Category : ミリタリー
教官課程の教官やってた時の話なんだが、教場(教室をそう呼ぶ)での並び方はクジ引きにさせた。
一般的に教場では、先任順で逆に並ぶ。イメージとしては、まず階級順、同じ階級なら先任順に全員を並べる。そして、序列が低いものから順番に前から座らせる。教官課程なら前は20代の3曹、後ろが曹長、その後ろが同時に教務(授業をそう呼ぶ)する幹部課程という順番になる。
しかし、これは塩梅が悪かった。最初の課程で気づいたことだが、相互にサポートできなくなってしまう。まず、パソコンを使わないオトッツァンが後ろに纏まる。隣のやつに聞いてもわからない。標準偏差と信頼性区間にせよ、レタッチによる写真偽造のやり方にせよ、アイソメつかった製図法にしろ、前の若衆は悉皆分かっているが、後ろのオトッツァンが困っている。これが規則の類になると逆で、後ろはわかっていて前が分からない。だから、できれば、若い奴の近くにオトッツァンを置いて、互いにサポートできるようにしたかった。
2回目と3回目の課程は、じゃんけんで買った順に、好きなところに座らせてみた。2回目は比較的に旨く言ったが、3回目は3曹同期3人が並んで、あんまし良くない結果になった。授業でダレるのは構わないのだが、3人が同時にいつもピーチクパーチクで、全体の課題作成の水準を下げてしまった。普通は、学生長ほかの先任クラスがどうにかするのだが。学生長と副学生長が、教官になることに危機感を抱いていて、自分の面倒しか見れなかった(毎晩深夜12時位まで課題作成していた)ことが裏目にでた。
ちなみに、こういう時には幹部課程は海曹学生に直接はモノを言うことはできない。基本的には、海曹課程の学生長にいうことしかできない。曹士への指示で先任(学生長)を飛ばすことは、先任をないがしろにする行為だからだ。
これがマズイということで、4回目はクジ引きにした。とにかくランダムにしようと、最初にじゃんけんをさせて、その順にクジを引かせた。同じところに同じ席のクジがあると困ると思ったためだ。もちろん、2・3回目同様に幹部課程もまぜこぜにしている。
これは非常に好結果を得た。普段の授業から、互いにカバーをしあうようになった。混ぜた結果が良かったのか、分散した先任クラスが周囲を見て、自分を含めて分からないヤツのカバーを調整するようになった。
もちろん、こっちも教官なので、頭から?を出している奴の見分けはつくが、授業時間には限界がある。その後のフォローにしても、教官は一人しかいない上に、秘密保全やネットワーク管理、安全みたいな雑用、当直士官もやっていたので、肝腎の教務には時間を割けない事情があったので助かった。
例えば、たまにいる筑波大院卒みたいなのが、どうしても納得出来ない海曹に、時間外に統計の概念を噛んで含んで教えるようなこともやってくれた。どちらも航空整備なので「信頼性区間って○○システムの☓☓と同じ操作だったのですか」と納得するのだが、そもそも、☓☓が信頼性区間を利用しているのだから、納得の方向が逆の話だ。他にも、写真員がフォトショの使い方を教えたり、施設員が図版作成を教えたり、たしか経理員がマクロの組み方まで教えていた。
幹部と海曹の混交にも役に立った。じゃんけん式では、幹部も幹部でまとまる傾向があったが、それも分散された。とにかくランダムなので、3佐学生や准尉学生の隣が3曹学生となる。帳面上は2つの課程なのだが、完全に混和する。水金土日しか外出できない海曹が、買い物ほかで困っているのを見つけると、外出制限のない幹部が外に買い物を代行する。あるいは、曹長や幹部の実習課題作成に、2曹3曹が自然と手伝うようなことが起きた。
毎回水曜は一緒に宴会に行ったクラスもあった。お誕生日会もあった。自衛隊に限らないが、大人でも学校的なところに押し込められると、ある意味、子供化する。学生の誕生日に、教場で外からケーキ、オードブル、ジュースを大人経済力でしこたま購入して、お誕生会をやったクラスもあった。お呼ばれしたけど、仕事が限界だったので挨拶程度、あとは10時の消灯まで散々やっていた。
クジはもともと、何回もある発表で活用していた。米海軍手法が元なので、発表を相互に観察し、批評する仕組みになっている。しかし、並んだ順にやらせると、次や、次の次の番が自分のことに手一杯で他人を観察する余裕もない。だから、じゃんけんで一番負けたヤツを一番手にし、それからは教卓の上にあるクジを引かせて次の番を決めさせた。
学校長視察や幹部学校視察でもそれをやった。将官対応だと、普通は出来レースなのだが、それは面白く無い。スピーチ法の発表中に将官が入ってきて、その発表が終わると次の番を決めるクジを将官に引かせた。学校長指名により、○番学生とやると、なんといっても、本人の顔面蒼白になっている。3曹からみれば雲の上である。それを見た将官も出来レースでないことに喜んだし、本人もスピーチ発表でのプレッシャーを掛けられて自身がついた。その御仁の発表は、学生間批評と、良い事3つ、悪い点を「強いて改善するとすれば」1つを挙げる己の講評で終わる。だが、学校長も慣れてくると、最後に校長が己の講評を肯定する一言をくれる。それで、己の株もあがった。
将官によし、学生によし、己によしで誰も損をしない、良いやり方だったと思っているよ。
一般的に教場では、先任順で逆に並ぶ。イメージとしては、まず階級順、同じ階級なら先任順に全員を並べる。そして、序列が低いものから順番に前から座らせる。教官課程なら前は20代の3曹、後ろが曹長、その後ろが同時に教務(授業をそう呼ぶ)する幹部課程という順番になる。
しかし、これは塩梅が悪かった。最初の課程で気づいたことだが、相互にサポートできなくなってしまう。まず、パソコンを使わないオトッツァンが後ろに纏まる。隣のやつに聞いてもわからない。標準偏差と信頼性区間にせよ、レタッチによる写真偽造のやり方にせよ、アイソメつかった製図法にしろ、前の若衆は悉皆分かっているが、後ろのオトッツァンが困っている。これが規則の類になると逆で、後ろはわかっていて前が分からない。だから、できれば、若い奴の近くにオトッツァンを置いて、互いにサポートできるようにしたかった。
2回目と3回目の課程は、じゃんけんで買った順に、好きなところに座らせてみた。2回目は比較的に旨く言ったが、3回目は3曹同期3人が並んで、あんまし良くない結果になった。授業でダレるのは構わないのだが、3人が同時にいつもピーチクパーチクで、全体の課題作成の水準を下げてしまった。普通は、学生長ほかの先任クラスがどうにかするのだが。学生長と副学生長が、教官になることに危機感を抱いていて、自分の面倒しか見れなかった(毎晩深夜12時位まで課題作成していた)ことが裏目にでた。
ちなみに、こういう時には幹部課程は海曹学生に直接はモノを言うことはできない。基本的には、海曹課程の学生長にいうことしかできない。曹士への指示で先任(学生長)を飛ばすことは、先任をないがしろにする行為だからだ。
これがマズイということで、4回目はクジ引きにした。とにかくランダムにしようと、最初にじゃんけんをさせて、その順にクジを引かせた。同じところに同じ席のクジがあると困ると思ったためだ。もちろん、2・3回目同様に幹部課程もまぜこぜにしている。
これは非常に好結果を得た。普段の授業から、互いにカバーをしあうようになった。混ぜた結果が良かったのか、分散した先任クラスが周囲を見て、自分を含めて分からないヤツのカバーを調整するようになった。
もちろん、こっちも教官なので、頭から?を出している奴の見分けはつくが、授業時間には限界がある。その後のフォローにしても、教官は一人しかいない上に、秘密保全やネットワーク管理、安全みたいな雑用、当直士官もやっていたので、肝腎の教務には時間を割けない事情があったので助かった。
例えば、たまにいる筑波大院卒みたいなのが、どうしても納得出来ない海曹に、時間外に統計の概念を噛んで含んで教えるようなこともやってくれた。どちらも航空整備なので「信頼性区間って○○システムの☓☓と同じ操作だったのですか」と納得するのだが、そもそも、☓☓が信頼性区間を利用しているのだから、納得の方向が逆の話だ。他にも、写真員がフォトショの使い方を教えたり、施設員が図版作成を教えたり、たしか経理員がマクロの組み方まで教えていた。
幹部と海曹の混交にも役に立った。じゃんけん式では、幹部も幹部でまとまる傾向があったが、それも分散された。とにかくランダムなので、3佐学生や准尉学生の隣が3曹学生となる。帳面上は2つの課程なのだが、完全に混和する。水金土日しか外出できない海曹が、買い物ほかで困っているのを見つけると、外出制限のない幹部が外に買い物を代行する。あるいは、曹長や幹部の実習課題作成に、2曹3曹が自然と手伝うようなことが起きた。
毎回水曜は一緒に宴会に行ったクラスもあった。お誕生日会もあった。自衛隊に限らないが、大人でも学校的なところに押し込められると、ある意味、子供化する。学生の誕生日に、教場で外からケーキ、オードブル、ジュースを大人経済力でしこたま購入して、お誕生会をやったクラスもあった。お呼ばれしたけど、仕事が限界だったので挨拶程度、あとは10時の消灯まで散々やっていた。
クジはもともと、何回もある発表で活用していた。米海軍手法が元なので、発表を相互に観察し、批評する仕組みになっている。しかし、並んだ順にやらせると、次や、次の次の番が自分のことに手一杯で他人を観察する余裕もない。だから、じゃんけんで一番負けたヤツを一番手にし、それからは教卓の上にあるクジを引かせて次の番を決めさせた。
学校長視察や幹部学校視察でもそれをやった。将官対応だと、普通は出来レースなのだが、それは面白く無い。スピーチ法の発表中に将官が入ってきて、その発表が終わると次の番を決めるクジを将官に引かせた。学校長指名により、○番学生とやると、なんといっても、本人の顔面蒼白になっている。3曹からみれば雲の上である。それを見た将官も出来レースでないことに喜んだし、本人もスピーチ発表でのプレッシャーを掛けられて自身がついた。その御仁の発表は、学生間批評と、良い事3つ、悪い点を「強いて改善するとすれば」1つを挙げる己の講評で終わる。だが、学校長も慣れてくると、最後に校長が己の講評を肯定する一言をくれる。それで、己の株もあがった。
将官によし、学生によし、己によしで誰も損をしない、良いやり方だったと思っているよ。
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