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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.06
07
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12:00
Category : ミリタリー
 中国との対峙で沖縄が使えることと、あくまでも輸送機にすぎないオスプレイと、どちらが重要なのか?

 沖縄にある基地を安定して利用する上で、地元との協調関係は重要なものではないか。すでに沖縄には膨大な基地群がある。駐留軍の基地は広大な土地を占めており、地元が発展する足枷になっている。しかも、迷惑施設であって、地元にとって望ましいことはほとんどない。しかし、軍事的に中国との対峙を企る日米にとっては、基地を置かなければなくてはならない島でもある。地元沖縄をどうにかなだめ、迷惑をかけていることを謝りつつも、どうにか基地を維持しなければならない。しかし、原状は、地元を無視すること甚だしいものがある。

 特にオスプレイの配備は、基地問題で大きなマイナスであった。オスプレイの性能やらの話はどうでもよい。まず、目に慣れない飛行機を見て、現地は不安に思って、即時配備を止めてくれといった。対して、東京は「安全だから」と、その現地の意向を無視したことは、大きなマイナスになった。おかげで、沖縄問題はさらにこじれる結果を生んでいる。

 輸送機ごときで地元の大反発を被ったことは、間尺に合わない。これが、戦闘機ならばまだ理解できないこともない。新戦闘機配備は、日米と中国のゲームにおいて、バランスを維持するためには必須であるという理屈は成り立つ。しかし、海兵隊が使う輸送機で、沖縄の東京不信を深めたことは、まったく割に合わない話だ。

 オスプレイ配備の必要性は、海兵隊の都合に過ぎない。現に配備されているオスプレイについては、海兵隊は是非とも必要というかもしれない。しかし、日本にとっては、輸送機がなんであろうと、どうでもいい話である。米国にとっても同じようなものだ。海兵隊が何の輸送機をつかうというのは、米国の国家単位での施策を左右する要素ではない。

 しかし、沖縄基地問題は、日米両国の防衛・外交政策に影響を与えている。いまのところは各基地は存続できる見込みであるが、将来的にはどうなるかわからない。本土が沖縄にだけ負担を押し付けが続いている構図は、沖縄の不満を掻き立てる。これを沖縄人だけが負担を強いられる差別であるとする主張は、すでに存在している。その不満が高まり、なんらかの切っ掛けで爆発するとどうなるだろうか。

 基地への不満が爆発した後になっては、沖縄の基地を維持することは難しくなる。1970年のコザ暴動のような事件に、民主主義政体を取る日米両政府は耐えられない。仮に沖縄で基地問題に端を発した暴動が起きたとすれば、それ以降は従前どおりに基地群を維持できなくなる。沖縄独立となった場合には、自衛隊基地の維持までもが難しくなる。

 そうなる前に妥協をするべきではないのか。オスプレイの配備については、とりあえず延期するという方法はあった。見込みも立たない普天間の辺野古沖移設についても、沖縄を怒らせるだけの埋立免許申請以前にやることはあったのではないか。

 妥協ではなく根治を狙うとなると、現実的に最善の選択肢は海兵隊に日本国外に出て行ってもらうことだ。駐留米軍で一番抵抗感があるのは、海兵隊である。事故や問題を引き起こすというイメージが固まっている。実際には在日米海空軍の兵隊も悪さをしているが、印象が悪いのは海兵隊である。海兵隊駐留に較べれば、海空軍駐留は問題が少ない。また、陸軍のほうがマシという判断もあるだろう。

 海兵隊については国外に出て行ってもらい、その分は海空軍、あるいは陸軍で補う形で増派する。そうすれば、中国とのゲームでのバランスを重視する日米両政府も特に困ることもない。また、沖縄も政治的な打開を得られたと考えるだろう。その上で、普天間にしろ辺野古にしろ、自衛隊管理とし、駐留軍の使用を有事のみに留めれば、まだ納得も得られる話になるだろう。
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