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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.04
16
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13:00
Category : ミリタリー
 まず㋴(○ゆ)の類なんだろうが、米国は使い道もなかったのだろう。

 米艦政本部(BuShips)が構想だけ立てたLSSTなんだがね。9000tクラス、170mの潜水輸送艦で、S5W原子炉1基で16-12ktで航走する。搭載物件は人員500名と貨物500t。

 さて、何に使うのかね?

 まず、米国が潜水艦を使ってでも揚陸や補給、輸送しなければならないところはない。原潜の独擅場となりそうなのは、結氷期の北氷洋だが、ビーチングできる場所もない。冷戦期にソ連を襲うにしても、あまり潜水艦による隠密上陸の所要もない。飛行機を使ったほうが迅速であるし、水上艦船を使ったほうが大量輸送できる。隠密上陸にしても、500人500トンも要らない。10人20人なら、普通の潜水艦でも運ぶことができる。

 輸送艦船としても、LSSTは搭載物件もあまりにも小さい。水上状態8700t、軽荷8000t、潜水時2万6000tで人員貨物それぞれ500にすぎない。大戦型LSTで2隻分程度あるようにも見えるが、大型の車両は搭載できない。

 しかも、輸送艦船としてもLSSTは使いにくい。耐圧船殻の先端をドアにする関係から、出入り口は相当に小さい。正面図を見ると、船体はビーチングに適した下膨れの台形の断面で、平底の船底は幅24mあるが。だが、耐圧船殻の開口部は、見取りでも幅4mとれない。船殻の厚みや水密を考慮すると、幅3mもとれない。大戦型のLSTや、いまのLCUのドアよりも狭い。船倉も、耐圧船殻の形状となるので、壁や天井が丸みを帯びる分、荷物を積みにくい。

 艦政本部も、原子力潜水艦の可能性を列挙するために考えたものだから、仕方がないのだけれどもね。艦政本部の題も「夢の艦船」("Dream Ships")になっている。Friedmanの"U.S. Submarines Since 1945"※ で見っけたのだけれども、LSSTは原子力タンカーや原子力弾薬補給艦、原子力豆潜水艦と一緒にまとめられている。真面目に考えたもんじゃないよという部分なのだろう。



※ Friedman,Norman"U.S. Submarines Since 1945"p139
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