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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.07
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Category : ミリタリー
 JSFさんは、戦車の周辺にある環境を見ようとしない。だから、10式戦車を論ずることができず、10式戦車に詳しいだけで終わってしまう。

 まず、儲かっているかと聞いて、ボロ儲けだと回答する会社はない。しかも、官需で稼いでいる企業であればなおさらだ。「軍需でウハウハです」と答えるバカはいない。

 JSFさんは、そこが分かっていない。戦車生産について「メーカーはそもそも戦車で全く儲かってない。三菱重工に聞いてみるといいですよ。」というが「聞いてみるといい」と言い切るところが、世間を全く分かっていない。

 防衛産業は、相当に有利な「コスト×利益率」で計算している。東電の総括原価と同じで、全く損をしない仕組みになっている。企業によって異なるが、利益率もそれほど悪くはない。

 また、支払いもよく、取りはぐれもない。特に戦車は単歳なので年度末までには回収できる。戦車は2年後、3年後に支払う国庫債務負担行為(国債)ではない。また、取りはぐれもない。経費が増えれば、商議でその分、増額される。やる気になれば、水増しして増額させ、まんまと支払わせることもできる。実際に、三菱電機ほかが戦闘機で水増し請求をやっている。

 JSFさんは、大好きな国産兵器を擁護するあまり、そのあたりを問題視できない。国産兵器と、その周辺にある問題点に盲目である。国産兵器スゴイ、エライ、世界一としか言わないことは置いておこう。興味深いのは、国産兵器ラブのあまり、その周辺も美化してしまうことだ。「[国産兵器]メーカーはそもそも[国産兵器である]戦車で全く儲かっていない」と言い出すのは、「ボクの大好きな国産兵器を作る防衛産業が金に汚い訳がない」と信じるピュアな心情の吐露である。

 この点、JSFさんは桜林美佐さんと同じである。仮に国産兵器の裏にどんな問題があったとしても、それが犯罪であったとしても、国産兵器を作るための「工夫」と言抜けるだろう。桜林さんが過大請求を「国のためではありながら国に補填してもらえない赤字を、自分たちの社内の工夫でなんとか乗り切っていたということだ。」愛国無罪を主張したように。

 JSFさんも、その支持者も、贔屓の引き倒しだ。結局は、戦車そのものしか見ていないファンである。團十郎と勘三郎だけを見て、芝居を見ない歌舞伎ファンに近い。役者しか見ないで芝居を見ないファンと、10式戦車しかみないで日本の安全保障の現況を見ようとしないマニアは同じである。最初から「10式戦車カッコイイ」、「もっと10式戦車を見せろ、増やせ」としか言えない。そこから出ようとしないので、10式戦車がなぜ必要なのかを説明できない。

 10式戦車は整備する必要性もない。だが、10式戦車のカッコよさに狂っているJSFさんとその支持者は「10式は必須ではない」主張には感情的に反発することしかできない。その結果が、「ヤツは戦車不要論だ」という、珍奇な理論展開である。JSFさんとその支持者は、頭のなかが「10式戦車 = 戦車・陸上防衛」で短絡しているので、奇妙な論理には全く気づかない。

 これは、團十郎、勘三郎のファンが、その演技に疑問を持つ者を「歌舞伎否定論者だ」というようなものだ。全く珍奇な展開であるが、当人たちからすれば、「団三郎、勘三郎 = 歌舞伎」なので、その奇妙さに全く気づかない。

 いつも例にだす「カナダでは」の出羽守がそれだ。カナダはアフガンで戦車を再調達したという一点だけで、10式戦車調達を肯定しようとしている。しかし「カナダがアフガンで戦車を必要だと判断した、だから、日本の戦車を10式に更新すべきだ」というのは、全く筋の通らない話である。カナダがアフガンで戦車が必要だったからといって、日本の本土防衛で新戦車が必要とする話にはならないし、それが10式戦車である必要はどこにもない。

 だが、10式戦車とそのファンには「10式戦車 = 戦車・陸上防衛」という、誤った確信がある。だから、その点を疑問に思わないのである。あたかも「団三郎、勘三郎 = 歌舞伎」なので、歌舞伎の必要性を述べれば、団十郎、勘三郎の芝居を見に行く理由が立つだろうと勘違いしているわけだ。

 1両の戦車を、前後左右上下内部と11面観音に緻密に見ても、その戦車の周辺は見えない。モデラーが模型を玩味するようなものであり、その戦車には詳しくなるのだろう。だが、その戦車が必要であるか、今ある戦車で充分ではないか、自衛隊が海外に出る時期に国内でしか使えない戦車を更新する必要があるのか、そもそも10式戦車を買うような無駄な金があるのかといった点には全く頭がまわらない。

 10式戦車を論ずるためには、戦車そのものではなく、戦車の周辺にある環境を見る必要がある。それがなければ、10式戦車に詳しいだけで終わってしまう。

 JSFさんは、10式戦車に詳しいだけで終わっている。「ボクの大好きな10式戦車を作る防衛産業が金に汚い訳がない」と「[戦車]メーカーはそもそも戦車で全く儲かっていない」と言い出すのでは、10式戦車が置かれている環境は全く理解は及ばない。10式戦車に疑問を抱く意見に、サイン刺激で噛み付くような言動をこれからも繰り返すのだろう。
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