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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.05
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Category : 中国
 尖閣問題でアメリカが味方してくれると考えるのは、あまりにも無邪気で大甘ではないか?

 他国の領土問題に深入りしていいことはない。日本と中国が喧嘩しているところに顔を出しても何もいいことはない。関係ない家の土地争いに口を出しても恨まれるだけがオチだ。

 しかし、アメリカが助太刀してくれるという、甘い考えがある。古森義久さんの「『尖閣』揺れるオバマ政権」だが。オバマ政権は尖閣ごときで揺れることもない。まず、取るに足らない無人島の話で、アメリカからすれば、つまらない喧嘩にすぎない。経済や北朝鮮の問題もあるので、「日本と中国が喧嘩するのは困るなあ」程度の認識にとどまる。

 アメリカがどちらにもつかないことは、アメリカ自体が前々から説明している。前にも書いたのだが、アメリカの立場は巻き込まれないように注意しながら、日中双方に恩を売るというものだ。
[閔之才さんが指摘するように]
 1 尖閣諸島は日米安保の適用範囲
 2 米国は日中の領土係争には関与しない
 3 日中が冷静に処理することを望む
このように説明した上で、1で日本人を喜ばせ、2で中国人を喜ばせ、3でアメリカを巻き込まないでくれよといっている。
   「日中両方へのリップサービス」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-472.html
古森さんがそれを知らないことは怪訝である。

 そもそも、保守はアメリカへ相当に片思いしている。「日本が保守政権であれば、右派政権であればアメリカとの関係はうまくいく」と勝手に思い込んでいる。今の安倍政権であれば、対米関係は勝手に上手くいくと思い込んでいる。

 しかし、それは勝手な思い込みに過ぎない。アメリカは中国と対立するつもりはない。オバマ政権の対中発言をみても、中国に対しては、敵対的な封じ込めではなく、国際協調路線に引き出そうとしている。国防省周りは中国と対立している頭かもしれない。しかし、国務省ほかはもともと協調路線であり、政治家も経済界も協調路線の頭にある。

 古森さんや産経が想定する読者は、中国は世界の敵に見えるのだろう。例えば、アジアや太平洋の諸国が競って対中包囲網に参加するというような、単純な発想がある。安倍政権のいう「安全保障のダイヤモンド」がそれであるが、「民主主義の価値観」という実情を見ない発想で、インドを対中包囲網に入れようといったようなあまり考えていない発想がある。※※

 領土問題でアメリカが日本の味方をしてくれるというのは、大甘な発想である。尖閣諸島にはアメリカの利益もなく、日本に肩入れしても経済的にも軍事的にも何の得もない。たかがその無人島についての領土問題で、しかも中国の恨みを買ってまで、日本の味方をしてくれる理由もない。

 アメリカが助太刀してくれる発想は、現実主義を標榜する保守としては、相当に現実を見ない、無邪気で単純な発想に見えるのである。



※ 古森義久「『尖閣』揺れるオバマ政権」『MSN産経ニュース』(産経新聞,2013.5.11)http://sankei.jp.msn.com/world/news/130511/amr13051110360008-n1.htm

※※ インドは民主主義の価値観はあるかもしれないが、それ以外の価値観にある絶望的な段差を見ないようにしているのも奇妙に見える。
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