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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.07
15
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12:00
Category : エネルギー
 電力会社の利潤は、コスト×利益率なので、燃料が高価になれば利益も増える。その観点でみると、国内炭利用は電力会社銭ゲバ商法にしか見えない。

 北海道電力が、わざわざ発電に国内炭を使っているという。電力会社からすれば、電力料金で回収できるので構わないが、電力料金を払う側からすればふざけた話である。電力料金審査で引っかかるのは当然の話だ。 

 だが、その当然の批判に、腹を立てる人々もいる。「電気料金審査専門委員会でまさかの国内炭批判」がそれだ。概ね、原発事故以前の原発擁護に似たものにしか見えないのだが、当の本人たちは本気なのだろう。電力会社の親衛隊といったところだ。

 中でも、ヘボ担当は、愛社精神から他地域会社を、理屈にならない理屈で擁護した結果、例によってズレた発言をしている。日本国内から炭鉱がなくなると危険とか、バーゲニング・パワーが減るといったものだ。

 このヘボ担当さんは、自分を大きく見せるため、理解せずにそれっぽい言葉を並べる習性がある。JP-4とJP-5のコンタミは危険で危ないとか、CIFの意味も知らずに統計の見方は伝説の呂布で、といったマヌケな発言がそれである。しかし、コンタミにどのような危険がるのか、相場の日内変動に隠れる程度の輸送・保険コストのどこが有料ノウハウなのかは全く示せない。もちろん、何も理解していないためだ。そして、今回も似た発言をしている。

 日本国内から炭鉱がなくなることは、ヘボ担当さんの言うような致命的な問題ではない。ヘボ担当さんは
発言者の真意を疑いたくなりますね。割高な国内炭使用を止めよ!というのは、短期的には正しいのかも知れませんが、それにより失われる炭坑が何処にあるのか、[日本国内であることを]考えたことがあるのか不明。
https://twitter.com/hebotanto/status/355817542822010880
と述べている。日本の石炭使用量は、年間2億トン近い。ヘボ担当さんが重要視する、日本唯一の炭鉱、釧路コールマインで、高価な国内炭を年50万トンとった所で、0.3%未満であり、エネルギー安全保障上の意味はなにもない。そもそも、山元価格で国際価格の1.7倍である段階で、経済的には退場すべき炭田である。「失われる」と嘆く必要はどこにもない。

 バーゲニング・パワーも、ヘボ担当さんが考えた屁理屈に過ぎない。ヘボ担当さんは
また当該炭坑が廃止となっても、では現状ベースで海外石炭を購入できるかは全くの別問題。バーゲニングパワーは「買わない・他を当たる」選択肢が有るからこそ成立しますが。果てさて。
https://twitter.com/hebotanto/status/355818052442529792
と言う。しかし、それなら、なぜ他業種がバーゲニング・パワーとやらを確保するために国内炭を買わないのかの理屈がつかない。実際は、単に高価で割に合わないので買わない話である。だいたい、国際価格の1.7倍の石炭は、まともな会社なら採算に合わないので購入しない。多少高値で掴まされても海外炭の方が安い。出炭量で国内需要の0.3%未満なら、何のバーゲニング・パワーにもなり得ない。

 実際に、釧路コールマインの石炭は電力会社しか買っていない。理由は簡単である。電力会社は高い石炭を買ったほうが、自社にとって有利になるためである。例の総括原価方式であるので、燃料は高ければ高いほど良い。同じ利益率なら、元値の高い方が良い。キャバクラで高い酒をすすめるようなものだ。普通の会社は回収できないので、こんな馬鹿高い石炭を買ったりはしない。

 ヘボ担当さんの擁護は、愛社男が、愛社精神で会社を擁護しているつもりが、その珍理屈で逆効果を招いている。まず、会社内部の理屈と、世間の常識のズレに気づいていない。一種の、自転する組織脳なのだろう。電力会社は高コストなら高コストほど利益が増える収益モデルがある。普通の社員は、それを知りつつ、世間からそう見られないように言論には注意する。割高な国内炭利用についても、まともな社員も公式理由の「非常時に備える」とか「技術伝承を」と、会社が傷つかないように、自己保身図りつつ発言するだろう。もちろん、注意して割高であることには触れない。割高な燃料を使うことは、消費者に差額+利益を全額負担させることが明白になるからだ。しかし、ヘボ担当さんは「発言者の真意を疑いたくなりますね。割高な国内炭使用を止めよ!というのは」と発言する。自分の会社、業種が世間からどう見られているかを全く理解していない上に、会社防衛まで頭が行かないわけだ。会社を守ろうとして、会社に傷をつける発言であることに気づいていない。

 ヘボ担当さんは、自衛隊の愛国下士官のようなものだ。モノ見えていない愛国下士官は、会社公式発表を心底信じている。ヘボ担当さんの発言は、本気で防衛費が足りないと嘆く愛国下士官そのものである。もちろん、普通の下士官は、会社の理屈は外の屁理屈であることを承知しているから余計な発言はしない。出世の早い優秀な下士官は、頭がいいので、恨みを買わない程度に会社の中で会社公式発表を利用する。だがもちろん、会社の外に対してはそんなことは一言も言わない。会社の外でも自衛隊の愛国理論を振り回すのは、あまりロクな下士官ではない。能力や待遇を見ても、相応の水準にあると見ていいだろう。




 まあ、エネルギー安全保障なら、出炭量年50万トンで通年100万kwを確保するよりも、採炭量の天井のない、風車や太陽光を普及させたほうがいいんじゃね? 化石燃料にしても、ロシアからガス送るパイプライン(直接、電力を買ってもいいけどね)をつなげるなり、どれだけあるかしらないが、国内の亜炭・褐炭・泥炭を掘る準備だけをしておくほうが、建設的であり、マシに見えるのだけどね。
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