでもなければ停弾しない。

 鉛無垢の弾でもでも危険性がない証拠としては、次の2点が挙げられる。まず軍用銃でも歴史的に問題がなかったこと。そして今でも使われていることである。

 軍用小銃の歴史を見ても、フルメタル・ジャケットが導入されるのは1890年ころである。初期のガトリング砲も鉛弾である。そして問題なく動作している。日本では村田銃までは鉛の弾を使っているが、問題はない。フルメタル・ジャケットは、1882年に登場するが、その理由は停弾でもなければ、暴発でもない。単に鉛無垢では、発射と銃身通過に伴う摩擦や変形等により、初速が落ち、また長距離の銃外弾道も安定しない。それを解決するためである。そして鉛無垢の弾がマイナーになったのは、国際条約によって変形しやすい弾を戦争で使わないことにしただけのことだ。

 今でも鉛無垢の弾はつかわれている。小口径ライフルでは、弾頭は鉛無垢である。写真の弾が22LRであるが、FMJではない。その弾を多い時は1日300発内外、それを2日連続や、1週間ほどクリーニングせず計3日間、射撃したりもしたが、当たり前だが停弾も出なければ横転も出ない。国内では販売されていないが、22LRには半自動も全自動もあるが、銃は問題なく動作している。「高初速では溶ける」云々にしても、RWSの超音速銃弾でもそのような問題は起きない。大口径ライフルや拳銃弾でも、ケチンボ向きに鉛鋳造キット※(http://leeprecision.com/bullet-casting/rifle-bullet-molds/bullet-mold-double-cavity)が存在している。これで出来た鉛無垢の弾でも、問題があるという話はない。

s22LR.jpg

 使う気になれば、軍用銃でも使える。生産設備は保管状態でいいんじゃないの」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-509.htmlで、使えと主張しているわけではないが、可能である。条約の制限や、弾道変化があるので余り意味は無いが、やる気になればやれる。実際に、223NATOのライフルには、教練用に22LRのコンバージョンキットがあり、そこでは無垢の鉛の弾が実用銃身を通過しているが問題はない。溜まった鉛も、マカロニ状のフェルトパッチで引き抜けば機械的に容易に取れる。ソルベントも必要はない。



※ 「生産設備は保管状態でいいんじゃないの」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-509.htmlで、溶かした鉛を再利用できるといったのが、このLEEの鋳型のこと。特にあまり売っていない変態口径だと、弾頭部も高い。これを使うかどうか悩むあたりの価格になっている。
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