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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 軍事ライターの文谷です
 コミケでは隅田金属ででています。評論情報です。

連絡先:montagne.suutyoo@gmail.com (新)
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2013.04
19
CM:0
TB:0
13:00
Category : ミリタリー
 幹部候補生学校の時には、メシは昼飯だけ、風呂には行かないようにしていた。そこまでやったのは、多分、オレ一人だけどね。なんせ時間がないからねえ。逆にメシとフロを省略すれば、相当の時間を捻出できた。

 まず、朝と晩のメシは食わない。朝飯の時間、20分を省略すれば新聞を読むヒマができる。大したメニューもないので、朝食は食わない。たまに終わり間際に行って、日持ちする納豆や振りかけの類をゴッソリ持ってくる程度。夕飯を省略すれば30分の時間を捻出できる。みんなが夕飯食っているときは、洗濯機もアイロンも開いている。待ち時間なしで使えると非常に捗る。正規の夕飯は行っても週2回だった。

 ハラが減った分は、別に食うだけの話だ。土日に日持ちする食い物買ってきて、教室と自習室の机に放り込んでおけばいつでも食える。売店で買えるお菓子の類は結構授業中にコソコソ食べていた。なんせ「もんたに」で席は最後尾である。眠気覚ましにもちょうどいい。結構、外食もしている。上陸日の水金土日の夕食は外でも食える。水曜と金曜の上陸日なら、上陸止されなければ堂々と外で食える。

 ちなみに売店の食堂にいくと、メシ食ってないのがバレるので禁忌。逆に言えば、売店食堂さえ行かなければバレることもない。まず、日常的に食事を抜いているというのは、向こうも考えていない事態なので、休み時間等に食っている分には食いしん坊にしかみえない。疑われても当日のメニューを出して「足りなかったので」といい抜けられただろう。だいたいの判断基準は「それくらいでクビにはならないよ」だった。

 メシはやる気になれば自炊も可能だった。場所を選ぶようだが、闇自炊もできた。給湯器があるので熱湯は手に入る。パウチされたレトルトの飯(赤飯や五目飯もある)を買ってきて、休み時間に厚手のビニールに熱湯と一緒に入れる。ビニール袋は廃毛布(ペイントの際の床保護材を拝借)を切った断熱材でくるんであり、トートバック(神田の文房堂のヤツ)入れてある。それを洗濯機の脱水機に放り込んでおく。二槽式なので縦に細長く倒れない。保温と偽装かねてタオルや下着を上に置いておく。時間はかかるが、レトルトは温まり、米飯も2日程度は柔らかいままだった。これは結構やった、また、ある本からヒントを得て、上陸日に外のスーパーで買った生卵をまとめて茹で卵にしたこともあった。

 手間がかかるが、1回だけ火を使った調理したこともあった。学生隊舎(40人部屋の時代だった)屋上、喫煙場所(火気使用許可とある)で、土日の一日外に出られない当直防火隊の日に暇つぶしだったがね。小豆缶詰と餅でお汁粉を作った。まあ、小豆缶詰は予め熱湯で溶いといた。餅を焼いて鍋に入れて温めただけだが、持ち込んだ携帯コンロは火力が弱くて難渋した。ガソリンは持ち込めないが、入手は極めて容易。毎日動かす消防ポンプや草刈機にいくらでも入っている。お稽古や手入れしているフリをすればいくらでも抜き出せた。休みの日に当直防火隊で拘束するとロクなことがない。却って火事の原因になりかねないという好例だ。

 フロも、メシと同様に入らない。学生隊舎屋上にある冷水シャワーで済ませれば、3分で済む。

 分隊寝室で脱衣し、振珍、草履履きになれば、着替えの畳み方でドヤされることもない。5月の連休明けで風呂よりシャワーがいいことに気づき、それから翌年3月の修業まで屋上で冷水を被っていた。春から秋までは1・3・5分隊で10人くらいやっていた。冬まで、雨の日も雪の日も屋外冷水シャワーをやったのは己だけだが、若くて健康だったから特に風邪も引かない。

 幹事付に見つかってもお咎め無し。屋上でタバコと洗濯物をチェックしているのに行き違っても、振珍のまま頭を下げるだけ。「せめてタオルで前を隠せ」といわれる程度。冬の雨の日にシャワーが見つかった時も、相当驚いた顔をしていたが「オマエの場合、風邪引いたら個人の責任だぞ」と嫌味を言われただけ。幹事付は規則や伝統、しつけには厳しいが、規則や伝統で認められたことは全く手を出さない。ちなみに幹部候補生学校では、己は上陸止では上位を占めていたが、一回も殴られたことはない。他の連中が殴られたのも見たことはない。

 このフロ節約時間を夕飯節約の時間とあわせると、悠々と洗濯とアイロンができる。洗濯機に空きがあれば、洗濯物をにブチ込んで5分間回す。シャワーを浴びて降りると、洗い物はちょうど終わる。脱水機に移して分隊寝室に戻り、制服と作業着にアイロンでも掛けておく。みんなが飯とフロで小一時間使うあいだに、面倒事は大概済んでいる。甲板掃除の前には同人作業も読書も進むというものだった。

 まあ「上に政策あれば下に対策あり」のようなものだ。幹部候補生学校は禅寺の修行とと同じで、とにかく時間を潰させようとする。それなら、食事と風呂を抜いて対抗していたのが己だった。

 体力練成も、1500m(だったか)を6分切らないように調整して、要錬成の対象者のままにしておく。実際に中距離以上は走るのも苦手だったので、本気でも6分を切れるか切れないかだが、時間も読み上げてくれるので、そこはウカと切れないように工夫した。最後はリアルで息も切れ切れなので、普通に頑張らなければ良い。

 体力要錬成にしておくと、余計なスポーツををしないで済む。体力錬成で走るときは、みんなと逆方向に1週して、最後は八方園でサボる。かなりの確率で疲れた3佐教官も体育服装で中途合流した。八方園ではお互いに形だけストレッチをして、そのあとはだいたい駄話。まあ、技術的な話を教えてもらうのが常道だった。向こうも相当の内容を質問するので喜んでいた。こっちも江田島では石垣の編年ができるような話もした。

 幹事付が来ても、実際に体力練成で走った上でのストレッチなので何も言えない。あとは技術教育の名目と階級押しでどうとでもなった。幹事付も、むしろ教官の話を聞いてやれみたいな眼をしていたよ。



 深刻に考える奴ほど悩んで辞めていったが、ベットが飛ばされるとか、着替えが遅いといつも怒られるなんて、大した問題ではない。そもそも規則違反でもない。その規則にしても、部候補生学校や練習艦隊の規則なんて、違反しても金も命も取られない、給料も変わらない。公務員なので、チョットやソッとではクビにもできない。辞めることもないし、自殺する必要もないと思ったよ。
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