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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.04
23
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13:00
Category : ミリタリー
 P-1とP-3Cには大した性能差もない。10式戦車と90式戦車の関係と同じで、P-1でできる事はP-3Cでもできる。開発する甲斐もなく、投じた開発費はまず無駄金であった。

 P-1はP-3を少しエラクした程度に過ぎない。それも速度、搭載量といった機体性能がやや上がった程度のものだ。P-3も搭載機器をP-1と同等とすれば、哨戒機として機能は略同程度となる。

 P-1となって向上した機体性能については、実運用では大した差ではない。

 極端な高速性は必要はない。哨戒機が相手にするのは船舶である。追いつくのは容易である。攻撃動作その他でも、ヤバい相手には哨戒機は近接しない。時速600kmのP-3も、900kmのP-1にも大差はない。

 搭載量も一杯に積むことはない。P-3は2発しか積めない対艦ミサイルをP-1は8発積めるみたいな話があるが、それ位ならP-3Cでも可能である。日本のP-3は積む気がないので翼下に2発搭載するにとどめているだけで、米国は4発搭載している。対艦ミサイルはそれほど重くない。翼下にそれ以上積むことも可能であるし、ボンベイに入れてもいい。

 キモである搭載機器は、P-1でなければ積めないわけでもない。P-3に同じものを積めば使えるし、同じ捜索能力や解析能力を獲得できる。発電量が必要なら強化すれば良い。

 無理に新型機をゼロから開発する必要はなかったということだ。哨戒機を高性能化させたいなら、P-3の内臓を入れ替えればいい。どうしても機体を大きくしたいなら、米国のように旅客機を転用すればよい。機体強化ほかが必要なら、米国のP-8と相乗りすれば済んだ。哨戒機のキモは内臓である。ガワである機体開発に金をかけても意味はない。

 そもそも工夫がない。将来、固定翼哨戒機に何が必要なのか。外洋での哨戒がどう変わるか。何を対象にするのかといったあたりは考えていない。大型の新型機を作るとなると30年どころか50年は使う機体になるのだが、30年後50年後にどのような運用が必要なのかを考えていない。

 今、保有している機材の性能を、総花的に強化するだけなのは怠惰である。P-3の速度、搭載量そのほかを全般的に伸ばすだけでは、何の工夫もない。

 仮に将来的に、日本の国益はグローバル化する。日本にとっての将来の戦場や国際貢献もより遠方になる。そう見たとすれば、たとえば地上支援機材を組み込んでおき、外国の空港でも整備容易にする。または短い滑走路でも使えるとか、滑走路上の石やゴミといったFODに強くする。最初から空中給油を考慮して、受けるだけでなく、タンカーとして燃料を与えられるようにする工夫も必要である。

 日本の兵器開発にはそれがない。航空機も艦艇も、今ある装備の延長線上に能力を少し強化するだけである。日本は将来装備に必要なコンセプトを必死になって詰めていない。米海軍は賭博的に過ぎるきらいがあるが、それをやっている。失敗しているがLCSはまさにそれである。金も人も少ない英海軍も蘭海軍もやっている。英海軍が構想している新型フリゲートは2060年まで使えるかどうかを考えている。蘭海軍のM型フリゲートも同じように長期的な展望をしている。

 P-1での性能向上は喜ぶようなものではない。前作に小手先的な性能向上を施して済ませているだけである。将来的に、運用環境変化があったとすれば、前作のP-3も新作のP-1も同時に陳腐化してしまう。

 近視眼的なP-1開発は無意味であった。P-1にできる事はP-3でも可能である。特に開発する意味はない。90式戦車と大差のない10式戦車開発に投じた金と同じで、まずは無駄金であった。
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