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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2013.06
05
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Category : 雑誌読み
 前にも書いたけどさ。いざという時を考えても、日本に兵器級プルトニウムは1t、2tあればいいよ。30tも持っているといろいろ言われて不愉快だから、9割方は処分してもいいんじゃないの?



 また、香港誌『鏡報』の記事なのだが。

 鍾健さんの「国際伝媒看天下」に紹介された外報に「日本密謀擁核令美国警惕」がある。「日本時報によると」となっているで『THE JAPAN TIMES』あたりに掲載された記事らしいのだが、残念ながらググっても出てこない。

 鍾さんは、日本は核兵器を作る可能性があることに焦点があてている。
・ 日本は核兵器級プルトニウム(武器級钚)を年間9トン生産している
・ 日本外務省は核兵器開発を外交上の切り札であると見ている
・ 日本の政治家には核武装を主張する人が多い
鍾さんは日本は核兵器を作る可能性があるという方向で外報を紹介しているわけだ。

 外務省云々の話は、突飛な話に聞こえるが、根拠のないことではない。日本政府は非核三原則を国是であるとしているが、将来的に拘束されるものとはしていない。国会での政府答弁をみても、憲法上は核を禁止していないとか、情勢変化によっては変わるかもしれないと言っている。核兵器は作らない。だが、核兵器を作ることができる。それは日本にとっての切り札と言う話だ。

 そもそも、日本は「核兵器開発はしない」で一貫していたわけではない。核兵器開発論議もあった。佐藤内閣になるまでは、核兵器開発については右往左往していた。左右双方で「核兵器はまず作る必要はない」というコンセンサスができたのは1980年代から後の話である。それでも、将来を縛るものではないよという発言は常に繰り返され、政府もまた、将来の核開発を否定するものではない、と留保している。そもそも、60年代以降に原子力発電を推進したのは、いざというときにという発想が含まれている。

 このあたりを見ると、周辺国も、日本は核兵器開発から遠いとは考えない。日本は状況次第では核兵器開発をする。だいたい核兵器級プルトニウム生産能力をもっているので、やる気になれば直ぐなんじゃないといったところだろう。

 だいたい、日本人にしても、作る気になれば直ぐだと考える。日本は原発とロケットと潜水艦を持っている。核実験場はないけどどうにかなる。実際に、本当にヤバくなったときには、世論なんか直ぐにひっくり返るだろう。

 まあ、周辺国と日本の認識は一致しているわけだ。周辺国は、前々から日本は持つ可能性はあるよなと思っている。日本も、持つ気になれば持てると思っている。

 現時点は、外人も日本人も、日本政府の言う「今のところは作っていない」ことを信じているといった程度の話だ。日本は作らないよと名言して、作る素振りもみせず、必要に応じでIAEAの査察も受け、国内でも作るというと国内世論が大変なことになりますよという情勢も外国に見せている。

 もちろん、日本は核兵器を作らないと主張すると同時に、核兵器を製造する基盤的技術を延々と積み上げている。その辺りは、平和利用開発といった理屈もあったので、周辺国も今までは見て見ぬフリをしてもらえた。

 ただし、北朝鮮の核開発が問題になってからは、国内技術集積も厳しい眼でみられるようになった。『日本時報』の元記事にアクセス出来ないのでなんだが、鍾さんによると「オバマ大統領が安倍晋三に『核兵器を作ってくれるなよ』と再三再四、重く申し入れた」とのこと。日米中韓で北朝鮮を非難するから、日本も今以上に身奇麗にしておけといったものだろう。



 いざという時に核を製造するにしても、プルトニウムはチョビっとあればいいよ。日本は兵器級プルトニウムを30t、5000発分も保有している※※ という。そこでも書いたけど、必要になっても、直ぐに100発も作る必要はない。それなら、1-2トンも手許においておけば間にあう。現政権も、仲が悪いままで放置している周辺国に非難されたり、大旦那様のアメリカにチクチク文句言われる前に、余剰プルトニウムの量を一気に削減したほうがいい。


※ 鍾健「日本密謀擁核令美国警惕」『鏡報』431(鏡報文化企業有限公司,香港,2013.6)p.104
※※ 「何かあっても5000発分は要らないだろう」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-564.html
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