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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.04
12
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13:00
Category : 映画
 岩波ホールは埋もれた作品を世に送り出す映画館ですが、掛かる映画のたいていには、やはり世に埋もれる理由はあるわけです。しかし、1年に1-2回は鑑賞に耐える映画が掛かる。メジャーなところだと『山の郵便配達』、マイナーだと『氷海の伝説』『子供の情景』『イラン式料理本』なんかがそうでしょう。

 いま掛かっている『海と大陸』は、その当たり映画でしょう。イタリアのほぼ最南端、チェニスやマルタよりも南にある離島、リノーサ島を舞台とした物語です。大概は公式サイトと、相当シーンが前後していますが、予告編を見ればいいでしょう。

 
 映画そのものと別筋で興味を惹かれるのは、船舶を見つけると海に飛び込み、船に寄ってくる不法入国者の姿です。映画から離れた話ですが、実際にやられるとコレほど厄介な方法もありません。日本の近くでアレをやられると困ることこのうえないでしょう。

 落水者や難船者、漂流者を助けるのは「船員の常務」です。船員だけではなく、船舶運行に従事する漁民や、自前のプレジャーボートの持ち主であっても、落水者等を救助するのは義務であり、拒否することはできません。

 しかし、どこの国も、ボートピープルはできるだけ自船に引き揚げないことが原則になっています。船に揚げるとそれなりの責任が生じます。だから、護衛艦などでも、なるべく関わりあいにならない、絶対にフネに揚げないようにという指示が出ているそうです。

 ただし、落水した場合には助けないわけには行かないわけです。その点で厄介であり、不法入国をする側から見れば、上手いところを突いた手段になります。

 作品中では、さらに身重のおっ母さんも飛びこみ、救助されたところで陣痛が始まります。なかなかできる方法ではありませんが、これも厄介、あるいは巧妙な手段となるでしょう。そこで産まれてしまえば、その引き上げた船舶の旗国が出生地になるわけです。出生地主義を採る国であれば、子供はその国の国籍を手にできるわけです。中国人がアメリカや香港地区で出産しようとするアレと同じ仕組です。

 とりあえず、日本周辺では、東アジアでは今のところ、ボートピープルが発生する状況にはありません。しかし、かつては東アジアであったベトナム難民(国籍という概念がアレでしたが)も日本近海まで漂流して来たこともあるわけです。

 ただ、仮に北朝鮮が崩壊でもした時には、季節や状況によるでしょうが、難民や不法入国者が大量に漂着するでしょう。

 もちろん、無視はできません。まず無視をすることは許されません。船員も漁民も、保安庁や自衛隊の乗員も、船員の常務から逃れることはできません。仮に国が制度としてそれを命じても、人道上の問題として後世まで指弾されるでしょう。

 航海に耐えない船舶で漂流しているのであれば、まだ援助するだけで済みます。水と食料と医薬品を渡し、曳航して元の海岸に戻してやればよいわけです。

 しかし、映画のような行動が行われると相当に厄介でしょう。目の前で海に飛び込まれれば、救助せざるを得ないわけです。また、艦船上で出産されるような事例が出てくると、日本はその難民/不法入国者をそれなりのケアをしないといけません。その後の面倒も見ないといけないわけです。

 仮に北朝鮮が無秩序に崩壊して、一挙に来られた上、飛び込みや出産という方法が共有されると面倒この上ないでしょう。ベトナム難民の時でもあれほど大変だったわけです。これが、北朝鮮が制御不能の崩壊を起こした場合には、手に負えない事態が発生することになります。

 そういう面倒事を避けるには、北朝鮮を制御できない崩壊に追い込まないように注意するしかありません。保守が主張する強硬姿勢だけでは駄目で、不本意でも経済援助その他の飴も見せて、鞭と飴の硬軟両面で説得し、制御可能な範囲に収めないといけないのでしょうね。
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