Category : ミリタリー
自衛隊には隠蔽体質がある。海自にももちろんあるし、幹部、海曹士を問わない。ある程度エラくなっても、結構、粗暴な隠蔽をやっている。
「海自自殺訴訟:いじめ調査の破棄指示 海幕幹部、存在把握」※ なのだが。自殺した事件があり、イジメがあったかどうかについて、誰かが艦内あたりでアンケートを取った。アンケート取った奴、まずは副長かそれ以上は、例の雰囲気の圧力で「なかった」という結論を期待したのだろうが、案に相違して「あった」とする正直な結果が含まれていたといったところか。
しかし、「あった」その答えは訴訟で困る。「いじめは他人でも気づく水準にあった」とされると困る。だから、その存在そのものを秘した。原告に「アンケートがあったろ」と言われたら「破棄したので分からない」と言い張った。
しかし、処理が事務官だから、隠蔽のやり方も中途半端になった。「処分した」と言い張るなら、本当に処分しとけばいいものなのだが。役人同士の申継で残したといったあたりか、現物を残してしまった。自衛官なら、悩まずに本当に処分しただろうが、事務官・技官は結構、思い切りが悪い。
「ない、処分した」と言いはったものの、現物が残ったのだから、2回も嘘をついたことになってしまった。
イジメと自殺だと隠蔽だと、艦艇で実習受けていた時にも、それっぽい話はあった。隣の護衛艦で、海士が海に飛び込んだ。残念ながら、彼はそのまま見つからない結果になった。その後なのだが、副長が己達を集めて「イジメとか自殺とか言うな」と箝口令っぽいものを出したことがある。そう言えば、言うことを聞くと思っているのが浅はかだと当時から思っていた。
隠蔽話なら、他にも幾らでもある。ニュースになった横須賀に限っても、大小問わなければ、何件も思い出せる。横須賀は、今回の事件の2年前には働いていた。今回のアンケートで問題となったところから、半径で20m以内にいたよ。その頃にも、その手の隠蔽事件はあった。
、横須賀通信隊での薬物事件も、隠蔽だった。幹部自衛官(知っている人だった)が薬物をトイレに流して証拠隠滅を図ったという話だ。本人が使ったのではない。怪訝な海曹士の机か何かから、白いおクスリが出てきたのだが、保全して警務隊に連絡せず、隠蔽を図った結果である。
後に問題になった航海日誌処分も、その頃の横須賀のフネの話だ。いまから見返しても、なんで給油実績を隠蔽するのかわからない事件だった。だが、最終的には航海日誌をシュレッダーに掛けてごまかそうとしていた。
横須賀ではないが、目の前で隠蔽の話をされたこともあった。どこぞの部隊で働いていた時なのだがね。略同期相当の、目の前で艦艇の砲雷幹部と経補幹部が「漁網引っ掛けたけど、即座に信号長が艦位を消しゴムで消してズラして書いた、ベテラン海曹は違う、偉いねえ」みたいな話をしていた。己が「気の利いた漁協はレーダと暗視装置で見てる。レーダなんか記録とっているけどね」というと「そんなことはあるはずない」、「証拠がなければ終わりじゃないか」といってきたのには、気が滅入った。
漁網切断では自衛隊はシラを切る。周辺対策関係やっていると、その話は漁協から毎回聞かされるし、実際の記録見せられる。でも艦艇側に言うとシラを切られる。だいたい、艦長クラスか先頭になってシラを切る。一回、己と同職域のエライさんが総監部の総務課長だか幕僚長だかをやった時の話なのだが。漁協から通報を受けたそのオトッァン、ついに爆発して、艦長集合をかけて「オマエらがやったのは、わかってんだぞ」とやったらしい。でも「連中はシュンとするだけでダメだったよ」といっていた。
まず、艦艇部隊はなんでも隠蔽しようという傾向が強い。海に出ていればバレないという頭なのだろう。例えば油流出にしても、艦艇部隊は如何に報告しないで済ませるかを考える。
逆に、海自の陸上・航空部隊は、比較的、隠蔽しようとしない。それでも比較問題の話だが、艦艇ほどではない。どこかの航空基地で、基地内油流出をやった時には、敷地内で食い止めたが消防に連絡した。その時に、隊長級の一人が「言わなくてもバレない」と発言したが、その人は指揮官級から集中砲火を食らったね。
まあ、最近の自衛隊は世間の好意を寄せられているけど、足許はこんなもんだ。だから、何かあると大変なことになるんじゃないのかね。ツイッターやらドラマへの協力で脚光浴びるのもいいけれども、落とし穴をそのままにするほど危ないものもない。この手の体質改善を、10年20年掛けても、着実にどーにかしないといけないと思うよ。
※ 「海自自殺訴訟:いじめ調査の破棄指示 海幕幹部、存在把握」『毎日.JP』(2013.7.30)http://mainichi.jp/select/news/20130731k0000m040057000c.html
「海自自殺訴訟:いじめ調査の破棄指示 海幕幹部、存在把握」※ なのだが。自殺した事件があり、イジメがあったかどうかについて、誰かが艦内あたりでアンケートを取った。アンケート取った奴、まずは副長かそれ以上は、例の雰囲気の圧力で「なかった」という結論を期待したのだろうが、案に相違して「あった」とする正直な結果が含まれていたといったところか。
しかし、「あった」その答えは訴訟で困る。「いじめは他人でも気づく水準にあった」とされると困る。だから、その存在そのものを秘した。原告に「アンケートがあったろ」と言われたら「破棄したので分からない」と言い張った。
しかし、処理が事務官だから、隠蔽のやり方も中途半端になった。「処分した」と言い張るなら、本当に処分しとけばいいものなのだが。役人同士の申継で残したといったあたりか、現物を残してしまった。自衛官なら、悩まずに本当に処分しただろうが、事務官・技官は結構、思い切りが悪い。
「ない、処分した」と言いはったものの、現物が残ったのだから、2回も嘘をついたことになってしまった。
イジメと自殺だと隠蔽だと、艦艇で実習受けていた時にも、それっぽい話はあった。隣の護衛艦で、海士が海に飛び込んだ。残念ながら、彼はそのまま見つからない結果になった。その後なのだが、副長が己達を集めて「イジメとか自殺とか言うな」と箝口令っぽいものを出したことがある。そう言えば、言うことを聞くと思っているのが浅はかだと当時から思っていた。
隠蔽話なら、他にも幾らでもある。ニュースになった横須賀に限っても、大小問わなければ、何件も思い出せる。横須賀は、今回の事件の2年前には働いていた。今回のアンケートで問題となったところから、半径で20m以内にいたよ。その頃にも、その手の隠蔽事件はあった。
、横須賀通信隊での薬物事件も、隠蔽だった。幹部自衛官(知っている人だった)が薬物をトイレに流して証拠隠滅を図ったという話だ。本人が使ったのではない。怪訝な海曹士の机か何かから、白いおクスリが出てきたのだが、保全して警務隊に連絡せず、隠蔽を図った結果である。
後に問題になった航海日誌処分も、その頃の横須賀のフネの話だ。いまから見返しても、なんで給油実績を隠蔽するのかわからない事件だった。だが、最終的には航海日誌をシュレッダーに掛けてごまかそうとしていた。
横須賀ではないが、目の前で隠蔽の話をされたこともあった。どこぞの部隊で働いていた時なのだがね。略同期相当の、目の前で艦艇の砲雷幹部と経補幹部が「漁網引っ掛けたけど、即座に信号長が艦位を消しゴムで消してズラして書いた、ベテラン海曹は違う、偉いねえ」みたいな話をしていた。己が「気の利いた漁協はレーダと暗視装置で見てる。レーダなんか記録とっているけどね」というと「そんなことはあるはずない」、「証拠がなければ終わりじゃないか」といってきたのには、気が滅入った。
漁網切断では自衛隊はシラを切る。周辺対策関係やっていると、その話は漁協から毎回聞かされるし、実際の記録見せられる。でも艦艇側に言うとシラを切られる。だいたい、艦長クラスか先頭になってシラを切る。一回、己と同職域のエライさんが総監部の総務課長だか幕僚長だかをやった時の話なのだが。漁協から通報を受けたそのオトッァン、ついに爆発して、艦長集合をかけて「オマエらがやったのは、わかってんだぞ」とやったらしい。でも「連中はシュンとするだけでダメだったよ」といっていた。
まず、艦艇部隊はなんでも隠蔽しようという傾向が強い。海に出ていればバレないという頭なのだろう。例えば油流出にしても、艦艇部隊は如何に報告しないで済ませるかを考える。
逆に、海自の陸上・航空部隊は、比較的、隠蔽しようとしない。それでも比較問題の話だが、艦艇ほどではない。どこかの航空基地で、基地内油流出をやった時には、敷地内で食い止めたが消防に連絡した。その時に、隊長級の一人が「言わなくてもバレない」と発言したが、その人は指揮官級から集中砲火を食らったね。
まあ、最近の自衛隊は世間の好意を寄せられているけど、足許はこんなもんだ。だから、何かあると大変なことになるんじゃないのかね。ツイッターやらドラマへの協力で脚光浴びるのもいいけれども、落とし穴をそのままにするほど危ないものもない。この手の体質改善を、10年20年掛けても、着実にどーにかしないといけないと思うよ。
※ 「海自自殺訴訟:いじめ調査の破棄指示 海幕幹部、存在把握」『毎日.JP』(2013.7.30)http://mainichi.jp/select/news/20130731k0000m040057000c.html
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Category : ミリタリー
兵隊にとられる前に、趣味でエア・ライフル(ファインベルクバウS300の時代だよ)を撃っていた。だから小銃は学生隊で一等賞だったのだけれども、海だと幹部になるとライフルは撃たないのでそれっきりなのが残念か。
自衛隊のライフル射撃はそんなに難しくない。銃を左右水平にして、見出しをとってから、手先じゃなくて体で狙う。最後に自然狙点を確認すれば、ほぼ同痕になってまずは一等賞。江田島の大原?だったか、距離200mだったので、弾痕に5cmだか10cmだかの、丸いマーカーを指して確認させるのだけれども。試射の2発目と3発目がマーカーの大きさに収まった。貸出の無免許無線で、いわゆる寝台戦友のMに尋ねると同痕とのこと。本射のグルーピングも良かったから、精度で馬鹿にされる軍用銃も悪くはないということだ。
その軍用銃で、距離25mで弾痕不明が出るのには驚いた。航空整備の海曹課程の、昔の1000インチ射撃をやった時の話。部の安全係幹部で見に行った。射撃の安全係とは別で、面倒な安全会報の実績作り。兵隊が射撃を安全にやらせるかという問題ではなく、○○科が射撃を安全にやらせているかをチェックする名目だったが、なんでそんなにズレるのかと、ソッチが気になって仕方がなかった。
他を見ても、弾痕不明はないものの、全く当たっていない。海士課程で、素人なのはともかくだが、一応、真面目に狙っている。しかも伏射、確か、30センチ大の大きな標的を狙うが、みんなCD/DVDの大きさ位にしか集まらない。ヘタすると弾痕不明がでる。
倍の距離でやる競技射撃、50mP60だと、未経験者でも最初の日には、弾着が500円玉台には収まる。まあ、50m先の5円玉の孔にかするかどうかの競技なので、64式と減装弾とは、銃と弾の精度も違う。ただ、距離25mでCD/DVDの大きさはありえない。
結局は、見出しと引き金の絞り方しか教えない教育の限界ではないのか。前にも言っているのだが、予習でエア・ライフルで距離10m、50発を2回でも撃たせれば、それなりに当たるようになるよ。
エア・ライフルだから、室内で安全射撃できるし、火薬は使わないので弾薬管理もいらない。自衛隊だから、免許もいらない。それで自然狙点を教えるだけで、日ラの5級位には到達する。自然狙点とは、体が狙っている場所のことで、一回目を閉じて、開いた時に狙っている場所がそれ。胴体や足を動かして、自然狙点と標的を一致させれば、まず外れない。(銃の左右傾きとかもあるのだけどね)
その上でズルする方法もある。照星で黒円部中心を狙わない方法がそれ。軍用銃のサイトだと、黒円部の中心が分からないので、あまり当たらない。だから、サイトを調整した上で、標的の黒円部下端と、照星の間が、毛一本で別れるか別れないかを狙う方法がズルいくらいに有利。戦争で使える方法ではないのだけど、これができれば、候補生学校で学生隊で一番位にはなれるのだけどね。
自衛隊のライフル射撃はそんなに難しくない。銃を左右水平にして、見出しをとってから、手先じゃなくて体で狙う。最後に自然狙点を確認すれば、ほぼ同痕になってまずは一等賞。江田島の大原?だったか、距離200mだったので、弾痕に5cmだか10cmだかの、丸いマーカーを指して確認させるのだけれども。試射の2発目と3発目がマーカーの大きさに収まった。貸出の無免許無線で、いわゆる寝台戦友のMに尋ねると同痕とのこと。本射のグルーピングも良かったから、精度で馬鹿にされる軍用銃も悪くはないということだ。
その軍用銃で、距離25mで弾痕不明が出るのには驚いた。航空整備の海曹課程の、昔の1000インチ射撃をやった時の話。部の安全係幹部で見に行った。射撃の安全係とは別で、面倒な安全会報の実績作り。兵隊が射撃を安全にやらせるかという問題ではなく、○○科が射撃を安全にやらせているかをチェックする名目だったが、なんでそんなにズレるのかと、ソッチが気になって仕方がなかった。
他を見ても、弾痕不明はないものの、全く当たっていない。海士課程で、素人なのはともかくだが、一応、真面目に狙っている。しかも伏射、確か、30センチ大の大きな標的を狙うが、みんなCD/DVDの大きさ位にしか集まらない。ヘタすると弾痕不明がでる。
倍の距離でやる競技射撃、50mP60だと、未経験者でも最初の日には、弾着が500円玉台には収まる。まあ、50m先の5円玉の孔にかするかどうかの競技なので、64式と減装弾とは、銃と弾の精度も違う。ただ、距離25mでCD/DVDの大きさはありえない。
結局は、見出しと引き金の絞り方しか教えない教育の限界ではないのか。前にも言っているのだが、予習でエア・ライフルで距離10m、50発を2回でも撃たせれば、それなりに当たるようになるよ。
エア・ライフルだから、室内で安全射撃できるし、火薬は使わないので弾薬管理もいらない。自衛隊だから、免許もいらない。それで自然狙点を教えるだけで、日ラの5級位には到達する。自然狙点とは、体が狙っている場所のことで、一回目を閉じて、開いた時に狙っている場所がそれ。胴体や足を動かして、自然狙点と標的を一致させれば、まず外れない。(銃の左右傾きとかもあるのだけどね)
その上でズルする方法もある。照星で黒円部中心を狙わない方法がそれ。軍用銃のサイトだと、黒円部の中心が分からないので、あまり当たらない。だから、サイトを調整した上で、標的の黒円部下端と、照星の間が、毛一本で別れるか別れないかを狙う方法がズルいくらいに有利。戦争で使える方法ではないのだけど、これができれば、候補生学校で学生隊で一番位にはなれるのだけどね。
Category : 中国
中国が太平洋に出ることは軍事的挑発なのだろうか。7月25日に中国の航空機と、水上艦が、公海を選んで琉球列島線を通りすぎたことを指して「中国の軍事的挑発がエスカレートしている」と頭括するのは、言いがかりに近い。
「中国軍に『制御不能』の懸念 8月15日控え突発的衝突の可能性も」は、中国が太平洋に出たことを「軍事的挑発」としている。
だが、いずれも日本を挑発するものとするとは言えない。航空機は公海を通過して太平洋に出入した。艦隊も、国際海峡である宗谷海峡をから太平洋に出て、公海を通過して東シナ海に入っただけに過ぎない。国際法的には何の問題もないし、日本領空・領海にギリギリまで近づいたわけではない。洋上で、海自・海保・日本出入する商船につきまとったわけではない。果たして、何が挑発なのだろうか。
もちろん、日本と中国は海洋で海軍力を競いあうゲームをしている。日本にとって、中国海軍は仮想敵である。だからといって、中国憎しで、中国海軍が太平洋に出ただけで軍事的挑発と見るのは、どうかしている。
だいたい、この程度で「軍事的挑発」とする論法では、日本の方が軍事的挑発をしていることになってしまう。
なんせ、海自の方が行動は活発で、大陸側にも結構なところまで進んで行動している。日本は毎日、中国の東シナ海ガス田を監視飛行している。日中中間線の向こうにP-3Cを飛ばしてガス田周辺を偵察している。東シナ海で飛ぶP-3Cは、ガス田を偵察する1機どころではない。また結構なところまで飛んでいる。水上艦も、おそらく潜水艦も同じような行動をしている。もちろん、全て合法的行為である。
また、中国艦隊が太平洋に出るときには、日本はどこまで行っても追いかける。南西諸島を通過するときには、水上艦による監視を受ける。中国艦隊が沖ノ鳥島あたりまで出張っても、P-3Cが追いかけ、日本が持つ質的優位を見せつけている。中国海軍は、どうやっても海自の追尾を振りきれないと慨嘆させることに成功している。もちろん、これも同じように、国際法上、何の問題もない。
今回の中国海軍の行動程度は非難するには及ばない。全て合法であり、挑発的な行為もない。それを中国がやったことだからと、無理やり非難するほうが挑発的だろう。
中国が憎いからと言って、全てを挑発とするのは無知故である。防空識別圏に入ったことや、公海での行動、領海での無害通航に文句を言うのは、海洋国のマスコミの言うことではない。防衛や安全保障についての報道に詳しいと自称していながら、海洋法に全く無知であることを晒すものだ。海洋やその上空にある領域については、中国のそれと同じように、珍奇で特異な解釈である。これでは、強引な中国海洋法の解釈に文句を言える立場ではない。
「中国軍に『制御不能』の懸念 8月15日控え突発的衝突の可能性も」『zakzak』(産経新聞,2013.7.26)http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130726/frn1307261810004-n1.htm
「中国軍に『制御不能』の懸念 8月15日控え突発的衝突の可能性も」は、中国が太平洋に出たことを「軍事的挑発」としている。
中国軍機が南西諸島を通過して太平洋まで初飛行したうえ、中国海軍のミサイル駆逐艦など5隻が、7・21参院選を挟むように日本列島を1周したのだ。中国側の目的として
中国軍に「制御不能」の懸念 8月15日控え突発的衝突の可能性も」http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130726/frn1307261810004-n1.htm
「反日世論」に火をつけて、国民の不満をそらすつもりなのか。それとも、中国人民解放軍の一部が暴走しているのかとも述べている。
中国軍に「制御不能」の懸念 8月15日控え突発的衝突の可能性も」http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130726/frn1307261810004-n1.htm
だが、いずれも日本を挑発するものとするとは言えない。航空機は公海を通過して太平洋に出入した。艦隊も、国際海峡である宗谷海峡をから太平洋に出て、公海を通過して東シナ海に入っただけに過ぎない。国際法的には何の問題もないし、日本領空・領海にギリギリまで近づいたわけではない。洋上で、海自・海保・日本出入する商船につきまとったわけではない。果たして、何が挑発なのだろうか。
もちろん、日本と中国は海洋で海軍力を競いあうゲームをしている。日本にとって、中国海軍は仮想敵である。だからといって、中国憎しで、中国海軍が太平洋に出ただけで軍事的挑発と見るのは、どうかしている。
だいたい、この程度で「軍事的挑発」とする論法では、日本の方が軍事的挑発をしていることになってしまう。
なんせ、海自の方が行動は活発で、大陸側にも結構なところまで進んで行動している。日本は毎日、中国の東シナ海ガス田を監視飛行している。日中中間線の向こうにP-3Cを飛ばしてガス田周辺を偵察している。東シナ海で飛ぶP-3Cは、ガス田を偵察する1機どころではない。また結構なところまで飛んでいる。水上艦も、おそらく潜水艦も同じような行動をしている。もちろん、全て合法的行為である。
また、中国艦隊が太平洋に出るときには、日本はどこまで行っても追いかける。南西諸島を通過するときには、水上艦による監視を受ける。中国艦隊が沖ノ鳥島あたりまで出張っても、P-3Cが追いかけ、日本が持つ質的優位を見せつけている。中国海軍は、どうやっても海自の追尾を振りきれないと慨嘆させることに成功している。もちろん、これも同じように、国際法上、何の問題もない。
今回の中国海軍の行動程度は非難するには及ばない。全て合法であり、挑発的な行為もない。それを中国がやったことだからと、無理やり非難するほうが挑発的だろう。
中国が憎いからと言って、全てを挑発とするのは無知故である。防空識別圏に入ったことや、公海での行動、領海での無害通航に文句を言うのは、海洋国のマスコミの言うことではない。防衛や安全保障についての報道に詳しいと自称していながら、海洋法に全く無知であることを晒すものだ。海洋やその上空にある領域については、中国のそれと同じように、珍奇で特異な解釈である。これでは、強引な中国海洋法の解釈に文句を言える立場ではない。
「中国軍に『制御不能』の懸念 8月15日控え突発的衝突の可能性も」『zakzak』(産経新聞,2013.7.26)http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130726/frn1307261810004-n1.htm
Category : 有職故実
縁日のクジに大当りなしは、当然だと思っているのだが。それに本気で怒って警察を呼んでどうするものかね。
「夏祭り、夜店のくじに当たりなし 露天商の男を逮捕」なのだが。一回300円のクジで、パッと見た目で、45/100でゲーム機が当たったらテキ屋さんも商売上がったりになる。
あれだ、縁日では、やらずぶったくりは江戸時代から当たり前の話で、ダマされるのは子供と相場が極まっている。それに騙されたといっても、普通は苦笑いで済ませる話だよ。いい年こいた大人がおおごとにするものではない。
大人なら、デンスケとか謎の将棋といった真剣勝負や詐欺賭博で騙されろと思うのだが、どうか。
※「夏祭り、夜店のくじに当たりなし 露天商の男を逮捕」『朝日新聞デジタル』(2013.7.29)http://www.asahi.com/national/update/0729/OSK201307280122.html
そいや、そうとう昔からデンスケは見なくなった。簡易式のルーレット、まずはイカサマなのだが。子供の頃、40年近く前には関東でも見たのだが。昭和は遠くなったものだね。
でも、中国で路上で近所のじい様が、1元5元を握りしめて中国象棋で真剣勝負をやっているのはさんざん見た。警察も前を通るが何も言わない。昔、南米でも似たようなのは見たことがある。
でもねえ、それでいいんじゃないの。別に治安上問題もないし、公務員の汚職でもないし、風紀を乱す金額でもない、それで国が滅びるでもない。
日本の警察も、やらずぶったくりなのは当たり前だろと、訴えた大人を説諭してもいいんじゃないのかね。そもそも縁日だよ。大人ならそういうものと承知しているべきだろうさ。
「夏祭り、夜店のくじに当たりなし 露天商の男を逮捕」なのだが。一回300円のクジで、パッと見た目で、45/100でゲーム機が当たったらテキ屋さんも商売上がったりになる。
あれだ、縁日では、やらずぶったくりは江戸時代から当たり前の話で、ダマされるのは子供と相場が極まっている。それに騙されたといっても、普通は苦笑いで済ませる話だよ。いい年こいた大人がおおごとにするものではない。
大人なら、デンスケとか謎の将棋といった真剣勝負や詐欺賭博で騙されろと思うのだが、どうか。
※「夏祭り、夜店のくじに当たりなし 露天商の男を逮捕」『朝日新聞デジタル』(2013.7.29)http://www.asahi.com/national/update/0729/OSK201307280122.html
そいや、そうとう昔からデンスケは見なくなった。簡易式のルーレット、まずはイカサマなのだが。子供の頃、40年近く前には関東でも見たのだが。昭和は遠くなったものだね。
でも、中国で路上で近所のじい様が、1元5元を握りしめて中国象棋で真剣勝負をやっているのはさんざん見た。警察も前を通るが何も言わない。昔、南米でも似たようなのは見たことがある。
でもねえ、それでいいんじゃないの。別に治安上問題もないし、公務員の汚職でもないし、風紀を乱す金額でもない、それで国が滅びるでもない。
日本の警察も、やらずぶったくりなのは当たり前だろと、訴えた大人を説諭してもいいんじゃないのかね。そもそも縁日だよ。大人ならそういうものと承知しているべきだろうさ。
Category : ミリタリー
そこに「ない」ものを見つけるほうが偉い
朝鮮戦争停戦60周年だという。その件で、北朝鮮が軍事パレードをしたとするニュースがあった。FNN「北朝鮮・大規模軍事パレード 特色ある兵器が多く登場しました。」によれば、核兵器を示唆する部隊や、OH-6の民生用や、新型自走砲が出てきた云々としている。
しかしねえ、「何々戦車だ、何々ミサイル」よりも、そこにないものを見つけたとする方が、ニュースとしては意義があるんじゃないかね。
実際に、中央日報日本語版の「“反米援助戦争”を“朝鮮戦争”に用語変えた中国」は、無いものを見つけた興味深い内容になっている。そこに「抗美援朝戦争」という言葉がないことは、重要な発見である。中朝、中韓、中米関係の間にある変化を明らかにしているためだ。
中央日報では、「抗美援朝戦争」が出なかったことについて、その背景を次のように推測している
北朝鮮軍のMD500が飛行したことも、重要なニュースかもしれない。しかし、その存在は昔から知られている。また、仮に南北での衝突や、熱戦でも、戦局を変えるほどの兵器でもない。
それよりも「中国が『抗美援朝戦争』を使わなかった」方を、ニュースとして報道すべきではないのか。北朝鮮が前にミサイルを発射した時もそうだった。前にも書いたが兵器についてのミクロの話よりも、世界がどう変わるのか、どう変化したのかといったマクロの話を報道するべきではないのかね。
※ 「北朝鮮・大規模軍事パレード 特色ある兵器が多く登場しました。」『FNN』(フジニュースネットワーク,2013.7.27)http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00250689.html
※※ 「“反米援助戦争”を“朝鮮戦争”に用語変えた中国」『中央日報日本語版』(中央日報,2013.7.26)http://japanese.joins.com/article/322/174322.html?servcode=A00§code=A30
朝鮮戦争停戦60周年だという。その件で、北朝鮮が軍事パレードをしたとするニュースがあった。FNN「北朝鮮・大規模軍事パレード 特色ある兵器が多く登場しました。」によれば、核兵器を示唆する部隊や、OH-6の民生用や、新型自走砲が出てきた云々としている。
しかしねえ、「何々戦車だ、何々ミサイル」よりも、そこにないものを見つけたとする方が、ニュースとしては意義があるんじゃないかね。
実際に、中央日報日本語版の「“反米援助戦争”を“朝鮮戦争”に用語変えた中国」は、無いものを見つけた興味深い内容になっている。そこに「抗美援朝戦争」という言葉がないことは、重要な発見である。中朝、中韓、中米関係の間にある変化を明らかにしているためだ。
中央日報では、「抗美援朝戦争」が出なかったことについて、その背景を次のように推測している
国際社会で通用する“韓国戦争(Korean War)”の表現を今回の停戦記念行事関連の公式文書に書いたことは、北朝鮮・中国の特殊関係の枠でこの戦争を見ずに、普遍的な国際社会の見解で北中関係を管理しようとする意図が敷かれていると見られる。戦争での歴史的な経緯もあって、唇歯輔車の関係とされていた中国と北朝鮮の関係も、もはや特別の関係ではない。重要性を増す中米・中韓関係と天秤に掛けられたということだ。
北朝鮮軍のMD500が飛行したことも、重要なニュースかもしれない。しかし、その存在は昔から知られている。また、仮に南北での衝突や、熱戦でも、戦局を変えるほどの兵器でもない。
それよりも「中国が『抗美援朝戦争』を使わなかった」方を、ニュースとして報道すべきではないのか。北朝鮮が前にミサイルを発射した時もそうだった。前にも書いたが兵器についてのミクロの話よりも、世界がどう変わるのか、どう変化したのかといったマクロの話を報道するべきではないのかね。
※ 「北朝鮮・大規模軍事パレード 特色ある兵器が多く登場しました。」『FNN』(フジニュースネットワーク,2013.7.27)http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00250689.html
※※ 「“反米援助戦争”を“朝鮮戦争”に用語変えた中国」『中央日報日本語版』(中央日報,2013.7.26)http://japanese.joins.com/article/322/174322.html?servcode=A00§code=A30
Category : 未分類
絵や写真につけるモザイクを薄くしたからワイセツ図画で逮捕という話※ なのだが。
モザイクがあれば「ワイセツではない」とする理屈は何なのだろうか。もちろん、出した雑誌はエロく、ワイセツだろう。エロとワイセツを売りにした雑誌であるから、当たり前な話である。しかし、モザイクがあればワイセツではないとされ、販売差し支えないとするもの不思議な話だ。
エロい図画は、モザイクがあろうとなかろうとエロい。逆に、局所だけを大写ししても、そこに大したエロさはなく、ワイセツでもない。モザイクなんてどうでもいい話ではないのか。局所描写で法律云々するのは止めてもいいのではないか。そんなどうてもいいことに、警察力を投入しても予算・人員・時間の浪費である。なんせ誰も得をしない
そもそも、エロを取り締まる必要はあるのだろうか。表現規制にしてもそうだが、エロの何が悪いのかね。大衆の性欲を昂進させることが悪なら、大衆の食欲を昂進させる旨いもの記事も、睡眠欲を昂進させる羽毛布団の広告も悪だろうよ。
エロを取り締まって何かいいことがあるのか。エロ取り締まりを望むのは、今日では、宗教団体やその支援を受けた政治家くらいしかいない。モザイクは、エロを敵視する彼らの宗教的倫理観を満足させるためだけにある。エロは定義できないものなので、とりあえず性器を表現することをエロでありワイセツと定義しただけの話だ。モザイクは、宗教的倫理観を満足させるためだけに強制されたものに過ぎない。それに反したからといって、犯罪として罪に問うことに何の利益があるのだろうか。
だいたい、性器は誰にも付いている器官にすぎない。実物を観察するのはOKだが、図画はNGというのも、妙な理屈である。それを描写することを許さない。その上に掛けるモザイクの有無、濃淡で人を捕まえて、罪を問うのも、冷静に考えればマヌケな話である。
エロとワイセツに被害者はいない。エロ雑誌からモザイクを外して困るのも気味の悪い情熱を持った宗教の信者か、田舎儒者だけだ。嫌なら見なければいいだけの話であるよ。
ワイセツ図画も、売る場所だけを問題にすればよい。表紙でなければいいとか、大写しは往来から見えないようにすればいいとかで充分ではないのか。
※「出版社編集部長ら逮捕=修整不十分、わいせつと判断—警視庁」『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2013.7.25)http://jp.wsj.com/article/JJ10889362307227954016016898296411650971433.html
モザイクがあれば「ワイセツではない」とする理屈は何なのだろうか。もちろん、出した雑誌はエロく、ワイセツだろう。エロとワイセツを売りにした雑誌であるから、当たり前な話である。しかし、モザイクがあればワイセツではないとされ、販売差し支えないとするもの不思議な話だ。
エロい図画は、モザイクがあろうとなかろうとエロい。逆に、局所だけを大写ししても、そこに大したエロさはなく、ワイセツでもない。モザイクなんてどうでもいい話ではないのか。局所描写で法律云々するのは止めてもいいのではないか。そんなどうてもいいことに、警察力を投入しても予算・人員・時間の浪費である。なんせ誰も得をしない
そもそも、エロを取り締まる必要はあるのだろうか。表現規制にしてもそうだが、エロの何が悪いのかね。大衆の性欲を昂進させることが悪なら、大衆の食欲を昂進させる旨いもの記事も、睡眠欲を昂進させる羽毛布団の広告も悪だろうよ。
エロを取り締まって何かいいことがあるのか。エロ取り締まりを望むのは、今日では、宗教団体やその支援を受けた政治家くらいしかいない。モザイクは、エロを敵視する彼らの宗教的倫理観を満足させるためだけにある。エロは定義できないものなので、とりあえず性器を表現することをエロでありワイセツと定義しただけの話だ。モザイクは、宗教的倫理観を満足させるためだけに強制されたものに過ぎない。それに反したからといって、犯罪として罪に問うことに何の利益があるのだろうか。
だいたい、性器は誰にも付いている器官にすぎない。実物を観察するのはOKだが、図画はNGというのも、妙な理屈である。それを描写することを許さない。その上に掛けるモザイクの有無、濃淡で人を捕まえて、罪を問うのも、冷静に考えればマヌケな話である。
エロとワイセツに被害者はいない。エロ雑誌からモザイクを外して困るのも気味の悪い情熱を持った宗教の信者か、田舎儒者だけだ。嫌なら見なければいいだけの話であるよ。
ワイセツ図画も、売る場所だけを問題にすればよい。表紙でなければいいとか、大写しは往来から見えないようにすればいいとかで充分ではないのか。
※「出版社編集部長ら逮捕=修整不十分、わいせつと判断—警視庁」『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2013.7.25)http://jp.wsj.com/article/JJ10889362307227954016016898296411650971433.html
Category : ミリタリー
JSFさんは、戦車の周辺にある環境を見ようとしない。だから、10式戦車を論ずることができず、10式戦車に詳しいだけで終わってしまう。
まず、儲かっているかと聞いて、ボロ儲けだと回答する会社はない。しかも、官需で稼いでいる企業であればなおさらだ。「軍需でウハウハです」と答えるバカはいない。
JSFさんは、そこが分かっていない。戦車生産について「メーカーはそもそも戦車で全く儲かってない。三菱重工に聞いてみるといいですよ。」というが「聞いてみるといい」と言い切るところが、世間を全く分かっていない。
防衛産業は、相当に有利な「コスト×利益率」で計算している。東電の総括原価と同じで、全く損をしない仕組みになっている。企業によって異なるが、利益率もそれほど悪くはない。
また、支払いもよく、取りはぐれもない。特に戦車は単歳なので年度末までには回収できる。戦車は2年後、3年後に支払う国庫債務負担行為(国債)ではない。また、取りはぐれもない。経費が増えれば、商議でその分、増額される。やる気になれば、水増しして増額させ、まんまと支払わせることもできる。実際に、三菱電機ほかが戦闘機で水増し請求をやっている。
JSFさんは、大好きな国産兵器を擁護するあまり、そのあたりを問題視できない。国産兵器と、その周辺にある問題点に盲目である。国産兵器スゴイ、エライ、世界一としか言わないことは置いておこう。興味深いのは、国産兵器ラブのあまり、その周辺も美化してしまうことだ。「[国産兵器]メーカーはそもそも[国産兵器である]戦車で全く儲かっていない」と言い出すのは、「ボクの大好きな国産兵器を作る防衛産業が金に汚い訳がない」と信じるピュアな心情の吐露である。
この点、JSFさんは桜林美佐さんと同じである。仮に国産兵器の裏にどんな問題があったとしても、それが犯罪であったとしても、国産兵器を作るための「工夫」と言抜けるだろう。桜林さんが過大請求を「国のためではありながら国に補填してもらえない赤字を、自分たちの社内の工夫でなんとか乗り切っていたということだ。」と愛国無罪を主張したように。
JSFさんも、その支持者も、贔屓の引き倒しだ。結局は、戦車そのものしか見ていないファンである。團十郎と勘三郎だけを見て、芝居を見ない歌舞伎ファンに近い。役者しか見ないで芝居を見ないファンと、10式戦車しかみないで日本の安全保障の現況を見ようとしないマニアは同じである。最初から「10式戦車カッコイイ」、「もっと10式戦車を見せろ、増やせ」としか言えない。そこから出ようとしないので、10式戦車がなぜ必要なのかを説明できない。
10式戦車は整備する必要性もない。だが、10式戦車のカッコよさに狂っているJSFさんとその支持者は「10式は必須ではない」主張には感情的に反発することしかできない。その結果が、「ヤツは戦車不要論だ」という、珍奇な理論展開である。JSFさんとその支持者は、頭のなかが「10式戦車 = 戦車・陸上防衛」で短絡しているので、奇妙な論理には全く気づかない。
これは、團十郎、勘三郎のファンが、その演技に疑問を持つ者を「歌舞伎否定論者だ」というようなものだ。全く珍奇な展開であるが、当人たちからすれば、「団三郎、勘三郎 = 歌舞伎」なので、その奇妙さに全く気づかない。
いつも例にだす「カナダでは」の出羽守がそれだ。カナダはアフガンで戦車を再調達したという一点だけで、10式戦車調達を肯定しようとしている。しかし「カナダがアフガンで戦車を必要だと判断した、だから、日本の戦車を10式に更新すべきだ」というのは、全く筋の通らない話である。カナダがアフガンで戦車が必要だったからといって、日本の本土防衛で新戦車が必要とする話にはならないし、それが10式戦車である必要はどこにもない。
だが、10式戦車とそのファンには「10式戦車 = 戦車・陸上防衛」という、誤った確信がある。だから、その点を疑問に思わないのである。あたかも「団三郎、勘三郎 = 歌舞伎」なので、歌舞伎の必要性を述べれば、団十郎、勘三郎の芝居を見に行く理由が立つだろうと勘違いしているわけだ。
1両の戦車を、前後左右上下内部と11面観音に緻密に見ても、その戦車の周辺は見えない。モデラーが模型を玩味するようなものであり、その戦車には詳しくなるのだろう。だが、その戦車が必要であるか、今ある戦車で充分ではないか、自衛隊が海外に出る時期に国内でしか使えない戦車を更新する必要があるのか、そもそも10式戦車を買うような無駄な金があるのかといった点には全く頭がまわらない。
10式戦車を論ずるためには、戦車そのものではなく、戦車の周辺にある環境を見る必要がある。それがなければ、10式戦車に詳しいだけで終わってしまう。
JSFさんは、10式戦車に詳しいだけで終わっている。「ボクの大好きな10式戦車を作る防衛産業が金に汚い訳がない」と「[戦車]メーカーはそもそも戦車で全く儲かっていない」と言い出すのでは、10式戦車が置かれている環境は全く理解は及ばない。10式戦車に疑問を抱く意見に、サイン刺激で噛み付くような言動をこれからも繰り返すのだろう。
まず、儲かっているかと聞いて、ボロ儲けだと回答する会社はない。しかも、官需で稼いでいる企業であればなおさらだ。「軍需でウハウハです」と答えるバカはいない。
JSFさんは、そこが分かっていない。戦車生産について「メーカーはそもそも戦車で全く儲かってない。三菱重工に聞いてみるといいですよ。」というが「聞いてみるといい」と言い切るところが、世間を全く分かっていない。
防衛産業は、相当に有利な「コスト×利益率」で計算している。東電の総括原価と同じで、全く損をしない仕組みになっている。企業によって異なるが、利益率もそれほど悪くはない。
また、支払いもよく、取りはぐれもない。特に戦車は単歳なので年度末までには回収できる。戦車は2年後、3年後に支払う国庫債務負担行為(国債)ではない。また、取りはぐれもない。経費が増えれば、商議でその分、増額される。やる気になれば、水増しして増額させ、まんまと支払わせることもできる。実際に、三菱電機ほかが戦闘機で水増し請求をやっている。
JSFさんは、大好きな国産兵器を擁護するあまり、そのあたりを問題視できない。国産兵器と、その周辺にある問題点に盲目である。国産兵器スゴイ、エライ、世界一としか言わないことは置いておこう。興味深いのは、国産兵器ラブのあまり、その周辺も美化してしまうことだ。「[国産兵器]メーカーはそもそも[国産兵器である]戦車で全く儲かっていない」と言い出すのは、「ボクの大好きな国産兵器を作る防衛産業が金に汚い訳がない」と信じるピュアな心情の吐露である。
この点、JSFさんは桜林美佐さんと同じである。仮に国産兵器の裏にどんな問題があったとしても、それが犯罪であったとしても、国産兵器を作るための「工夫」と言抜けるだろう。桜林さんが過大請求を「国のためではありながら国に補填してもらえない赤字を、自分たちの社内の工夫でなんとか乗り切っていたということだ。」と愛国無罪を主張したように。
JSFさんも、その支持者も、贔屓の引き倒しだ。結局は、戦車そのものしか見ていないファンである。團十郎と勘三郎だけを見て、芝居を見ない歌舞伎ファンに近い。役者しか見ないで芝居を見ないファンと、10式戦車しかみないで日本の安全保障の現況を見ようとしないマニアは同じである。最初から「10式戦車カッコイイ」、「もっと10式戦車を見せろ、増やせ」としか言えない。そこから出ようとしないので、10式戦車がなぜ必要なのかを説明できない。
10式戦車は整備する必要性もない。だが、10式戦車のカッコよさに狂っているJSFさんとその支持者は「10式は必須ではない」主張には感情的に反発することしかできない。その結果が、「ヤツは戦車不要論だ」という、珍奇な理論展開である。JSFさんとその支持者は、頭のなかが「10式戦車 = 戦車・陸上防衛」で短絡しているので、奇妙な論理には全く気づかない。
これは、團十郎、勘三郎のファンが、その演技に疑問を持つ者を「歌舞伎否定論者だ」というようなものだ。全く珍奇な展開であるが、当人たちからすれば、「団三郎、勘三郎 = 歌舞伎」なので、その奇妙さに全く気づかない。
いつも例にだす「カナダでは」の出羽守がそれだ。カナダはアフガンで戦車を再調達したという一点だけで、10式戦車調達を肯定しようとしている。しかし「カナダがアフガンで戦車を必要だと判断した、だから、日本の戦車を10式に更新すべきだ」というのは、全く筋の通らない話である。カナダがアフガンで戦車が必要だったからといって、日本の本土防衛で新戦車が必要とする話にはならないし、それが10式戦車である必要はどこにもない。
だが、10式戦車とそのファンには「10式戦車 = 戦車・陸上防衛」という、誤った確信がある。だから、その点を疑問に思わないのである。あたかも「団三郎、勘三郎 = 歌舞伎」なので、歌舞伎の必要性を述べれば、団十郎、勘三郎の芝居を見に行く理由が立つだろうと勘違いしているわけだ。
1両の戦車を、前後左右上下内部と11面観音に緻密に見ても、その戦車の周辺は見えない。モデラーが模型を玩味するようなものであり、その戦車には詳しくなるのだろう。だが、その戦車が必要であるか、今ある戦車で充分ではないか、自衛隊が海外に出る時期に国内でしか使えない戦車を更新する必要があるのか、そもそも10式戦車を買うような無駄な金があるのかといった点には全く頭がまわらない。
10式戦車を論ずるためには、戦車そのものではなく、戦車の周辺にある環境を見る必要がある。それがなければ、10式戦車に詳しいだけで終わってしまう。
JSFさんは、10式戦車に詳しいだけで終わっている。「ボクの大好きな10式戦車を作る防衛産業が金に汚い訳がない」と「[戦車]メーカーはそもそも戦車で全く儲かっていない」と言い出すのでは、10式戦車が置かれている環境は全く理解は及ばない。10式戦車に疑問を抱く意見に、サイン刺激で噛み付くような言動をこれからも繰り返すのだろう。
Category : 有職故実
コミケ作業では、入れ替えるのが面倒なので、BDは『Das Boot』を掛けっぱなしなのだがね。それ見ていて思い出したのが、シリーズ続編にあたる『S-Boot』。まず不運だった番組の話。
S-Bootとは、Schnellboot、高速魚雷艇のことで、ドイツで放送されたTVシリーズなのだが、まず不発に終わった。実際にDas bootの二匹目のドジョウだから仕方がないのだけどね。300隻近く作られて、6割以上の150隻が沈み、2000人以上が犠牲になった背景を元にした、やはり厳しくて暗い話の二番煎じは、視聴者に好まれなかったのだろうね。
日本版公開のときにも映画ではないのでキネ旬に無視されている。BD・DVDはなくて、あるのはVHSだけなので、ネタバレもないものなのだけれども。簡単にいえば終戦間際に出撃したSボートが、航空攻撃でコンパスとエンジンも破壊され、一人生き残った学徒兵艇長が漂流状態に陥る話だよ。
滲みっぽいけど、そこに笑いを入るところは結構好きだった。終戦間際だけあって、風俗も退嬰的になっている風情なのだが、そこに楽しみとか、笑いが一切なかったわけではないとする、監督の主張でもあるのだろう。
独本土との連絡が途絶えた仏港湾都市。主人公は、出撃前に非合法の女郎屋(花屋)に行くところから始まるのだが。普段は貧相な坊やとバカにされ、愛想一つないフランス美少女な花屋の看板娘が、やたらと優しい。ついにお相手かと、いうがままに、お金に加えて、リクエストに応じて腕時計まで差し出してルンルンで部屋にはいると、出てくるのは脂肪の塊と呼ばれていた、肥えたオバちゃんで騙されたという、切ないような、切なくないようなギャグ。
出撃直前もよかった。艇長が埠頭でぼんやりしていると、突然ドイツ軍属のお姐チャンに拳銃を奪われる。もう耐えられない、死んだほうがマシだと自殺を図ろうとするのだが、引き金引いても発砲しない。主人公が、これ、ひい爺ちゃんが普仏戦争で使ったピストルだからねえと、何の気なしに引き金を引くと、見事撃発、お姐チャンの足許に当たる。お姐チャンは「人殺し、私を殺す気」と叫んで掴みかかるけど、しばらくして二人で笑うところとかね。
オチまで言ってしまうか。被弾後、一人だけ生き残り、漂流で精神状態がオカシクなっていく艇長。絶望で拳銃を手にした刹那に、目の前に潜水艦が浮上する。方向よし、距離よしで、魚雷の発射梃を押そうとすると、潜水艦は味方のドイツUボートで、艇長は安心して腰が抜ける。戦争は終わった、降伏するといわれ、曳航索で引っ張られるのだが、シーンが変わるときには、いつの間にか索が切れている。
戦後、華やかな海水浴場の沖に、幽霊船となったSボートが浮いており、白骨となった艇長の眼窩の向こうに、ヌーディストビーチで若い娘がはしゃいでいる…と、根も葉もない「S-BOOT」なんて嘘のドラマ話を考えついたのでアップしてみたよ。見たい人は、岡本喜八の『肉弾』を見ればだいたい同じ内容だと思います。
S-Bootとは、Schnellboot、高速魚雷艇のことで、ドイツで放送されたTVシリーズなのだが、まず不発に終わった。実際にDas bootの二匹目のドジョウだから仕方がないのだけどね。300隻近く作られて、6割以上の150隻が沈み、2000人以上が犠牲になった背景を元にした、やはり厳しくて暗い話の二番煎じは、視聴者に好まれなかったのだろうね。
日本版公開のときにも映画ではないのでキネ旬に無視されている。BD・DVDはなくて、あるのはVHSだけなので、ネタバレもないものなのだけれども。簡単にいえば終戦間際に出撃したSボートが、航空攻撃でコンパスとエンジンも破壊され、一人生き残った学徒兵艇長が漂流状態に陥る話だよ。
滲みっぽいけど、そこに笑いを入るところは結構好きだった。終戦間際だけあって、風俗も退嬰的になっている風情なのだが、そこに楽しみとか、笑いが一切なかったわけではないとする、監督の主張でもあるのだろう。
独本土との連絡が途絶えた仏港湾都市。主人公は、出撃前に非合法の女郎屋(花屋)に行くところから始まるのだが。普段は貧相な坊やとバカにされ、愛想一つないフランス美少女な花屋の看板娘が、やたらと優しい。ついにお相手かと、いうがままに、お金に加えて、リクエストに応じて腕時計まで差し出してルンルンで部屋にはいると、出てくるのは脂肪の塊と呼ばれていた、肥えたオバちゃんで騙されたという、切ないような、切なくないようなギャグ。
出撃直前もよかった。艇長が埠頭でぼんやりしていると、突然ドイツ軍属のお姐チャンに拳銃を奪われる。もう耐えられない、死んだほうがマシだと自殺を図ろうとするのだが、引き金引いても発砲しない。主人公が、これ、ひい爺ちゃんが普仏戦争で使ったピストルだからねえと、何の気なしに引き金を引くと、見事撃発、お姐チャンの足許に当たる。お姐チャンは「人殺し、私を殺す気」と叫んで掴みかかるけど、しばらくして二人で笑うところとかね。
オチまで言ってしまうか。被弾後、一人だけ生き残り、漂流で精神状態がオカシクなっていく艇長。絶望で拳銃を手にした刹那に、目の前に潜水艦が浮上する。方向よし、距離よしで、魚雷の発射梃を押そうとすると、潜水艦は味方のドイツUボートで、艇長は安心して腰が抜ける。戦争は終わった、降伏するといわれ、曳航索で引っ張られるのだが、シーンが変わるときには、いつの間にか索が切れている。
戦後、華やかな海水浴場の沖に、幽霊船となったSボートが浮いており、白骨となった艇長の眼窩の向こうに、ヌーディストビーチで若い娘がはしゃいでいる…と、根も葉もない「S-BOOT」なんて嘘のドラマ話を考えついたのでアップしてみたよ。見たい人は、岡本喜八の『肉弾』を見ればだいたい同じ内容だと思います。
Category : 中国
上海新聞網で「甲骨文全球大会在上海隆重举行」との見出しを発見。
甲骨文字研究なんてやっている人はそうそういない。まず中国だけで、あとは日本人が少々だろう。それに1万8000人を集めるという。しかも、三回目だともいう。
中華文明に対する歴史的誇りに繋がるのだろうかねえ。さらに、殷墟は華北なのに、上海でやるという。上海市も、純学術的にしかならないような、そんな大会をスポンサードするなんて豪勢なもの。景気がいいとか、北京に負けないぞというあてつけかねと考えたのだがね。
記事を読むと計算機技術云々みたいに書いてある。「商業和信息技術」と、金儲け臭いのが何なんだが「硬件一体化集成系统、云计算、客户体验等新一代信息技术与战略为主题」とある。
「甲骨文」が違う意味なんじゃないか。そう考えてググってみたら「Oracle」だって。オラクルは神託という意味があるみたいなんだが、それを甲骨文、神秘的な古代文書と重ね合わせて社名にしたらしい。
「中文記事に「企業号」が連発されている記事がある。もちろん会社の名前の話ではなく、米空母のエンタープライズの話だったよ」みたいなものかね。まあ騙されたよ。
甲骨文字研究なんてやっている人はそうそういない。まず中国だけで、あとは日本人が少々だろう。それに1万8000人を集めるという。しかも、三回目だともいう。
中華文明に対する歴史的誇りに繋がるのだろうかねえ。さらに、殷墟は華北なのに、上海でやるという。上海市も、純学術的にしかならないような、そんな大会をスポンサードするなんて豪勢なもの。景気がいいとか、北京に負けないぞというあてつけかねと考えたのだがね。
記事を読むと計算機技術云々みたいに書いてある。「商業和信息技術」と、金儲け臭いのが何なんだが「硬件一体化集成系统、云计算、客户体验等新一代信息技术与战略为主题」とある。
「甲骨文」が違う意味なんじゃないか。そう考えてググってみたら「Oracle」だって。オラクルは神託という意味があるみたいなんだが、それを甲骨文、神秘的な古代文書と重ね合わせて社名にしたらしい。
「中文記事に「企業号」が連発されている記事がある。もちろん会社の名前の話ではなく、米空母のエンタープライズの話だったよ」みたいなものかね。まあ騙されたよ。
Category : ミリタリー
米海軍が海水から燃料を作る研究をしている。
"Navy eyes turning sea water into jet fuel"※ によると、米海軍は海水中に溶存している水素と二酸化炭素を抜き出して、燃料に合成するつもりらしい。合成に要するエネルギーについては、原子炉を頼りにするというもの。
石油の払底を見越して、改質油や合成燃料やバイオ燃料が作られている。米軍はその点に熱心であり、それらの代替燃料で艦艇や航空機を動かす実用実験をしている。代替燃料は、製造にも消費にも実用上に極端な問題はない。
これらの代替燃料は、プラントがあれば需要先に作っても良い。今のところは、天然ガス・重質油・石炭といった原料の扱いや、反応塔や改質設備の共用から、供給元に都合の良い石油化学工業地帯に置かれている。しかし、原料やプロセスを適切なものとすれば、設置場所は選ばない。
艦隊にプラントを持たせれば、前線への燃料輸送を減らせる。米海軍はそのような発想を得て、空母にプラントをもたせるアイデアについて研究を始めたということだ。原料については、本質的な問題はない。燃料合成での主流であるFT法では、一酸化炭素と水素を合成して燃料を作っている。天然ガス、重質油、石炭、エタノール等の原料は、一酸化炭素と水素を作るための材料に過ぎない。必要なのは、炭化水素をつくるための炭素と水素と酸素である。別に化石燃料やバイオマスの形で持っていかなくとも、大気中にも海水中にもいくらでもある。
米海軍の着目点は、一酸化炭素の代わりに二酸化炭素を使用できれば、洋上燃料合成はヨリ容易になるというものだ。一酸化炭素は自然界にほとんど存在しないが、二酸化炭素はいくらでもある。水素はそれなりに存在しているし、別に電気分解で作っても良い。米海軍は原子炉をもっているため、合成反応に必要なエネルギーは確保できる。米海軍のアイデアはそのようなものだ。
米海軍は、二酸化炭素と水素から燃料を作り出すプロセスについては具体的に説明していない。しかし、それなり研究もあるので、見通しが暗いわけではない。別に非効率でも二酸化炭素から炭素を取り出して一酸化炭素を作ってもよい。原子炉があれば、エネルギー効率は相当に無視できる。
このアイデアが実現すれば、空母機動部隊は食料と弾薬ある限り戦闘を続けることができる。米空母打撃群にあるアキレス腱は、大量消費する航空燃料と弾薬にある。それらを消費することで戦闘継続能力を失い、洋上あるいは寄港しての補給を強要される。だが、航空燃料だけでも自前で作れれば、戦闘継続能力は飛躍的に向上する。弾薬も、航空燃料用スペースを転用すれば相当数積み増しできるからだ。また、航空燃料は艦艇燃料に転用可能なので、護衛する水上戦闘艦の燃料としても使える。
計画では、空母にプラントをはめ込む構想である。プラント船から洋上給油の手間を省くことを考えれば、合理的な発想である。しかし、プラントのサイズや、既存艦への対応を考えれば、当座は原子炉を搭載した専用補給艦の類に取り付けることになるだろう。
実現するにしても、5年10年の話ではない。その間に紆余曲折もある。そもそもうまくいくかどうかは、全くわからない。だが、将来の燃料枯渇を見据え、新しい技術で解決しようと研究するところは、米国のエライところであるだろう。まあ、計画遅延による打ち切りを恐れた技術者が「この通りでございます」と、CNOの目の前で海水と燃料を掏り替えるようなエピソードとかも欲しいけどね。
あとは、効率次第だが、日本では海自より新日鉄よりの技術かもしれない。製鉄業は2酸化炭素があり、昔は水素富化とかやっていて水素生産も容易である。熱も余っている。排出権分コストが高くなっても、二酸化炭素のごく一部でも液体燃料化できれば助かるだろうよ。
※ "Navy eyes turning sea water into jet fuel","NAVY TIMES"(2012.10.13)http://www.navytimes.com/article/20121013/NEWS/210130317/Navy-eyes-turning-sea-water-into-jet-fuel
"Navy eyes turning sea water into jet fuel"※ によると、米海軍は海水中に溶存している水素と二酸化炭素を抜き出して、燃料に合成するつもりらしい。合成に要するエネルギーについては、原子炉を頼りにするというもの。
石油の払底を見越して、改質油や合成燃料やバイオ燃料が作られている。米軍はその点に熱心であり、それらの代替燃料で艦艇や航空機を動かす実用実験をしている。代替燃料は、製造にも消費にも実用上に極端な問題はない。
これらの代替燃料は、プラントがあれば需要先に作っても良い。今のところは、天然ガス・重質油・石炭といった原料の扱いや、反応塔や改質設備の共用から、供給元に都合の良い石油化学工業地帯に置かれている。しかし、原料やプロセスを適切なものとすれば、設置場所は選ばない。
艦隊にプラントを持たせれば、前線への燃料輸送を減らせる。米海軍はそのような発想を得て、空母にプラントをもたせるアイデアについて研究を始めたということだ。原料については、本質的な問題はない。燃料合成での主流であるFT法では、一酸化炭素と水素を合成して燃料を作っている。天然ガス、重質油、石炭、エタノール等の原料は、一酸化炭素と水素を作るための材料に過ぎない。必要なのは、炭化水素をつくるための炭素と水素と酸素である。別に化石燃料やバイオマスの形で持っていかなくとも、大気中にも海水中にもいくらでもある。
米海軍の着目点は、一酸化炭素の代わりに二酸化炭素を使用できれば、洋上燃料合成はヨリ容易になるというものだ。一酸化炭素は自然界にほとんど存在しないが、二酸化炭素はいくらでもある。水素はそれなりに存在しているし、別に電気分解で作っても良い。米海軍は原子炉をもっているため、合成反応に必要なエネルギーは確保できる。米海軍のアイデアはそのようなものだ。
米海軍は、二酸化炭素と水素から燃料を作り出すプロセスについては具体的に説明していない。しかし、それなり研究もあるので、見通しが暗いわけではない。別に非効率でも二酸化炭素から炭素を取り出して一酸化炭素を作ってもよい。原子炉があれば、エネルギー効率は相当に無視できる。
このアイデアが実現すれば、空母機動部隊は食料と弾薬ある限り戦闘を続けることができる。米空母打撃群にあるアキレス腱は、大量消費する航空燃料と弾薬にある。それらを消費することで戦闘継続能力を失い、洋上あるいは寄港しての補給を強要される。だが、航空燃料だけでも自前で作れれば、戦闘継続能力は飛躍的に向上する。弾薬も、航空燃料用スペースを転用すれば相当数積み増しできるからだ。また、航空燃料は艦艇燃料に転用可能なので、護衛する水上戦闘艦の燃料としても使える。
計画では、空母にプラントをはめ込む構想である。プラント船から洋上給油の手間を省くことを考えれば、合理的な発想である。しかし、プラントのサイズや、既存艦への対応を考えれば、当座は原子炉を搭載した専用補給艦の類に取り付けることになるだろう。
実現するにしても、5年10年の話ではない。その間に紆余曲折もある。そもそもうまくいくかどうかは、全くわからない。だが、将来の燃料枯渇を見据え、新しい技術で解決しようと研究するところは、米国のエライところであるだろう。まあ、計画遅延による打ち切りを恐れた技術者が「この通りでございます」と、CNOの目の前で海水と燃料を掏り替えるようなエピソードとかも欲しいけどね。
あとは、効率次第だが、日本では海自より新日鉄よりの技術かもしれない。製鉄業は2酸化炭素があり、昔は水素富化とかやっていて水素生産も容易である。熱も余っている。排出権分コストが高くなっても、二酸化炭素のごく一部でも液体燃料化できれば助かるだろうよ。
※ "Navy eyes turning sea water into jet fuel","NAVY TIMES"(2012.10.13)http://www.navytimes.com/article/20121013/NEWS/210130317/Navy-eyes-turning-sea-water-into-jet-fuel
Category : ミリタリー
自衛隊で、これだけあればデカイ顔ができるものがある。体力でも、技術でも、語学といろいろあるが、文書もひと通りできればデカイ顔ができる。
特に面倒な文書をやりたがる奴はいない。一般命令や日日命令といった、定例の文書なら書く奴は多いが、面倒な文書はみんな逃げる。中身が重要であるだけに、それで失敗したり、泥沼にハマることを恐れている。逆に言えば、その文書が作れれば、普段は鼻毛ぬいて長さの記録をとっていても、表だっては何も言われない。
デカイ顔をするには、まずは自ら重要かつメンドイ文書を書くことである。みんなが嫌厭する文書について、2-3回も起案して決済まで持っていけば、周りは頼りにしてくれる。たとえば、指揮官から自治体首長あてのリクエストや、米海軍転任者への感謝状、係争相手への要求文書、トラブルでの業者間仲裁といったものだ。
2尉の時に、総監名で市長への手紙、その中身は行政への海自の抗議とリクエストを書いたことがある。その時には、周りの佐官級はみんな逃げた。仕方がないから己が起案した。仮置きのリクエストを作り、関係課にそれでいいかを確認し、起案すると、ほとんど文句は出ない。唯一、作戦部のアレなの(もちろん上級者)がブツブツ言ってくるが、「それならアナタが起案しなさい」というと黙る。
決済貰ったあと、普段は口うるさい総務課文書係も何も言わない。普段は無事に決済が終わっても、浄書で文書形式について文句を言ってくるものだが、中身が中身だけで何も言えない。縦書で、格調があるのだがないのだかの持って回った言い回しをして、しかも常用漢字以外を乱発し、秤量の大きな紙に印刷した行政文書とは相当に離れた体裁だが、これでなければならない理由をガーッと言ったらそのまま通った。あとは市役所の方にも連絡して、文書を握りつぶされない部署宛に送るだけ。
あとに並べた文書もそんな感じで起案・発簡した。みんな逃げる仕事を拾えば、その文書起案だけではなく、それ以降も仕事で文句を言われなくなる。
一回、メンドイ文書をやれば自信も付く。別に自分の裁量で文書を書いても、それでOKなことに気づく。部外宛のメンドイ文章は、『海上自衛隊文書の手引』なんか最初から無視して構わない。つまらない難癖みたいな指摘は全部無視できる。「文句があるならお前やれ」で「公文書としての効力は変わらない」とか「総務省は字数行数に拘らず、1ペーパーを推奨している」と嘯くようになれば、以降は、定例文章でも何も言われなくなる。
そんな感じで、若い時に米海軍転任者への感謝状、係争相手への要求文書、業者間トラブルでの仲裁の案文なんかを連荘でやった。やっているときはキツイが、その後、同じ性格の文書で2回目3回目は鼻歌ものでできる。そういう案件・文書を担当していれば、タバコ(吸わない)と称して、ブラブラ散歩していても、周りは何も言えなくなる。普段から非定型の仕事が多かったので、よく考えが詰まるので、ブラブラ散歩していたが、押し付けた仕事ということもあって、怒るに怒れないのだろう。押し付けた張本人、逃げてばかりで何も仕事をしない定年前の小煩いだけの幹部は、わざわざ己のいないとこで初級幹部を叱っていたよ。
そうこうすると、筆に自信もついて来るので、中級幹部になるころには、相当にデカイ顔ができるようになる。その頃になると、対外文書の添状を、いたずら心で、わざわざ小笠原流を真似した、少し崩した字を書くようになった。もちろん、文句どころか感心されるようになったよ。ちなみに、崩し字は修士で読解をやっただけで、書く方は書道なんかやったことはないのだけれどもね。
まあ、何か一芸あれば、あとは適当にやってもデカイ顔ができるというものだ。若いうちに、競争のない、あんまやりたがならい仕事で周りをブッチギって名前売っといたほうがよい。特に手仕事系は、体力徽章とかと違って年取っても維持に苦労することもなく、老練になるので悪くないものだよ。
特に面倒な文書をやりたがる奴はいない。一般命令や日日命令といった、定例の文書なら書く奴は多いが、面倒な文書はみんな逃げる。中身が重要であるだけに、それで失敗したり、泥沼にハマることを恐れている。逆に言えば、その文書が作れれば、普段は鼻毛ぬいて長さの記録をとっていても、表だっては何も言われない。
デカイ顔をするには、まずは自ら重要かつメンドイ文書を書くことである。みんなが嫌厭する文書について、2-3回も起案して決済まで持っていけば、周りは頼りにしてくれる。たとえば、指揮官から自治体首長あてのリクエストや、米海軍転任者への感謝状、係争相手への要求文書、トラブルでの業者間仲裁といったものだ。
2尉の時に、総監名で市長への手紙、その中身は行政への海自の抗議とリクエストを書いたことがある。その時には、周りの佐官級はみんな逃げた。仕方がないから己が起案した。仮置きのリクエストを作り、関係課にそれでいいかを確認し、起案すると、ほとんど文句は出ない。唯一、作戦部のアレなの(もちろん上級者)がブツブツ言ってくるが、「それならアナタが起案しなさい」というと黙る。
決済貰ったあと、普段は口うるさい総務課文書係も何も言わない。普段は無事に決済が終わっても、浄書で文書形式について文句を言ってくるものだが、中身が中身だけで何も言えない。縦書で、格調があるのだがないのだかの持って回った言い回しをして、しかも常用漢字以外を乱発し、秤量の大きな紙に印刷した行政文書とは相当に離れた体裁だが、これでなければならない理由をガーッと言ったらそのまま通った。あとは市役所の方にも連絡して、文書を握りつぶされない部署宛に送るだけ。
あとに並べた文書もそんな感じで起案・発簡した。みんな逃げる仕事を拾えば、その文書起案だけではなく、それ以降も仕事で文句を言われなくなる。
一回、メンドイ文書をやれば自信も付く。別に自分の裁量で文書を書いても、それでOKなことに気づく。部外宛のメンドイ文章は、『海上自衛隊文書の手引』なんか最初から無視して構わない。つまらない難癖みたいな指摘は全部無視できる。「文句があるならお前やれ」で「公文書としての効力は変わらない」とか「総務省は字数行数に拘らず、1ペーパーを推奨している」と嘯くようになれば、以降は、定例文章でも何も言われなくなる。
そんな感じで、若い時に米海軍転任者への感謝状、係争相手への要求文書、業者間トラブルでの仲裁の案文なんかを連荘でやった。やっているときはキツイが、その後、同じ性格の文書で2回目3回目は鼻歌ものでできる。そういう案件・文書を担当していれば、タバコ(吸わない)と称して、ブラブラ散歩していても、周りは何も言えなくなる。普段から非定型の仕事が多かったので、よく考えが詰まるので、ブラブラ散歩していたが、押し付けた仕事ということもあって、怒るに怒れないのだろう。押し付けた張本人、逃げてばかりで何も仕事をしない定年前の小煩いだけの幹部は、わざわざ己のいないとこで初級幹部を叱っていたよ。
そうこうすると、筆に自信もついて来るので、中級幹部になるころには、相当にデカイ顔ができるようになる。その頃になると、対外文書の添状を、いたずら心で、わざわざ小笠原流を真似した、少し崩した字を書くようになった。もちろん、文句どころか感心されるようになったよ。ちなみに、崩し字は修士で読解をやっただけで、書く方は書道なんかやったことはないのだけれどもね。
まあ、何か一芸あれば、あとは適当にやってもデカイ顔ができるというものだ。若いうちに、競争のない、あんまやりたがならい仕事で周りをブッチギって名前売っといたほうがよい。特に手仕事系は、体力徽章とかと違って年取っても維持に苦労することもなく、老練になるので悪くないものだよ。
Category : ミリタリー
JSFさんが、「海自は『しなの』を艦名から排除しない」と主張している。だが、誰がわざわざ「しなの」と「むつ」を命名するというのかだろうか?
「しなの」と「むつ」は縁起が悪すぎる。「しなの」は戦局にまったく寄与せず、公試直後に瀬戸内に疎開する中途で沈められている。「むつ」は、自爆により沈んでいる。どちらも、縁起が悪いこととして国民に有名である。艦名に採用するにはあまりに不都合に過ぎる。
JSFさんは「『しなの』が縁起が悪い」という世評に対して、奇妙な噛み付き方をしている。
JSFさんは、国民や乗員への評判を考慮しない。「信濃」は、不運の象徴であることは、国民や乗員に有名であることを無視している。基本的に口喧嘩に勝つことしか考えていないので「『戦局に寄与する事無く生まれて直ぐ沈んで行った』という艦は信濃以外にも一杯」いると、言い訳している。
「軍隊は政治的に潔白で、その艦名決定は、政治的配慮とは全く無関係である」とJSFさんは信じている。だから、米海軍にある政治的配慮についての、問題指摘も矮小化しようとしている。現実には、国でも主力艦には、命名についても国民や議会方面への配慮がなされている。しかし、JSFさんは、そこには、国民や議会の歓心を得るような不純な発想はないと主張している。
だが、現実はJSFさんのように潔癖ではない。日本も米国も英国も、それ以外の国でも、艦名には国民や議会への配慮がある。この時、話題になっている米海軍でも、原潜の父リッコーバーは、潜水艦の艦名が魚・海生生物であることを無視して、議会配慮を得るために人名を採用した。その時には「魚は投票しない」と言い放っている。後に潜水艦は議会の賛同を得やすいように都市名が採用され、さらに、空母とともに生存している政治家名を冠することも増えている。
米海軍での実例で困ったJSFさんは、結局は「海軍が自発的に命名するのは別にいいんです」と、わけのわからない理由で主張を後退させた。
つまり、JSFさんの、海自は艦名として「しなの」を避けないという主張は、JSFさんの軍隊への願望の発露である。軍隊は国民世論や、議会、政治家から超然としており、全て軍事的合理性だけで成り立っている組織であるといった信念の結果である。JSFさんは「軍隊は清潔であり、政治の汚濁から逃れている、だから無謬である」と考えている。だから、国民の意見に惑わされずに、事務的合理性から「しなの」も使うと主張しているのである。
結局、JSFさんは、人の心、感情といったものを全く理解していない。「沖縄に基地を置くのは軍事的合理性に合致しているので、県民世論は無視して良い」や、「オスプレイは機械工学的な信頼性は確保しているので、反対運動は全て無視して良い」といった普段の主張と同根の問題である。まず、教祖も信者も理系を売り物にしているが、人の感情が分からない理系が、アレでどうしようもないものである。なによりも、それに気づかない本人たちといった点は、共通する性質である。
・オマケ
JSFさんはいつもの予言癖で、次は「『しなの』になる可能性が非常に高い。」「日本神話繋がり」と述べている。だが、別に出雲と信濃には、神武東征での日向と伊勢のような関係を想起できるわけではない。
「しなの」と「むつ」は縁起が悪すぎる。「しなの」は戦局にまったく寄与せず、公試直後に瀬戸内に疎開する中途で沈められている。「むつ」は、自爆により沈んでいる。どちらも、縁起が悪いこととして国民に有名である。艦名に採用するにはあまりに不都合に過ぎる。
JSFさんは「『しなの』が縁起が悪い」という世評に対して、奇妙な噛み付き方をしている。
JSF@obiekt_JPJSFさんは「旧海軍の艦艇は殆ど不幸な最期を遂げている」と述べている。だが、「しなの」にあるのは、「不幸な最期」だけではない。建造当初から、常に不運であることを見ていない。この点、ゲン担ぎに向いていない。「信濃」は、戦艦として建造され、工事が中断し放置され、空母に改装されるが、完成した時には何の仕事もできない状態であった。その上、作戦行動でもない、内海への疎開で、あっけなく潜水艦に沈められている。戦功ゼロの上、あまりに惨めな最後である。そして、その縁起悪さは乗員や国民に周知されている。誰も支持せず、ヤメロという艦名である。「雲龍」とは違いすぎる。「雲龍は」艦隊に入って、作戦行動中に沈んでいる。その不運も、あまり知られていない。
そういう発想は嫌いですね、旧海軍の艦艇は殆ど不幸な最期を遂げているのに運が無いというだけで否定するだなんて。潜水艦に沈められたのは雲龍も同じですが、既に海自の潜水艦に命名済みですよ。RT @ant_onion そもそも信濃なんて先代に運のない艦名を選ぶなんて…。
2013年7月20日 - 10:09
https://twitter.com/obiekt_JP/status/358634707350601728
JSFさんは、国民や乗員への評判を考慮しない。「信濃」は、不運の象徴であることは、国民や乗員に有名であることを無視している。基本的に口喧嘩に勝つことしか考えていないので「『戦局に寄与する事無く生まれて直ぐ沈んで行った』という艦は信濃以外にも一杯」いると、言い訳している。
JSF @obiekt_JPつまりJSFさんは「国民や乗員に不人気な名前でも、抵抗があっても、役所は機械的・事務的に命名する」と本気で考えているということだ。そのような発想自体、世間知らずだということを告白している。
@ant_onion 「戦局に寄与する事無く生まれて直ぐ沈んで行った」という艦は信濃以外にも一杯いますので、信濃だけ特別視する意味を感じないです。
2013年7月20日 - 10:19
https://twitter.com/obiekt_JP/status/358637375460618242
「軍隊は政治的に潔白で、その艦名決定は、政治的配慮とは全く無関係である」とJSFさんは信じている。だから、米海軍にある政治的配慮についての、問題指摘も矮小化しようとしている。現実には、国でも主力艦には、命名についても国民や議会方面への配慮がなされている。しかし、JSFさんは、そこには、国民や議会の歓心を得るような不純な発想はないと主張している。
Kanorin_EX@ant_onion
@obiekt_JP アメリカの場合建造予算獲得のためにもっと更に生々しい(?)レベルで名前が決まる傾向がありますしねぇ…。
2013年7月20日 - 20:49
https://twitter.com/ant_onion/status/358795791743193088
JSF @obiekt_JP海軍予算獲得のために、議会や政治家の歓心を得る上で、艦名も利用されている。それが「建造予算獲得のためにもっと更に生々しい(?)レベルで名前が決まる」である。しかし、JSFさんの「軍隊を清潔で無謬な存在である」という、片思いに似た感情がそれを認めることを許さないわけだ。艦名を決めるときに、汚れた政治から距離を取っておいて欲しいという、清潔好きな願望の現れある。
@ant_onion 22DDHが「いずも」となったら神話繋がりで「しなの」は24DDHの最有力候補の一つになるでしょう。あとアメリカの場合は国防長官がゴリ押しした例はありません。2013年7月20日 - 12:22
https://twitter.com/obiekt_JP/status/358668175170224129
だが、現実はJSFさんのように潔癖ではない。日本も米国も英国も、それ以外の国でも、艦名には国民や議会への配慮がある。この時、話題になっている米海軍でも、原潜の父リッコーバーは、潜水艦の艦名が魚・海生生物であることを無視して、議会配慮を得るために人名を採用した。その時には「魚は投票しない」と言い放っている。後に潜水艦は議会の賛同を得やすいように都市名が採用され、さらに、空母とともに生存している政治家名を冠することも増えている。
米海軍での実例で困ったJSFさんは、結局は「海軍が自発的に命名するのは別にいいんです」と、わけのわからない理由で主張を後退させた。
JSF @obiekt_JPそれまでの主張「海軍は議会、政治家の歓心に超然としている」から「海軍が自発的に命名するのは別にいい」への変化は怪訝である。超然としているなら、へりくだってゴマを擦る必要はない。だが、実際に米海軍はゴマを摺りまくりであることが分かったので、撤退して予防線を貼ったものだ。
@ant_onion 海軍が自発的に命名するのは別にいいんですよ、ステニスにしろ。ゴリ押しの実例、出せますか?
2013年7月20日 - 21:01
https://twitter.com/obiekt_JP/status/358798822375301120
つまり、JSFさんの、海自は艦名として「しなの」を避けないという主張は、JSFさんの軍隊への願望の発露である。軍隊は国民世論や、議会、政治家から超然としており、全て軍事的合理性だけで成り立っている組織であるといった信念の結果である。JSFさんは「軍隊は清潔であり、政治の汚濁から逃れている、だから無謬である」と考えている。だから、国民の意見に惑わされずに、事務的合理性から「しなの」も使うと主張しているのである。
結局、JSFさんは、人の心、感情といったものを全く理解していない。「沖縄に基地を置くのは軍事的合理性に合致しているので、県民世論は無視して良い」や、「オスプレイは機械工学的な信頼性は確保しているので、反対運動は全て無視して良い」といった普段の主張と同根の問題である。まず、教祖も信者も理系を売り物にしているが、人の感情が分からない理系が、アレでどうしようもないものである。なによりも、それに気づかない本人たちといった点は、共通する性質である。
・オマケ
JSFさんはいつもの予言癖で、次は「『しなの』になる可能性が非常に高い。」「日本神話繋がり」と述べている。だが、別に出雲と信濃には、神武東征での日向と伊勢のような関係を想起できるわけではない。
JSF @obiekt_JPその程度の「神話のつながり」よりも、艦名がもつイメージが悪いので、それを忌避する感情の方が強く出る。そもそも、あの世間体を重視する海自が、特に国民のウケが悪い「しなの」と「むつ」を入れるとも思えない。仮に鈍感な担当が、そんな案を出しても、アンケートでエライ目に遭う。少なくとも重要艦名では、3択と自由記述のアンケートをとっている。多分、将官あたりで回すものだが、その将官が「せっかくだから部下に意見を聞いてみるか」と考えてか、己あたりのレベルまで回ってくることもあった。「いせ」のときはそうだったのだが、将官にあげる結果は、まずは無難かつ妥当なものだった。まあ、「しなの」と「むつ」は間違いなく、選択肢に登らないし、アンケートで拒絶されるね。
ただ24DDHは「しなの」になる可能性が非常に高い。「いずも」と日本神話繋がりになるので。
2013年7月21日 - 5:03
https://twitter.com/obiekt_JP/status/358920235086131200(赤字は筆者)
Category : ミリタリー
おおすみ型輸送艦とうらが型掃海母艦と、ましゅう型ほかの補給艦は、ひとつのクラスで一本化できなかったものか。
輸送艦、掃海母艦、補給艦は、大型で中速、補給物資搭載といった点で共通している。航空機運用能力が必要である点や、長距離を移動する仕事といったあたりでも似ている。
輸送艦3隻、掃海母艦2隻、補給艦5隻を共通化できれば、便利になっただろう。同時投入可能な数が、それぞれ10隻に増えたのと同じ事になるからだ。
各艦種を全く同じにできなくとも、限定的でも他艦種が行う仕事ができるようにすべきだった。相当に柔軟な運用ができる。共通化が容易な輸送艦と掃海母艦に比べて、補給艦はやや特殊である。だが、輸送艦と掃海母艦が簡易な洋上補給能力を持ち、補給艦に簡易な輸送能力や掃海艇支援能力をもたせただけで、運用での柔軟性は相当に向上する。
DDHも、輸送/掃海母艦/補給艦の上位互換で作るべきであった。DDHは、すでに護衛艦ではない。護衛される側であり、固有兵装を必要とするものではない。まずは航空機運用能力が第一である。そのための広大な甲板面積、大型格納庫、巨大な燃料搭載量、乗員給養能力が用意されている。いずれも一寸した艤装で輸送/掃海母艦/補給艦として充分に活用することができる。
米空母も、輸送/掃海母艦/補給艦の上位互換として使っている。米国は空母をしばしば輸送艦、つまり強襲揚陸艦の代わりに使う。また、米国の掃海母艦は、ミニ空母とでもいうべき強襲揚陸艦の転用である。掃海ヘリや掃海具展張、対機雷戦艦艇の支援は空母にとって容易である。空母には、随伴水上艦への補給能力もあり、洋上補給を行うこともある。
作ってしまったものは仕方がないが、今からでも改装等により、可能な範囲での共用化を図るべきではないか。それにより、DDH、輸送艦、掃海母艦、補給艦をヨリ有効に使うことができるようになる。
まあ、それなりの軽空母である22・24DDHの後に、モノホンの空母を作るのだろうけどねえ。「おおすみ」と「いせ」にしても、冗談めかしながら「目を慣らすため」という話を聞いたことがあるのだけどね。その時には、輸送艦や掃海母艦、補給艦の上位互換にしといたほうがいいだろうねえ。
輸送艦、掃海母艦、補給艦は、大型で中速、補給物資搭載といった点で共通している。航空機運用能力が必要である点や、長距離を移動する仕事といったあたりでも似ている。
輸送艦3隻、掃海母艦2隻、補給艦5隻を共通化できれば、便利になっただろう。同時投入可能な数が、それぞれ10隻に増えたのと同じ事になるからだ。
各艦種を全く同じにできなくとも、限定的でも他艦種が行う仕事ができるようにすべきだった。相当に柔軟な運用ができる。共通化が容易な輸送艦と掃海母艦に比べて、補給艦はやや特殊である。だが、輸送艦と掃海母艦が簡易な洋上補給能力を持ち、補給艦に簡易な輸送能力や掃海艇支援能力をもたせただけで、運用での柔軟性は相当に向上する。
DDHも、輸送/掃海母艦/補給艦の上位互換で作るべきであった。DDHは、すでに護衛艦ではない。護衛される側であり、固有兵装を必要とするものではない。まずは航空機運用能力が第一である。そのための広大な甲板面積、大型格納庫、巨大な燃料搭載量、乗員給養能力が用意されている。いずれも一寸した艤装で輸送/掃海母艦/補給艦として充分に活用することができる。
米空母も、輸送/掃海母艦/補給艦の上位互換として使っている。米国は空母をしばしば輸送艦、つまり強襲揚陸艦の代わりに使う。また、米国の掃海母艦は、ミニ空母とでもいうべき強襲揚陸艦の転用である。掃海ヘリや掃海具展張、対機雷戦艦艇の支援は空母にとって容易である。空母には、随伴水上艦への補給能力もあり、洋上補給を行うこともある。
作ってしまったものは仕方がないが、今からでも改装等により、可能な範囲での共用化を図るべきではないか。それにより、DDH、輸送艦、掃海母艦、補給艦をヨリ有効に使うことができるようになる。
まあ、それなりの軽空母である22・24DDHの後に、モノホンの空母を作るのだろうけどねえ。「おおすみ」と「いせ」にしても、冗談めかしながら「目を慣らすため」という話を聞いたことがあるのだけどね。その時には、輸送艦や掃海母艦、補給艦の上位互換にしといたほうがいいだろうねえ。
Category : ナショナリズム
尖閣諸島での消耗戦も、うんざりするだけでいいことは何もない。無駄に人と金を消耗している。政治的にも、中国と上手くいかない要因である。政治的な不仲は、経済的にも悪影響をもたらす。
しかし、領土を失うと政府が倒れるので、無駄だと知りつつもやめるわけにも行かない。
そこで、いっそ、南沙に火種を投げ込むというのはどうかね。
ちょうど今、また南沙で中国とフィリピンがもめているらしい。報道によると「南シナ海で中国、比と一触即発 艦船と漁船団で『圧力』」とのことである。フィリピンを上手く焚きつけて、南沙が軽くひと燃えさせることはできないだろうか。
南沙が炎上してくれると、日本は助かる。間違いなく、尖閣諸島への中国の圧力は減少する。政治的な要求も、政府公船を使った実績作りも、今よりは緩やかになる。そこで、中国にどうとでも取れるリップサービスをすれば、尖閣は現状で両国が積み上げたものを維持する形で、どちらもこれ以上のものを失わず、相手に与えずで、一時的に停戦できるかもしれない。
日本としては、南沙が燃え上がっても何も困らない。日本としては南沙がどこの国のものかという話は、どうでもいい。南シナ海での航行の自由が確保されれば、どこの国が勝とうが知ったことではない。むしろ、炎上すれば日本は利益を得る立場になる。中国が足を取られれば、日中のゲームでは日本側は優位になる。フィリピンが足を取られても、「日本に助けてくれ」とお願いをしてくるので、日比外交でも日本側が得をする。
南沙が燃え上れば、日本はうまいとこ取りもできる。「日本政府は、南沙諸島での領有権争いには関与しないと」でも言って、中国の歓心を得る。「係争国による軍事力行使には反対する」とでも言えば、フィリピンの歓心を得られる。とはいえ、巻き込まれるのはゴメンだから、「関係国には冷静な対応を希望する」か何かを付け加えてもいいか。
問題は、投げ込む火種である。中国かフィリピンをその気にさせたいのだが、一発で燃え上がらせる方法はない。まず、中国を焚きつける方法もない。あっても、尖閣での係争の安定化程度しましょう程度の申し入れか。対して、フィリピンを焚きつけることはそれほど難しくもなさそうだが、露骨にやると中国に恨まれる問題もある。フィリピンに軍艦の類を与えれば、強気になってくれそうなのだが、それでは中国に恨まれてしまう。
高性能漁船あたりを民間に多数援助(融資とかでもいいね)することくらいだろうか。高性能の漁船を手に入れたフィリピン人漁師は、北方領土の特攻船のように中国人の目鼻の先で操業してくれるだろう。ナショナリズムもあることから、フィリピン漁民は熱意を持って出漁する。中国漁船の網を切り、針路を邪魔し、追尾してくる漁政を高速性能で振り切ったりしてもらえれば、フィリピンと中国とのトラブル誘発を助長させることも期待できる。
なんにしても、日本にとって南沙が燃え上がることは、良い話である。尖閣での消耗戦を低強度に切り下げるチャンスにもなる。また、日本も当事者双方に恩を売るチャンスにもなるだろう。
しかし、領土を失うと政府が倒れるので、無駄だと知りつつもやめるわけにも行かない。
そこで、いっそ、南沙に火種を投げ込むというのはどうかね。
ちょうど今、また南沙で中国とフィリピンがもめているらしい。報道によると「南シナ海で中国、比と一触即発 艦船と漁船団で『圧力』」とのことである。フィリピンを上手く焚きつけて、南沙が軽くひと燃えさせることはできないだろうか。
南沙が炎上してくれると、日本は助かる。間違いなく、尖閣諸島への中国の圧力は減少する。政治的な要求も、政府公船を使った実績作りも、今よりは緩やかになる。そこで、中国にどうとでも取れるリップサービスをすれば、尖閣は現状で両国が積み上げたものを維持する形で、どちらもこれ以上のものを失わず、相手に与えずで、一時的に停戦できるかもしれない。
日本としては、南沙が燃え上がっても何も困らない。日本としては南沙がどこの国のものかという話は、どうでもいい。南シナ海での航行の自由が確保されれば、どこの国が勝とうが知ったことではない。むしろ、炎上すれば日本は利益を得る立場になる。中国が足を取られれば、日中のゲームでは日本側は優位になる。フィリピンが足を取られても、「日本に助けてくれ」とお願いをしてくるので、日比外交でも日本側が得をする。
南沙が燃え上れば、日本はうまいとこ取りもできる。「日本政府は、南沙諸島での領有権争いには関与しないと」でも言って、中国の歓心を得る。「係争国による軍事力行使には反対する」とでも言えば、フィリピンの歓心を得られる。とはいえ、巻き込まれるのはゴメンだから、「関係国には冷静な対応を希望する」か何かを付け加えてもいいか。
問題は、投げ込む火種である。中国かフィリピンをその気にさせたいのだが、一発で燃え上がらせる方法はない。まず、中国を焚きつける方法もない。あっても、尖閣での係争の安定化程度しましょう程度の申し入れか。対して、フィリピンを焚きつけることはそれほど難しくもなさそうだが、露骨にやると中国に恨まれる問題もある。フィリピンに軍艦の類を与えれば、強気になってくれそうなのだが、それでは中国に恨まれてしまう。
高性能漁船あたりを民間に多数援助(融資とかでもいいね)することくらいだろうか。高性能の漁船を手に入れたフィリピン人漁師は、北方領土の特攻船のように中国人の目鼻の先で操業してくれるだろう。ナショナリズムもあることから、フィリピン漁民は熱意を持って出漁する。中国漁船の網を切り、針路を邪魔し、追尾してくる漁政を高速性能で振り切ったりしてもらえれば、フィリピンと中国とのトラブル誘発を助長させることも期待できる。
なんにしても、日本にとって南沙が燃え上がることは、良い話である。尖閣での消耗戦を低強度に切り下げるチャンスにもなる。また、日本も当事者双方に恩を売るチャンスにもなるだろう。
Category : 中国
確かに、中国とは、軍事力を使ったゲームをしている。あと10年20年は張りあわなければならないし、摩擦も対立局面も起きるだろう。だが、ここまで中国のやることに悪意を持つのは異常ではないだろうか。
佐藤正久さんのオフィシャルブログで、新潟の中国領事館問題を取り上げている。「新潟で展開『トロイの木馬』作戦をこう潰せ!」 以前に、広すぎるし、相互主義からオカシイんじゃないのと話題になった問題である。ちなみに、領事館整備は今は凍結状態にある。
この問題について、佐藤さんはあまりみない主張をしている。中国領事館の軍事利用と北朝鮮による利用といった問題である。
佐藤さんは「軍事要塞化された領事館が戦闘の拠点」となることを危惧している。しかし、軍事要塞化して何と戦うのか。
似た例として思いつくのはダンチィヒの例である。戦前のダンツィヒでは、ポーランド郵便局は要塞化されていた。1939年にドイツが侵攻してきた際には、時間稼ぎのために戦っている。
だが、軍事要塞化した新潟中国領事館が何のために何と戦うのかがわからない。新潟は、裏日本の中部にある平凡な地方都市である。中国本土にある日本の租界ではなければ、日中陸上国境にあるわけでもない。
また、佐藤さんは「中国は北朝鮮の後ろ盾でもありますから、北朝鮮の工作員などが領事館に逃げ込む可能性も否定できません」と主張している。新潟で危惧する理由は「新潟は北朝鮮による日本人拉致の拠点」であったためとしている。
しかし、中国はそれほど北朝鮮に優しくない。中国は、あたりまえだが日本と国交をもっている。中国は、係争地以外では日本の主権を尊重している。日本の主権を犯し、正当な理由で日本の官憲に追われた北朝鮮工作員を保護することはない。
そもそも、工作員を匿うなら、領事館の広さは関係ない。狭い領事館でも同じ事だ。
佐藤さんは他にも「中国は、北朝鮮の羅津港を租借」し、その「羅津から新潟までは一直線」であるとも述べている。新潟を「中国にとっては航路で最も上陸しやすい都市」としている。
「上陸」は、軍隊の侵攻とも取れるように記述しているが、わざわざ、第三国の羅津経由で日本を攻める理由がわからない。中国が、東北の辺境から、さらに輸送網が貧弱な北朝鮮を経由して羅津に軍隊を集めて、新潟に攻めるというのは、面倒が多すぎる。護衛艦艇も、わざわざ対馬海峡を経由して送り込むのだろうか。しかも距離も遠い。羅津から新潟は850kmある。それなら、普通に寧波舟山から、沖縄(650km)、吹上浜(800km)に向かった方がはかどるだろう。もちろん、中国に日本本土を侵攻する能力もないものだが。
中国脅威論に乗っかるにせよ、佐藤さんの主張はあまりにも粗雑である。佐藤さんにしても、扇情的な記事を喜ぶアサ芸に合わせた談話なのだろう。だが、それを真に受け、コピペするマヌケが出てくるのも罪作りな話である。実際に、それをコピペした動画もある。(該当時間にリンク)
まあ、野党の時期に、扇情的であることを承知で書いたアサ芸の記事を、政務官になって、しかも選挙期間中にアップするのも、どんなものなのかね。
佐藤正久さんのオフィシャルブログで、新潟の中国領事館問題を取り上げている。「新潟で展開『トロイの木馬』作戦をこう潰せ!」 以前に、広すぎるし、相互主義からオカシイんじゃないのと話題になった問題である。ちなみに、領事館整備は今は凍結状態にある。
この問題について、佐藤さんはあまりみない主張をしている。中国領事館の軍事利用と北朝鮮による利用といった問題である。
佐藤さんは「軍事要塞化された領事館が戦闘の拠点」となることを危惧している。しかし、軍事要塞化して何と戦うのか。
似た例として思いつくのはダンチィヒの例である。戦前のダンツィヒでは、ポーランド郵便局は要塞化されていた。1939年にドイツが侵攻してきた際には、時間稼ぎのために戦っている。
だが、軍事要塞化した新潟中国領事館が何のために何と戦うのかがわからない。新潟は、裏日本の中部にある平凡な地方都市である。中国本土にある日本の租界ではなければ、日中陸上国境にあるわけでもない。
また、佐藤さんは「中国は北朝鮮の後ろ盾でもありますから、北朝鮮の工作員などが領事館に逃げ込む可能性も否定できません」と主張している。新潟で危惧する理由は「新潟は北朝鮮による日本人拉致の拠点」であったためとしている。
しかし、中国はそれほど北朝鮮に優しくない。中国は、あたりまえだが日本と国交をもっている。中国は、係争地以外では日本の主権を尊重している。日本の主権を犯し、正当な理由で日本の官憲に追われた北朝鮮工作員を保護することはない。
そもそも、工作員を匿うなら、領事館の広さは関係ない。狭い領事館でも同じ事だ。
佐藤さんは他にも「中国は、北朝鮮の羅津港を租借」し、その「羅津から新潟までは一直線」であるとも述べている。新潟を「中国にとっては航路で最も上陸しやすい都市」としている。
「上陸」は、軍隊の侵攻とも取れるように記述しているが、わざわざ、第三国の羅津経由で日本を攻める理由がわからない。中国が、東北の辺境から、さらに輸送網が貧弱な北朝鮮を経由して羅津に軍隊を集めて、新潟に攻めるというのは、面倒が多すぎる。護衛艦艇も、わざわざ対馬海峡を経由して送り込むのだろうか。しかも距離も遠い。羅津から新潟は850kmある。それなら、普通に寧波舟山から、沖縄(650km)、吹上浜(800km)に向かった方がはかどるだろう。もちろん、中国に日本本土を侵攻する能力もないものだが。
中国脅威論に乗っかるにせよ、佐藤さんの主張はあまりにも粗雑である。佐藤さんにしても、扇情的な記事を喜ぶアサ芸に合わせた談話なのだろう。だが、それを真に受け、コピペするマヌケが出てくるのも罪作りな話である。実際に、それをコピペした動画もある。(該当時間にリンク)
まあ、野党の時期に、扇情的であることを承知で書いたアサ芸の記事を、政務官になって、しかも選挙期間中にアップするのも、どんなものなのかね。
Category : ミリタリー
海自の海外活動が増えた。航空部隊も艦艇部隊も、インド洋やらアデン湾やらに進出するご時世である。アデンには、航空基地を間借りするに至った。撤退するときにはジプチに呉れてやる約束だが、海自が建物ほかも建てている。
しかし、将来的には、整った基地が借りられないこともあるのではないか。また、拝み倒して海外に土地や良湾を貸してもらえても、飛行場や港湾施設がなかったり、貧弱だったりする可能性もあるだろう。
その時に備えて、特設部隊を準備したほうがいい。予め必要な部隊をパッケージにして、準備しておいたほうが捗るのではないか。飛行場に展開する航空基地隊なら、拡張能力をもった土木部隊と、航空管制部隊と、ある程度の整備・補給部隊、給養・衛生部隊、通信部隊を準備しておく。港湾に展開する基地隊なら、燃料・弾薬・食料と、電気・蒸気・清水を提供できる母艦と、現地で使うタグ・水船・警戒艇、必要に応じてアンカー付きの係留ブイ投入能力といったものを作っておく。何かあれば、一気に展開する仕組みである。
普段から専門部隊を養う必要はない。
航空基地隊なら、各基地に派出要員を指定しておけばよい。機動施設隊(八戸)で適当な隊を指定しておく。管制と通信部隊は、航空管制隊(厚木)に、器材集積と、人員の派出部署を作らせておく。整備・補給部隊、給養・衛生、は、母隊の列線の他に、人出に余裕のある八戸・厚木の整補と、航空衛生隊に、器材集積と人員指定だけをしておけばよい。
基地隊も同じで、横須賀・呉あたりで要員を指定すればよい。総監部、艦補処、警備隊で予め人員指定しておけばそれで済む。器材は全部母艦に積んでおけば良い。中古商船で充分で、横須賀・呉に2隻も作っておいて、最低限の保安要員だけを配置して、タグほかは搭載可能しておけば済む。
役に立つのは、海外派遣だけではない。南西諸島あたりでキナ臭いことになっても、宮古島や石垣島、奄美大島あたりに航空/艦艇基地があれば相当に便利になる。災害派遣でも、災害で破壊された地域や、もともと空港や港湾が貧弱な地域での展開にも役に立つだろう。
…とまあ、CS試験の自由論述で出した中身のリサイクルだけどね。この手の内容で、図版や概念図を入れると早く書き上がった。さっさと直帰できるので、受験3回ともこれで出した。CSは、受かる受からないの試験ではない。行きたいか行きたくないかの試験で、別に難しくないので、行きたいならだいたい行かせてくれる。己は行く気もなかったので、毎回そんなものだった。
海自でCSはそれほど希望者はいない。だいたい、CS行って順位さげて、定年ギリまで1佐がこない人もいた。立派で優秀な人だったが「昇任考えたら、行かないほうが良かったね」と笑っていたよ。そういう話があるので、CSに行きたがらない人も多い。CS行って変な順番付けされると味噌付けられる。別に将官になるのにCS行かなきゃいけないわけでもない。興味ふかい話としては、CS行くより、統幕学校行ったほうが箔がつくからいい。だからCSに行かないという人がいた。ただ、その人は統幕学校で田母神精神を受容して帰ってきて、アチャーだったよ。※
そんなCSだから、行くのは難しくない。己は、CSよりも部外大学院に行って、腰据えて資料読みたかったので無給休業(現役のまま自由行動できる)とったのだがね。無給休業を諦めさせたい海幕人事課に「CSに行きたいのなら相談に乗ってやるから、大学院諦めろ」と言われた程度である、CSの重さはその程度に過ぎない。まあ人事課がCSの合格者を決めるのだから、相談も何もない話だと思ったよ。
※ この手の話をSNSでしたら、1期下相当の陸2佐ドノ(もちろん1課程、己は2課程)にイキナリ関係を切られたよ。CGS出ているエリート殿だから、軽く見られたと思って怒ったのかね。別にCGSもCSも馬鹿にしていたわけでもないのだが。
そいやその人「北海道の兵隊って、部外と調整するとき官尊民卑ベースだよね」って言葉でも怒っていた。当時北海道の部隊長していて、俺の部下を非難するのかと言っていたが。全体的な傾向の話で怒っても仕方がないのだけどね。
しかし、将来的には、整った基地が借りられないこともあるのではないか。また、拝み倒して海外に土地や良湾を貸してもらえても、飛行場や港湾施設がなかったり、貧弱だったりする可能性もあるだろう。
その時に備えて、特設部隊を準備したほうがいい。予め必要な部隊をパッケージにして、準備しておいたほうが捗るのではないか。飛行場に展開する航空基地隊なら、拡張能力をもった土木部隊と、航空管制部隊と、ある程度の整備・補給部隊、給養・衛生部隊、通信部隊を準備しておく。港湾に展開する基地隊なら、燃料・弾薬・食料と、電気・蒸気・清水を提供できる母艦と、現地で使うタグ・水船・警戒艇、必要に応じてアンカー付きの係留ブイ投入能力といったものを作っておく。何かあれば、一気に展開する仕組みである。
普段から専門部隊を養う必要はない。
航空基地隊なら、各基地に派出要員を指定しておけばよい。機動施設隊(八戸)で適当な隊を指定しておく。管制と通信部隊は、航空管制隊(厚木)に、器材集積と、人員の派出部署を作らせておく。整備・補給部隊、給養・衛生、は、母隊の列線の他に、人出に余裕のある八戸・厚木の整補と、航空衛生隊に、器材集積と人員指定だけをしておけばよい。
基地隊も同じで、横須賀・呉あたりで要員を指定すればよい。総監部、艦補処、警備隊で予め人員指定しておけばそれで済む。器材は全部母艦に積んでおけば良い。中古商船で充分で、横須賀・呉に2隻も作っておいて、最低限の保安要員だけを配置して、タグほかは搭載可能しておけば済む。
役に立つのは、海外派遣だけではない。南西諸島あたりでキナ臭いことになっても、宮古島や石垣島、奄美大島あたりに航空/艦艇基地があれば相当に便利になる。災害派遣でも、災害で破壊された地域や、もともと空港や港湾が貧弱な地域での展開にも役に立つだろう。
…とまあ、CS試験の自由論述で出した中身のリサイクルだけどね。この手の内容で、図版や概念図を入れると早く書き上がった。さっさと直帰できるので、受験3回ともこれで出した。CSは、受かる受からないの試験ではない。行きたいか行きたくないかの試験で、別に難しくないので、行きたいならだいたい行かせてくれる。己は行く気もなかったので、毎回そんなものだった。
海自でCSはそれほど希望者はいない。だいたい、CS行って順位さげて、定年ギリまで1佐がこない人もいた。立派で優秀な人だったが「昇任考えたら、行かないほうが良かったね」と笑っていたよ。そういう話があるので、CSに行きたがらない人も多い。CS行って変な順番付けされると味噌付けられる。別に将官になるのにCS行かなきゃいけないわけでもない。興味ふかい話としては、CS行くより、統幕学校行ったほうが箔がつくからいい。だからCSに行かないという人がいた。ただ、その人は統幕学校で田母神精神を受容して帰ってきて、アチャーだったよ。※
そんなCSだから、行くのは難しくない。己は、CSよりも部外大学院に行って、腰据えて資料読みたかったので無給休業(現役のまま自由行動できる)とったのだがね。無給休業を諦めさせたい海幕人事課に「CSに行きたいのなら相談に乗ってやるから、大学院諦めろ」と言われた程度である、CSの重さはその程度に過ぎない。まあ人事課がCSの合格者を決めるのだから、相談も何もない話だと思ったよ。
※ この手の話をSNSでしたら、1期下相当の陸2佐ドノ(もちろん1課程、己は2課程)にイキナリ関係を切られたよ。CGS出ているエリート殿だから、軽く見られたと思って怒ったのかね。別にCGSもCSも馬鹿にしていたわけでもないのだが。
そいやその人「北海道の兵隊って、部外と調整するとき官尊民卑ベースだよね」って言葉でも怒っていた。当時北海道の部隊長していて、俺の部下を非難するのかと言っていたが。全体的な傾向の話で怒っても仕方がないのだけどね。
Category : ミリタリー
自民党の憲法草案Q&Aで軍法会議を復活するとか言っているのだが。アレ、相当に問題のある運用されていた。その原因である、軍人が裁判官・検事をやるという仕組みを残すあたりが、何も考えていないんじゃないのかね。
「平和憲法に真っ向背反 石破幹事長の『軍法会議設置』発言」(東京新聞)によると、石破幹事長が必要性を力説したとあるのだが。その大元になる「国防軍に審判所を置くのは、なぜですか?」(http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf p.12)には、旧軍軍法会議の問題点が全く反映されていない。
古い本だが、花園一郎さんの『軍法会議』には、そのあたりに問題意識があった。引っ張られて旧軍で軍法会議の裁判官をやっていた花園さんは、士官学校出は軍法会議を概ね免れる点を問題視していた。起訴・不起訴は師団長、司令長官に一任されているので、階級が高いほど起訴されない。裁判官は不告不理なので、問題行動を知っていても処罰はできないというもの。結果として問題行動のある将官士官は罪を免れる、下士官兵、特に徴兵された兵隊は微罪で起訴され、簡単に重罰が求刑される。そのように述べている。
こういった、旧軍軍法会議の問題点に全く注目していないのは、あまりにも粗雑が過ぎる。自民党の憲法草案Q&Aには、「裁判官や検察、弁護側も、主に軍人の中から選ばれることが想定されます。」とある。裁判官と検察を軍人から、まずは防大卒あたりの、クラス上下で思考停止する連中に任せることは、危険でしかない。
そもそも、軍法会議を作る発想も、やたら他罰的な発想の結果にしか見えない。左派がいなくなった今日の自民党で、体育会系的な、何も考えない鞭と罰を使った、義務・処罰大好きが表に出た頭の悪い右派/宗教系の発想ではないのかね。そこで、モノが見えると思っていた石破さんが問題点をについて、フォローしないのは残念にしか見えない。
まあ、左右問わず憲法草案なんて願望の垂れ流しである。そのとおりになるものでもないし、書きなぐった方もそうなると思っていない。石破さんも心中で「だからいいんだ」という話かもしれない。でも、そういった願望があって、そのデメリットを見ないでそのまま発表するあたり、自民党が右派/宗教系に乗っ取られて、穏健な左派がいなくなってしまったことを嘆くものであるよ。
ウン、ネット見てたら軍法会議発言を見つけて、お昼前書き上げようと頑張ったけど、アップは少し遅れたよ。まあ、石破さんがそういったのがショックだったね。
「平和憲法に真っ向背反 石破幹事長の『軍法会議設置』発言」(東京新聞)によると、石破幹事長が必要性を力説したとあるのだが。その大元になる「国防軍に審判所を置くのは、なぜですか?」(http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf p.12)には、旧軍軍法会議の問題点が全く反映されていない。
古い本だが、花園一郎さんの『軍法会議』には、そのあたりに問題意識があった。引っ張られて旧軍で軍法会議の裁判官をやっていた花園さんは、士官学校出は軍法会議を概ね免れる点を問題視していた。起訴・不起訴は師団長、司令長官に一任されているので、階級が高いほど起訴されない。裁判官は不告不理なので、問題行動を知っていても処罰はできないというもの。結果として問題行動のある将官士官は罪を免れる、下士官兵、特に徴兵された兵隊は微罪で起訴され、簡単に重罰が求刑される。そのように述べている。
こういった、旧軍軍法会議の問題点に全く注目していないのは、あまりにも粗雑が過ぎる。自民党の憲法草案Q&Aには、「裁判官や検察、弁護側も、主に軍人の中から選ばれることが想定されます。」とある。裁判官と検察を軍人から、まずは防大卒あたりの、クラス上下で思考停止する連中に任せることは、危険でしかない。
そもそも、軍法会議を作る発想も、やたら他罰的な発想の結果にしか見えない。左派がいなくなった今日の自民党で、体育会系的な、何も考えない鞭と罰を使った、義務・処罰大好きが表に出た頭の悪い右派/宗教系の発想ではないのかね。そこで、モノが見えると思っていた石破さんが問題点をについて、フォローしないのは残念にしか見えない。
まあ、左右問わず憲法草案なんて願望の垂れ流しである。そのとおりになるものでもないし、書きなぐった方もそうなると思っていない。石破さんも心中で「だからいいんだ」という話かもしれない。でも、そういった願望があって、そのデメリットを見ないでそのまま発表するあたり、自民党が右派/宗教系に乗っ取られて、穏健な左派がいなくなってしまったことを嘆くものであるよ。
ウン、ネット見てたら軍法会議発言を見つけて、お昼前書き上げようと頑張ったけど、アップは少し遅れたよ。まあ、石破さんがそういったのがショックだったね。
Category : コミケ
書評で見つけた"The rise of China vs. The Logic of Strategy"だけれども、夏コミの主張にかぶる部分があるので、日曜日に頑張って読み終わった途端に、訳書がでるというのは腹立たしいものです。
まあ、中国が軍事力を増強すると、中国はそれ以上の軍事力増強が難しくなるという話。中国が強くなると、対中国同盟ができて、政治経済的な嫌がらせが始まり、中国経済の足を引っ張り、中国国防費を減らすことになるって構造があるよって話なんですけどね。
7月22日にルトバック著、奥山真司さん訳の 『自滅する中国: なぜ世界帝国になれないのか』として芙蓉書房出版から訳書が出るそうです。どこに怒りをぶつけてよいやらですが、オリジナルが悪文かつ、安易な単語を使っていないので、読みたいなら訳書の方をオススメです。
まあ、中国が軍事力を増強すると、中国はそれ以上の軍事力増強が難しくなるという話。中国が強くなると、対中国同盟ができて、政治経済的な嫌がらせが始まり、中国経済の足を引っ張り、中国国防費を減らすことになるって構造があるよって話なんですけどね。
7月22日にルトバック著、奥山真司さん訳の 『自滅する中国: なぜ世界帝国になれないのか』として芙蓉書房出版から訳書が出るそうです。どこに怒りをぶつけてよいやらですが、オリジナルが悪文かつ、安易な単語を使っていないので、読みたいなら訳書の方をオススメです。
Category : ミリタリー
陸軍国との比較や、GDPや、人口あたりの軍人数はあまり意味はない。井上和彦さんは「日本の自衛隊、資質や士気高いが深刻な問題も」※ で、3つの数字を出して「自衛隊の戦力がいかに少ないかが分かる。」と嘆いている。だが、いずれも根拠としては怪しいものだ。
軍隊の多い国と比較して、自衛隊が少ないとする主張は、意味がない。井上さんは、自衛隊の人員数23万を米国(157万)、中国(229万)、北朝鮮(120万)、韓国(66万)と比較して少ないと評している。しかし、米軍は全世界に介入する軍隊である。中国軍は長大な国境で他国と対峙している。北朝鮮と韓国は内戦中であり、停戦ラインを挟んで睨んでいる。これらを無視して、自衛隊総兵力を比較することは妥当ではない。
また、軍事費のGDP比率を以って、日本の防衛費が少ないとする井上さんの主張も妥当ではない。井上さんはGDP比率をもって、日本防衛費、4兆7000億円を「各国の半分以下」であり少額と主張している。つまり、防衛費に9兆円以上を注ぎ込めというようなものだ。国防費9兆円となると、世界第二位の額である。戦争もしていないというのに、世界第二位の金額を何に使うのか。そもそも、日本の税収は40兆円である。そして国債の償還費を毎年20兆円払う原状である。基本的に動ける幅は残り20兆しかないしかない。そのうちの、防衛費は既に1/4を占めているというのに、それを倍にして、実質的な歳入のうち、半分を防衛費に費やせというのは尋常ではない。防衛が栄えれば国が滅んでもよいと言っているようなものだ。
井上さんが指摘する、人口あたり軍人数も、意味のある数字ではない。まず、今後主流となる自衛隊海外活動では、日本の人口に対する自衛隊員の比率を云々しても仕方がない。そして、優先度が下がる国土防衛についての指摘にしても、人口あたりよりも面積あたりの兵員数で比較しなければならない。陸上作戦が土地の支配を競うものであることからすれば、総人口あたり軍人の数は意味を持たない。そして、国土狭隘な日本は、面積あたりの兵員数ではむしろ米中露を超えている。(このあたりは「面積あたりでみりゃ、戦車は多すぎるね」でも同じようなことを説明した)
井上さんの主張は、防衛省・自衛隊が部内誌や部内講話でしていた、内輪話をそのまま書いただけのものである。アレな自衛官が「自衛隊は人数が足りない、だから増やせ」という内輪話をするときに、毎回出てくる根拠にすぎない。この主張は、自衛隊内では、内弁慶を発揮する。だが、その根拠も結論は外に出せるようなものではない。たまにOBが雑誌で発表したりするが、防衛費を5割10割増し、陸自30万50万といった非現実的な話であり、馬鹿にされるだけの話だからだ。
井上さんが新聞にそれを発表するのは、自衛隊へのヨイショでしかない。上の理屈は、井上さん本人も内心では馬鹿にしている論理だろう。何の根拠もなく、必要性も示せない数字にすぎない。しかし、新聞で主張した実績をつくることで、高級感部も含まれるアレ自衛官にはウケが良くなる。それで自衛隊の歓心を買おうとするものだ。
いずれにせよ、井上さんの陸軍国との比較や、GDPや、人口あたりの軍人数を持ちだしての主張は、根拠になり得ないものであり、容易に反論することができる。
外国兵力数との比較については、陸上国境を持たない国との比較で反論できる。日本同様に、四面環海の英国でも兵員数は20万人であり、自衛隊よりも少ない。国境が安定しているという意味では、日本や英国と同様の仏独にしても、仏国23万、独国19万に過ぎない。自衛隊と同じか、それよりも少ない。
自衛隊人員数は、英仏独軍の人員数とほとんど差異はない。これは「自衛隊の戦力がいかに少ないか」と嘆くことが、大げさであることを浮き彫りにする。日本には自然の防壁としての海がある。日本(と米国)が海を好きにできる限り、中朝韓のように、戦力の過半を占める陸上兵力はあまり必要はないのである。
GDP比率の話も容易に反論できる。GDP比率は、その国に必要な防衛予算を算定する根拠にはならない。GDP/GNP比率の話は、もともと、1950年代にアメリカが同盟国の尻を叩くために作ったロジックである。各国に軍事支出を増やすことを要求するとき、各国には予算規模に差があるので「各国はGNP比率でこの程度は支出してくれ」としたものだ。冷戦に勝つため、これくらい軍事費を増やしてくれという寄付金あつめのようなものだ。
このGDPの話は、根本的な矛盾をはらんでいる。井上さんの言うように「GDP比率の軍事予算が少ないので防衛に支障をきたす」理屈は、逆に「GDPを下げれば日本の防衛は充実する」という奇妙な結論を導いてしまう。
人員あたりの軍人数も同じ方法で矛盾をつくことができる。井上さんの主張の通り「人口あたりの軍人数が少ないので、防衛に支障がある」という理屈は、逆に「同じ隊員数でも、人口が減らせば軍人比率が高くなるので、防衛が充実する」という、珍奇な結論になるなってしまうのである。
井上和彦さんがしている主張の根拠は、妥当性がないということだ。
※ 井上和彦「日本の自衛隊、資質や士気高いが深刻な問題も」『ZAKZAK』(産経新聞,2013.07.14)http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130714/plt1307140730000-n1.htm
軍隊の多い国と比較して、自衛隊が少ないとする主張は、意味がない。井上さんは、自衛隊の人員数23万を米国(157万)、中国(229万)、北朝鮮(120万)、韓国(66万)と比較して少ないと評している。しかし、米軍は全世界に介入する軍隊である。中国軍は長大な国境で他国と対峙している。北朝鮮と韓国は内戦中であり、停戦ラインを挟んで睨んでいる。これらを無視して、自衛隊総兵力を比較することは妥当ではない。
また、軍事費のGDP比率を以って、日本の防衛費が少ないとする井上さんの主張も妥当ではない。井上さんはGDP比率をもって、日本防衛費、4兆7000億円を「各国の半分以下」であり少額と主張している。つまり、防衛費に9兆円以上を注ぎ込めというようなものだ。国防費9兆円となると、世界第二位の額である。戦争もしていないというのに、世界第二位の金額を何に使うのか。そもそも、日本の税収は40兆円である。そして国債の償還費を毎年20兆円払う原状である。基本的に動ける幅は残り20兆しかないしかない。そのうちの、防衛費は既に1/4を占めているというのに、それを倍にして、実質的な歳入のうち、半分を防衛費に費やせというのは尋常ではない。防衛が栄えれば国が滅んでもよいと言っているようなものだ。
井上さんが指摘する、人口あたり軍人数も、意味のある数字ではない。まず、今後主流となる自衛隊海外活動では、日本の人口に対する自衛隊員の比率を云々しても仕方がない。そして、優先度が下がる国土防衛についての指摘にしても、人口あたりよりも面積あたりの兵員数で比較しなければならない。陸上作戦が土地の支配を競うものであることからすれば、総人口あたり軍人の数は意味を持たない。そして、国土狭隘な日本は、面積あたりの兵員数ではむしろ米中露を超えている。(このあたりは「面積あたりでみりゃ、戦車は多すぎるね」でも同じようなことを説明した)
井上さんの主張は、防衛省・自衛隊が部内誌や部内講話でしていた、内輪話をそのまま書いただけのものである。アレな自衛官が「自衛隊は人数が足りない、だから増やせ」という内輪話をするときに、毎回出てくる根拠にすぎない。この主張は、自衛隊内では、内弁慶を発揮する。だが、その根拠も結論は外に出せるようなものではない。たまにOBが雑誌で発表したりするが、防衛費を5割10割増し、陸自30万50万といった非現実的な話であり、馬鹿にされるだけの話だからだ。
井上さんが新聞にそれを発表するのは、自衛隊へのヨイショでしかない。上の理屈は、井上さん本人も内心では馬鹿にしている論理だろう。何の根拠もなく、必要性も示せない数字にすぎない。しかし、新聞で主張した実績をつくることで、高級感部も含まれるアレ自衛官にはウケが良くなる。それで自衛隊の歓心を買おうとするものだ。
いずれにせよ、井上さんの陸軍国との比較や、GDPや、人口あたりの軍人数を持ちだしての主張は、根拠になり得ないものであり、容易に反論することができる。
外国兵力数との比較については、陸上国境を持たない国との比較で反論できる。日本同様に、四面環海の英国でも兵員数は20万人であり、自衛隊よりも少ない。国境が安定しているという意味では、日本や英国と同様の仏独にしても、仏国23万、独国19万に過ぎない。自衛隊と同じか、それよりも少ない。
自衛隊人員数は、英仏独軍の人員数とほとんど差異はない。これは「自衛隊の戦力がいかに少ないか」と嘆くことが、大げさであることを浮き彫りにする。日本には自然の防壁としての海がある。日本(と米国)が海を好きにできる限り、中朝韓のように、戦力の過半を占める陸上兵力はあまり必要はないのである。
GDP比率の話も容易に反論できる。GDP比率は、その国に必要な防衛予算を算定する根拠にはならない。GDP/GNP比率の話は、もともと、1950年代にアメリカが同盟国の尻を叩くために作ったロジックである。各国に軍事支出を増やすことを要求するとき、各国には予算規模に差があるので「各国はGNP比率でこの程度は支出してくれ」としたものだ。冷戦に勝つため、これくらい軍事費を増やしてくれという寄付金あつめのようなものだ。
このGDPの話は、根本的な矛盾をはらんでいる。井上さんの言うように「GDP比率の軍事予算が少ないので防衛に支障をきたす」理屈は、逆に「GDPを下げれば日本の防衛は充実する」という奇妙な結論を導いてしまう。
人員あたりの軍人数も同じ方法で矛盾をつくことができる。井上さんの主張の通り「人口あたりの軍人数が少ないので、防衛に支障がある」という理屈は、逆に「同じ隊員数でも、人口が減らせば軍人比率が高くなるので、防衛が充実する」という、珍奇な結論になるなってしまうのである。
井上和彦さんがしている主張の根拠は、妥当性がないということだ。
※ 井上和彦「日本の自衛隊、資質や士気高いが深刻な問題も」『ZAKZAK』(産経新聞,2013.07.14)http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130714/plt1307140730000-n1.htm
Category : エネルギー
電力会社の利潤は、コスト×利益率なので、燃料が高価になれば利益も増える。その観点でみると、国内炭利用は電力会社銭ゲバ商法にしか見えない。
北海道電力が、わざわざ発電に国内炭を使っているという。電力会社からすれば、電力料金で回収できるので構わないが、電力料金を払う側からすればふざけた話である。電力料金審査で引っかかるのは当然の話だ。
だが、その当然の批判に、腹を立てる人々もいる。「電気料金審査専門委員会でまさかの国内炭批判」がそれだ。概ね、原発事故以前の原発擁護に似たものにしか見えないのだが、当の本人たちは本気なのだろう。電力会社の親衛隊といったところだ。
中でも、ヘボ担当は、愛社精神から他地域会社を、理屈にならない理屈で擁護した結果、例によってズレた発言をしている。日本国内から炭鉱がなくなると危険とか、バーゲニング・パワーが減るといったものだ。
このヘボ担当さんは、自分を大きく見せるため、理解せずにそれっぽい言葉を並べる習性がある。JP-4とJP-5のコンタミは危険で危ないとか、CIFの意味も知らずに統計の見方は伝説の呂布で、といったマヌケな発言がそれである。しかし、コンタミにどのような危険がるのか、相場の日内変動に隠れる程度の輸送・保険コストのどこが有料ノウハウなのかは全く示せない。もちろん、何も理解していないためだ。そして、今回も似た発言をしている。
日本国内から炭鉱がなくなることは、ヘボ担当さんの言うような致命的な問題ではない。ヘボ担当さんは
バーゲニング・パワーも、ヘボ担当さんが考えた屁理屈に過ぎない。ヘボ担当さんは
実際に、釧路コールマインの石炭は電力会社しか買っていない。理由は簡単である。電力会社は高い石炭を買ったほうが、自社にとって有利になるためである。例の総括原価方式であるので、燃料は高ければ高いほど良い。同じ利益率なら、元値の高い方が良い。キャバクラで高い酒をすすめるようなものだ。普通の会社は回収できないので、こんな馬鹿高い石炭を買ったりはしない。
ヘボ担当さんの擁護は、愛社男が、愛社精神で会社を擁護しているつもりが、その珍理屈で逆効果を招いている。まず、会社内部の理屈と、世間の常識のズレに気づいていない。一種の、自転する組織脳なのだろう。電力会社は高コストなら高コストほど利益が増える収益モデルがある。普通の社員は、それを知りつつ、世間からそう見られないように言論には注意する。割高な国内炭利用についても、まともな社員も公式理由の「非常時に備える」とか「技術伝承を」と、会社が傷つかないように、自己保身図りつつ発言するだろう。もちろん、注意して割高であることには触れない。割高な燃料を使うことは、消費者に差額+利益を全額負担させることが明白になるからだ。しかし、ヘボ担当さんは「発言者の真意を疑いたくなりますね。割高な国内炭使用を止めよ!というのは」と発言する。自分の会社、業種が世間からどう見られているかを全く理解していない上に、会社防衛まで頭が行かないわけだ。会社を守ろうとして、会社に傷をつける発言であることに気づいていない。
ヘボ担当さんは、自衛隊の愛国下士官のようなものだ。モノ見えていない愛国下士官は、会社公式発表を心底信じている。ヘボ担当さんの発言は、本気で防衛費が足りないと嘆く愛国下士官そのものである。もちろん、普通の下士官は、会社の理屈は外の屁理屈であることを承知しているから余計な発言はしない。出世の早い優秀な下士官は、頭がいいので、恨みを買わない程度に会社の中で会社公式発表を利用する。だがもちろん、会社の外に対してはそんなことは一言も言わない。会社の外でも自衛隊の愛国理論を振り回すのは、あまりロクな下士官ではない。能力や待遇を見ても、相応の水準にあると見ていいだろう。
まあ、エネルギー安全保障なら、出炭量年50万トンで通年100万kwを確保するよりも、採炭量の天井のない、風車や太陽光を普及させたほうがいいんじゃね? 化石燃料にしても、ロシアからガス送るパイプライン(直接、電力を買ってもいいけどね)をつなげるなり、どれだけあるかしらないが、国内の亜炭・褐炭・泥炭を掘る準備だけをしておくほうが、建設的であり、マシに見えるのだけどね。
北海道電力が、わざわざ発電に国内炭を使っているという。電力会社からすれば、電力料金で回収できるので構わないが、電力料金を払う側からすればふざけた話である。電力料金審査で引っかかるのは当然の話だ。
だが、その当然の批判に、腹を立てる人々もいる。「電気料金審査専門委員会でまさかの国内炭批判」がそれだ。概ね、原発事故以前の原発擁護に似たものにしか見えないのだが、当の本人たちは本気なのだろう。電力会社の親衛隊といったところだ。
中でも、ヘボ担当は、愛社精神から他地域会社を、理屈にならない理屈で擁護した結果、例によってズレた発言をしている。日本国内から炭鉱がなくなると危険とか、バーゲニング・パワーが減るといったものだ。
このヘボ担当さんは、自分を大きく見せるため、理解せずにそれっぽい言葉を並べる習性がある。JP-4とJP-5のコンタミは危険で危ないとか、CIFの意味も知らずに統計の見方は伝説の呂布で、といったマヌケな発言がそれである。しかし、コンタミにどのような危険がるのか、相場の日内変動に隠れる程度の輸送・保険コストのどこが有料ノウハウなのかは全く示せない。もちろん、何も理解していないためだ。そして、今回も似た発言をしている。
日本国内から炭鉱がなくなることは、ヘボ担当さんの言うような致命的な問題ではない。ヘボ担当さんは
発言者の真意を疑いたくなりますね。割高な国内炭使用を止めよ!というのは、短期的には正しいのかも知れませんが、それにより失われる炭坑が何処にあるのか、[日本国内であることを]考えたことがあるのか不明。と述べている。日本の石炭使用量は、年間2億トン近い。ヘボ担当さんが重要視する、日本唯一の炭鉱、釧路コールマインで、高価な国内炭を年50万トンとった所で、0.3%未満であり、エネルギー安全保障上の意味はなにもない。そもそも、山元価格で国際価格の1.7倍である段階で、経済的には退場すべき炭田である。「失われる」と嘆く必要はどこにもない。
https://twitter.com/hebotanto/status/355817542822010880
バーゲニング・パワーも、ヘボ担当さんが考えた屁理屈に過ぎない。ヘボ担当さんは
また当該炭坑が廃止となっても、では現状ベースで海外石炭を購入できるかは全くの別問題。バーゲニングパワーは「買わない・他を当たる」選択肢が有るからこそ成立しますが。果てさて。と言う。しかし、それなら、なぜ他業種がバーゲニング・パワーとやらを確保するために国内炭を買わないのかの理屈がつかない。実際は、単に高価で割に合わないので買わない話である。だいたい、国際価格の1.7倍の石炭は、まともな会社なら採算に合わないので購入しない。多少高値で掴まされても海外炭の方が安い。出炭量で国内需要の0.3%未満なら、何のバーゲニング・パワーにもなり得ない。
https://twitter.com/hebotanto/status/355818052442529792
実際に、釧路コールマインの石炭は電力会社しか買っていない。理由は簡単である。電力会社は高い石炭を買ったほうが、自社にとって有利になるためである。例の総括原価方式であるので、燃料は高ければ高いほど良い。同じ利益率なら、元値の高い方が良い。キャバクラで高い酒をすすめるようなものだ。普通の会社は回収できないので、こんな馬鹿高い石炭を買ったりはしない。
ヘボ担当さんの擁護は、愛社男が、愛社精神で会社を擁護しているつもりが、その珍理屈で逆効果を招いている。まず、会社内部の理屈と、世間の常識のズレに気づいていない。一種の、自転する組織脳なのだろう。電力会社は高コストなら高コストほど利益が増える収益モデルがある。普通の社員は、それを知りつつ、世間からそう見られないように言論には注意する。割高な国内炭利用についても、まともな社員も公式理由の「非常時に備える」とか「技術伝承を」と、会社が傷つかないように、自己保身図りつつ発言するだろう。もちろん、注意して割高であることには触れない。割高な燃料を使うことは、消費者に差額+利益を全額負担させることが明白になるからだ。しかし、ヘボ担当さんは「発言者の真意を疑いたくなりますね。割高な国内炭使用を止めよ!というのは」と発言する。自分の会社、業種が世間からどう見られているかを全く理解していない上に、会社防衛まで頭が行かないわけだ。会社を守ろうとして、会社に傷をつける発言であることに気づいていない。
ヘボ担当さんは、自衛隊の愛国下士官のようなものだ。モノ見えていない愛国下士官は、会社公式発表を心底信じている。ヘボ担当さんの発言は、本気で防衛費が足りないと嘆く愛国下士官そのものである。もちろん、普通の下士官は、会社の理屈は外の屁理屈であることを承知しているから余計な発言はしない。出世の早い優秀な下士官は、頭がいいので、恨みを買わない程度に会社の中で会社公式発表を利用する。だがもちろん、会社の外に対してはそんなことは一言も言わない。会社の外でも自衛隊の愛国理論を振り回すのは、あまりロクな下士官ではない。能力や待遇を見ても、相応の水準にあると見ていいだろう。
まあ、エネルギー安全保障なら、出炭量年50万トンで通年100万kwを確保するよりも、採炭量の天井のない、風車や太陽光を普及させたほうがいいんじゃね? 化石燃料にしても、ロシアからガス送るパイプライン(直接、電力を買ってもいいけどね)をつなげるなり、どれだけあるかしらないが、国内の亜炭・褐炭・泥炭を掘る準備だけをしておくほうが、建設的であり、マシに見えるのだけどね。
Category : ミリタリー
イスラエルが戦車と火砲を減らすという。「イスラエル、大幅な戦力見直し─周辺国からの侵攻脅威が低下」※ によれば、国防予算を5年間で822億円を減らし、その予算も戦車や火砲よりも非対称戦に努力を注ぐということになっている。
判断としては妥当だろう。滅茶苦茶になっているシリアとの大規模戦は考えないで良い。潜在的なエジプトの脅威も、低下している。
イスラエルでも、戦車と火砲はあまり必要なくなる。大規模な戦争が起きない見通しなら、両者はあまり必要ではない。国内治安維持なら、戦車はあれば良い程度のオモチャである。別に最新鋭戦車でなければならないこともない。火砲もまずは使わない。
イスラエルとすれば、この状況では治安維持にお金をかけたほうが良い。可能性が低下した直接侵攻よりも、都市ゲリラの類の方が脅威である。都市ゲリラを防圧し、追い詰めるための施策に金をかけようという話になる。
このあたり、10式戦車が無ければ日本は滅ぶといっている人が、おしなべて沈黙しているのは興味ふかいものがある。JSFさんのツイッターを見たら、RTしながら何も言及していない。これまでは戦車擁護のために「中東戦争での戦訓により」とか「イスラエルでは」と出羽守を連発していたので、何も言えないのだろう。
戦車教団は頭がわるい。その連中は「ジャスミン革命で民族紛争がおわり平和になった中東とは違い、東アジアは冷戦構造が残っている」みたいなトンチキなことを言い出したりするんじゃないのかな。あるいは「RPGをもっているゲリラは新型戦車でなければ撃破できない」とかね。そのあたり、中国軍研究家の某さんは「信者は『イスラエル軍は中東紛争の戦訓を知らない』とか言い出すんじゃないの」とまで言っていたよ。
あのイスラエルも財政上の制限で軍縮する。その上で新装備を導入しなければならないので、戦車火砲や兵員を削減する。※※ まずは、必要なやりくりである。
対して、教団・信者の類は防衛予算は聖域だと言い出す。優先度の高い海空装備のために、優先度が低い陸上装備を減らすことにも耐えられない。「日本の防衛力が足りないのに、財政が何だ」と言い出すのが教団と信者だから。付ける薬もないね。
※ 「イスラエル、大幅な戦力見直し─周辺国からの侵攻脅威が低下」『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2013.7.12)
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324195104578600802632448978.html?__from=mixi#articleTabs%3Darticle
※※ イスラエルには陸兵3000-5000人を減らすという報道もある。
http://www.vosizneias.com/135722/2013/07/10/idf-to-dismiss-3000-to-5000-career-soldiers-due-to-budget-cuts/
イスラエルのヤアロン国防相は「40年前の第4次中東戦争のように軍と軍が真っ向からぶつかる形の戦争が起きる可能性はますます小さくなっている」と指摘し、重火器への依存を減らす方針
「イスラエル、大幅な戦力見直し─周辺国からの侵攻脅威が低下」『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2013.7.12)
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324195104578600802632448978.html?__from=mixi#articleTabs%3Darticle
判断としては妥当だろう。滅茶苦茶になっているシリアとの大規模戦は考えないで良い。潜在的なエジプトの脅威も、低下している。
イスラエルでも、戦車と火砲はあまり必要なくなる。大規模な戦争が起きない見通しなら、両者はあまり必要ではない。国内治安維持なら、戦車はあれば良い程度のオモチャである。別に最新鋭戦車でなければならないこともない。火砲もまずは使わない。
イスラエルとすれば、この状況では治安維持にお金をかけたほうが良い。可能性が低下した直接侵攻よりも、都市ゲリラの類の方が脅威である。都市ゲリラを防圧し、追い詰めるための施策に金をかけようという話になる。
このあたり、10式戦車が無ければ日本は滅ぶといっている人が、おしなべて沈黙しているのは興味ふかいものがある。JSFさんのツイッターを見たら、RTしながら何も言及していない。これまでは戦車擁護のために「中東戦争での戦訓により」とか「イスラエルでは」と出羽守を連発していたので、何も言えないのだろう。
戦車教団は頭がわるい。その連中は「ジャスミン革命で民族紛争がおわり平和になった中東とは違い、東アジアは冷戦構造が残っている」みたいなトンチキなことを言い出したりするんじゃないのかな。あるいは「RPGをもっているゲリラは新型戦車でなければ撃破できない」とかね。そのあたり、中国軍研究家の某さんは「信者は『イスラエル軍は中東紛争の戦訓を知らない』とか言い出すんじゃないの」とまで言っていたよ。
あのイスラエルも財政上の制限で軍縮する。その上で新装備を導入しなければならないので、戦車火砲や兵員を削減する。※※ まずは、必要なやりくりである。
対して、教団・信者の類は防衛予算は聖域だと言い出す。優先度の高い海空装備のために、優先度が低い陸上装備を減らすことにも耐えられない。「日本の防衛力が足りないのに、財政が何だ」と言い出すのが教団と信者だから。付ける薬もないね。
※ 「イスラエル、大幅な戦力見直し─周辺国からの侵攻脅威が低下」『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2013.7.12)
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324195104578600802632448978.html?__from=mixi#articleTabs%3Darticle
※※ イスラエルには陸兵3000-5000人を減らすという報道もある。
http://www.vosizneias.com/135722/2013/07/10/idf-to-dismiss-3000-to-5000-career-soldiers-due-to-budget-cuts/
Category : 映画
試写会に行って来ました。いや、映画館用の予告編で少しだけ出てくる、試作烈風での堀越二郎の空戦体験を楽しみにしていたのですけど、それ以上の収穫があってホクホクしました。
烈風での空戦もすごかったのですよ。再現しないトラブルの繰り返しに、同乗で確認しようとした堀越技師が空戦に巻き込まれる。空戦中にパイロットの赤松さんに「乗り心地はどうだ」と言われるが、「最悪だな」としか答えられない。「それならもっといい飛行機を作れ」「わかった」という話のあとの、被弾からのシーンは、確かに物語としてのカタルシスでしょう。
烈風の胴体に機銃弾が貫通すると、暗い機体後部に光が差し込んでくる。その孔から外を観察すると、P-51のような機体に取り囲まれていることがわかります。赤松さんは「本土上空で陸軍機が来るようになったらオシマイだろ」といいながら、最低限の回避を繰り返し、あとはひたすら高度をとって離脱を図ろうとするが、衆寡は敵しない。やはり少数の命中弾は避けられない。
「奴らは15分、あるいは10分で帰っていく、それまで辛抱してよ」と後ろに怒鳴るのだが、もともと寡黙な堀越さんは何も答えない。ただ、弱い声で左下後方、方位変わらず近づいてくると、死角の方向を観察した声だけを挙げてくる
そのうち、敵集団が突然混乱した動きをするが、すぐに三々五々に帰っていく。ヤレヤレとした時に、後部から「真後ろ」、「マスタング」「突っ込んでくる」という声が聞こえる。赤松さんが、ああっと声を挙げると、ムスタングは何もせずに真横に並んで飛んでいる。その機体には日の丸がついている。陸軍の捕獲機が援護してくれたのだが、接近したパイロットが身振り手振りで何かを伝えようとしている。キャノピーを上げて大声で怒鳴りあうと、機体後部がエライことになっているのがうすうすわかる。
そういえば操縦感覚がオカシイ、今までで一度もない感覚だと気づく。「どうも操縦系がやられたみたいですが、堀越さん、後ろはどうですか、妙にフワフワするんですよね」といっても何も帰ってこない。マスタングの援護と指示により、とりあえず福生に降りると、救急車が待機している。念のいったことだと着陸すると、地上員は赤松さんを無視して、いきなり胴体の横腹に向かっていく、胴体を切り裂いて出てきた堀越さんは…という話は、やはりクライマックスなんでしょう。戦後、堀越さんは雑誌媒体には結構寄稿するのですが、テレビに出てこないあたりと関係する実話なのでしょう。
しかし、それよりも驚いたのが、9試艦戦の事故を入念に追い続けた中盤描写です。9試艦戦開発の黒歴史、堀越さんがアレに変わってしまう事件で、あまり触れないようにしていたエピソード。音速突破の物語を、潤色も込めてですが延々とやり続けるのは、宮崎作品ならではの展開でしょう。
プロペラ機で、音速突破をしようという話です。戦前、国威発揚を兼ねて何回も行われた実験に焦点を当てた作品は、初めてのものでしょう。空気の薄い高高度に上がり、急降下のあと、ついに90度で降下する。重力加速度を利用して音速を超えようという実験です。400kt500ktまでは、空気も薄ければ問題もないのですが、全金属製の9試艦戦でも、低空の濃密な大気との衝突には耐えられない。異常振動により、機体は分解してしまいパイロットは大怪我をうする。振動対策をしてもダメ、多少丈夫につくってもダメで、パイロットの傷はどんどん厳しくなる。最後に、固定脚の外側で主翼を切断して、その外に使い捨ての仮設翼をつけて降下する実験をやる…その結末はネタバレで書くべきではないのですが、ドーン(アレも口で作った効果音さそうです)と言う音が流れるところは、まあリスペクトなんでしょう。
実際に、96艦戦は固定脚の内側だけ残れば飛行できるという説もあります。仮に体当りして左右いずれか、場合によれば両翼端を失っても飛行できる等と言われた話もあります。実際はそんなことあるわけもないのですけどね。だいたい空中戦で体当たりとか、しかもバランスのわるい片翼帰還なんかできるわけない。そりゃ、金鵄勲章物だろうと思うのですが、それも宮崎式のロマンなんでしょう。その話を戦闘での話にせず、音速に挑む樫村パイロットの執念の話に仕上げているのが、宮崎流です。
ただ、マニアとしては、黒江さんの出番にニヤリとしてしまうのは業でしょう。実際に、音速突破実験に立ち会った陸軍の黒江さんと、マスタングのパイロットの黒江さんと、戦後日本人で初めて音速を突破した空自の黒江さんですが、キチンと同一人物としてわかるように描いてあります。そのあたりは、非常によろしいものですなと言うのが、最大の感想なのです。よくみると、黒江さんの私服のネクタイに、垂直降下で音速を超えたセイバー・パイロットに送られる「セイバー・クラブ」のネクタイピンがついているのですが、そこはご愛嬌でしょう。まあ、このあたりはそれは本筋から離れた部分なので、ネタバレもここらでオシマイということで。
烈風での空戦もすごかったのですよ。再現しないトラブルの繰り返しに、同乗で確認しようとした堀越技師が空戦に巻き込まれる。空戦中にパイロットの赤松さんに「乗り心地はどうだ」と言われるが、「最悪だな」としか答えられない。「それならもっといい飛行機を作れ」「わかった」という話のあとの、被弾からのシーンは、確かに物語としてのカタルシスでしょう。
烈風の胴体に機銃弾が貫通すると、暗い機体後部に光が差し込んでくる。その孔から外を観察すると、P-51のような機体に取り囲まれていることがわかります。赤松さんは「本土上空で陸軍機が来るようになったらオシマイだろ」といいながら、最低限の回避を繰り返し、あとはひたすら高度をとって離脱を図ろうとするが、衆寡は敵しない。やはり少数の命中弾は避けられない。
「奴らは15分、あるいは10分で帰っていく、それまで辛抱してよ」と後ろに怒鳴るのだが、もともと寡黙な堀越さんは何も答えない。ただ、弱い声で左下後方、方位変わらず近づいてくると、死角の方向を観察した声だけを挙げてくる
そのうち、敵集団が突然混乱した動きをするが、すぐに三々五々に帰っていく。ヤレヤレとした時に、後部から「真後ろ」、「マスタング」「突っ込んでくる」という声が聞こえる。赤松さんが、ああっと声を挙げると、ムスタングは何もせずに真横に並んで飛んでいる。その機体には日の丸がついている。陸軍の捕獲機が援護してくれたのだが、接近したパイロットが身振り手振りで何かを伝えようとしている。キャノピーを上げて大声で怒鳴りあうと、機体後部がエライことになっているのがうすうすわかる。
そういえば操縦感覚がオカシイ、今までで一度もない感覚だと気づく。「どうも操縦系がやられたみたいですが、堀越さん、後ろはどうですか、妙にフワフワするんですよね」といっても何も帰ってこない。マスタングの援護と指示により、とりあえず福生に降りると、救急車が待機している。念のいったことだと着陸すると、地上員は赤松さんを無視して、いきなり胴体の横腹に向かっていく、胴体を切り裂いて出てきた堀越さんは…という話は、やはりクライマックスなんでしょう。戦後、堀越さんは雑誌媒体には結構寄稿するのですが、テレビに出てこないあたりと関係する実話なのでしょう。
しかし、それよりも驚いたのが、9試艦戦の事故を入念に追い続けた中盤描写です。9試艦戦開発の黒歴史、堀越さんがアレに変わってしまう事件で、あまり触れないようにしていたエピソード。音速突破の物語を、潤色も込めてですが延々とやり続けるのは、宮崎作品ならではの展開でしょう。
プロペラ機で、音速突破をしようという話です。戦前、国威発揚を兼ねて何回も行われた実験に焦点を当てた作品は、初めてのものでしょう。空気の薄い高高度に上がり、急降下のあと、ついに90度で降下する。重力加速度を利用して音速を超えようという実験です。400kt500ktまでは、空気も薄ければ問題もないのですが、全金属製の9試艦戦でも、低空の濃密な大気との衝突には耐えられない。異常振動により、機体は分解してしまいパイロットは大怪我をうする。振動対策をしてもダメ、多少丈夫につくってもダメで、パイロットの傷はどんどん厳しくなる。最後に、固定脚の外側で主翼を切断して、その外に使い捨ての仮設翼をつけて降下する実験をやる…その結末はネタバレで書くべきではないのですが、ドーン(アレも口で作った効果音さそうです)と言う音が流れるところは、まあリスペクトなんでしょう。
実際に、96艦戦は固定脚の内側だけ残れば飛行できるという説もあります。仮に体当りして左右いずれか、場合によれば両翼端を失っても飛行できる等と言われた話もあります。実際はそんなことあるわけもないのですけどね。だいたい空中戦で体当たりとか、しかもバランスのわるい片翼帰還なんかできるわけない。そりゃ、金鵄勲章物だろうと思うのですが、それも宮崎式のロマンなんでしょう。その話を戦闘での話にせず、音速に挑む樫村パイロットの執念の話に仕上げているのが、宮崎流です。
ただ、マニアとしては、黒江さんの出番にニヤリとしてしまうのは業でしょう。実際に、音速突破実験に立ち会った陸軍の黒江さんと、マスタングのパイロットの黒江さんと、戦後日本人で初めて音速を突破した空自の黒江さんですが、キチンと同一人物としてわかるように描いてあります。そのあたりは、非常によろしいものですなと言うのが、最大の感想なのです。よくみると、黒江さんの私服のネクタイに、垂直降下で音速を超えたセイバー・パイロットに送られる「セイバー・クラブ」のネクタイピンがついているのですが、そこはご愛嬌でしょう。まあ、このあたりはそれは本筋から離れた部分なので、ネタバレもここらでオシマイということで。
Category : 未分類
米国の制裁に乗っかって、日本もイラン産原油輸入を一部遠慮している。だが、新政権ができたからとこじつけて、イラン産原油の輸入を増やしてもいいのではないか。
米国がイランを制裁する理由は、核開発であるとしている。しかし、なんだかんだ言って、イランは届出した核関連施設へのIAEAの査察も受けている。今問題になっているのは、届出していない施設へのIAEAの立入りである。米国はそこに核濃縮施設があるとしている。
ただ、これも米国による圧迫ではないのか。イランと米国が対立関係となった歴史を見ると、米国が一方的に追い詰めている。中国大陸、ベトナム、キューバでやったのと同じで、当初は関係改善を望んでいた相手を、きつく追い詰めて敵に追いやっている。イランは濃縮済したウランと、外国製の燃料用ウランを交換する話に同意している。だが、米国が制裁解除に同意しないのでその話は止まったままになっている。イランを追い詰める材料がなくなると困るからではないかと邪推したくなる。
日本にとっては、イランを敵に回す必要はない。イランが何をしようが、日本としてはあまり困らない。ホルムズ海峡の安全だけを保証してくれれば良い。安全を脅かした時、日本は何やっても通るぞと説明すれば、海峡封鎖実施を難しくする要素にもなる。
日本としては、イランが孤立気味であることは利用すべきではないか。それであれば、何かあった時にも原油を売ってくれる国として利用できる。また、イランを説得できるかもしれない国であるという雰囲気をもたせることもできる。そのためには、原油輸入量と対イラン投資を増やしてもいいのではないか。
米国が怒るということも、それほどは気にすることはない。米国は、結局は問題化できない。キューバ産糖輸入の前例がある。
日本は、米国制裁下のキューバから砂糖を輸入していた。1960以降、米国はキューバ締付を始めている。日本はその状況で、キューバ糖輸入をむしろ拡大している。この点は、田中高さんの「日本・キューバ貿易と対日政策」に詳しい。※
日本にとって、キューバ糖は魅力であった。アメリカ市場を失ったキューバ糖は高品質、安価である。逆に、キューバ糖以外は、米国の需要急増により効果となっていた。また、キューバも対日輸出を優遇した。価格は国際価格よりも安価とし、支払い条件としても、代金の8割を日貨購入に当てるという条件である。
結果として、日本は、1960-70年代にキューバ貿易を急膨張させたのである。この点について米国は不満であったが、自由貿易を押し出した日本にそれほど強くは出られなかった。キューバ糖についての不満は、対日要求順序では一番下であり、さらに駐日大使により、問題化しないようにやり過ごされていた。なお、日本はキューバ制裁にも協力する態度も示していた。戦略物資を輸出しない限りは、米国は日本と揉め事を起こそうとはしなかったわけである。
イランから原油を輸入しても、米国はそれほど強く出てこない。キューバ糖の例から見れば、兵器生産や核生産に転用できるような技術を輸出しない限り、対日関係を悪化させるほどの問題とはならない。むしろ、米国がそれなりに困る程度の、対米交渉のカードになるのではないか。
なにより、良質の原油や天然ガスを安く買うチャンスである。市場から排除されたイラン石油は、品質に比較し安価に購入できる。日本から物を売りつけるにも都合よい国だ。なんせ金持ちの国である。自動車だけではなく、いま話題のインフラを売りつけるにもちょうどいい。その上、イラン新体制を説得できる国としての立場を獲得できる可能性もある。
輸入拡大の理由は、イラン新体制成立あたりにこじつければいいのではないか。核開発にしても、それなりな合理的説明を得たとでもすればいいだろう。日本としてはIAEAの求める全面的な核査察を受け入れるように強く要求しておけばそれで済むのではないか。※※
※ 田中高「日本・キューバ貿易と対日政策」『国際政治:戦後日本外交とナショナリズム』(有斐閣,2012.10)
※※ 逆に、IAEAの要求する無差別の査察を受け入れた場合、どうなるんだろうね。イランの濃縮は医療用であるという説明は苦しいが、核爆弾そのもの以前の段階であった場合には、それ以上にイランを責めきれるものでもないような気がする。なんせ、隣のパキスタン、インド、近所のイスラエルの例もあるわけだ。
イランも、なにかあった時のために、なにかを作るための、なにかの材料だけを手許に置いとこう程度で我慢すれば、それで済んでしまうのではないかね。
米国がイランを制裁する理由は、核開発であるとしている。しかし、なんだかんだ言って、イランは届出した核関連施設へのIAEAの査察も受けている。今問題になっているのは、届出していない施設へのIAEAの立入りである。米国はそこに核濃縮施設があるとしている。
ただ、これも米国による圧迫ではないのか。イランと米国が対立関係となった歴史を見ると、米国が一方的に追い詰めている。中国大陸、ベトナム、キューバでやったのと同じで、当初は関係改善を望んでいた相手を、きつく追い詰めて敵に追いやっている。イランは濃縮済したウランと、外国製の燃料用ウランを交換する話に同意している。だが、米国が制裁解除に同意しないのでその話は止まったままになっている。イランを追い詰める材料がなくなると困るからではないかと邪推したくなる。
日本にとっては、イランを敵に回す必要はない。イランが何をしようが、日本としてはあまり困らない。ホルムズ海峡の安全だけを保証してくれれば良い。安全を脅かした時、日本は何やっても通るぞと説明すれば、海峡封鎖実施を難しくする要素にもなる。
日本としては、イランが孤立気味であることは利用すべきではないか。それであれば、何かあった時にも原油を売ってくれる国として利用できる。また、イランを説得できるかもしれない国であるという雰囲気をもたせることもできる。そのためには、原油輸入量と対イラン投資を増やしてもいいのではないか。
米国が怒るということも、それほどは気にすることはない。米国は、結局は問題化できない。キューバ産糖輸入の前例がある。
日本は、米国制裁下のキューバから砂糖を輸入していた。1960以降、米国はキューバ締付を始めている。日本はその状況で、キューバ糖輸入をむしろ拡大している。この点は、田中高さんの「日本・キューバ貿易と対日政策」に詳しい。※
日本にとって、キューバ糖は魅力であった。アメリカ市場を失ったキューバ糖は高品質、安価である。逆に、キューバ糖以外は、米国の需要急増により効果となっていた。また、キューバも対日輸出を優遇した。価格は国際価格よりも安価とし、支払い条件としても、代金の8割を日貨購入に当てるという条件である。
結果として、日本は、1960-70年代にキューバ貿易を急膨張させたのである。この点について米国は不満であったが、自由貿易を押し出した日本にそれほど強くは出られなかった。キューバ糖についての不満は、対日要求順序では一番下であり、さらに駐日大使により、問題化しないようにやり過ごされていた。なお、日本はキューバ制裁にも協力する態度も示していた。戦略物資を輸出しない限りは、米国は日本と揉め事を起こそうとはしなかったわけである。
イランから原油を輸入しても、米国はそれほど強く出てこない。キューバ糖の例から見れば、兵器生産や核生産に転用できるような技術を輸出しない限り、対日関係を悪化させるほどの問題とはならない。むしろ、米国がそれなりに困る程度の、対米交渉のカードになるのではないか。
なにより、良質の原油や天然ガスを安く買うチャンスである。市場から排除されたイラン石油は、品質に比較し安価に購入できる。日本から物を売りつけるにも都合よい国だ。なんせ金持ちの国である。自動車だけではなく、いま話題のインフラを売りつけるにもちょうどいい。その上、イラン新体制を説得できる国としての立場を獲得できる可能性もある。
輸入拡大の理由は、イラン新体制成立あたりにこじつければいいのではないか。核開発にしても、それなりな合理的説明を得たとでもすればいいだろう。日本としてはIAEAの求める全面的な核査察を受け入れるように強く要求しておけばそれで済むのではないか。※※
※ 田中高「日本・キューバ貿易と対日政策」『国際政治:戦後日本外交とナショナリズム』(有斐閣,2012.10)
※※ 逆に、IAEAの要求する無差別の査察を受け入れた場合、どうなるんだろうね。イランの濃縮は医療用であるという説明は苦しいが、核爆弾そのもの以前の段階であった場合には、それ以上にイランを責めきれるものでもないような気がする。なんせ、隣のパキスタン、インド、近所のイスラエルの例もあるわけだ。
イランも、なにかあった時のために、なにかを作るための、なにかの材料だけを手許に置いとこう程度で我慢すれば、それで済んでしまうのではないかね。
Category : ミリタリー
空自には、ある会社のコピー機がない。コピー機を作る会社はそれほど多くない。市場は、リコー、ゼロックス、キャノン、コニカミノルタ、シャープ、ミタの6社で占められている。空自には、なぜか6社のなかの1社が足りない。空自シェアは残り5社で締められており、それぞれキレイに1/5づつ、だいたい20%に均等割になっている。
あるべきメーカの商品がないことは、怪訝である。喩え話だが、ある省庁が、すべてTOTOであり、INAXがない、あるいは逆で、すべてINAXで、TOTOがないとしたらどうか。あるいは、委託食堂や自販機が全部コカ・コーラでありペプシ・コーラがない、あるいはペプシ・コーラでありコカ・コーラがないとすればどうか。まず涜職か癒着だと疑われても仕方ない。
去年の『会計検査資料』に「航空自衛隊第1補給処の事務用品等…」※ という記事があり、その中にコピー機の件が書いてあるのを見つけた。それを元に検索すると、「航空自衛隊第1補給処におけるオフィス家具等の…」という談合事件について防衛省による調査報告書が出てくる。談合事件と「談合事案」と言い換えるのは、いつもの役人の習性だが、それに大概が述べられている。
空自がやった談合、調達を随意契約にするやり方は、平凡なものだ。そこに何の工夫もない。普通に業者を呼んで、シェアリングさせる。一般競争入札を避けるために額を分割して随意契約にする。素人臭く、粗雑であるとも言える。毎年のシェアが変わらず、キレイに5等分されているあたりは、気づいてくれと言っているようなものだ。
一般競争入札で、狙った会社に落とさせるやり方も、平凡である。仕様書で無駄に細かい性能を示して、目的会社の製品しか落ちないようにする。これも平凡である。この談合から離れた例で示すと、たとえば、タブレットを調達するとして「iTunesに接続できること」とすれば、iPADだけを調達できる。ノートパソコンも「厚さ1.8cm以下、SSD搭載」とすればMacBookAirを調達できる。掃除機を調達するときに、吸引力と紙パック不使用を指定すればダイソンだけが落ちるようにできる。そんな仕様書を上げてくれば、競争の実効性を確保できないため、上で蹴られるものだが、上が主導した涜職なのでそのあたりはノーチェックになる。
実際に、監査や検査ではこのあたりは絶対にチェックされる。監査、会計検査のたぐいは結構受けている。会計検査は、海自や統合部隊だけではなく、防衛施設庁の分まで世話したこともある。だいたい目をつけられるのは、このあたり。あるべきものがない、不自然な随契、シェアや額に変化がない、競争性を確保できない仕様書といったあたり。監査だと臨時監査官やったりしたが、やはりその辺りを見ていたよ。
でも、国産装備開発・導入になると、この不自然な点に文句をいう人は少なくなる。あるべき海外メーカーがないことや、シェアがキレイに分かれている点、特定企業を通すための競争性のない仕様作成はまかり通っている。どうみても談合行為なのだが、談合となったのはUH-Xくらいなものか。露骨なF-2、P-1/C-2導入とかも、事業の健全性についての評価は相当に甘い。
開発中なら、機動戦闘車とか火力戦闘車も不自然になっている。普通は先行する海外製を買う話だがそれがない。シェアは国内独占企業である三菱・日本製鋼で分け合う構造である。仕様も、国内開発するために無理矢理に引っ張っている。先行する海外製だと駄目になるように組んでいる。陸だけではなく、陸海空全てにある話なのだが。
国産装備開発には、「あるべきものがない」ことで満ちている。報道や雑誌記事では、日本はスゴイというだけで、その背後にある不自然を批判しないことが不思議であるものだ。
※ 「航空自衛隊第1補給処の事務用品等の調達にかかる入札、契約及び予算執行の状況について」『会計検査資料』(建設物価調査会,2012.6)pp.11-15.
※※ 「航空自衛隊第1補給処におけるオフィス家具等の調達に係る談合事案に関する調査報告書」(防衛省,2009)http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/board/kentoiinkai_asdf/pdf/08/chousa.pdf
※※※ 報告書についても、なんだかんだ言っても、被害極限を図る防衛省よりも、会計検査院のほうが信頼できると見て良い。
『航空自衛隊第1補給処における事務用品等の調達に係る入札
・契約及び予算執行の状況について』(会計検査院,2011.9)http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/23/pdf/230922_zenbun_3.pdf
あるべきメーカの商品がないことは、怪訝である。喩え話だが、ある省庁が、すべてTOTOであり、INAXがない、あるいは逆で、すべてINAXで、TOTOがないとしたらどうか。あるいは、委託食堂や自販機が全部コカ・コーラでありペプシ・コーラがない、あるいはペプシ・コーラでありコカ・コーラがないとすればどうか。まず涜職か癒着だと疑われても仕方ない。
去年の『会計検査資料』に「航空自衛隊第1補給処の事務用品等…」※ という記事があり、その中にコピー機の件が書いてあるのを見つけた。それを元に検索すると、「航空自衛隊第1補給処におけるオフィス家具等の…」という談合事件について防衛省による調査報告書が出てくる。談合事件と「談合事案」と言い換えるのは、いつもの役人の習性だが、それに大概が述べられている。
空自がやった談合、調達を随意契約にするやり方は、平凡なものだ。そこに何の工夫もない。普通に業者を呼んで、シェアリングさせる。一般競争入札を避けるために額を分割して随意契約にする。素人臭く、粗雑であるとも言える。毎年のシェアが変わらず、キレイに5等分されているあたりは、気づいてくれと言っているようなものだ。
一般競争入札で、狙った会社に落とさせるやり方も、平凡である。仕様書で無駄に細かい性能を示して、目的会社の製品しか落ちないようにする。これも平凡である。この談合から離れた例で示すと、たとえば、タブレットを調達するとして「iTunesに接続できること」とすれば、iPADだけを調達できる。ノートパソコンも「厚さ1.8cm以下、SSD搭載」とすればMacBookAirを調達できる。掃除機を調達するときに、吸引力と紙パック不使用を指定すればダイソンだけが落ちるようにできる。そんな仕様書を上げてくれば、競争の実効性を確保できないため、上で蹴られるものだが、上が主導した涜職なのでそのあたりはノーチェックになる。
実際に、監査や検査ではこのあたりは絶対にチェックされる。監査、会計検査のたぐいは結構受けている。会計検査は、海自や統合部隊だけではなく、防衛施設庁の分まで世話したこともある。だいたい目をつけられるのは、このあたり。あるべきものがない、不自然な随契、シェアや額に変化がない、競争性を確保できない仕様書といったあたり。監査だと臨時監査官やったりしたが、やはりその辺りを見ていたよ。
でも、国産装備開発・導入になると、この不自然な点に文句をいう人は少なくなる。あるべき海外メーカーがないことや、シェアがキレイに分かれている点、特定企業を通すための競争性のない仕様作成はまかり通っている。どうみても談合行為なのだが、談合となったのはUH-Xくらいなものか。露骨なF-2、P-1/C-2導入とかも、事業の健全性についての評価は相当に甘い。
開発中なら、機動戦闘車とか火力戦闘車も不自然になっている。普通は先行する海外製を買う話だがそれがない。シェアは国内独占企業である三菱・日本製鋼で分け合う構造である。仕様も、国内開発するために無理矢理に引っ張っている。先行する海外製だと駄目になるように組んでいる。陸だけではなく、陸海空全てにある話なのだが。
国産装備開発には、「あるべきものがない」ことで満ちている。報道や雑誌記事では、日本はスゴイというだけで、その背後にある不自然を批判しないことが不思議であるものだ。
※ 「航空自衛隊第1補給処の事務用品等の調達にかかる入札、契約及び予算執行の状況について」『会計検査資料』(建設物価調査会,2012.6)pp.11-15.
※※ 「航空自衛隊第1補給処におけるオフィス家具等の調達に係る談合事案に関する調査報告書」(防衛省,2009)http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/board/kentoiinkai_asdf/pdf/08/chousa.pdf
※※※ 報告書についても、なんだかんだ言っても、被害極限を図る防衛省よりも、会計検査院のほうが信頼できると見て良い。
『航空自衛隊第1補給処における事務用品等の調達に係る入札
・契約及び予算執行の状況について』(会計検査院,2011.9)http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/23/pdf/230922_zenbun_3.pdf
Category : ミリタリー
防衛白書のWEB版に、日本と周辺国の戦力比較が載っている。防衛省が防衛予算を増やすための本なので、脅威を大きく見せる立場で作っているのだが、中国海軍970隻と極東ロシア海軍240隻は膨らませ過ぎではないか。
防衛白書は、防衛省が自分たちの政策を肯定してもらうために作っている。そのため、内容は防衛省自衛隊に都合よく書く。もちろん、それを攻めるつもりもない。企業のPR、広報部と同じで、目くじらをたてるほどではない。
ただし、防衛白書もその傾向にあることから、割り引いて見る必要がある。企業のPR、株屋のPRが株やると儲かる、健康食品のPRではこれ飲むとビンビンになる、毛生え屋のPRが毛も生えてくる、保険屋のPRが癌になると儲かるし、掛からなくとも祝い金で儲かるというようなものだ。防衛白書での判断や主張についても、眉つばで聞くのがちょうどいい。
特に眉つばでみるべきが、中国と極東ロシアの艦艇隻数である。(「図表Ⅰ-0-0-1」)中国970隻、ロシア240隻はなんにしても多すぎる。タグやら水船やらを足して、さらに軍港内に放置している鉄くずも足しての数字なのだろう。
防衛白書は、日本艦艇数について140隻としている。ざっと護衛艦が50、対機雷戦艦艇が30、潜水艦20、その他40で勘定しているのだろう。その他を10隻分づつ挙げると、補給艦・練習艦・掃海母艦10、訓練支援艦、輸送艦、観測艦、音響測定艦で10、支援艦、ミサイル艇で10、あとは試験艦と「はしだて」の類、それにLCUを足して10といったところだろう。
同じ方法で中国海軍を勘定しても、保管艦艇を足しても、どうやっても970隻に足りない。どう頑張っても650隻である。中国は水上戦闘艦について、どうみても使いものにならない旧式艦を多めに足しても100隻である。同様に潜水艦70隻、機雷戦艦艇100隻、商船改造の雑多な補給艦が80隻、LSM以上の揚陸艦が80隻、高速艇が200隻といった程度だ。
おそらく、数合わせてどうしようもない艦艇を足しているのだろう。しかし、どうしても120隻足りない。保管装備としても腐る寸前の上海型砲艇(100t)30隻、オーサ級コピー(200t)20隻を足して50隻。陸地が見える範囲で使うのが限界の、150t未満のLCMーLCU相当の揚陸艇保有数150隻。これでも足して850隻である。
足りない分、120隻は、80t・機銃1丁の警備艇(8隻)とか、揚陸戦で出てくる20tクラスの通船(名称・数不明)とかを足しているのだろう。それならば、それよりも大きなタグボートや水船も足しているとしか思えない。
ロシアも同じである。極東ロシアには、甘々にみても100隻である。動いているかどうかも怪しい艦艇を足しても、水上戦闘艦25隻、潜水艦25隻、ミサイル艇20隻といったところ。極東ロシアで限定するのが難しいが、補給艦、機雷戦艦艇、ホバークラフトのうち1/3が極東に居たとしても30隻がいいところである。
240隻との差、140隻については相当の小艇を足してもなかなか足りない。116tの内水調査船GPB-480の1/3が20隻、70tの魚雷回収艇を同じように1/3、15隻、300t-42t潜水支援船を同じく1/3、40隻。あとは、本当に港湾用タグを含む曳船の1/3を足して25隻。アムール河の河川艦隊30隻を足してどうにか120隻である。あと20隻は誤差やどうでもいい船だろう。
さて、日本と中国と極東ロシアを比較する上で、140隻 対 970隻 対 240隻 とする比較は妥当だろうか?
日本は、100t未満の小艇を足していない。日本は、50年前に作った、腐りかけた上海級を足しているわけではない。ましてや通船に毛の生えたような、魚雷回収船や潜水支援船を足していない。
防衛白書も、あやしげなPR広告同然の表記があるということだ。970隻が本当かといわれると、コマゴマと数を数え上げた資料を読み上げて「間違っていない」というだろう。あたかも、毛生え会社が、薬は効く、毛が生えた喜びの声のこんなに来ていると手紙の実物を示すように。
まあ、日本の艦艇数が少なくて危険が危ないと危機感を煽られたなら、日本艦艇数を140隻以上に勘定しなおせばいい。中国や極東ロシアが勘定しているような、300t未満のタグ・水船・油船は結構ある。100tに満たない通船も港務隊には何席も転がっている。起重機船やハルクを数えてもいい。なんなら、候補生学校や教育隊にあるカッターや、艦艇に積んでいる作業艇・内火艇も、数が同等になるまで計算に入れてもいいだろう。所詮その程度の数字である。
防衛白書は、防衛省が自分たちの政策を肯定してもらうために作っている。そのため、内容は防衛省自衛隊に都合よく書く。もちろん、それを攻めるつもりもない。企業のPR、広報部と同じで、目くじらをたてるほどではない。
ただし、防衛白書もその傾向にあることから、割り引いて見る必要がある。企業のPR、株屋のPRが株やると儲かる、健康食品のPRではこれ飲むとビンビンになる、毛生え屋のPRが毛も生えてくる、保険屋のPRが癌になると儲かるし、掛からなくとも祝い金で儲かるというようなものだ。防衛白書での判断や主張についても、眉つばで聞くのがちょうどいい。
特に眉つばでみるべきが、中国と極東ロシアの艦艇隻数である。(「図表Ⅰ-0-0-1」)中国970隻、ロシア240隻はなんにしても多すぎる。タグやら水船やらを足して、さらに軍港内に放置している鉄くずも足しての数字なのだろう。
防衛白書は、日本艦艇数について140隻としている。ざっと護衛艦が50、対機雷戦艦艇が30、潜水艦20、その他40で勘定しているのだろう。その他を10隻分づつ挙げると、補給艦・練習艦・掃海母艦10、訓練支援艦、輸送艦、観測艦、音響測定艦で10、支援艦、ミサイル艇で10、あとは試験艦と「はしだて」の類、それにLCUを足して10といったところだろう。
同じ方法で中国海軍を勘定しても、保管艦艇を足しても、どうやっても970隻に足りない。どう頑張っても650隻である。中国は水上戦闘艦について、どうみても使いものにならない旧式艦を多めに足しても100隻である。同様に潜水艦70隻、機雷戦艦艇100隻、商船改造の雑多な補給艦が80隻、LSM以上の揚陸艦が80隻、高速艇が200隻といった程度だ。
おそらく、数合わせてどうしようもない艦艇を足しているのだろう。しかし、どうしても120隻足りない。保管装備としても腐る寸前の上海型砲艇(100t)30隻、オーサ級コピー(200t)20隻を足して50隻。陸地が見える範囲で使うのが限界の、150t未満のLCMーLCU相当の揚陸艇保有数150隻。これでも足して850隻である。
足りない分、120隻は、80t・機銃1丁の警備艇(8隻)とか、揚陸戦で出てくる20tクラスの通船(名称・数不明)とかを足しているのだろう。それならば、それよりも大きなタグボートや水船も足しているとしか思えない。
ロシアも同じである。極東ロシアには、甘々にみても100隻である。動いているかどうかも怪しい艦艇を足しても、水上戦闘艦25隻、潜水艦25隻、ミサイル艇20隻といったところ。極東ロシアで限定するのが難しいが、補給艦、機雷戦艦艇、ホバークラフトのうち1/3が極東に居たとしても30隻がいいところである。
240隻との差、140隻については相当の小艇を足してもなかなか足りない。116tの内水調査船GPB-480の1/3が20隻、70tの魚雷回収艇を同じように1/3、15隻、300t-42t潜水支援船を同じく1/3、40隻。あとは、本当に港湾用タグを含む曳船の1/3を足して25隻。アムール河の河川艦隊30隻を足してどうにか120隻である。あと20隻は誤差やどうでもいい船だろう。
さて、日本と中国と極東ロシアを比較する上で、140隻 対 970隻 対 240隻 とする比較は妥当だろうか?
日本は、100t未満の小艇を足していない。日本は、50年前に作った、腐りかけた上海級を足しているわけではない。ましてや通船に毛の生えたような、魚雷回収船や潜水支援船を足していない。
防衛白書も、あやしげなPR広告同然の表記があるということだ。970隻が本当かといわれると、コマゴマと数を数え上げた資料を読み上げて「間違っていない」というだろう。あたかも、毛生え会社が、薬は効く、毛が生えた喜びの声のこんなに来ていると手紙の実物を示すように。
まあ、日本の艦艇数が少なくて危険が危ないと危機感を煽られたなら、日本艦艇数を140隻以上に勘定しなおせばいい。中国や極東ロシアが勘定しているような、300t未満のタグ・水船・油船は結構ある。100tに満たない通船も港務隊には何席も転がっている。起重機船やハルクを数えてもいい。なんなら、候補生学校や教育隊にあるカッターや、艦艇に積んでいる作業艇・内火艇も、数が同等になるまで計算に入れてもいいだろう。所詮その程度の数字である。
Category : ナショナリズム
防衛白書が閣議了承された。日本が中国との対立ベースにあることを強調したものらしい。実際に、中国との摩擦は高まっているので、嘘をついているわけでもない。だが、従来表現から急にヒートアップしたのは、今の内閣の、対外強硬策で支持層に阿っているアレに見えて仕方ない。防衛省としては、お金やオモチャが増えるので省の利益になるので歓迎なんだろうけどね。
その防衛白書で、尖閣諸島での領海進入を「不測の事態を招きかねない危険な行動を伴うものがあ」るとしているらしい。ラジオのニュースでも聞いたのだが、産経のネット版でもそのように報道されている。
しかし、それは日本側が尖閣問題をこじらせた結果なのではないか。事の濫觴は、2010年に漁船を捕まえて船長を起訴したことにある。日本にとって魚釣島が日本領であることは自明であるように、中国にとって釣魚台が中国領であることは自明である。阿吽の呼吸でによる黙契か、秘密協定によるかはともかく、互いにその辺りは触れないようにして誤魔化していた。
日本は尖閣を実効支配しているが、それを言うと揉める。だから尖閣に入ってきた中国船や中国人は、退去させて済ませていた。
しかし、船長起訴は、日本実効支配を公言し、しかも実効支配を積み上げる行為である。それをやられれば、中国側も尖閣は中国領であることを、行動で示さざるを得ない。自国船を釣魚台に尖閣に送り込んで、日本公船の中国領海侵入を防がなければならない
さて、尖閣諸島での中国公船について「不測の事態を招きかねない危険な行動を伴う」と評するのは妥当なのかね。日本が領海と主張する海面に、中国が公船が送り込む理由はそれなりにある。その経緯も、日本側が暗黙の約束を破ったからでもある。
しかも、送り込んできたのは政府公船、政府航空機である。軍艦ではない。日本側巡視船に体当りしたり、砲(ないけどね)を向けたりもしていない。大陸からの、中国版ネトウヨを乗っけた民間抗議船の類の行動は差し止めている。別体制の香港にも圧力をかけてもいる。※
中国側はむしろ抑制的な行動に出ている。日本が巡視船でパトロールをすれば、中国も公船でパトロールをする。日本巡視船が穏当な対応をとる限り、中国巡視船も穏当な対応を取る。尖閣ゲームのルールを守っているとも言える。(まあ、南京事件の日に飛行機を飛ばしたけどね) 「不測の事態を招きかねない危険な行動」には見えないのである。漁船で行って、海に飛び込んで泳いで上陸するような愛国者面を止められなかった日本のほうが、抑制が足りないようにも見える。
もちろん、日本にも立場があるので、オフィシャルにはそのように言わなければならない。特に、中国側の声高な主張に対抗するには、日本政府もそう言わなければならない。外交的な言辞というのはそういうものなのだろうが、声高ではあるが、実態は抑制的な方に「オマエのやってることは国際平和に害をなす」というのは、嫌なものである。内心でそうは思わずとも、そう言わなければならないことが一番嫌らしいものだ。
※ たとえば香港の出方に注目した記事もある。時事通信のhttp://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2013070600192がそれだ。
しかし、そこにないものに気づく必要もある。香港や台湾にあって、大陸本土発の民間抗議船がないことにも気づくべきではないか。
まあ、お昼休みの時間中に間に合うようにと頑張って書いたものなので、誤字脱字は御勘弁。
その防衛白書で、尖閣諸島での領海進入を「不測の事態を招きかねない危険な行動を伴うものがあ」るとしているらしい。ラジオのニュースでも聞いたのだが、産経のネット版でもそのように報道されている。
白書は、[尖閣諸島での]公船の領海侵入[ママ]など中国の挑発活動を列挙し、「不測の事態を招きかねない危険な行動を伴うものがあり、極めて遺憾だ」と強く非難。
「中国の挑発活動列挙、規範順守強く要求 防衛白書、同盟軸に国防強化」『MSN産経ニュース』(産経新聞,2013.7.9)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130709/plc13070910050004-n1.htm
しかし、それは日本側が尖閣問題をこじらせた結果なのではないか。事の濫觴は、2010年に漁船を捕まえて船長を起訴したことにある。日本にとって魚釣島が日本領であることは自明であるように、中国にとって釣魚台が中国領であることは自明である。阿吽の呼吸でによる黙契か、秘密協定によるかはともかく、互いにその辺りは触れないようにして誤魔化していた。
日本は尖閣を実効支配しているが、それを言うと揉める。だから尖閣に入ってきた中国船や中国人は、退去させて済ませていた。
しかし、船長起訴は、日本実効支配を公言し、しかも実効支配を積み上げる行為である。それをやられれば、中国側も尖閣は中国領であることを、行動で示さざるを得ない。自国船を釣魚台に尖閣に送り込んで、日本公船の中国領海侵入を防がなければならない
さて、尖閣諸島での中国公船について「不測の事態を招きかねない危険な行動を伴う」と評するのは妥当なのかね。日本が領海と主張する海面に、中国が公船が送り込む理由はそれなりにある。その経緯も、日本側が暗黙の約束を破ったからでもある。
しかも、送り込んできたのは政府公船、政府航空機である。軍艦ではない。日本側巡視船に体当りしたり、砲(ないけどね)を向けたりもしていない。大陸からの、中国版ネトウヨを乗っけた民間抗議船の類の行動は差し止めている。別体制の香港にも圧力をかけてもいる。※
中国側はむしろ抑制的な行動に出ている。日本が巡視船でパトロールをすれば、中国も公船でパトロールをする。日本巡視船が穏当な対応をとる限り、中国巡視船も穏当な対応を取る。尖閣ゲームのルールを守っているとも言える。(まあ、南京事件の日に飛行機を飛ばしたけどね) 「不測の事態を招きかねない危険な行動」には見えないのである。漁船で行って、海に飛び込んで泳いで上陸するような愛国者面を止められなかった日本のほうが、抑制が足りないようにも見える。
もちろん、日本にも立場があるので、オフィシャルにはそのように言わなければならない。特に、中国側の声高な主張に対抗するには、日本政府もそう言わなければならない。外交的な言辞というのはそういうものなのだろうが、声高ではあるが、実態は抑制的な方に「オマエのやってることは国際平和に害をなす」というのは、嫌なものである。内心でそうは思わずとも、そう言わなければならないことが一番嫌らしいものだ。
※ たとえば香港の出方に注目した記事もある。時事通信のhttp://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2013070600192がそれだ。
しかし、そこにないものに気づく必要もある。香港や台湾にあって、大陸本土発の民間抗議船がないことにも気づくべきではないか。
まあ、お昼休みの時間中に間に合うようにと頑張って書いたものなので、誤字脱字は御勘弁。
Category : 未分類
夏コミ用パンフが出来たよ。まあ、折るのと切るのがメンドイので、先行製作ということです。いや、折り終わったのに喜んで、普段は一滴も口にしないお酒を飲んだよ。やまや行って、333の355mlと氷を買って、ロックで飲んだら直ぐに酔っ払った。己のことながら、経済的な体質だと思うよ。

パンフの中身は、USMは衰退しました、といった内容。表紙の写真はMBDAから使用許可貰ったエグゾゼの写真。結構、雑誌で見たり、ネットでも転がっているのだけどねえ。権利者に許可はとらないといけない。中身は、USMが如何に使い難いか、威力で劣り、使い勝手が悪いかを説明している。
ただ、読みかえしたときに、ロシアが作っている新型原潜のこと忘れてた。「ロシアも発射セル方式は諦めた。オスカーⅡ以降、新造艦には載せていない」と書いたけど、ヤーセン級に積んでいる。まあ、いつ配備されるかわかったものでもないし、2隻目以降もいつできるか、ホントに完成するのか分かったものでもないからいいか。
2020年にオスカーⅡが退役すれば、VLS発射方式の対艦ミサイルは、2隻目、3隻目ができるか怪しいヤーセン級だけになる。戦力としては誤差レベルだから、大局的にみれば記述は間違えてもいないわけだしね。
そのヤーセンも、対艦型ではなく、陸地攻撃型を積むんじゃないのかね。ロシア潜水艦はいまさら米空母に飽和攻撃する時代でもない。それなら対水上戦には魚雷を使う。対艦ミサイルは使い道もない。そのセルも、地上攻撃型を積んだほうが使い勝手も良くなるだろうよ。

パンフの中身は、USMは衰退しました、といった内容。表紙の写真はMBDAから使用許可貰ったエグゾゼの写真。結構、雑誌で見たり、ネットでも転がっているのだけどねえ。権利者に許可はとらないといけない。中身は、USMが如何に使い難いか、威力で劣り、使い勝手が悪いかを説明している。
ただ、読みかえしたときに、ロシアが作っている新型原潜のこと忘れてた。「ロシアも発射セル方式は諦めた。オスカーⅡ以降、新造艦には載せていない」と書いたけど、ヤーセン級に積んでいる。まあ、いつ配備されるかわかったものでもないし、2隻目以降もいつできるか、ホントに完成するのか分かったものでもないからいいか。
2020年にオスカーⅡが退役すれば、VLS発射方式の対艦ミサイルは、2隻目、3隻目ができるか怪しいヤーセン級だけになる。戦力としては誤差レベルだから、大局的にみれば記述は間違えてもいないわけだしね。
そのヤーセンも、対艦型ではなく、陸地攻撃型を積むんじゃないのかね。ロシア潜水艦はいまさら米空母に飽和攻撃する時代でもない。それなら対水上戦には魚雷を使う。対艦ミサイルは使い道もない。そのセルも、地上攻撃型を積んだほうが使い勝手も良くなるだろうよ。
Category : ミリタリー
イージス艦を2隻増やす話がある。「イージス艦8隻態勢に 北朝鮮対応踏まえ、ミサイル防衛を強化」※ では、防衛省関係者の話として報道している。
報道では、理由を「ミサイル防衛(MD)の態勢強化」としている。だが、実際には艦隊向けの防空艦を増やす措置だろう。ミサイル防衛は、納得させやすい理由付けに過ぎない。
イージス艦運用は、日本海貼付けで柔軟性がない。現在保有しているイージス艦は6隻だが、いつも日本海に2隻貼り付けられるようにする態勢は困りものだ。日本近海以外のには、1-2隻しか回せなくなるからだ。
今のイージス艦6隻体制とMD運用は、相当に窮屈になっている。稼動状態にあるのは3-4隻である。6隻中、2-3隻は、なんだかんだで検査・整備・修理・改修のため入渠している。残り3-4隻にしても、訓練期間であったり、長距離移動中であったり、補給中で全部を作戦行動に使えるわけではない。1隻がその状態にあるとすると、手元に残るのは2-3隻、そのうち2隻を日本海に貼り付けられる状態と、日本近海を離れて、機動的に運用できるイージス艦は1隻しかなくなってしまう。
実際には、整備等も綱渡りなのだろう。この体制では、海外派遣の計画に合わせて整備線表を作るしかない。海自の、日本海軍力のプレゼンスのためには、リムパックほか、派米訓練にイージス派遣は必須である。その時には、無理に稼働4隻にする必要がある。当の派遣用に1隻、日本海貼付できる体制(日本近海に留置)に2隻、多方面での機動運用分に最低1隻で、4隻である。この4隻を維持するために、整備等、例えば検査・修理、訓練、人事、補給での綱渡りをする必要があって困っているのだろう。
その点、あと2隻を足せば、運用は相当に楽になる。3/8が入渠等で長期運用不能、1/8が訓練等で短期運用不能でも、だいたい手許に4隻は確保できる。MDに2隻引いても2隻残り、派遣訓練や長期行動で1隻抜かれても、機動運用できる1隻は残る。その1隻できり回している間に、運用不能であった4隻のうち1隻は使用可能になるだろうし、遠くに派遣したイージス艦を呼び戻すこともできる。
ただ、一番いいのは、MDからイージス艦を抜くことなのだがね。
北朝鮮の弾道弾を気にしなければ、イージス艦は中国とのゲームで大活用できる。北朝鮮の弾道弾は、恐怖を与えることが目的の政治的なオモチャである。実際には使用は相当に難しい。実威力そのものも、核でもつまない限りはたいしたものではない。そして、核を使えば北は終わる。昔の新中国ではないが「張子の虎」だと割り切れば、別にイージスを貼り付ける必要もない。そのイージス艦を、東シナ海や南シナ海、琉球弧付近で使えば、日本にとって北朝鮮以上に重要な中国とのゲームが有利になる。
あるいは、MD専用の小型艦を作っても良い。必要なのは、MDができる程度のイージスシステムであり、今あるような高価なイージス艦ではない。日本海貼付け用は、スペインのバサン級をもっとショボくしたイージス艦であってもよいし、商船改造の特設軍艦でも構わない。5000t、20ktで、武装はSM-3を12発と余剰76mm砲1門、乗員は最低数。燃料と生糧品だけは山と積んでおいて、外洋漁船方式で乗員はヘリで交代とかにすればいいんじゃないのかね。それを3隻用意して終わりとかすれば、まあ捗るんじゃないかと思うよ。
なんにしても、イージス艦を2隻追加すること自体は悪い話じゃない。確かに高い買い物だけど、色々と使い勝手が良い。中国とのゲームでも非常に役に足つ。本土防衛にしか使えないように使い勝手が悪く、中国とのゲームで役に立たない10式戦車やら、必要もない新榴弾砲を開発しようとするのに較べれば、筋は悪くはない話だね。
※ 「イージス艦8隻態勢に 北朝鮮対応踏まえ、ミサイル防衛を強化」『47NEWS』(全国新聞ネット,2013.7.7)http://www.47news.jp/47topics/e/243209.php
報道では、理由を「ミサイル防衛(MD)の態勢強化」としている。だが、実際には艦隊向けの防空艦を増やす措置だろう。ミサイル防衛は、納得させやすい理由付けに過ぎない。
イージス艦運用は、日本海貼付けで柔軟性がない。現在保有しているイージス艦は6隻だが、いつも日本海に2隻貼り付けられるようにする態勢は困りものだ。日本近海以外のには、1-2隻しか回せなくなるからだ。
今のイージス艦6隻体制とMD運用は、相当に窮屈になっている。稼動状態にあるのは3-4隻である。6隻中、2-3隻は、なんだかんだで検査・整備・修理・改修のため入渠している。残り3-4隻にしても、訓練期間であったり、長距離移動中であったり、補給中で全部を作戦行動に使えるわけではない。1隻がその状態にあるとすると、手元に残るのは2-3隻、そのうち2隻を日本海に貼り付けられる状態と、日本近海を離れて、機動的に運用できるイージス艦は1隻しかなくなってしまう。
実際には、整備等も綱渡りなのだろう。この体制では、海外派遣の計画に合わせて整備線表を作るしかない。海自の、日本海軍力のプレゼンスのためには、リムパックほか、派米訓練にイージス派遣は必須である。その時には、無理に稼働4隻にする必要がある。当の派遣用に1隻、日本海貼付できる体制(日本近海に留置)に2隻、多方面での機動運用分に最低1隻で、4隻である。この4隻を維持するために、整備等、例えば検査・修理、訓練、人事、補給での綱渡りをする必要があって困っているのだろう。
その点、あと2隻を足せば、運用は相当に楽になる。3/8が入渠等で長期運用不能、1/8が訓練等で短期運用不能でも、だいたい手許に4隻は確保できる。MDに2隻引いても2隻残り、派遣訓練や長期行動で1隻抜かれても、機動運用できる1隻は残る。その1隻できり回している間に、運用不能であった4隻のうち1隻は使用可能になるだろうし、遠くに派遣したイージス艦を呼び戻すこともできる。
ただ、一番いいのは、MDからイージス艦を抜くことなのだがね。
北朝鮮の弾道弾を気にしなければ、イージス艦は中国とのゲームで大活用できる。北朝鮮の弾道弾は、恐怖を与えることが目的の政治的なオモチャである。実際には使用は相当に難しい。実威力そのものも、核でもつまない限りはたいしたものではない。そして、核を使えば北は終わる。昔の新中国ではないが「張子の虎」だと割り切れば、別にイージスを貼り付ける必要もない。そのイージス艦を、東シナ海や南シナ海、琉球弧付近で使えば、日本にとって北朝鮮以上に重要な中国とのゲームが有利になる。
あるいは、MD専用の小型艦を作っても良い。必要なのは、MDができる程度のイージスシステムであり、今あるような高価なイージス艦ではない。日本海貼付け用は、スペインのバサン級をもっとショボくしたイージス艦であってもよいし、商船改造の特設軍艦でも構わない。5000t、20ktで、武装はSM-3を12発と余剰76mm砲1門、乗員は最低数。燃料と生糧品だけは山と積んでおいて、外洋漁船方式で乗員はヘリで交代とかにすればいいんじゃないのかね。それを3隻用意して終わりとかすれば、まあ捗るんじゃないかと思うよ。
なんにしても、イージス艦を2隻追加すること自体は悪い話じゃない。確かに高い買い物だけど、色々と使い勝手が良い。中国とのゲームでも非常に役に足つ。本土防衛にしか使えないように使い勝手が悪く、中国とのゲームで役に立たない10式戦車やら、必要もない新榴弾砲を開発しようとするのに較べれば、筋は悪くはない話だね。
※ 「イージス艦8隻態勢に 北朝鮮対応踏まえ、ミサイル防衛を強化」『47NEWS』(全国新聞ネット,2013.7.7)http://www.47news.jp/47topics/e/243209.php
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「イージス艦8隻態勢に 北朝鮮対応踏まえ、ミサイル防衛を強化」※ って記事がでているのだけれども。
15年契約となると、搭載するイージス・システムは、ベースライン9、9Cか9Dになるんじゃないかね。9Cは今年から、9Dは2015年から搭載されるシステムで、SM-6が運用できるようになる利点があるわけです。
SM-6は、AMRAAMのシーカをつけたタイプで、従来通りのセミアクティブに加えて、アクティブ・ホーミングも使えるようになる。同時交戦数は増えるし、超水平線での共同交戦もラクになる。イージス本来の仕事、艦隊防空が捗るわけです。
そうなれば、新造艦は、整備理由の対弾道弾用というよりは、中国海軍との睨みあい用なんだろうね。ヘリを積んでいないので、できることがイマイチの「こんごう」級は、ヘリを必要としないMDに押し付けて、「あしがら」とこの2隻を中国とのゲームに投入しようという頭なんじゃないかね。
まあ、新造艦はベースライン7でも問題はないといえばない。日本のイージスは、今は全部7相当になったから言えるけど、7以前は、MDやっている間は通常の防空はできなかった。だから防空用に護衛用意するというマヌケな話だったからねえ。
色々思いつくこともあるけど、書いていると長くなるのでそれは明日回しということで。
※ 「イージス艦8隻態勢に 北朝鮮対応踏まえ、ミサイル防衛を強化」『47NEWS』(全国新聞ネット,2013.7.7)http://www.47news.jp/47topics/e/243209.php
15年契約となると、搭載するイージス・システムは、ベースライン9、9Cか9Dになるんじゃないかね。9Cは今年から、9Dは2015年から搭載されるシステムで、SM-6が運用できるようになる利点があるわけです。
SM-6は、AMRAAMのシーカをつけたタイプで、従来通りのセミアクティブに加えて、アクティブ・ホーミングも使えるようになる。同時交戦数は増えるし、超水平線での共同交戦もラクになる。イージス本来の仕事、艦隊防空が捗るわけです。
そうなれば、新造艦は、整備理由の対弾道弾用というよりは、中国海軍との睨みあい用なんだろうね。ヘリを積んでいないので、できることがイマイチの「こんごう」級は、ヘリを必要としないMDに押し付けて、「あしがら」とこの2隻を中国とのゲームに投入しようという頭なんじゃないかね。
まあ、新造艦はベースライン7でも問題はないといえばない。日本のイージスは、今は全部7相当になったから言えるけど、7以前は、MDやっている間は通常の防空はできなかった。だから防空用に護衛用意するというマヌケな話だったからねえ。
色々思いつくこともあるけど、書いていると長くなるのでそれは明日回しということで。
※ 「イージス艦8隻態勢に 北朝鮮対応踏まえ、ミサイル防衛を強化」『47NEWS』(全国新聞ネット,2013.7.7)http://www.47news.jp/47topics/e/243209.php
Category : 有職故実
地名に出てくる「谷」は、西は「タニ」、東は「ヤ」と読む。笹原宏之さん(大学院の時に講義を取った先生だ)の話で出てくる。西日本、一の谷や蓑谷、山城青谷はタニ、東日本、渋谷、四ツ谷、谷中はヤで読む。「『東京の鶯谷は違うじゃないか』というだろうが、あれは江戸の後半期に京都に憧れ、新しくつけた地名だ」といっていた。この辺りは、岩波新書の『日本の漢字』でも書いてある。
この「タニ」という訓読み、マライ・ポリネシア諸語に由来の言葉ではないか示唆する話がある。
崎山理「日本語の混合的特徴」※ で見つけたのだが。崎山さんは、マライ・ポリネシア祖語で「低地」を示すtanahと、日本語上古音のtaniと比較しているのである。
「日本語の混合的特徴」は、去年の『国立民族博物館研究報告』に載っている。中身は、マライ・ポリネシア祖語、ポリネシア祖語、ポリネシア西部祖語と日本語を比較するというものだ。例えば、根源的な単語について次のように比較している。
・手 taŋan (PMP) taa,tai(上古日)
・目 mata (PMP) maa,mai(上古日)
・名 ŋajan (PAN) naa (上古日)
・歯 baraŋ (PWMP) paa (上古日)
・火 apuy (PMP) f/p/h音(上古日)
その中に
・低地tanah (PMP) tani (上古日)
も含まれている。これを見ると、上古日本語での基幹語とマライ・ポリネシア系の祖語とはよく合致しているように見える。「タニ」はおそらくオセアニア諸語の影響を受けた単語である。
そして、マライ・ポリネシア文化の影響を強く受けていた西日本にタニが残った。地名にタニが付く地域が西日本に限定されている。その理由は、古代の西日本がマライ・ポリネシア文化の影響を受けていたことと関係があるのだろう。
もちろん、タニについては、オーストロネシア語の影響を見なければならないだろう。マライ・ポリネシア語の、さらに一段階遡った段階にあるオーストロネシア語としての台湾語や北フィリピン諸語の、その祖語や基幹語との関係を見なければいけないのだろうけどね。
※ 崎山理「日本語の混合的特徴」『国立民族博物館研究報告』(36-3)(国立民族学博物館,2012)pp.353-393
この「タニ」という訓読み、マライ・ポリネシア諸語に由来の言葉ではないか示唆する話がある。
崎山理「日本語の混合的特徴」※ で見つけたのだが。崎山さんは、マライ・ポリネシア祖語で「低地」を示すtanahと、日本語上古音のtaniと比較しているのである。
「日本語の混合的特徴」は、去年の『国立民族博物館研究報告』に載っている。中身は、マライ・ポリネシア祖語、ポリネシア祖語、ポリネシア西部祖語と日本語を比較するというものだ。例えば、根源的な単語について次のように比較している。
・手 taŋan (PMP) taa,tai(上古日)
・目 mata (PMP) maa,mai(上古日)
・名 ŋajan (PAN) naa (上古日)
・歯 baraŋ (PWMP) paa (上古日)
・火 apuy (PMP) f/p/h音(上古日)
その中に
・低地tanah (PMP) tani (上古日)
も含まれている。これを見ると、上古日本語での基幹語とマライ・ポリネシア系の祖語とはよく合致しているように見える。「タニ」はおそらくオセアニア諸語の影響を受けた単語である。
そして、マライ・ポリネシア文化の影響を強く受けていた西日本にタニが残った。地名にタニが付く地域が西日本に限定されている。その理由は、古代の西日本がマライ・ポリネシア文化の影響を受けていたことと関係があるのだろう。
もちろん、タニについては、オーストロネシア語の影響を見なければならないだろう。マライ・ポリネシア語の、さらに一段階遡った段階にあるオーストロネシア語としての台湾語や北フィリピン諸語の、その祖語や基幹語との関係を見なければいけないのだろうけどね。
※ 崎山理「日本語の混合的特徴」『国立民族博物館研究報告』(36-3)(国立民族学博物館,2012)pp.353-393