Category : エネルギー
航空燃料にマーガリンを混ぜられるのではないかという話がある。EUや航空産業によるSWAFEAコンソーシアムは、10%までなら混ぜられる可能性があるのではないかと言っている。※
もともと、ガスタービンはマーガリンで動く。粗悪燃料で動くヘビデューティー・ガスタービンは、極端な話、燃えるものならなんでも動く。液体だけでなく、気体でも粉体でも問題はない。その説明として、マーガリンでも動くという言い方は昔からあった。
ただ、さすがに航空用ガスタービンでは、難しいと考えられていた。空を飛んでいる時に不都合があると危険があるためだ。燃料の粘度が上がって燃料配管が詰まったりすると、確かに不都合がある。同じエンジンでも、艦艇転用や陸上転用なら止まっても極端な危険には及ばないが、空中では最悪墜落の危険性がある。
このため航空燃料は、実績がある原油由来のケロシンが使われていた。航空燃料には色々種類があるが、ターボプロップやジェット機用に使う燃料は、原油由来のケロシンであった。Jet-Aにせよ-bにせよ、JP-4にせよ-5にせよ、結局は原油由来のケロシンであり、中身に差はない。
しかし、原油価格が常にバレル50ドルを越え、100ドルまでふれる時代になると、原油由来にこだわることはできなくなった。そのため、今では航空代替燃料(実際には、ケロシンに混和する燃料)が模索されるようになった。
今のところ、FT法によるガス/石炭/バイオマス液化燃料(XTL、XはG,C,Bと変わる)と、植物種子油を水素富化したHRJについて実用化されている。これらはケロシンの半分まで混ぜていいことになっている。※※
そして、それに続き、マーガリンも混ぜられるのではないかという話も出てきている。マーガリンは脂肪酸エステルそのものであるが、これはバイオディーゼルその他で利用実績が積まれている。ディーゼルとガスタービンが必要とする燃料は、高いセタン価(オクタン価と逆の概念)が求められる点で似ている。
脂肪酸エステルは、比較的簡単、安価に製造できる。原料としてはHRJと同じ植物油脂(動物でも構わないが)であるが、HRJのように水素富化に高温高圧の反応を必要としない。このため、HRJよりも脂肪酸エステルの方が断然安くなる。
ただし、脂肪酸エステルはXTLやHRJとは異なり、高級純粋ではない。純ケロシンのXTL、HRJとは異なり、ケロシンそっくりといった程度にすぎない。また、不純物も含むため、今のところは航空燃料に混ぜてはならないとされている。しかし、原油や航空燃料の高止まりもある。10%程度は混ぜられるのではないかという見通しの元、可能性追求のため、混和により、どのような影響があるのかを見極めようとしている段階にある。
もちろん、航空燃料として不安があるだけであり、ヨリ条件がゆるやかな陸上輸送や艦船であれば大した問題はない。軍艦に積んでいるガスタービンは、基本的に航空機と同じものだが、温度条件や整備条件の有利もある。高級なXTLやHRJを使うまでもない。配管そのほかの次第によるが、うまくすれば脂肪酸エステル100%、しかも安く挙げるために精製度を低くしても動くかもしれない。
かつて駆逐艦が大豆油で動いていたという話もある。軍艦大和と一緒に沖縄に向かった駆逐艦は、燃料に大豆油を混ぜていたため、煙突からその匂いがしたという。脂肪酸エステルで軍艦を動かすと、同じようにマーガリンの匂いがするものだろうか。
※ Christensen,Dほか"A Reality Check on Alternative Aviation Fuels""ICAO Journal"(66)3(ICAO,2011)pp.22-26
※※ XTLもHRJも、ケロシンそのものだが、却って不純物がないので混和制限されている。Jet-Aほかを構成する原油由来ケロシンには、芳香族が不純物として混じっている。灯油や軽油を燃した時に嫌な匂いをだし、大気汚染の原因となる嫌われ者だが、たまたま配管接続部からの燃料漏を防止する働きをしているためである。このため、既存機体に100%のXTL、HRJを給油することは許されていない。
もともと、ガスタービンはマーガリンで動く。粗悪燃料で動くヘビデューティー・ガスタービンは、極端な話、燃えるものならなんでも動く。液体だけでなく、気体でも粉体でも問題はない。その説明として、マーガリンでも動くという言い方は昔からあった。
ただ、さすがに航空用ガスタービンでは、難しいと考えられていた。空を飛んでいる時に不都合があると危険があるためだ。燃料の粘度が上がって燃料配管が詰まったりすると、確かに不都合がある。同じエンジンでも、艦艇転用や陸上転用なら止まっても極端な危険には及ばないが、空中では最悪墜落の危険性がある。
このため航空燃料は、実績がある原油由来のケロシンが使われていた。航空燃料には色々種類があるが、ターボプロップやジェット機用に使う燃料は、原油由来のケロシンであった。Jet-Aにせよ-bにせよ、JP-4にせよ-5にせよ、結局は原油由来のケロシンであり、中身に差はない。
しかし、原油価格が常にバレル50ドルを越え、100ドルまでふれる時代になると、原油由来にこだわることはできなくなった。そのため、今では航空代替燃料(実際には、ケロシンに混和する燃料)が模索されるようになった。
今のところ、FT法によるガス/石炭/バイオマス液化燃料(XTL、XはG,C,Bと変わる)と、植物種子油を水素富化したHRJについて実用化されている。これらはケロシンの半分まで混ぜていいことになっている。※※
そして、それに続き、マーガリンも混ぜられるのではないかという話も出てきている。マーガリンは脂肪酸エステルそのものであるが、これはバイオディーゼルその他で利用実績が積まれている。ディーゼルとガスタービンが必要とする燃料は、高いセタン価(オクタン価と逆の概念)が求められる点で似ている。
脂肪酸エステルは、比較的簡単、安価に製造できる。原料としてはHRJと同じ植物油脂(動物でも構わないが)であるが、HRJのように水素富化に高温高圧の反応を必要としない。このため、HRJよりも脂肪酸エステルの方が断然安くなる。
ただし、脂肪酸エステルはXTLやHRJとは異なり、高級純粋ではない。純ケロシンのXTL、HRJとは異なり、ケロシンそっくりといった程度にすぎない。また、不純物も含むため、今のところは航空燃料に混ぜてはならないとされている。しかし、原油や航空燃料の高止まりもある。10%程度は混ぜられるのではないかという見通しの元、可能性追求のため、混和により、どのような影響があるのかを見極めようとしている段階にある。
もちろん、航空燃料として不安があるだけであり、ヨリ条件がゆるやかな陸上輸送や艦船であれば大した問題はない。軍艦に積んでいるガスタービンは、基本的に航空機と同じものだが、温度条件や整備条件の有利もある。高級なXTLやHRJを使うまでもない。配管そのほかの次第によるが、うまくすれば脂肪酸エステル100%、しかも安く挙げるために精製度を低くしても動くかもしれない。
かつて駆逐艦が大豆油で動いていたという話もある。軍艦大和と一緒に沖縄に向かった駆逐艦は、燃料に大豆油を混ぜていたため、煙突からその匂いがしたという。脂肪酸エステルで軍艦を動かすと、同じようにマーガリンの匂いがするものだろうか。
※ Christensen,Dほか"A Reality Check on Alternative Aviation Fuels""ICAO Journal"(66)3(ICAO,2011)pp.22-26
※※ XTLもHRJも、ケロシンそのものだが、却って不純物がないので混和制限されている。Jet-Aほかを構成する原油由来ケロシンには、芳香族が不純物として混じっている。灯油や軽油を燃した時に嫌な匂いをだし、大気汚染の原因となる嫌われ者だが、たまたま配管接続部からの燃料漏を防止する働きをしているためである。このため、既存機体に100%のXTL、HRJを給油することは許されていない。
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