Category : 雑誌読み
マルミミゾウの象牙はあらかじめ抜けないものか? 可能であれば象牙のないゾウとなる。そうすれば密猟はなくなるのではないか。
岩波『科学』の今月号に、マルミミゾウについての記事があった。西原智昭さんの「森のゾウが消える -マルミミゾウの頭数激減と象牙需要」※ がそれである。
マルミミゾウはアフリカに住むゾウであるが、サバンナで暮らすアフリカゾウとはことなり、密林に生息する別種とされている。ジャングルで果実を食べ、遠くでタネを含む糞をする。糞はタネの発芽や成長を助ける。ジャングルの生物多様性を保つ鍵であるとされている。また、水浴びをするためか穴を掘ることによって、ジャングルが極相に至ることが防止されるともいう。動植物がジャングル内を移動する際にも、マルミミゾウがつくったゾウ道、ケモノ道が必須であるともいう。
そのマルミミゾウが絶滅に瀕しているという。アフリカゾウは数が増えた話があるが、マルミミゾウは増えていない。マルミミゾウはむしろ密猟圧によって数を減じているという。
密猟の目的は、象牙である。象牙を抜くためだけに、ゾウが殺されているという。
ならば、あらかじめ象牙を抜くか、切ってしまうという方法はないものだろうか?
この方法は、既にサイで行われている。密猟者が狙うサイの角をあらかじめ切除することで、密猟を防ぐというものだ。ゾウにも同じ方法が使えるのではないか。
もちろん、密林に住むマルミミゾウについて、悉皆あつめて象牙を抜くことは難しい。しかし、国際機関や信頼できる政府機関による公然作業は、密猟よりも容易であるはずだ。密猟者よりも先に象牙を抜く、あるいは切除することにより、マルミミゾウを保護できるのではないか。
また、三味線のバチについて、象牙を使わないことを業界で申し合わせることも有効ではないか?
ちなみに、象牙需要の多くは日本と中国(と華僑圏)であるという。そして日本の象牙需要のうち、少なくない部分が三味線のバチに使われている。しかも在庫ではなく新品が求められていることが、西原さんの記事には示唆されている。
三味線のバチは大型材からしかとれない。バチを取り出すには、20kgを越える大型な象牙が必要と述べている。象牙1本からは、バチは1本しかとれない。この点で、余剰材で作れる印鑑材とは異なっている。規制以前の象牙のストックが何トンあっても根本がなければダメである。つまり、三味線のバチの需要があるかぎり新規の大型材への需要もあるということだ。
この伝でいえば、マルミミゾウを保護する(アフリカゾウもアジアゾウも同じだが)ためには、三味線業界が象牙を使わないという取り決めも効果があるように見える。象牙を使わないと音が弱くなる云々の話も、三味線奏者がみんなで仲良く音が弱くなればさしたる問題もないだろう。別に象牙なしでも三味線は鳴らせる。象牙バチとマルミミゾウとどちらが大事であるかとすれば、間違いなく後者である。
地球環境の変化といった話ならばともかく、象牙狙いでゾウが密猟され、絶滅するのはマヌケな話である。象牙が儲かるから問題なのであり、各種手段で象牙の価値を無くせば密猟は大きく減少する。保護啓発活動や法的規制も重要だとは思うが、同時に経済性を喪失させる手段を講じた方が良いだろう。
岩波『科学』の今月号に、マルミミゾウについての記事があった。西原智昭さんの「森のゾウが消える -マルミミゾウの頭数激減と象牙需要」※ がそれである。
マルミミゾウはアフリカに住むゾウであるが、サバンナで暮らすアフリカゾウとはことなり、密林に生息する別種とされている。ジャングルで果実を食べ、遠くでタネを含む糞をする。糞はタネの発芽や成長を助ける。ジャングルの生物多様性を保つ鍵であるとされている。また、水浴びをするためか穴を掘ることによって、ジャングルが極相に至ることが防止されるともいう。動植物がジャングル内を移動する際にも、マルミミゾウがつくったゾウ道、ケモノ道が必須であるともいう。
そのマルミミゾウが絶滅に瀕しているという。アフリカゾウは数が増えた話があるが、マルミミゾウは増えていない。マルミミゾウはむしろ密猟圧によって数を減じているという。
密猟の目的は、象牙である。象牙を抜くためだけに、ゾウが殺されているという。
ならば、あらかじめ象牙を抜くか、切ってしまうという方法はないものだろうか?
この方法は、既にサイで行われている。密猟者が狙うサイの角をあらかじめ切除することで、密猟を防ぐというものだ。ゾウにも同じ方法が使えるのではないか。
もちろん、密林に住むマルミミゾウについて、悉皆あつめて象牙を抜くことは難しい。しかし、国際機関や信頼できる政府機関による公然作業は、密猟よりも容易であるはずだ。密猟者よりも先に象牙を抜く、あるいは切除することにより、マルミミゾウを保護できるのではないか。
また、三味線のバチについて、象牙を使わないことを業界で申し合わせることも有効ではないか?
ちなみに、象牙需要の多くは日本と中国(と華僑圏)であるという。そして日本の象牙需要のうち、少なくない部分が三味線のバチに使われている。しかも在庫ではなく新品が求められていることが、西原さんの記事には示唆されている。
三味線のバチは大型材からしかとれない。バチを取り出すには、20kgを越える大型な象牙が必要と述べている。象牙1本からは、バチは1本しかとれない。この点で、余剰材で作れる印鑑材とは異なっている。規制以前の象牙のストックが何トンあっても根本がなければダメである。つまり、三味線のバチの需要があるかぎり新規の大型材への需要もあるということだ。
この伝でいえば、マルミミゾウを保護する(アフリカゾウもアジアゾウも同じだが)ためには、三味線業界が象牙を使わないという取り決めも効果があるように見える。象牙を使わないと音が弱くなる云々の話も、三味線奏者がみんなで仲良く音が弱くなればさしたる問題もないだろう。別に象牙なしでも三味線は鳴らせる。象牙バチとマルミミゾウとどちらが大事であるかとすれば、間違いなく後者である。
地球環境の変化といった話ならばともかく、象牙狙いでゾウが密猟され、絶滅するのはマヌケな話である。象牙が儲かるから問題なのであり、各種手段で象牙の価値を無くせば密猟は大きく減少する。保護啓発活動や法的規制も重要だとは思うが、同時に経済性を喪失させる手段を講じた方が良いだろう。
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