Category : 有職故実
選挙の季節だが。
自衛隊は票にならない。色気を出して、比例全国区で出馬する奴はいるが、概ね落ちるのが実態だ。特に昔は人選がよろしくなかった。内局まわりの文官を出しても兵隊は支持しない。だいたい、防衛庁を防衛省にしようの類をいった所で、兵隊は誰も支持しない。
10年以上前の話だが、選挙期間中、横須賀総監部正門で、文官上がりとその運動員が朝夕に挨拶していたが、無駄な努力だった。見る限りは誰もまともに取り合っていない。取り合う可能性があるとすれば、顔見知り、まあ防衛省幹部とされる2佐以上の位なものか。その2佐以上の影響力を期待しているのかもしれないが、海自だとその辺りは概ねいなす。知り合いだから、上のクラスがそう言っているからといっても、政治からは距離をとる。政治的中立性云々というよりも、危うきに近づかずというやつだ。
ただ、その選挙では、防衛省出身候補者は、ある程度上のほうの攻略は成功した様子だった。判断をした関係者は定年しただろうから言うのだけれども。選挙期間に、赤いロゴで「DF」とした、ディフェンス・フォーラムという怪しい機関紙が、自衛隊の文書交換機能を使って回ってきた。防衛についての社団法人かなにかは知らないが、その中身は選挙運動そのもの。
課長・係長と話して「業務中に、業務として回覧するのはマズイよね」ということにして、非公式に接受数の記録を取って、回覧しない経緯をメモして、当日のテレビと一緒にデジカメでとって、シュレッダーにかけた。シュレッダーに投入するところもデジカメで取っておいた。記録は複数作って封筒に詰めて封印して保管しといた。
いまから思えば「DF」の一部も保管しておいたほうがよかったかもしれない。内容は、「如何に防衛省出身者に投票しなければならないか」を力説するもの。確か候補者は自民党×5(くらい)、民主党×1だが、防衛省職員1種あたりの連中が並んでいたので、見ただけでダメだと思った。
そういえば、その「DF」総監部の自転車のカゴに突っ込んであるのも見たが、誰が突っ込んだのかまでは知らない。
その選挙では、防衛省出身者は気持ちいいくらいに落ちた。そのあと、また「DF」が回ってきたが、これが傑作。運動員が隊員を逆恨みしているのだよ。「先輩であるOBが朝夕挨拶しているのに隊員は誰も挨拶しない」とかね。「こいつら世間とズレている」と思ったよ。
まあ、当選するのは、陸の兵隊上がりのあの人位ではないのかな。兵隊として海外で活躍みたいな話で押し出して当籤したけど。あの派遣そのものも話題作りにしか見えない。その後の「右を取り込みさえすればいいだろう」という、節操のない主張発言について、防衛省前にある事務所を見るにつけて嫌悪感をもったものだ。
陸自は政治志向がある。60年代ころから「陸より海空だろ」という風潮に危機感を抱いて、政治力を伸ばそうとしている。85年の朝日新聞「海空重視論が急浮上」※ では、自民党防衛族でももともと海空重視論がコンセンサスであり、それが表面化しただけである。それに反発した陸自OB議員が陸自に政治力が必要云々の話が出ている。
とはいえ、兵隊上がりも、出ても参議院で一人がいいところではないか。例の議員も改選だが、自民が強いから当籤するだろう。だが、海外旅行は10年近く前で、神通力も落ちている。だから、前回の得票25万、党内6位の位置からは滑り落ちるんじゃないかね。
むしろ、自衛隊が選挙で強いのは地方議会か。地元で長くやった准尉・先任クラスは強い。部下の親父がそれだったのだが、トップ当選だったとのこと。先任クラスなら、隊内の有権者はみんな知っている。自衛隊があるようなところは、概ね人口も少ない。あの横須賀、呉でも急速に人口が減少している。そういったあたりの市議会町村議会なら、自衛隊票で勝てるだろう。
まあ、コレが首長になると難しいのだが。
※ 「海空重視論が急浮上」『朝日新聞』(朝日新聞,1985.9.29)朝刊 p.2
自衛隊は票にならない。色気を出して、比例全国区で出馬する奴はいるが、概ね落ちるのが実態だ。特に昔は人選がよろしくなかった。内局まわりの文官を出しても兵隊は支持しない。だいたい、防衛庁を防衛省にしようの類をいった所で、兵隊は誰も支持しない。
10年以上前の話だが、選挙期間中、横須賀総監部正門で、文官上がりとその運動員が朝夕に挨拶していたが、無駄な努力だった。見る限りは誰もまともに取り合っていない。取り合う可能性があるとすれば、顔見知り、まあ防衛省幹部とされる2佐以上の位なものか。その2佐以上の影響力を期待しているのかもしれないが、海自だとその辺りは概ねいなす。知り合いだから、上のクラスがそう言っているからといっても、政治からは距離をとる。政治的中立性云々というよりも、危うきに近づかずというやつだ。
ただ、その選挙では、防衛省出身候補者は、ある程度上のほうの攻略は成功した様子だった。判断をした関係者は定年しただろうから言うのだけれども。選挙期間に、赤いロゴで「DF」とした、ディフェンス・フォーラムという怪しい機関紙が、自衛隊の文書交換機能を使って回ってきた。防衛についての社団法人かなにかは知らないが、その中身は選挙運動そのもの。
課長・係長と話して「業務中に、業務として回覧するのはマズイよね」ということにして、非公式に接受数の記録を取って、回覧しない経緯をメモして、当日のテレビと一緒にデジカメでとって、シュレッダーにかけた。シュレッダーに投入するところもデジカメで取っておいた。記録は複数作って封筒に詰めて封印して保管しといた。
いまから思えば「DF」の一部も保管しておいたほうがよかったかもしれない。内容は、「如何に防衛省出身者に投票しなければならないか」を力説するもの。確か候補者は自民党×5(くらい)、民主党×1だが、防衛省職員1種あたりの連中が並んでいたので、見ただけでダメだと思った。
そういえば、その「DF」総監部の自転車のカゴに突っ込んであるのも見たが、誰が突っ込んだのかまでは知らない。
その選挙では、防衛省出身者は気持ちいいくらいに落ちた。そのあと、また「DF」が回ってきたが、これが傑作。運動員が隊員を逆恨みしているのだよ。「先輩であるOBが朝夕挨拶しているのに隊員は誰も挨拶しない」とかね。「こいつら世間とズレている」と思ったよ。
まあ、当選するのは、陸の兵隊上がりのあの人位ではないのかな。兵隊として海外で活躍みたいな話で押し出して当籤したけど。あの派遣そのものも話題作りにしか見えない。その後の「右を取り込みさえすればいいだろう」という、節操のない主張発言について、防衛省前にある事務所を見るにつけて嫌悪感をもったものだ。
陸自は政治志向がある。60年代ころから「陸より海空だろ」という風潮に危機感を抱いて、政治力を伸ばそうとしている。85年の朝日新聞「海空重視論が急浮上」※ では、自民党防衛族でももともと海空重視論がコンセンサスであり、それが表面化しただけである。それに反発した陸自OB議員が陸自に政治力が必要云々の話が出ている。
とはいえ、兵隊上がりも、出ても参議院で一人がいいところではないか。例の議員も改選だが、自民が強いから当籤するだろう。だが、海外旅行は10年近く前で、神通力も落ちている。だから、前回の得票25万、党内6位の位置からは滑り落ちるんじゃないかね。
むしろ、自衛隊が選挙で強いのは地方議会か。地元で長くやった准尉・先任クラスは強い。部下の親父がそれだったのだが、トップ当選だったとのこと。先任クラスなら、隊内の有権者はみんな知っている。自衛隊があるようなところは、概ね人口も少ない。あの横須賀、呉でも急速に人口が減少している。そういったあたりの市議会町村議会なら、自衛隊票で勝てるだろう。
まあ、コレが首長になると難しいのだが。
※ 「海空重視論が急浮上」『朝日新聞』(朝日新聞,1985.9.29)朝刊 p.2
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