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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.05
28
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12:00
Category : ナショナリズム
 バブル期、日本が米国で土地を買いまくったのは、侵略だったのだろうか?

 桜井よしこさんは、中国による土地購入を、侵略であるとしている。購入した土地を線で結ぶと、日本を包囲する様子が見えるという。日本国内で購入された土地は、有事には、作戦行動の根拠地となるとも言っている。

 桜井さんは「いつまで許すのか、外資の国土買収」※ で、中国人による土地購入を侵略の準備として非難している。曰く「[外国に]奪われた島や土地は無数にある」。「[購入された]島々や土地を線でつなげると日本包囲網のように浮かび上がる」「その形から」中国が日本を締め上げる意図があると示唆している。「[中国による]土地買収は、必要な時には対日攻略、或いは封じ込めの拠点となる」とも述べている。

 しかし、買った土地は侵略の拠点となるのだろうか。桜井さんは、中国人が行う行動は、すべて対日侵攻をするための下準備だと示唆している。だが、企業や個人で買える程度の土地では、侵略に役立つものではない。面積もそうであるし、土地だけあっても、土木工作物や建物ががなければ、滑走路にも倉庫にもならない。立地にしても、大概は鄙びた場所にある。近くに自衛隊がある云々は、単純に政治経済で重要な土地から相当に離れた田舎であるということだ。

 離島の原野や、自衛隊のそばにあるような山林を個人で買っても、日本侵略に足るものではない。情報収集拠点云々なら、貸家でも足りるし、逆に土地だけあっても仕方がない。桜井さんは、中国人に家を貸すなとでもいうのだろうか。

 そもそも、中国人による土地買収は、原野商法に引っかかったとしか思えない部分もある。桜井さんは危惧している内容について、某中国ウォッチャーは、中国人が原野商法に引っかかっただけではないかと評している。買っている場所をみても、離島や山中である。まずはリゾート開発云々の詐欺に引っかかったのではないかと疑うに足るだろう。

 日本と不仲な国が、自国の土地を買うことを「奪う」と書くことは、妥当ではない。穏当かつ正当な土地取引を指して、侵略の準備と非難することは、被害妄想に似たものだ。

 中国と日本を、日本と米国に置き換えてみると、非現実的な妄執であることがわかる。バブル期、日本は米国で不動産を買い漁った。東海岸、西海岸、ハワイとお構いなしに買い漁っている。そこで「日本企業が買った土地を線で結ぶと、米国包囲網のように浮かび上がる」「ハワイ諸島での不動産購入は、オアフ島や真珠湾を封じ込めるアルテミスの首飾りである」と言い出したら、日本人も、マトモな米国人も大笑いするだろう。

 無関係の点の間に、恣意的に線を引いて何が見えるというのは、一種のロールシャッハである。別々の企業が、それぞれその場の思いつきで購入した土地を線で結んで、何が描けたというほどマヌケなこともない。魔方陣が描けた、タモリの安産マークが描けた、だから、呪詛だとするのは、牽強付会もいいところである。それを信じて魔女狩りに興ずるのは、中国憎しとナショナリズムで正当な判断を失しているのではないだろうか。



※ 桜井よしこ「いつまで許すのか、外資の国土買収」(桜井よしこオフィシャルサイト,2013.05.23)http://yoshiko-sakurai.jp/2013/05/23/4706
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