Category : ミリタリー
多連装ロケットは安価容易に製造できる。宣伝を目的としたモンスターを作ることも、それほど難しくはない。
IDRに、牽引式の240連装ロケットランチャーが紹介されている。※ Jobaria Defence SystemのMultipul Cradle Launcherなのだが。HETで牽引する多連装ロケットで、Jobaria社で作っている20連装122mmロケット発射機を、3個1基で組み合わせ、4基240発を発射するというもの。ビデオがあるので、それを見れば、モンスター具合は理解できる。
しかし、これは実用に足りるものなのだろうか?
まず、大きすぎる。大概の国の道路法規に合致しない可能性がある。ぱっと見で、トレーラ部分は40ft海上輸送コンテナ2個分近くある。高規格道路ならともかく、低規格な道路で曲がれるかどうか怪しい。路外でも走れるとあるが、それも平坦な場所であって、ある程度、立木や建物が交雑したりしたような場所では、お手上げだろう。また、専用の整備工場でなければ、入場できないし、そもそも入門できるかどうかも怪しい。航空攻撃があるようなところでは、隠すのも億劫である。
240連発も、再装填が大変なのではないか。確かに、操縦と発射は少人数で可能かもしれない。しかし、打ち終わった後に再装填するのが面倒ではないか。1両ギチギチに240発を搭載しているわけであり、狭い所で多数のロケットを装填しなければならない。ランチャーの高さも、通常のランチャーよりも高い位置にある。普通に20連装のトラック式発射器に20発を再装填するよりも、相当に面倒そうに見える。かつての米上陸支援用多連装ロケット艇、LSSLと同じで、発射後再装填に5時間かかるような面倒があるのではないか。
そもそも、通常型を複数購入に勝てないのではないか。価格と運用効率と生残性を考慮した場合、通常の20連装ランチャーを6-12輌購入したほうが良いと判断するだろう。20連装なら、どの道や地形でも入れるし、整備も小さい施設でできる。再装填も早い。6-12輌あれば、分けて使うことも集中して使うこともできる。攻撃を受けても、全滅することもまずない。実際に、Jobaria社は同じ122mmロケット弾を、20連装にしたFMTVを作っている。ロケットの中身はTR122/TRB122で、最小16kmから最大40km、CEPは射距離の3%と、発射後の性能は同じだ。
240連装のMCLは、客寄せモンスターなのだろう。うちの会社の名を売ろうと考えたものではないか。実際に、客寄せとしての効果は強力である。Jobaria Defence Systemで検索しても、240連装MCLの動画が多数出てくる。そのほとんどは、モンスターぶりを紹介するものだ。モンスターを作って、モンスターとしてウケ、世間に会社をアピールできるのは、広報として大成功というわけだ。問題は、MCLの動画が出てくるだけで、会社概要は出てこないあたりか。会社の国籍も出てこないし、肝腎のMCLや、その中身のTR122/TRB122についての性能は出てこない。
客寄せモンスターなので、別に売れなくても構わない。肝であるTR122/TRB122とランチャーに自信がある。Jobaria Defence Systemとしては、一般向けの無難なトラック搭載の20連装FMTVに商談を持ち込むための呼び水なのではないのかね。もちろん、アラブの金持ち諸国が、240連装MCLをお付き合いや威信財として買う可能性もあるのだけども。
※ ”IHS Jane's International Defence Review” (IHS,2013.4)pp.34-35.
IDRに、牽引式の240連装ロケットランチャーが紹介されている。※ Jobaria Defence SystemのMultipul Cradle Launcherなのだが。HETで牽引する多連装ロケットで、Jobaria社で作っている20連装122mmロケット発射機を、3個1基で組み合わせ、4基240発を発射するというもの。ビデオがあるので、それを見れば、モンスター具合は理解できる。
しかし、これは実用に足りるものなのだろうか?
まず、大きすぎる。大概の国の道路法規に合致しない可能性がある。ぱっと見で、トレーラ部分は40ft海上輸送コンテナ2個分近くある。高規格道路ならともかく、低規格な道路で曲がれるかどうか怪しい。路外でも走れるとあるが、それも平坦な場所であって、ある程度、立木や建物が交雑したりしたような場所では、お手上げだろう。また、専用の整備工場でなければ、入場できないし、そもそも入門できるかどうかも怪しい。航空攻撃があるようなところでは、隠すのも億劫である。
240連発も、再装填が大変なのではないか。確かに、操縦と発射は少人数で可能かもしれない。しかし、打ち終わった後に再装填するのが面倒ではないか。1両ギチギチに240発を搭載しているわけであり、狭い所で多数のロケットを装填しなければならない。ランチャーの高さも、通常のランチャーよりも高い位置にある。普通に20連装のトラック式発射器に20発を再装填するよりも、相当に面倒そうに見える。かつての米上陸支援用多連装ロケット艇、LSSLと同じで、発射後再装填に5時間かかるような面倒があるのではないか。
そもそも、通常型を複数購入に勝てないのではないか。価格と運用効率と生残性を考慮した場合、通常の20連装ランチャーを6-12輌購入したほうが良いと判断するだろう。20連装なら、どの道や地形でも入れるし、整備も小さい施設でできる。再装填も早い。6-12輌あれば、分けて使うことも集中して使うこともできる。攻撃を受けても、全滅することもまずない。実際に、Jobaria社は同じ122mmロケット弾を、20連装にしたFMTVを作っている。ロケットの中身はTR122/TRB122で、最小16kmから最大40km、CEPは射距離の3%と、発射後の性能は同じだ。
240連装のMCLは、客寄せモンスターなのだろう。うちの会社の名を売ろうと考えたものではないか。実際に、客寄せとしての効果は強力である。Jobaria Defence Systemで検索しても、240連装MCLの動画が多数出てくる。そのほとんどは、モンスターぶりを紹介するものだ。モンスターを作って、モンスターとしてウケ、世間に会社をアピールできるのは、広報として大成功というわけだ。問題は、MCLの動画が出てくるだけで、会社概要は出てこないあたりか。会社の国籍も出てこないし、肝腎のMCLや、その中身のTR122/TRB122についての性能は出てこない。
客寄せモンスターなので、別に売れなくても構わない。肝であるTR122/TRB122とランチャーに自信がある。Jobaria Defence Systemとしては、一般向けの無難なトラック搭載の20連装FMTVに商談を持ち込むための呼び水なのではないのかね。もちろん、アラブの金持ち諸国が、240連装MCLをお付き合いや威信財として買う可能性もあるのだけども。
※ ”IHS Jane's International Defence Review” (IHS,2013.4)pp.34-35.
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