Category : ミリタリー
イージス艦を2隻増やす話がある。「イージス艦8隻態勢に 北朝鮮対応踏まえ、ミサイル防衛を強化」※ では、防衛省関係者の話として報道している。
報道では、理由を「ミサイル防衛(MD)の態勢強化」としている。だが、実際には艦隊向けの防空艦を増やす措置だろう。ミサイル防衛は、納得させやすい理由付けに過ぎない。
イージス艦運用は、日本海貼付けで柔軟性がない。現在保有しているイージス艦は6隻だが、いつも日本海に2隻貼り付けられるようにする態勢は困りものだ。日本近海以外のには、1-2隻しか回せなくなるからだ。
今のイージス艦6隻体制とMD運用は、相当に窮屈になっている。稼動状態にあるのは3-4隻である。6隻中、2-3隻は、なんだかんだで検査・整備・修理・改修のため入渠している。残り3-4隻にしても、訓練期間であったり、長距離移動中であったり、補給中で全部を作戦行動に使えるわけではない。1隻がその状態にあるとすると、手元に残るのは2-3隻、そのうち2隻を日本海に貼り付けられる状態と、日本近海を離れて、機動的に運用できるイージス艦は1隻しかなくなってしまう。
実際には、整備等も綱渡りなのだろう。この体制では、海外派遣の計画に合わせて整備線表を作るしかない。海自の、日本海軍力のプレゼンスのためには、リムパックほか、派米訓練にイージス派遣は必須である。その時には、無理に稼働4隻にする必要がある。当の派遣用に1隻、日本海貼付できる体制(日本近海に留置)に2隻、多方面での機動運用分に最低1隻で、4隻である。この4隻を維持するために、整備等、例えば検査・修理、訓練、人事、補給での綱渡りをする必要があって困っているのだろう。
その点、あと2隻を足せば、運用は相当に楽になる。3/8が入渠等で長期運用不能、1/8が訓練等で短期運用不能でも、だいたい手許に4隻は確保できる。MDに2隻引いても2隻残り、派遣訓練や長期行動で1隻抜かれても、機動運用できる1隻は残る。その1隻できり回している間に、運用不能であった4隻のうち1隻は使用可能になるだろうし、遠くに派遣したイージス艦を呼び戻すこともできる。
ただ、一番いいのは、MDからイージス艦を抜くことなのだがね。
北朝鮮の弾道弾を気にしなければ、イージス艦は中国とのゲームで大活用できる。北朝鮮の弾道弾は、恐怖を与えることが目的の政治的なオモチャである。実際には使用は相当に難しい。実威力そのものも、核でもつまない限りはたいしたものではない。そして、核を使えば北は終わる。昔の新中国ではないが「張子の虎」だと割り切れば、別にイージスを貼り付ける必要もない。そのイージス艦を、東シナ海や南シナ海、琉球弧付近で使えば、日本にとって北朝鮮以上に重要な中国とのゲームが有利になる。
あるいは、MD専用の小型艦を作っても良い。必要なのは、MDができる程度のイージスシステムであり、今あるような高価なイージス艦ではない。日本海貼付け用は、スペインのバサン級をもっとショボくしたイージス艦であってもよいし、商船改造の特設軍艦でも構わない。5000t、20ktで、武装はSM-3を12発と余剰76mm砲1門、乗員は最低数。燃料と生糧品だけは山と積んでおいて、外洋漁船方式で乗員はヘリで交代とかにすればいいんじゃないのかね。それを3隻用意して終わりとかすれば、まあ捗るんじゃないかと思うよ。
なんにしても、イージス艦を2隻追加すること自体は悪い話じゃない。確かに高い買い物だけど、色々と使い勝手が良い。中国とのゲームでも非常に役に足つ。本土防衛にしか使えないように使い勝手が悪く、中国とのゲームで役に立たない10式戦車やら、必要もない新榴弾砲を開発しようとするのに較べれば、筋は悪くはない話だね。
※ 「イージス艦8隻態勢に 北朝鮮対応踏まえ、ミサイル防衛を強化」『47NEWS』(全国新聞ネット,2013.7.7)http://www.47news.jp/47topics/e/243209.php
報道では、理由を「ミサイル防衛(MD)の態勢強化」としている。だが、実際には艦隊向けの防空艦を増やす措置だろう。ミサイル防衛は、納得させやすい理由付けに過ぎない。
イージス艦運用は、日本海貼付けで柔軟性がない。現在保有しているイージス艦は6隻だが、いつも日本海に2隻貼り付けられるようにする態勢は困りものだ。日本近海以外のには、1-2隻しか回せなくなるからだ。
今のイージス艦6隻体制とMD運用は、相当に窮屈になっている。稼動状態にあるのは3-4隻である。6隻中、2-3隻は、なんだかんだで検査・整備・修理・改修のため入渠している。残り3-4隻にしても、訓練期間であったり、長距離移動中であったり、補給中で全部を作戦行動に使えるわけではない。1隻がその状態にあるとすると、手元に残るのは2-3隻、そのうち2隻を日本海に貼り付けられる状態と、日本近海を離れて、機動的に運用できるイージス艦は1隻しかなくなってしまう。
実際には、整備等も綱渡りなのだろう。この体制では、海外派遣の計画に合わせて整備線表を作るしかない。海自の、日本海軍力のプレゼンスのためには、リムパックほか、派米訓練にイージス派遣は必須である。その時には、無理に稼働4隻にする必要がある。当の派遣用に1隻、日本海貼付できる体制(日本近海に留置)に2隻、多方面での機動運用分に最低1隻で、4隻である。この4隻を維持するために、整備等、例えば検査・修理、訓練、人事、補給での綱渡りをする必要があって困っているのだろう。
その点、あと2隻を足せば、運用は相当に楽になる。3/8が入渠等で長期運用不能、1/8が訓練等で短期運用不能でも、だいたい手許に4隻は確保できる。MDに2隻引いても2隻残り、派遣訓練や長期行動で1隻抜かれても、機動運用できる1隻は残る。その1隻できり回している間に、運用不能であった4隻のうち1隻は使用可能になるだろうし、遠くに派遣したイージス艦を呼び戻すこともできる。
ただ、一番いいのは、MDからイージス艦を抜くことなのだがね。
北朝鮮の弾道弾を気にしなければ、イージス艦は中国とのゲームで大活用できる。北朝鮮の弾道弾は、恐怖を与えることが目的の政治的なオモチャである。実際には使用は相当に難しい。実威力そのものも、核でもつまない限りはたいしたものではない。そして、核を使えば北は終わる。昔の新中国ではないが「張子の虎」だと割り切れば、別にイージスを貼り付ける必要もない。そのイージス艦を、東シナ海や南シナ海、琉球弧付近で使えば、日本にとって北朝鮮以上に重要な中国とのゲームが有利になる。
あるいは、MD専用の小型艦を作っても良い。必要なのは、MDができる程度のイージスシステムであり、今あるような高価なイージス艦ではない。日本海貼付け用は、スペインのバサン級をもっとショボくしたイージス艦であってもよいし、商船改造の特設軍艦でも構わない。5000t、20ktで、武装はSM-3を12発と余剰76mm砲1門、乗員は最低数。燃料と生糧品だけは山と積んでおいて、外洋漁船方式で乗員はヘリで交代とかにすればいいんじゃないのかね。それを3隻用意して終わりとかすれば、まあ捗るんじゃないかと思うよ。
なんにしても、イージス艦を2隻追加すること自体は悪い話じゃない。確かに高い買い物だけど、色々と使い勝手が良い。中国とのゲームでも非常に役に足つ。本土防衛にしか使えないように使い勝手が悪く、中国とのゲームで役に立たない10式戦車やら、必要もない新榴弾砲を開発しようとするのに較べれば、筋は悪くはない話だね。
※ 「イージス艦8隻態勢に 北朝鮮対応踏まえ、ミサイル防衛を強化」『47NEWS』(全国新聞ネット,2013.7.7)http://www.47news.jp/47topics/e/243209.php
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