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LCSではペリー級の代わりはできない。結局は、同じようなフリゲートが必要になる。
今月の米海軍協会"Proceedings"に、高名な軍事アナリスト、ノーマン・ポルマー(Polmar,Norman)さんの「フリゲートはどこにあるんだ」が掲載されている。要は、ペリー級が退役すると困るんじゃない?という内容である。
ポルマーさんが危惧しているのは、外洋で行動できる水上艦が足りなくなる点である。
ペリー級が退役すると、外洋で活動できる水上艦が足りなくなる。51隻建造されたペリー級も、すでに大量退役が進行し、残りは18隻しかない。この18隻も退役するが、その時には深刻な水上艦不足に陥る。イージスでは数を補えない。今でもフリゲートの代わりをしているが、手は足りない。ペリー級を代替するはずの、LCSは計画も問題を解決しない。LCSは計画が遅れている上、外洋では何もできない。ポルマーさんはそう述べている。
ポルマーさんは問題解決法として、ペリー級改装を主張している。ペリー級改装は、フリゲート新造よりも予算も時間も節約できる。ペリー級そのものも悪くない。生残性も、スタークやサミュエル・B・ロバーツで証明されている。実際に、オーストラリアが行った改装を参考にすれば良い。Mk13でスタンダートSM2を運用し、ESSMを追加する。船体延長やUAVを搭載しても良い。ペリー級改装は、コストもリスクもないのでいいことずくめだとも主張している。
実際、ペリー級を大規模改装するかどうかはともかく、単純な延命措置はあり得る話だ。今のままであっても、ペリー級は相当な戦力である。ヘリを2機運用できる点は強みといえる。ヘリを搭載しない初期型バーク級よりも優れている面はある。ペリー級は、特に最新兵装に性能向上をしなくとも、FRAMと小規模改装だけで当分使い続けることができる。運用経費も高くはない。実際に、延命される可能性も充分にある。
ただし、水上艦不足の原因は、ペリー級退役ではなく、LCS計画が筋が悪いことにある。沿岸戦闘艦LCSは、いくら揃えても外洋では既存水上艦の役割を果たせない点が問題である。
LCS計画は筋が悪い。基本的には20世紀初頭の水雷駆逐艦程度しか仕事ができない。固有武装は貧弱であまりに短射程である。対水上戦/対潜戦/対機雷戦を可能にするはずの、ミッション・パッケージは、いつできるかわからない上、その能力も極めて低く、更新するはずのペリー級やアべンジャー級には及ばない。※※
LCSについては、いつ打ち切るかを判断する時期にある。今後、LCS計画が順調に進展しても、米海軍にはコスト以上の利益が生まれることもない。もちろん、既存のLCSを廃止する必要はない。見栄えのするオモチャとしてペルシア湾や南シナ海、アデン湾で見せつけ続ければよい。しかし、これ以上、LCS建造を続けても、ポルマーさんの言うとおり、発生する水上艦不足は解決しないし、予算的に水上艦整備の足を引っ張るだけになるだろう。
LCSは、他に対機雷戦戦力整備でも悪影響を与えている。対機雷専用ミッション・パッケージは未完成であり、完成しても能力は低い。対機雷戦戦力をLCSで代替するという施策の背後には、ポルマーさんが主張した水上艦不足と同じ、対機雷戦での艦艇不足といった問題が隠れている。
米海軍は、LCS計画を止めて、従来型艦艇を整備すべきだろう。"Proceedings"誌だけでも、LCSについては支持する声よりも、懐疑の声※※※ が強い。将来戦についての長期見通しを立て、それに合わせた水上艦を建造するというスタイルは素晴らしいものである。だが、できたLCSが悪手過ぎた。米海軍にとっては、水上艦と対機雷戦用艦艇を整備するのが、現実的な解決策となるのである。
※ Polmar,Norman"Where Are the Frigates?""Proceedings"(USNI,Maryland,2013.6)pp.86-87.
※※ このあたりは、2012年冬に出したドジンhttp://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-469.htmlで散々書いている。在庫は幾らでもあるし、書泉グランデにも委託しているのでよければどーぞ。
※※※ たとえばhttp://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-278.htmlやhttp://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-552.htmlで紹介している。
今月の米海軍協会"Proceedings"に、高名な軍事アナリスト、ノーマン・ポルマー(Polmar,Norman)さんの「フリゲートはどこにあるんだ」が掲載されている。要は、ペリー級が退役すると困るんじゃない?という内容である。
ポルマーさんが危惧しているのは、外洋で行動できる水上艦が足りなくなる点である。
ペリー級が退役すると、外洋で活動できる水上艦が足りなくなる。51隻建造されたペリー級も、すでに大量退役が進行し、残りは18隻しかない。この18隻も退役するが、その時には深刻な水上艦不足に陥る。イージスでは数を補えない。今でもフリゲートの代わりをしているが、手は足りない。ペリー級を代替するはずの、LCSは計画も問題を解決しない。LCSは計画が遅れている上、外洋では何もできない。ポルマーさんはそう述べている。
ポルマーさんは問題解決法として、ペリー級改装を主張している。ペリー級改装は、フリゲート新造よりも予算も時間も節約できる。ペリー級そのものも悪くない。生残性も、スタークやサミュエル・B・ロバーツで証明されている。実際に、オーストラリアが行った改装を参考にすれば良い。Mk13でスタンダートSM2を運用し、ESSMを追加する。船体延長やUAVを搭載しても良い。ペリー級改装は、コストもリスクもないのでいいことずくめだとも主張している。
実際、ペリー級を大規模改装するかどうかはともかく、単純な延命措置はあり得る話だ。今のままであっても、ペリー級は相当な戦力である。ヘリを2機運用できる点は強みといえる。ヘリを搭載しない初期型バーク級よりも優れている面はある。ペリー級は、特に最新兵装に性能向上をしなくとも、FRAMと小規模改装だけで当分使い続けることができる。運用経費も高くはない。実際に、延命される可能性も充分にある。
ただし、水上艦不足の原因は、ペリー級退役ではなく、LCS計画が筋が悪いことにある。沿岸戦闘艦LCSは、いくら揃えても外洋では既存水上艦の役割を果たせない点が問題である。
LCS計画は筋が悪い。基本的には20世紀初頭の水雷駆逐艦程度しか仕事ができない。固有武装は貧弱であまりに短射程である。対水上戦/対潜戦/対機雷戦を可能にするはずの、ミッション・パッケージは、いつできるかわからない上、その能力も極めて低く、更新するはずのペリー級やアべンジャー級には及ばない。※※
LCSについては、いつ打ち切るかを判断する時期にある。今後、LCS計画が順調に進展しても、米海軍にはコスト以上の利益が生まれることもない。もちろん、既存のLCSを廃止する必要はない。見栄えのするオモチャとしてペルシア湾や南シナ海、アデン湾で見せつけ続ければよい。しかし、これ以上、LCS建造を続けても、ポルマーさんの言うとおり、発生する水上艦不足は解決しないし、予算的に水上艦整備の足を引っ張るだけになるだろう。
LCSは、他に対機雷戦戦力整備でも悪影響を与えている。対機雷専用ミッション・パッケージは未完成であり、完成しても能力は低い。対機雷戦戦力をLCSで代替するという施策の背後には、ポルマーさんが主張した水上艦不足と同じ、対機雷戦での艦艇不足といった問題が隠れている。
米海軍は、LCS計画を止めて、従来型艦艇を整備すべきだろう。"Proceedings"誌だけでも、LCSについては支持する声よりも、懐疑の声※※※ が強い。将来戦についての長期見通しを立て、それに合わせた水上艦を建造するというスタイルは素晴らしいものである。だが、できたLCSが悪手過ぎた。米海軍にとっては、水上艦と対機雷戦用艦艇を整備するのが、現実的な解決策となるのである。
※ Polmar,Norman"Where Are the Frigates?""Proceedings"(USNI,Maryland,2013.6)pp.86-87.
※※ このあたりは、2012年冬に出したドジンhttp://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-469.htmlで散々書いている。在庫は幾らでもあるし、書泉グランデにも委託しているのでよければどーぞ。
※※※ たとえばhttp://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-278.htmlやhttp://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-552.htmlで紹介している。
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